テオフィモ・ロペス(米)/13戦全勝11KO米国ライト級トップ・プロスペクトといえばこの男で間違いない。米メディアでも注目を浴び、デビュー戦からKOを量産し米最有力プロモーター米トップランク社が抱えるナンバー1ホープが、中谷正義/18戦全勝12KOとの一戦を迎える。ロペスはどういったキャリアを歩んできたのだろうか。

 2017年YahooSports社が年間最優秀若手選手として選出。2018年センセーショナルなKO劇を飾ったロペスは、YahooSports、米国で最も権威あるリング誌、米ESPN(スポーツ専門チャンネル)が年間最優秀若手選手として選出する若手有望株である。


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 2018年ロペスは4戦、中でも度肝を抜いたのは1回、44秒でKO勝ちを飾ったメイソン・メナード(米)戦だ。初回、右ストレートで相手を萎縮させ右ストレートを打ち込み、メナードがキャンバスに前のめりに沈んだ光景は戦慄的だった。
 ロペスをプロモートするトップランク社ボブ・アラム氏「彼は野心家だよ。彼の父親も両方さ。ロペスは、優れた能力を持っているし、何より彼は自信をもっている。彼からライト級でタイトルマッチをさせてくれと言われているよ。それはロマチェンコかもしれないね」とアラム氏は大きな期待を寄せている。

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ロペス、五輪米国代表は叶わなかった

 両親はホンジュラス出身、米ニューヨーク、ブルックリンで生を受けたロペスはホンジュラス・アメリカ人で現在21歳。6歳の時ニューヨークからフロリダへ移住、ボクシングに興味を持った時は6歳だったという。

 「ロペスが米国のオリンピックの一員になれなかったのは残念だよ。アマチュア・ボクシングは政治力があるからね」
 ロペスは、父親と共にボクシングをはじめた。アマチュア戦績は150勝20敗。2016年リオ五輪を目指すも米国代表に選出されなかった。

 2016年リオ五輪オリンピック・トライアルで優勝し出場権を獲得したが、AIBAのワールド・シリーズ・オブ・ボクシングで優勝したカルロス・バルデラスが米国代表となり、米国代表を掴めなかったロペスは、両親の母国ホンジュラス代表として出場を決意。リオ五輪米大陸予選で準優勝して、ホンジュラス代表権を獲得してライト級に出場したが1回戦で敗退している。

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ロペス、トップランクと契約

 2016年プロ転向後、米最有力プロモーターのトップランク社と契約を結んだ。トップランク社は、過去にも数多くのオリンピアン達と契約を結びスターにしている。

 バルセロナ五輪金メダリストのオスカー・デラ・ホーヤを契約金100万ドルで獲得。アトランタ五輪フェザー級銅メダリストでプロ転向後に数百億円稼いだフロイド・メイウェザーJr.(米)をはじめ、ミゲール・コット(プエルトリコ)らアマ・エリート有力選手を獲得してきている。近年では、ロンドン、北京五輪2大会を制覇したワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と契約を結んでいることで有名だ。

 トップランク社と契約したロペス。リオ五輪組では、トップランクと契約した3人目のボクサーだった。実は、ホンジュラス代表としてリオ五輪に出場したロペスの期待値はそこまで高くなかったという。「これは、スプリントではなくマラソンなんだ。ロペスのことは高く評価している。彼は才能があるし大きなマーケットをもっているし、素晴らしい未来が待っている」

 五輪金メダリストは別格としても、やはり五輪でメダルを獲得した選手の評価は高いのだろう。アラム氏の見立ては当初、リオ五輪バンタム級に出場し銀メダルを獲得した”ネクスト・メイウェザー”と呼ばれるシャクール・スティーブンソン(米)やロンドン五輪フライ級銅メダリストで、2015年世界選手権でバンタム級で金メダルを獲得したマイケル・コンラン(英)らのほうが、期待値が高かったのかもしれない。

 米ニューヨークで生まれブルックリンで生を受けたロペスは、フロリダ州にあるデイビーで育ち、トップランクと契約した後、現在は、米ネバダ州ラスベガスで2020年2月開催に向け急ピッチで建設が進むNFLレイダースの本拠地になるスタジアムの近くに移り住んでいる。

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ロペス、大舞台へ

 「彼はスペシャルだ」プロ・デビューからKOを量産、メイソン・メナード(米)戦でショッキングなKOで勝利を飾り、これまで期待値以上の結果を出したロペスは、次第にビッグ・ファイトのアンダーカードという大舞台が用意された。

 ただ、ロペスはまだ実力者との対戦経験はなく、圧倒的なKO劇で米メディアは注目するが依然として実力にはクエッション・マークがつきまとう。もちろん、米国ではプロのリングで攻防をしっかり慣れさせ自信をつけさせることは、決して珍しいことではないが、対戦相手の水準アップは求められていたのは事実である。

ロペス、トップ・プロとのスパーリング経験

 「トップ・プロとたくさんのスパーリングを経験しているんだ。彼らからトレーニング・キャンプでスパーリング・パートナーとして招かれるときもある。サーマン戦を控えるショーン・ポーター(米)のトレーニング・キャンプにも参加したし、ブラッド・ソロモン(米)ともキャンプをしたんだ。彼らは俺より20ポンドも大きい」

 自信家のロペス、プロでは僅か11戦だが豊富なアマチュア経験に加え、トップ・プロとスパーリングで拳を交えることが自信に繋がっていることは間違いない。


 ロペスは、13歳の頃からトップ・プロらとスパーリングを経験を積んでいる。ショーン・ポーターの他、五輪2大会連続金メダリストのギレルモ・リゴンドー(キューバ)、2012年ロンドン五輪バンダム級金メダリストのルーク・キャンベル、WBA世界スーパーフェザー級王者ガーボンタ・デービス(米)、北京五輪ライト級銅メダリストのヨルデニス・ウガス(キューバ)とスパーリング相手を努めてきたという。

ロペス、マグダレノ戦

 そして、プロ11戦またしてもビッグカードのアンダーカードで戦うことが決まった。次はWBO世界ウェルター級テレンス・クロフォー対アミール・カーンのアンダーカードでディエゴ・マグダレノと戦うことが決定。マグダレノの戦績は33戦31勝13KO2敗1ライト級で強豪ではないが中堅クラス。テリー・フラナガン(英)、ローマン・マルチネス(プエルトリコ)らへ挑戦したが何れも失敗、実力に疑問符が付くロペスの相手には丁度いい相手だった。

 「マグダレノのディフェンスは固いけど、破ってみせる」そう息巻いたロペスは、初回から、スピード、コンビネーションでマグダレノを圧倒。プレスをかけ、スピードで優れるロペスは、マグダレノの固いディフェンスをいとも簡単に突破した。

 見切りの良いロペスは、マグダレノの打ち終わりに右ストレート、右アッパーのカウンターをセットしてマグダレノを苦しめた。その後もロペスが試合を優勢に進め、左フックのダブルで仕留めた。

 快進撃を続けるロペス、ここにきてPFP傑作ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)との対戦も持ち上ってきた。もちろん、自信家のロペスはロマチェンコとの対戦を臨んでいるが、ロマチェンコ本人は「ベルトをとってからだ」と一蹴。

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ロペス、タトリ戦

 ディエゴ・マグダレノ(米)を左のダブルで沈めたロペス。試合後のバク宙やダンスは、相手へのリスペクトが足りないとメディアが叩くのは、ロペスがそこまでの領域に達したということだろう。次の相手は、ヨーロッパ・タイトルを保持するエディス・タトリ(フィンランド)/33戦31勝10KO2敗とNABFのタイトルを争うことがきまった。

 コソボで生まれたタトリ、アルバニア系の両親のもとに生まれ、4歳の時にフィンランドへ移住。空手を始め、ボクシングをはじめたのは14歳からだという。フィンランドのアマチュア選手権で優勝、その後2007年にプロへ転向、2012年にEBUヨーロッパタイトルを獲得している。

 メイソン・メナード戦以降、試合間隔は僅か2ヶ月足らずだが、マグダレノ戦のインパクトが強かっただけに、トップランク陣営はファン、関係者の印象が冷めないうちに次戦を進めたかったのだろう。タトリも弱い選手ではないが、攻防一体型でハイテンポのロペスについていけず、5回ロペスのボディが突き刺さりフィニッシュ。タトリはプロ初のKO負けを喫した。

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ロペス、中谷戦はビッグテスト

photo by:boxingscene


 圧倒的なスピード、ライト級では大きなアドバンテージとなる。鋭いステップインから繰り出されるパンチはどれも強力で、フロイド・メイウェザーJr.を思い起こさせるショルダー・ロールから右のリターン、攻勢だけでなく自らカウンターをだす局面を作り当て込む能力も優れ、攻撃水準のレベルはトップ・レベルと考えて間違いない。

 ただ、これまでディエゴ・マグダレノ(米)、エディ・タトリ(フィンランド)をKOで仕留めたがライト級では中堅クラスで強豪とは呼べなない。スピード、パワー、反射神経、優れた身体能力を持つことは確かだが、自分と同等クラスのパワーがある選手と戦ったどうなるのか。まだメンタル、タフネスと証明されてない面もある。

 パーリ、ダッグ、見切りの良さが際立つがL字ガードを使うロペスの防壁は高いとは言い難く、これまでピンチらしいトラブルに陥った経験はなく中谷が付け入る隙きはある。
 
 ただ、ハイ・スピードで展開するロペスを見てしまえば、勝機は限りなく低くなる。乱打戦に持ち込みたい。ウィリアム・ヒルのオッズは中谷が13倍、ロペスをストップすれば大番狂わせとなるが、戦力で劣る中谷にとって厳しい戦いになることは間違いない。

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