【結果速報】クロフォード対ブルック今後はどうなるのか

 WBO世界ウェルター級王者テレンス・クロフォード(米)が11月14日、米ラスベガスにあるMGMグランドでケル・ブルック(英)と対戦し4回TKO勝ち収め王座防衛に成功した。”フィニッシャー”という愛称が似合う。右ストレートにカウンターの右フックを炸裂させた。トップランク社との確執の噂もあるクロフォード。2021年ビッグ・ファイトを締結できるだろうか。今回はブルック戦のレビューと次戦について軽く触れてみたい。

 勝ったクロフォードは37戦全勝28KO、負けたブルックは42戦39勝28KO3敗(3KO)とした。

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クロフォードの世界的評価は

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テレンス・クロフォード
国籍 米国
身長 173cm
リーチ 188cm
スタイル サウスポー
米リング誌 ウェルター級2位
ESPN ウェルター級3位

プロ戦績 36戦全勝27KO KO率75%

獲得タイトル
WBO世界ウェルター級王座
WBA,WBC,WBO,IBF世界スーパーライト級王座
WBOライト級王座

アマチュア 58勝12敗

2007年全米選手権3位
2006年ナショナルゴールデングローブ優勝
2006年全米選手権3位

 クロフォードはPFP(パウンド・フォー・パウンド)上位の常連で自らNo.1と主張するが、自身が契約するトップランク社と提携関係にあるESPN(米スポーツ専門チャンネル)を除き、権威あるBWAA(全米記者協会)、米リング誌、米アスレチック社ではクロフォードの評価は3位止まり。33歳、全盛期にして評価は停滞している。

 その原因が、いまだウェルター級トップクラスとの対戦が実現してないことだ。ジェフ・ホーン(豪)からWBO世界ウェルター級王座を奪取。その後、ホセ・ベナビデス(米)、アミア・カーン(英)、カバラウスカスに勝利したがウェルター級トップクラスと言えるかは疑問だ。

 もちろん、ベナビデス、カバラウスカスは強豪であることは間違いない。クロフォードのウェルター級での戦績は4戦全勝KO勝ち。才能は議論する余地はないが、問われているのは対戦相手だ。もちろん、これはクロフォードがファンや関係者から待望されるIBF・WBA世界ウェルター級統一王者エロール・スペンスJr.(米)やショーン・ポーター(米)戦を拒んでいるからではなく政治的な理由だ。

 クロフォードと契約するトップランク社は147ポンド(ウェルター級)でスター選手を揃えていない。エロール・スペンスJr.をはじめ、キース・サーマン(米)、ショーン・ポーター(米)、ダニー・ガルシア(米)といったウェルター級中心タレント達はライバルのPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)と契約。TV局のハードルが生じ合意し難い背景がある。

 そして、PBC陣営も無理にクロフォード戦を締結する理由はない。クロフォードは、地元オマハにファン・ベースがあるものメディアにも露出がなく地味な存在。スペンス対クロフォードはボクシング・ファンにとってはビッグ・イベントに違いないが、スポーツの枠を超えるようなカジュアル層を巻き込む戦いではないことも理由の1つだ。

クロフォードは2021年ビッグ・ファイトへ繋げる一戦

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 一向にビッグ・ファイトが締結しないクロフォード陣営は苛立ちをみせはじめている。クロフォード陣営は契約するトップランク社(米有力プロモーター)に対し目指すキャリアと方向性が一致しないと主張。トップランクと確執が生じている。

 米メディアによれば、クロフォードとトップランク社との契約は2021年10月で満了を迎えるという。アラムは2021年、マニー・パッキャオ(フィリピン)、エロール・スペンス(米)戦をぶち上げるが、クロフォードの対戦相手を豊富に揃える対立するPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)のガードは固く先行きは暗い。

 トップランク社とPBCが合意する条件として共同PPV(ペイ・パー・ビュー)が落とし所だが、プロモーターとの確執が顕になったクロフォードがウェルター級でビッグネームを持たないトップランク社と契約を更新するかは不透明だ。

 トップランク社ボブ・アラム氏は、マニー・パッキャオ(フィリピン)戦の交渉に乗り出しオイル・マネーを持つ中東が招致に向け動き、前向きに交渉が進んでいたがコロナで霧散。どこまで、交渉が進んでいたか分からないが中東開催が消えケル・ブルック戦が交渉テーブルにあがった。

ケル・ブルックも充分チャンスはある

ケル・ブルック
国籍 英国
身長 175cm
リーチ 175cm
スタイル オーソドックス
米リング誌 圏外
ESPN 圏外

プロ戦績 41戦39勝27KO2敗(2KO)

獲得タイトル
IBF世界ウェルター級王座

アマチュア 36戦31勝

 一時、ウェルター級最強の候補にあがったブルックだが今回はアンダードッグだ。オッズは7−1とクロフォードに傾いているがブルックにもチャンスはある。ただ、不安視されるのが歴戦のダメージだ。

 ブルックは、エロール・スペンスJr.(米)、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)に連戦で敗戦を喫したことが評価を下げた要因の1つだろう。ブルックの勇気は称賛に値するがゴロフキンへの挑戦はあまりにも無謀だった。

 ブルックは2階級あげ当時ミドル級帝王だったゴロフキンへ挑戦。結果は5ラウンド、ストップ負け。ミドル級挑戦と引き換えにえた代償はあまりにも大きかった。ブルックは、右眼窩底骨折をしチタン・プレートを挿入する手術を受けている

 ゴロフキンに負けたがIBFの特例を受けたスペンスはIBFウェルター級王座は失わずに済んだが、眼窩底骨折し僅か8ヶ月後、翌年5月、ミドル級からウェルター級へ落としエロール・スペンスJr.(米)への挑戦を受けたブルックは11ラウンドKO負け。今度は左眼窩底骨折し再びプレートを挿入する出術を受けた。

 ブルックは、スペンスに負けて以降は3戦3勝。セルゲイ・ラブチェンコ、マイケル・セラファ、マーク・デルーカに勝ちWBAスーパーウェルター級挑戦権、WBO地域タイトルを獲得し世界挑戦が視野に入っていたが、統一路線が進むスーパーウェルター級挑戦は簡単にはいかなかった。

 今戦で興味深いのはブルックのサイズだろう。身長こそ同じだがミドル、スーパーウェルター級で戦っていたブルックのサイズの優位性はある。前日計量ではリミット一杯の147ポンド(ウェルター級)でクリア。回復すればかなり膨れ上がるだろう。

 ブルックの評価はゴロフキン、スペンス戦で下落したことは事実だが、テストマッチなしで2階級上のミドル級へあげその後、2階級下げたことはコンディションに悪影響を及ぼした可能性はある。

 クロフォードにとって、スペンスやパッキャオらトップクラスのウェルター級との対戦に臨む前の試金石になることは間違いない。 実力としてはクロフォードのウェルター級で戦ってきたカバラウスカス、カーン、ベナビデス、ホーンよりも高い水準のボクサーだ。筆者はオッズほどの開きはないと見立てている。

 ブルックは34歳、クロフォードが33歳と1歳違い。コロナ禍で影響がでるとすれば試合間隔が与える影響だ。クロフォードは2019年12月カバラウスカス戦以来、約11ヶ月ぶりの試合。ブルックは2020年2月が直近の試合で約9ヶ月ぶりの試合となる。

 総合力ではクロフォード有利だが、ブルックのパワーと高いスキル・セットで充分対抗できる武器はある。クロフォードは、直近カバラウスカス戦で幻のダウン。危ないシーンも多かった。番狂わせの可能性も大いにある。

クロフォード対ブルック結果

 最高のフィニッシャーだ。ブルックがペースを掴みかけていたが一瞬にして終わった。ブルックはフィジカルの強さを活かしクロフォードに対抗したが、それを上回り優れていたのがクロフォードだった。全ては戦略のうち。スロー・スターターではなく相手の力量を図っていた。3ラウンドおわりまでのスコアは(29-28 2者ブルック 28-29 クロフォード)ブルックが有利だった。

 1回、両者、手数は少なかったがブルックがクロフォードのジャブに上手く対抗。ジャブの出だしを狙い精度の高いリターンのジャブを顔面に当てた。2回、ブルックはリング中央にどっしりと構え、クロフォードの出鼻をジャブで叩き、下からアッパーを突き上げ警戒させた。

 クロフォードは警戒感からか手数が減り、スイッチも使うが攻めきれないシーンが続いた。クロフォードが打てば、ブルックのパワフルな右ストレートを打ってくる。

 3回、主導権争いが続くとクロフォードはサウスポーにスイッチ。ハンドスピードを活かしダブルジャブで防壁を崩そうとするが、ブルックは右リードを上手く使いペースを握らせなかった。パンチを貰ったクロフォードの右目は腫れだしていた。

https://twitter.com/in44y1/status/1327843186950119426

 そして、4回、ブルックの右ストレートのタイミングを読み切ったかのかのように、ブルックの右に右フックのカウンターを合わせるとブルックは腰砕け一気にロープまで後退。レフェリーがダウン判定。クロフォードがコーナーに追い詰め連打で仕留めた。

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クロフォード次戦どうなるのか

 ブルックを完全に沈めたクロフォード。ウェルター級で強豪を迎えてなかったが、ブルックをここまで完全に仕留められるウェルター級のボクサーはいるだろうか。

 もちろん、ブルックがクロフォードと戦う時点でウェルター級で評価されてなくゴロフキンに壊されたという見方もあるだろう。ただ、このパフォーマンスは圧倒的でPFP(パウンド・フォー・パウンド)の上位ランキングを動かす可能性もある。

 トップランク社との確執が伝えられるクロフォードはブルック戦の報酬は400万ドル(約4億1876万円)だった。次戦にも中東でマニー・パッキャオ(フィリピン)戦が囁かれる。来年は34歳となるクロフォードも衰えの足音が聞こえてくる年齢となる。キャリア最盛期にしてビッグ・ファイトをつかめるだろうか。

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