オスカル・バルデスのドーピング違反が容認される異常事態

 WBC世界スーパーフェザー級王者オスカル・バルデス(メキシコ)の検体からフェルテルミンの陽性反応。米大手プロモーター、トップランク社傘下の看板ボクサーだけにこの報道は大きな衝撃だった。米ESPN(スポーツ専門チャンネル)記者マイク・クッピンガー氏の記事から紹介。

 サンプルB検体の解析を進めたもの陽性。バルデスの黒が確定したがコミッションはバルデスにライセンス付与、イベントを挙行することを認めた。バルデスがもつWBCタイトルは維持、WBC(世界ボクシング評議会)は事実上、バルデスのドーピング違反を容認という到底理解できない裁定を下し多くの問題が露呈した。

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バルデスは意図した摂取でないと否定

 バルデスは、8月13日VADAの薬物検査でフェルテルミンの陽性反応。バルデス陣営はサンプルBの検査を行使したが検査結果は陽性だった。

 「私は、これまでキャリアのなかでパフォーマンス向上薬を使用したことはありません。もちろん、これからもです。プロに転向し30回以上に渡りドーピング検査を受けてます。これはいつも試合で依頼していることです。ボクシングがクリーンであることを維持しだれも有利にならないため契約にVADA検査を盛り込んでいます」。

 バルデス陣営は意図した摂取でないと否定。陣営は、検出量が微量だったことを受けハーブティに含まれていたのではと説明していた。

 バルデスは8月30日のVADA検査は陰性だったが、ESPNによるとフェルテルミンが体内から排出されるまで最大6日間。13日の検査から17日の間があったことから排出すには十分な時間があった。

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ドーピングの専門家はどうみたのか

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 ESPN記者マイク・クッピンガー氏の記事から引用。ドーピング界で有名なビクター・コンテ氏は「個人的にアスリートにフェルテルミンを投与したことがありその効果が絶大であることを知っている」と説明。

 コンテ氏は、栄養補助食品を扱うバルコを創設。陸上のマリオン・ジョーンズ、ティム・モンゴメリなどに禁止薬物を提供した人物で実刑判決を受けている。

 今では、SNACを設立。ノニト・ドネア(フィリピン)、マイキー・ガルシア(米)、ケイレブ・プラント(米)といった著名ボクサーらの栄養アドバイザーを務めている。

実際の効果はどうなのか。
「フェルテルミンは非常に強力だ。覚醒剤のようなものだ。なぜ強力なのか分かりますか?中枢神経を刺激するからだ。心拍数を上げエネルギーを与える。持久力も高まるしスタミナもつく。呼吸も楽になりトレーニングも長時間できる」。と説明した。

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現地コミッションは容認する構えだった

 腐敗しきったWBCの対応はともかくコミッションの対応も疑問しかない。

 現地パスクア・ヤキ・コミッションは薬物検査は世界基準のWADA(世界アンチドーピング機関)が定めているルールを採用。WADAとVADAでは禁止薬物のリストは異なる。

 今戦の契約にはVADAによる薬物検査が盛り込まれていたが、VADAによるドーピング違反を認めない格好となった。

 WADAの規則によると、フェルテルミンは競技外に限り許容されている。試合の前日午後11時59分から試合後を競技内として禁止している。つまり、WADA基準だとバルデスはドーピング違反とはならない。しかし、VADAではフェルテルミンは常時禁止指定の薬物なのである。

 パスクア・ヤキ・コミッションは、検出された物質が微量だったことで競技の優位性はないと判断していた。

 しかし、バルデスはコンセイサンの契約合意に関しVADAによる薬物検査を盛り込み署名。VADAの規定でフェルテルミンは競技内外問わず禁止薬物として定義されている。なぜ、コミッションがWADAの規定に固執したのか違和感しかない。

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WBCはバルデスのドーピング違反を容認

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 そして、腐敗しきっているのがWBCだ。いまにはじまったことではないが、WBCはドーピング根絶に向けCBP(クリーン・ボクシング・プログラム)を提唱するがはっきりいって信頼できない。WBCの裁定を理解できる人がいるだろうか。

 「フェルテルミンは競技上で優位性をもたらすものではない。エナジー・ドリンクを3本飲むのと変わらない」。

 今回もWBCの独断でバルデスが守られたといっても過言ではない。WBCはタイトル承認団体でVADAのような薬物検査期間では無いのにも関わらず、フェルテルミンはパフォーマンス向上薬として認めないとコメント。バルデスのドーピング違反を容認した。

 バルデスの罰則は事実上ないようなもの6ヶ月間の自費の薬物検査。栄養とウェイト管理、クリーン・ボクシングを広める活動という非常に理解に苦しむ内容だ。

 そして、WBCが推進するCBPが機能不全に陥っていることは間違いない。WBCはランカーのボクサーに対し24時間365日、VADAのランダム薬物検査を義務付けているが、大方のボクサーは試合前のキャンプしか受けていないのが現状だ。

 米メディアによれば2020年コロナ禍で停滞したボクシング界。WBCが承認した世界タイトルマッチでVADAの薬物検査が行われなかったことがあり、PED問題が蔓延していると警鐘を鳴らす声もある。だが、実際には別の問題もある。

 VADAの検査とはいえ費用は数百万円と高額。通年を通した24時間365日のランダム検査ではなく実際には試合が決まり、トレーニング・キャンプ開始から終わりまでの期間。オフになる空白の期間の検査は行われない、つまりこの期間にドーピングすることは可能なのである。

 理想は24時間365日のランダム検査であることは間違いない。ボクサーは、いつドーピング検査されるか分からない。ドーピングの陽性率は格段に減るだろう。ただ、コスト面の問題が残る。まずは、世界タイトルマッチにおける薬物検査機関の標準化。そして、現状、コミッションでバラバラになっているルールの統一化をしてもらいたい。

 バルデス対コンセイサンはコミッションがバルデスのライセンスを認めたことで試合は挙行される予定。バルデスはソーシャル・メディアでクリーンであると強調したが、当然そんな言い訳が通用するわけはなくバルデスに対して厳しい声が多い。

 興行主のトップランク社は予定通り挙行することを発表。ビジネス優先という言い訳をし続け全く改善される気配がないボクシング。メジャー路線から脱落するのも当然だ。

 体重超過を犯しても罰金を支払い強行。今回のように明らかなドーピング違反であっても、容認する承認団体。もはや、無法地帯だ。ファン離れは加速、何も改善されない業界に未来があるのか疑問しかない。

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