フェリックス・ベルエホ(プエルトリコ)は再起戦で中谷正義との再戦も視野に入れていることを明かした。今回は、ベルデホの近況とあわせ再戦を含め占ってみたい。中谷戦は、前半ベルデホが2度のダウンを奪い主導権を握っていたが、中谷の強打を浴びたベルデホは後半スローダウン。9回、2度ダウンを奪い返され逆転KO負けを喫しトップクラス返り咲きに失敗している。
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中谷戦の敗因を明かすベルデホ
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「望んでいた結果にならなかったけど、素晴らしい戦いをすることができたし気分ははれているよ。前半、強烈なパンチを繰り出したことで後半スタミナが落ちてしまった。これが敗因だったと思う」。
敗因を明かしたベルデホ。イスマエル・サラス、トレーナーと念入りに戦略を練ったことは間違いない。中谷を誘い出し強烈なカウンターがよく機能していた。ベルデホが語るとおりスタミナも敗因の1つだろう。
だが、そうさせたのは中谷だった。「中谷は予想外のパンチを放ってきた。サラス・トレーナーにも言われたんだ。おまえはポイントでリードしているから無理をする必要はないとね。だが、その助言を聞かず彼と打ち合ってしまった」。
ベルデホは前半、2度のダウンを奪いリードしていたが、中谷のアタックやプレスでかなり消耗。集中は途切れていたのだろう。
ベルデホは中谷に負けビッグ・ファイトが霧散
「トップランクは大きな計画をもっていたけど、今回の敗北でそれが白紙となったことは認識している」。
ベルデホと契約するトップランク社はベルデホが勝てば2021年、WBA・WBO・IBF世界ライト級統一王者テオフィモ・ロペス(米)とのシナリオを描いていたことは間違いない。米ニューヨークを拠点とする2人が、殿堂マディソンスクウェア・ガーデン(MSG)で戦えば話題を集めるビッグ・イベントになる。
しかし、その前にベルデホには最終試験が必要だった。アントニオ・ロサダ(メキシコ)に敗北したベルデホはスタミナ、耐久力など大きな欠点が浮き彫りとなっていたからだ。
中谷対ベルデホ再戦の可能性はあるのか
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「再戦も視野にいれている、この戦いは多くのファンが望んでいるだろうしね。ただ、決定はトップランクに任せているよ」。
中谷との再戦の可能性はあるだろう。ベルデホにとって中谷との再戦は好都合だからだ。逆転KO劇は試合後の反響も大きかった試合で、トップランク社は2020年主催したイベントのなかで年間最高試合にノミネートしている。
そして、中谷はトップランク社と提携関係にある帝拳プロモーションズに所属していることから再戦もくみやすい。WBO地域タイトルを獲得した中谷は、世界タイトル挑戦の期待は高まるが、現時点で直ぐにタイトル挑戦は難しく最低でも1戦は挟まないと難しい。
もっとも期待されるのが、現ライト級WBA・WBO・IBFの3団体統一王者テオフィモ・ロペス(米)への再戦だが、次戦でロペスへ挑戦することは難しく、階級アップが確実視されていることから、再戦は難しいかもしれない。
ロペスはIBF(国際ボクシング連盟)から1位ジョージ・カンボソス(豪)の指名戦が命じられ、2021年3月4月、オーストラリア開催に向け交渉が進んでいる。
WBC(世界ボクシング評議会)は、暫定タイトルがライアン・ガルシア(米)とルーク・キャンベル(英)で決定戦が行われ、正規王者デビン・ヘイニー(米)への王座統一戦が中継するDAZN(ダ・ゾーン)の基本路線となっている。
現状、中谷が次戦でタイトル挑戦は難しいが、ロペスがスーパーライト級に階級アップするタイミングで、WBA・WBO・IBFが空位となることから、空位のタイトルマッチ決定戦の機会は間違いなく与えられるだろう。
中谷の現実的な候補としては、トップランク傘下のリチャード・カミー(ガーナ)が有力視されるが、直近で中谷が善戦したロペスにストップ負け。中谷の次戦の相手としてのインパクトは弱い。
「負けたからといって全てが終わりではないんだ。まだ若いし世界チャンピオンになりたいと思っている。僕は世界チャンピオンの素質があると思っている」。
ベルデホを抱えるトップランク社が中谷戦をどう見たのか。ベルデホはこう語るが再起ロードに失敗したボクサーは数知れず。キャリアが終わるわけではないが、負けてから低迷するボクサーも少なくない。ベルデホは再起ロードに失敗したばかり。キャリア再建は簡単なものではない。
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もちろん、ベルデホは耐久性は別としてもコンディションは良かった。そして、勝った中谷も4回にベルデホの強烈なカウンターを貰い危ないシーンも多く、試合後に右眼窩底骨折をしていたことが判明。ライト級トップ戦線で戦いぬくにはディフェンスに課題ができた戦いだった。話し合い次第だがベルデホとの再戦がセットされたら興味深い。激戦を経た中谷がどう成長するのか。組まれればベルデホは正真正銘、負けられない戦いになる。
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