カネロは、IBF王座は保持する方向だと思っていたが、デレイビャンチェンコとの指名戦の交渉は決裂。IBF王座を剥奪されることになった。所属するゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)に対し不信感を募らせるカネロのダンス・パートナーは見つかるのだろうか。
IBF(国際ボクシング連盟)が指令したWBA・WBC・IBF世界ミドル級統一王者サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)とIBF同級1位セルゲイ・デレイビャンチェンコ(ウクライナ)の交渉は続けられていたが時間切れ。IBFは、カネロをプロモートするGBPにIBF王座を剥奪することを通達した。
今後、IBFは空位となった王座決定戦をセルゲイ・デレイビャンチェンコと同級3位ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)に対し命じる見通し。米メディアによれば、交渉はすでに始まっており大筋合意しているという。カネロは、WBO世界ミドル級王者デメトリアス・アンドレード(米)戦の交渉が10月26日、米ラスベガスにあるT-Mobileアリーナで開催で進められている。
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カネロ対デレイビャンチェンコ戦は報酬面で決裂

photo by:boxingscene
合意に向けて大きな進展があった7月29日、カネロと契約するDAZN(ダ・ゾーン)がデレイビャンチェンコ戦を認めたが、カネロの保証されていた3500万ドル(約37億3000万円)から500万ドル減額することがデレイビャンチェンコを認めるDAZNの条件だった。
IBFの入札期限が8月1日午後3時まで延期となり、両陣営は交渉を再開したが報酬面で同意する必要があったが合意には至らなかった。GBPはデレイビャンチェンコ陣営に500万ドル(約5億3200万円)のオファーを掲示したが、デレイビャンチェンコ陣営は700万ドル求めていたという。
「IBFが設定した最終期限までに合意することはできなかった」
デレイビャンチェンコを擁するルー・ディベラ氏は交渉が決裂したことをESPNに明らかにした。
DAZNがカネロの相手として承認していたのは、ゴロフキンとコバレフのみ。デレイビャンチェンコ戦をカネロの相手として承認してなく、カネロを擁するGBPもデレイビャンチェンコ戦には関心を示していなかった。しかし、WBO世界ライトヘビー級王者セルゲイ・コバレフ(ロシア)戦の交渉が失敗におわりカネロがゴロフキンとの3部作目を頑なに拒んでいる以上、デレイビャンチェンコとの指名戦に応じるしかなかった。
Sponsor LinkGBPはカネロの特例をIBFへ申請するが認められなかった
GBPは、IBFへカネロの王座を保持するため例外申請をしたが時すでに遅かった。カネロは、IBFからデレイビャンチェンコとの指名戦を命じられていたが、入札前でIBFの条件に同意すれば、指名戦を回避して選択防衛戦を行うことは可能だった。
GBPは、WBO世界ミドル級王者デメトリアス・アンドレード(米)戦を引き合いにだしたが、すでにIBFが興行権の入札の設置を決めたことから規定上、認められなかった。カネロは、5月にダニエル・ジェイコブス(米)に勝ち、その後IBFからデレイビャンチェンコとの指名戦を命じられていたが、IBFへ例外申請をすることはなくカネロはIBF王座返上が濃厚だと考えられていた。
カネロ、GBPの間に亀裂か
I'm very upset and ashamed with my fans, to be unfairly stripped of my belt by the IBF, but specially when i did not have the knowledge of the agreement that GBP match maker had signed.
— Canelo Alvarez (@Canelo) August 2, 2019
今回、すっきりしないのはカネロがIBF王座を保持したかったかどうかだ。カネロはソーシャル・メディアを通じて今回、カネロの交渉の窓口だったGBPロバート・ディアス氏が契約で握っていた情報を知らなかったとしGBPに不信感を顕にしている。
ソースの信憑性はともかくとして、カネロ対ゴロフキン3部作目を何としても実現したいDAZNが、デレイビャンチェンコを承認する代わりに、ゴロフキン戦を拒むカネロ陣営に対して、2020年5月にゴロフキンとの3部作目の契約を交渉カードとして出した可能性はある。何れにしても、今回の件で少なからずGBPとカネロの間に亀裂が生じたことは間違いない。
DAZN、GBPが早期にカネロに対してゴロフキンとの3部作目に同意させれなかったことは大失敗だ。DAZNは、ゴロフキンを1億ドル以上(約106億円)の資金を注ぎ込み獲得、契約にはカネロとの3部作目が条件にあった。
再戦はカネロが勝ったが、米国ではゴロフキン勝ち支持の声は多く、現時点でカジュアル層含めミドル級では最大のカード。実現すれば、DAZNの新規購読者獲得にも繋がるイベントだった。今後、採算に見合うカードを提供することができるかどうか。そして、気になるのが、これまで長い間良好な関係を築いてきたGBPとカネロの関係性だ。
(Via:ESPN)
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