カネロはサンダース、プラントが標的2021年4団体制覇が目標

 WBA・WBC世界スーパーミドル級統一王者サウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)は次戦、2月27日米フロリダ州マイアミにあるハードロック・スタジアムでアブニ・イユリティンとWBC指名戦に臨むことが正式に決定。DAZN(ダ・ゾーン)がストリーム配信する。カネロは良好なビジネス関係を築くマッチルーム・ボクシングと2戦契約を結び急ピッチで計画が進む。2021年WBO、IBF王者との統一戦、ゴロフキンの3部作目、そして村田諒太も簡単に見てみたい。

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カネロはスーパーミドル級残留を決意

 カネロは、所属していたGBP(ゴールデンボーイ・プロモーションズ)とDAZNに対し契約問題を巡り訴訟を起こしていたが和解。13ヶ月ぶりにリングに戻ったカネロはWBA世界スーパーミドル級スーパー王者カラム・スミス(英)と対戦。スミス相手に一方的な試合で勝ったカネロ陣営は、ミドル級でのビッグ・ファイトも示唆していたが、スーパーミドル級にフォーカスする方針を固めた。

 カネロのマネージャーでトレーナーを兼務するエディ・レイノソ氏は、ウェルター級で強い存在感を示すIBF・WBC世界ウェルター級統一王者エロール・スペンスJr.(米)がミドル級にアップするプランや、ミドル級トップコンテンダーのセルゲイ・デレイビャンチェンコ(ウクライナ)に完勝したWBC世界ミドル級王者ジャーモール・チャーロ(米)とのマッチメークを挙げていた。

カネロは2021年4団体制覇

 協調関係にあるDAZNと提携するマッチルーム・ボクシングと2戦契約を結んだカネロは、年4試合を臨んでいるという。スター選手のほとんどが年2試合が慣例となっているなかで、4試合消化することでカネロの注目度はさらに増すだろう。

 カネロの2021年の計画を予想してみよう。2月WBC指名挑戦者のイユリディンに勝てば5月シンコ・デ・マヨ、9月メキシコの独立記念日の週末、11月か12月、年内にスーパーミドル級4団体を制覇するプランで間違いない。

カネロ5月WBO王者BJサンダースと統一戦

 カネロにとって、イユリディンは簡単な相手という批判もあるかもしれないが、直近で2020年12月にカラム・スミス(英)との試合を終えたばかり。わずか2ヶ月でリングへ戻ってくることを考えれば、大きな批判にはならないだろう。

 そして、5月シンコ・デ・マヨには、マッチルーム・ボクシングと契約するWBO世界スーパーミドル級王者ビリー・ジョー・サンダース(英)との統一戦交渉がすでに具体化。カネロ、サンダースが勝てば交渉のハードルはなくカネロとマッチルームの契約条件にBJサンダースとの統一戦が含まれていても不思議ではない。

 サンダースに勝てばWBA・WBC・WBOと3団体と米リング誌の王座を手にすることになる。残るはDAZN(ダ・ゾーン)と対立関係にあるPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)傘下のIBF王者カレブ・プラント(米)だ。

カネロ9月IBF王者カレブ・プラントと統一戦

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 DAZNとの2戦契約がおわったカネロはどういった形でPBCと契約をまとめるのだろうか。マッチルームと契約したように2戦か複数戦契約するのが理想。フリーとなりボクシング界最大の商品価値を誇るカネロがPBCと契約することは難しくはないだろう。

 カネロはGBP、DAZNを相手にとった訴訟の和解が成立しプラント戦に向け交渉が具体化したもの見送られた。米メディアによると、PBC陣営はカネロに2戦契約を提案。12月に米地上波FOXでアンソニー・ディレル(米)、2021年5月にIBF王者カレブ・プラント(米)の統一戦のオファーしたが、WBAスーパー王者カラム・スミス(英)に臨むことを決めた。

 カネロがスミスに決めたのはダイレクトにIBF王者プラント戦に臨めなかったことが要因の1つだろう。だが、すでにPBCは12月にWBC・IBF世界ウェルター級統一王者エロール・スペンスJr.(米)とダニー・ガルシア(米)のPPVイベントを打つことを決定。カネロ対プラントのPPVファイトを12月にまとめることは、PPV購買にも大きく影響がでることで難しかった。

 PBCがどういった提案をするのかも興味深い。最終的にIBF王者カレブ・プラントとの4団体統一戦がまとまればビッグ・ファイトになる。プラントはいまやPBCの看板選手になりつつある。逆境を乗り越え世界タイトルを獲得したプラントの人生はドラマ。オッズはカネロに傾くことが予想されるがアンダードッグのプラントがふたたび大番狂わせを起こすことができるか。大きな注目を浴びる一戦になることは間違いない。

 ドラッグが蔓延する治安の悪い地域で育ったプラントの家庭は貧しかった。プラントが生まれたときヘビー・ベッドを買う余裕がなくドレッサーの引き出しを使ったという。

 元キックボクサーの父親からボクシングを教えてもらったのは8歳のとき。アマチュア戦績は97勝20敗。2011年ゴールデン・グローブスにライトヘビー級で出場し銀メダルを獲得。2012年ロンドン五輪に補欠としてエントリーした。

 2014年にプロに転じ北米で影響力の強い後にPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)シリーズを開幕するアル・ヘイモン氏と契約を結び5連勝と順風満帆だったが、2015年1月に悲劇が襲った。

 2013年5月に娘アライアが生まれるも極めて稀な難病を抱えていた。ICU(集中治療室)でなんとか生命維持装置で命をつないでいたが、回復する見込みはなかった。プラントは医師から生命維持装置を外すことを進められ、はじめは応じなかったが、管に繋がれた娘の姿を見て外すことを決断。プラントは娘が亡くなるまえ「必ず世界チャンピオンになる」と約束していた。

 IBFの指名挑戦権を手にしたプラントは、王者ホセ・ウスカテギ(ベネズエラ)へ挑戦することが決まったもの強豪と戦かったことがないプラントは過小評価されていた。アナリストらもウスカテギを高く評価しプラント勝ち予想はすくなかった。しかし、プラントはアナリストらの予想を覆し王者から2度のダウンを奪い3−0の完勝。アライアとの約束を果たした。

カネロ対ゴロフキン3は起こるのか

 もちろん、パズルのピースがどう埋まるか不透明だが2月WBC指名挑戦者イユリディンに勝てば、WBO王者BJサンダース(英)と統一戦を行うことが既定路線だ。そして、9月メキシコの独立記念日の週末に向け4団体統一を最優先に動くのかどうか焦点になるだろう。

 カネロと2戦契約を獲得に成功したエディ・ハーン氏がカネロとPBCの契約をそのまま眺めるとは思えない。9月、PBCとマッチルームでカネロ争奪戦となりそうな雰囲気がある。DAZNの切り札がゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)だ。依然としてカネロ対ゴロフキンの再戦を求める声は多く締結すればメジャー・ファイトだ。カネロもゴロフキンの3部作目のオプションを否定してない。オファー次第で合意する可能性はある。

 ただ、合意に向け懸念事項がある。まず1つは階級だ。カネロがスーパーミドル級にあげたことで契約はスーパーミドル級が条件。ゴロフキンがすんなりスーパーミドル級契約を受け入れるかは不透明。そして、カネロ戦に臨むのであればIBFミドル級王座は明け渡す必要がでてくるだろう。団体によって例外はあるが、基本的に複数階級の王座を同時に保持することはできないからだ。

 もちろん、ゴロフキンはカネロだけがターゲットではない。以前にも交渉が進みWBAスーパー王者となった村田諒太戦に強い関心を示し交渉テーブルに再浮上する可能性はある。北米で話題を集めることは難しいが日本で行えば空前のメガ・ファイトになりグローバル戦略を打ち出すDAZN(ダ・ゾーン)とも利害は一致する。

 何れにしてもカネロが順調に勝ち進めば9月メキシコの独立記念日の週末に向け動向に大きな注目を集めることは間違いない。高齢となったゲンナディ・ゴロフキンはどういった選択をするのか。そこに割り込む余地のある村田諒太のメガ・ファイトの行方からも目が離せない。

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