【結果】ロマチェンコ対ロペス今後はどうなるのか

 IBF世界ライト級王者テオフィモ・ロペス(米)が10月17日米ネバダ州ラスベガスにあるMGMグランド・カンファレンス・センターでWBA・WBC・WBO世界ライト級統一王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)を3−0(117−111、119−109、116−112)の判定勝ち。メジャー4団体を制覇しリング誌の王座獲得に成功。大方の予想を覆す判定勝利を獲得したロペスはスーパーライト級進出を示唆している。

 119-109の採点はともかく、ロペス勝ちは妥当。それより、ロペス判定勝ちを予想したファンは少なかったのではないだろうか。オッズはロマチェンコ有利。米メディアはロマチェンコ判定勝ちの見方が殆どだった。テオフィモ・ロペスはプロ戦績16戦全勝12KO、負けたロマチェンコはプロ戦績16戦14勝10KO2敗とした。

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コロナ禍で実現したビッグファイト

 トップランクが周到に用意したビッグファイトがようやく実現した。2人を同一イベントでセットしたトップランク社ボブ・アラム氏が近いうちに2人のビッグ・ファイトをシナリオとして描いていたことは周知の事実だ。試合前の予想記事は、こちら

 リオ五輪組のテオフィモ・ロペスは米トップランク社(米有力プロモーター)と契約。KOを量産メイソン・メナード、ディエゴ・マグダレノに勝利したことでライト級で存在感を強めた。統一王者ロマチェンコの好敵手となるとの声もあったが、トップクラスと対戦したことがないロペスは過大評価という指摘も少なくなかった。

 ロペスは、ロマチェンコのベルトに挑戦を表明するもメジャー4団体統一をかがげるロマチェンコはノンタイトルのロペス戦に関心を示すことはなかったが、リチャード・コミー(米)を下しIBFタイトルを奪取したロペスはリング上でロマチェンコを呼び寄せ統一戦をアピール。ライト級で無視できない存在となった。

 当初、交渉は米ロサンゼルスのステイプルズ・センターで進められていたが、新型コロナウイルス(COVID-19)がパンデミックとなりトップランク社は方針転換を強いられた。コロナ禍でゲート収益(チケット、販促品)が消失したことでESPNの放映権だけでは資金調達が厳しく交渉難航が報じられたが無事締結した。

 コロナ禍で大きくプロモーションズできなかったが、試合を中継するESPN(米スポーツ専門チャンネル)はエピソードを制作。試合前のカンファレンスはロマチェンコ、ロペスをスタジオに招き大体的にプロモーションを実施。ESPNの他、ESPN+でもストリーム配信、メインはカレッジ・フットボール終了時間にセットしかなり熱心に取り組んでいた。

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ロペスにとってどんな戦いなのか

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 ロマチェンコに勝てば米ブルックリンから正真正銘のニュー・スターが誕生する。

「まだ本物と戦ってない」
「過大評価されている」

 といった声を黙らせることができる。

 オッズはロマチェンコに傾いているのは仕方がない。これまで、ライト級でリナレス、ペドラサ、クローラ、キャンベルと対戦したが全てロマチェンコ有利。現ライト級の誰がロマチェンコと戦ったとしても不利予想は絶対、避けられない。ライト級は適正階級を超えたが最高傑作とされるロマチェンコの評価は揺るがないものとなっている。

 「ロマチェンコのことを悪くいうつもりはないんだけど、ただ言いたいだけなんだ。ウクライナ人が無口なのは知っているよ。彼は英語をあまり話せない。困らせたいわけじゃない。どちらかといえば父はそうなのかもしれない。2人は口論しているしね」。

 スピード、パワー、高い身体能力を持ち合わせている。しかし、パワーだけではロマチェンコに勝つことは難しい。ペースを握れるかどうか。パワーショットに固執すれば、ロマチェンコの思う壺だ。素早いカウンターから鋭いコンビネーションの餌食になる。ロマチェンコの多段の侵入を封鎖し相手のペースを狂わせパワーショットを当てることができるだろうか。

ロマチェンコは個人的な戦いだった

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 「ロマチェンコはこの戦いをいままでのどの戦いよりも個人的な戦いだと考えている」こうコメントしたのはボブ・アラム氏だ。ロマチェンコは試合前、相手の挑発にのり消耗することはないが「彼を打ちのめしたいね。ロペスの父は、息子のことをタイソン・フューリーのような大スターだと思っている。でも、彼らはトラッシュ・トークを繰り返す。彼らはスーパースターとは違う」。と嫌悪感を顕にしている。

 「彼らのことはよく思ってないよ。私の悪口をいっているし彼らのことを好意的にみることはできない」。と続けた。
 ロペス陣営の作戦かはわからないが、2人のあいだに緊張感が走ったのは共演した2018年12月のイベントの前夜だった。一部始終を目撃していたトップランク社マッチメーカーのブラッド・グッドマン氏によれば、記者会見が行われたホテルで夜、エレベーターの脇で座っていると、ロマチェンコがファンにサインしている姿がみえたという。そして、ある事件が起こる。

 ロマチェンコがファン・サービスしている横をロマチェンコの父が通り過ぎ、エレベーターで部屋に戻る姿がみえたという。ところが、ロペスの父はUターンしロマチェンコに向かい近づく「この小人が」と毒づき喉を切り裂くジェスチャーで威嚇。「テオフィモはこの試合でスターになる。おまえのキャリアはテオフィモによって終わる。テオフィモが殺すだろう」と言い放ったという。

もちろん、この話がどこまでが本当かはわからないが、ロペスの父はこの話を否定しなかった。

その日、ホセ・ペドラサ(プエルトリコ)との王座統一戦だった。ロペス陣営の作戦に揺さぶられたのかどうか。ペドラサとの統一戦は楽ではなく試合後、肩の怪我が完治していなかったと珍しくロマチェンコは言い訳じみたことを漏らしていた。

 個人的な感情が試合に及ぼす影響はあるのか。トレーニングを見たボブ・アラム氏によれば「彼は献身的で真面目なんだ。ロマチェンコがロペスのトラッシュ・トークに応じたけど、それは反応しただけなんだ」。と述べている。

 直近の試合から約14ヶ月の期間が空いた。とりわけ、懸念されるのが試合感が鈍っていないかどうか。サビつきを見せロペスのハードショットを貰えば命とりになる。いつものようにハイ・テクが正常に機能すれば、中盤以降ペースを支配するだろう。ただ、無理に倒しにいくようなリスキーなことはせず、コツコツと精度の高いパンチを当てロペスを消耗させるだろう。

ロマチェンコ対ロペス結果

https://twitter.com/in44y1/status/1316170999818121216

 試合直前のオッズは、ロマチェンコ1.22倍、ロペス4.33倍。米メジャー専門メディア、米リング誌の記者らは全員ロマチェンコ判定勝ち予想。これは当然の結果だ。400戦以上のアマチュア歴、これまで戦った対戦相手の水準もロペスと比較にするまでもない。

 ただ、一方で、ESPNの解説を務める元世界王者ティモシー・ブラッドリー(米)は「ロペスがロマチェンコに勝つ可能性はある。26年間、ボクシングを見て番狂わせをみてきた。我々はリングで才能あるボクサーを特別視しているように思える。相手に才能とアドバンテージがあるかどうか。ロペスはハングリーで、ナチュラルなライト級で大きい」。とロペス勝ちを予想。ブラッドリーの他、ロペス勝ちを予想する声もあった。
 
 今戦でロペスは多くのことを証明。ゲーム・プラン通り戦えたのはロペスだった。12ラウンド戦うことを想定して念入りにチームと戦略を練ったことは間違いない。パワーパンチだけに依存せず、アドバンテージであるフィジカルを活かし、ロマチェンコのスキルに対抗。身体能力に優れるロペスのスピードはロマチェンコより速かった。

 「前半はロペスがとったけど、後半はポイントアウトしたはずだ」
 試合後にロマチェンコはこう語っていた。”チェス・マッチ”、12ラウンド判定勝ちを狙っていたのであれば戦略としては大きなミスを犯した。前半は全てロペスがポイント・アウト。8ラウンドからペース・アップし挽回をはかったが遅すぎた。

 スロースターターのロマチェンコは、前半手数は一桁。これは珍しいことではないが、ロペスが手数では倍以上。前半はジャブがクリーン・ヒットしたとはいえ、明白にポイント・アウトしたとは言い難いラウンドが続いた。

 リングで対峙すると2人の身体の大きさは明白。フェザー級あがりのロマチェンコの身体は小さかった。パワーの差が大きく取り上げられていたが、ハンド・スピードではロマチェンコより踏み込みも早くロペスに歩があるよう見えた。

 ロペスは自慢のハード・ショットが火を吹かなかったがそれも勝つための戦略だったのだろう。パワーショットに依存すればロマチェンコのカウンターの餌食になる。結果的にパワーショットを封印したが、前半は追い足を使いロマチェンコを上手くコントロール。駆け引きでもひけをとらなかった。

 前半、ロペスはフィジカルを活かしリングをサークリングするロマチェンコをストーキング。躊躇なくガードの上からジャブ、ワンツーを叩き込み試合前語っていたとおりボディを突き刺した。ロマチェンコは1ラウンドの手数は僅か4発。それに対しロペスは27発だった。

 2ラウンド、ロペスのジャブにロマチェンコが左のカウンターをコネクトしたが、手数としてはロペスの多くロマチェンコに振っても良いがいかんせ手数が少なく、後退する姿は見栄えも悪い。殆ど、ロマチェンコは動かずしてるうちに5ラウンド開始のゴングが鳴るもペースをあげなかった。

 7ラウンドまで殆どロペスがポイント・アウト。ロマチェンコはカウンターをヒットさせるも浅かった。なかなか、踏み込めなかったのはロペスのプレッシャー、パワーを感じたことも要因としてあるだろう。ロマチェンコはクリーン・ヒットは貰わなかったが前半から顔を赤らめ疲弊していたように見えた。

 8ラウンド、これまで手数が少なかったロマチェンコが一転、反撃にでた。38発中、19発をコネクト。確実にパンチをコネクトするが浅くパワー・レスでロペスを明白に効かせることができない。その後、ロペスが直ぐ応戦したこともあり、連続するコンビネーションを作れなかった。そして、迎えた最終ラウンド、ロマチェンコがハイペースで進めるが、後半ロペスのクリーン・ショットを貰いポイントは流れた。

 ロマチェンコは試合では勝ったと主張しているが、最終ラウンドの終わりを告げるゴングがなりコーナーへ戻る顔から勝ちを確信した様子ではなかった。後半ロペスはポイントさえ取られたが、ロマチェンコのアタックに対し踏ん張り、接近戦ではアッパー、押し負けしないフィジカル、追撃させないようハードショットで応戦し完全にペースを渡さなかった。

ロマチェンコは今後どうするのか


 ロマチェンコはロペスとの再戦を望んでいるが実現しそうな気配はない。契約には再戦条項はなくWBA・WBO・IBF、米リング誌の王座をまとめたロペスはロマチェンコとの再戦を拒否する姿勢を示している。

 以前から減量苦が伝えられているロペスは、スーパーライト級転向を示唆している。WBC・WBO王者ホセ・ラミレス(米)とWBA・IBF王者ジョシュ・テイラー(英)戦の勝者との対戦に関心を示している。

 再戦してロマチェンコが雪辱できるか興味深い。ただ、厳しい戦いになることは間違いない。一瞬で避けて攻撃に繋げるには距離を詰める必要がある。ただ、ロペスはスピードもはやくパンチも強い。ガードの上を叩かれれば貰わなくても防御から攻撃に瞬時に切り替えることが難しい。
 
 そうなれば、被弾は覚悟しなければならないだろう。8ラウンドからペースアップしたロマチェンコは距離を詰めるため、いつもよりリスクをテイクしてパンチを放ったぶん被弾も目立ち、最終ラウンドを終えたロマチェンコはかなり消耗していた。

 ロペスに負けたことでおそらくPFP上位に君臨することは難しい公算が高いが、複数階級が目的で対戦相手を選ぶケースが横行するなか、3階級目にしても階級屈指のロペスとの統一戦に臨んだロマチェンコは称賛されて然るべきだ。PFPに関してはこちら

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