2020年米リング誌PFPランキング・トップ選手の動向

 2020年米リング誌パウンド・フォー・パウンド(PFP)最新の上位ボクサーの近況を整理してみたい。コロナ禍のなか停止していたボクシング・イベントが6月再スタート。そして10月17日、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)がテオフィモ・ロペス(米)に負けたことで米リング誌は10月PFPランクを更新。これまで2位をキープしていたロマチェンコは7位に下落、ロペスが6位に登場。井上尚弥は2位、テレンス・クロフォード(米)は3位となった。

 2020年新型コロナウイルス(COVID-19)がパンデミック(世界的な流行)となり、北米のプロ・ボクシングは3月から停止を余儀なくされたもの6月、米ラスベガスでTopRank社が再スタート。10月、米ネバダ州、テキサス州で規制が緩和され観客動員が可能となった。そして、法廷闘争中だったカネロはようやくDAZN、GBPと和解が成立、12月19日米テキサスでWBA世界スーパーミドル級スーパー王者カラム・スミス(英)戦が決まった。

Sponsor Link


Sponsor Link

1位 カネロ

Embed from Getty Images
 北米で最大の商品価値を誇るのがメキシカン・スーパースターのカネロだ。2019年メキシコの独立記念日の試合が流れ、一時はどうなることかと思ったがセルゲイ・コバレフ(ロシア)戦が決まった。

 コバレフを破り米リング誌はPFP首位に選出した。筆者もカネロがPFP首位で異論はないが、ミドル、スーパーミドル級ではまだ仕事が残っていることも事実だ。

 29歳にして今がピークか。プロ戦績は56戦、所属するGBP(ゴールデンボーイ・プロモーションズ)に大事に育てられすぎた感はあったが、今ではホセ・ミゲール・コット戦のような危ないシーンを見ることがなくなった。全階級を見渡しても成長著しいボクサーの1人だ。

 卓越したディフェンス能力、カウンターにはさらに磨きがかかり盤石なスタイルを持つ。そして、毎試合成長を見せてくれるのも楽しみの1つだ。本来であれば2020年5月にWBO(世界ボクシング機構)スーパーミドル級王座を持つビリー・ジョー・サンダース(英)と戦う予定だったが、公式アナウンス直前で米国でコロナウイルスの感染が拡大した影響で見送りとなった。

 米メディアの最新の予想では、サンダース戦はこのまま見送りになり基本合意が伝えられているゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)との再戦に動く見方があるが、2020年内にできるか先行きは不透明だ。今では米国がコロナウイルスの中心地。大型イベントの開催はもちろん外出禁止令が出され、経済活動が停滞。先行きの予測は専門家であっても難しい。

 米トランプ大統領はイースターに経済活動再開を見越していたが、感染者の増加ペースは鈍化せず延期となった。感染ペースに歯止めがかかれば夏には状況が落ち着く予想がある。新型コロナウイルスが熱に弱いという情報があるが、たとえウイルスの活動が弱くなったとしても元通りの生活をし人の接触が増えれば感染する恐れはでてくる。人、モノの制限が緩和されるまではかなりの時間がかかり、我々の知っている元の生活スタイルに戻れるかどうか。生活スタイルはしばらくのあいだは戻らない可能性も高い。

 カネロ陣営は、2020年大きな1年になることを計画していたがリスケジュール変更を余儀なくされる。陣営は9月にリング登場を計画するが新型コロナウイルスの感染者が減少してもしばらくの間は大規模イベントは規制される可能性は高い。カネロは5月にサンダース、9月にゴロフキンとの第3戦、年末に日本でWBA世界ミドル級王者村田諒太(帝拳)戦を描いてたが全て白紙となった。

 次戦が全く決まらないなか事態は急展開を迎えている。カリフォルニア連邦裁判所へ契約するDAZN(ダ・ゾーン)、ゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)に対して契約違反があったとし米ロサンゼルスの連邦裁判所に提訴。2億8000万ドル(約296億8560万円)の損害賠償を求めている。

 以前から、GBPとの不仲説はあったが訴訟を起こしたことで対立が鮮明となった。カネロは、GBPと強い信頼関係を気づいていたものGBPがDAZNとゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)との第3戦目を口頭合意させたことや、GBPが満足のいく対戦相手との交渉を成立できなかったことに対し不満を募らせていた。

 GBPの舵取りをするオスカー・デラ・ホーヤ氏とは弁護士を通じての会話となっており、カネロとGBPとの関係は数年前に終わりを迎えていた。裁判が長引けばリングから長期の離脱を強いられることになる。GBPとの関係を修復は不可能、落とし所はどこになるのだろうか。

 長期化する恐れがあった法廷闘争がようやく解決。DAZN、GBPから離脱することで和解が決まった。晴れてフリー・エージェントとなったカネロ。12月19日、IBF世界スーパーミドル級王者カレブ・プラント(米)戦がはやくも具体化している。今後、メイウェザーが辿ったようにShowtime(米ケーブルTV局)やPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)と契約するのか動向が注目されている。

 カレブ・プラント(米)戦との交渉は進んだがプロモーション期間が短いことで先延ばし。WBA世界スーパーミドル級王者カラム・スミス(英)と12月19日米テキサスで対戦することが正式に決まった。カネロはスミスをプロモートするマッチルーム・ボクシングと単戦契約を結んだ。

 ミドル、スーパーミドル級であれば、2020年10月セルゲイ・デレイビャンチェンコ(ウクライナ)を下したWBC世界ミドル級王者ジャーモール・チャーロ(米)や、WBA世界スーパーミドル級王者カラム・スミス(英)、IBF世界スーパーミドル級王者カレブ・プラント(米)といった階級でも評価の高いボクサーとの対戦がのぞまれる。

Sponsor Link

2位 井上尚弥

Embed from Getty Images
 井上の評価が世界的に上がったのは賞金獲得トーナメントWBSS(ワールド・ボクシングスーパー・シリーズ)に優勝したからだ。あのまま日本で試合をしたとしても強豪とのマッチメークは難航を極め、消化試合に終わっていたに違いない。WBSSに出場したことは正解だった。

 まず、WBSS開幕戦となった横浜アリーナで行われたトップアマ出身のファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)との一戦は、パヤノのスタイルは難しく早期決着は難しい見方が殆どだったが、ゴング開始70秒でプロでダウンしたことがないパヤノは井上のパワフルな右に吹き飛ばされリングに叩きつけられた。「彼はグレートだ。倒せる人間はいない」と負けたパヤノは完敗を認めた。

 パヤノはアマで400戦以上、全盛期ではないものアンセルモ・モレノ、米国五輪を連続で務めたラウシー・ウォーレンらと接戦を繰り広げている。現バンタム級では若い世代が中心で世界的な強豪と呼べる選手は少ないが、パヤノは実績ある元王者だったことは間違いない。

 そして準決勝で、井上の好敵手となると言われていたボクシング大国プエルトリコの新鋭、IBF王座をもつエマヌエル・ロドリゲスと対戦し2回に計3度のダウンを奪い圧勝。この試合後に米記者達は井上を高く評価している。軽量級が軽視される米国で、米ESPNの記者を務めるベテラン記者のスティーブ・キム氏は、ESPNの投票で井上を1位にランクしている。「もちろん、ロマチェンコ、クロフォード、カネロ、ウシクは優れたボクサーに異論はない。だが、世界基準の相手を井上のように圧勝できるボクサーがいるのか。PFPランキングでは勝ち方が重要なんだ」と井上を首位にした理由を挙げている。

 次戦はWBO世界バンタム級王座をもつジョンリール・カシメロ(フィリピン)と3団体王座統一戦が内定しているが新型コロナウイルスの影響で試合が組めない状況となっている。米メディアによると井上は数日中にビザを取得すると報じられ正式アナウンスが期待されるが雲行きは怪しい。ここにきて、興行を主催するトップランク社ボブ・アラム氏がカシメロ陣営が報酬ダウンに応じなければ合意が難しいと明かしたからだ。

 カシメロ戦の交渉がふたたびはじまったもの契約が成立する気配なかった。そんななか、カシメロは9月、Showtime(米ケーブルTV局)でデューク・マイカー(ガーナ)戦が決まり井上との交渉が決裂したことが分かった。カシメロ戦がなくなった井上は、同じトップランク傘下のジェイソン・モロニー(豪)と10月31日試合をすることが決定。

 オッズは当然のごとく井上に大きく傾き。米メディアをはじめ井上勝ちの見方だった。結果は7ラウンドKO勝ち。試合前、井上が語っていたとおり、6ラウンドにはダブル・ジャブをステップバックとスリッピングアウェーで回避して同時にチェック・フックをカウンターで放ちダウンを奪い、高い技術を見せつけノックダウンを披露した。試合レビュー記事は、こちらから。

 井上のスピード、パワー、プレッシャーと良いところばかりがフォーカスされるが、序盤2ラウンドには再三にわたりジャブで顔面を跳ね上げられドネア戦で浮き彫りになったディフェンスは改善されているかは疑問。階級アップの不安材料の1つだ。

 もちろん、被弾しないボクサーなどいないが貰い方は良いとは言い難い。「スーパーバンタム、フェザー級までいける」など報じられるが、階級をあげればこれまでアドバンテージだった、パワー、フィジカルの有利さはなくなり、1つのミスが命とりになる。

Sponsor Link

3位 テレンス・クロフォード

Embed from Getty Images
 井上に抜かされたクロフォード。ライト、スーパーライト級と2階級を制覇しスーパーライト級は4団体制覇を成し遂げたが評価を押し下げた理由はなんだろうか。ライトからスーパーライト級での実績は見事なものウェルター級でいまだ強豪と拳をあわせてないことが評価が停滞している理由だろう。

 スーパーライト級ではビクトル・ポストル(ウクライナ)、トップアマのフェリックス・ディアス(ドミニカ共和国)、ジュリアス・インドンゴ(ナミビア)、ジョン・モリナJr(米)に勝っている。ウェルター級ではジェフ・ホーン(豪)、ホセ・ベナビデス(米)、アミア・カーン(英)に勝っている。ホーン、べナビデス戦の勝ちはインパクトも十分だが、ウェルター級で実績がある強豪とは言えない。

 PFPランクをあげるにはクロフォードをプロモートするTopRank社ボブ・アラム氏は重い腰を上げウェルター級強豪を集めるPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)と交渉するしかない。

 アラム氏は、ウェルター級強豪の一角WBC・IBF世界ウェルター級王者エロール・スペンスJr.(米)に負けたショーン・ポーター(米)戦はマッチメークに値しないと苦言を呈していたが、未だ地元オマハにしかファン・ベースがないクロフォードが米ニューヨークや西海岸で知名度があるポーター戦はウェルター級での実績を作る意味でも大きい。

 コロナ前は、ウェルター級で最大のライバルIBF・WBC世界ウェルター級統一王者エロール・スペンスJr.(米)との対戦交渉が水面下で進められていたが新型コロナウイルスがパンデミックとなり頓挫。11月14日、元IBF世界ウェルター級王者ケル・ブルック(英)との対戦が決まった。

 序盤、ブルックの的確なジャブがクロフォードの顔面を捉えペースを握りかけていたが、4ラウンド形勢逆転した。サウスポーにスイッチしたクロフォードがブルックの右ストレートに対し完璧なタイミングで左フックのカウンターを放ちブルックはそのままロープにつまりクロフォードが追撃。ブルックはダウンをとられ踏ん張ったが、クロフォードの猛攻でレフェリー・ストップとなった。レビュー記事はこちら

 スーパーウェルター級に変更しウェルター級に下げたブルックをどう評価するのか割れるところだが、ブルックは過去にショーン・ポーター(米)を完封。エロール・スペンスJr.(米)に対し善戦したことから強豪と判断していいだろう。

 そして、印象的なフィニッシュはPFPランクアップの好材料となりそうだ。

4位 オレクサンデル・ウシク

Embed from Getty Images
 WBSS初代クルーザー級で優勝したのがウシクだ。強豪がひしめくこの階級で4団体王座統一を果たしたウシクは、ヘビー級の2階級制覇を掲げ始動した。WBSSで、マルコ・フック、マリオ・ブリディエスを破り、ムラト・ガシエフ(ロシア)との優勝決定戦を制して、ビッグマッチを求め渡英しトニー・ベリュー(英)を破った。

 クルーザー級からヘビー級は過去にイベンダー・ホリフィールドが達成したが、ただの階級アップではなく大きなリスクが伴う。モンスター達が集うヘビー級は、フィジカル、パワーは桁が違う化け物の巣くつだ。ウシクは高度なスキルを持ち定評があるがそれだけで通用するか未知数な面は大きい。

 チャズ・ウィザースプーン(米)との試運転を終え、デレック・チゾラ(英)とのチューン・アップ戦が英国ロンドンで合意。英国で新型コロナウイルスの感染が拡大し外出禁止令がだされたことで中止となっていたが10月31日、英国で挙行することが決まった。

5位 エロール・スペンスJr.

Embed from Getty Images
 五輪に出場したスペンスは米国期待のウェルター級トップの新鋭だった。順調にプロでキャリアを積み大きな期待がかかっていたが、ウェルター級実力者と対峙してないことから経験不足、過大評価という指摘もあったが、ケル・ブルック(英)との王座統一戦に勝利したことで実力を証明した。

 本来であれば、ブルックを倒し勢いに乗るところだがその年は1試合のみとキャリアは停滞。そして、1年後、PBCはウェルター級強豪のキース・サーマン(米)、ショーン・ポーター(米)、ダニー・ガルシア(米)らとの交渉に乗り出すかと思えば、ウェルター級では第2グループのラモント・ピーターソン(米)、カルロス・オカンポとの指名試合という期待はずれのマッチメークで終わった。

 2019年3月、兼ねてからウェルター級参入を公言していたマイキー・ガルシア(米)が周囲の制止を押し切りスペンス戦に臨むことが決まり、スペンス、マイキー共に自身が初となるペイ・パー・ビュー(PPV)が米テキサス州アリーントンにある8万人以上を収容できるAT&Tスタジアムで決行することが決まった。

 これまでのスペンスはパワーで押し切る面があったが、マイキー戦では力強いジャブとフットワークでマイキーの侵入をシャット・アウトし完勝。今戦でスマートな戦術を見せたスペンスは「多くのアナリストは僕がマイキーと同じようなボクシングがてきないと指摘していたけど、この戦いを通じてそれが間違いだったことを証明した」。と述べていた。

 マイキーを倒したスペンスは、ダニー・ガルシア(米)を破りWBC王者となったショーン・ポーター(米)との王座統一戦が決まった。スペンス圧勝の声も少なくなかったが、今戦はブルック戦以来初となる強豪との対決でスペンスの真価が問われる戦いだった。

 ポーターのラフ・ファイトに巻き込まれ打ち込まれる危ないシーンもあったが、終盤11回にショート・フックでポーターの顎を撃ち抜いたのは流石だった12回判定勝ちしWBC・IBF統一王者となったスペンスは次戦、ダニー・ガルシア(米)戦が2020年1月に基本合意していたが、事故を起こし延期。新型コロナウイルスの影響でさらにキャリアは停滞する。

 地元テキサス、ダラスで愛車フェラーリを高速で運転し車が3度空中で回転する大事故を起こしたが奇跡的にかすり傷ですんだが、飲酒運転であることが発覚。深夜だったことで幸い被害者はいなかったが他の車を巻き込んでいたら大惨事となっていた可能性もある。

 次戦はダニー・ガルシア(米)戦が合意。まだ、公式アナウンス前だがスペンス、ガルシアが先立ちツイッターで合意したことを発表。当初、試合は11月21日に予定されていたが、テキサス州が規制を緩和したことで、アーリントンにあるAT&Tスタジアムで観客有で挙行することで決まった。

Sponsor Link

6位 テオフィモ・ロペス

Embed from Getty Images

 アマチュアで大きな功績は残せなかったが、プロへ転向し急速に成長したのがロペスだ。トップランク社と契約したロペスは、派手なKO勝ちで注目を集めメイソン・メナード、ディエゴ・マグダレノ(米)中堅クラスに圧倒的な勝ち方をするとロペスは一気に人気を集め短期間でトップまで上り詰めた。詳しい戦績は、こちら

 試合後はバク宙など派手なパフォーマンスで観客をわかせるロペスはロマチェンコ戦を熱望。しかし、4団体王座をかかげるロマチェンコはタイトルを持たないロペス戦に関心を示すことはなかった。そして、IBFタイトルをもつリチャード・コミー(ガーナ)を2ラウンド、ストップ勝ちするとリングにロマチェンコを呼び寄せ対戦をアピールした。

 コロナ禍のなか、報酬を巡り一時は合意が危惧されたが何とかまとまった。米メディアではロペスのKO勝ちを予想する声はあったが、判定勝ち予想する声は少なかった。しかし、大方の予想を覆しロペスが3−0の判定勝ち。ジャッジ1人の採点に議論が呼んだが米メディアは判定結果について異論を唱える記者はいなかった。

 この日、ロペスはKOに固執することはなくスマートな面をみせた。前半、動きの鈍いロマチェンコに対し強烈なプレッシャーをかけハードなジャブ、ワンツー、ボディをガードの上から叩き込んでいった。中盤もロマチェンコはペースアップすることはなくペースを上げたのが8ラウンドだった。

 後半、ロマチェンコの反撃にあったもの打ち返し、ペースを完全に握らせなかったことも勝利に繋がったことは間違いない。ロマチェンコの得意とする背面移動は上体の入れ替えや、ターンで回避した。追い足、ロマチェンコとの駆け引きにも高い能力を示しこの戦いで多くのことを証明した。試合レビュー記事はこちら

7位 ワシル・ロマチェンコ

Embed from Getty Images
 現代ボクシングの最高傑作、五輪2大会連続金メダルを獲得しプロで世界最短の3階級制覇を達成したのがロマチェンコだ。プロ入りし、TopRank社(米有力プロモーター)と契約したのは最短で世界タイトルマッチを提供できるのが理由だったというエピソードがある。詳しくは、こちら

 フェザー、スーパーフェザー級と2階級を制覇したが適正階級を超えたロマチェンコはフィジカル、パワーと優位性はなくなったが、そのアドバンテージを穴埋めする”ハイ・テク”性能が高く評価されていた。スーパーライト級進出の話もあったが、無敵だったロマチェンコがライト級では苦しい戦いを強いられトーン・ダウンした。

 リナレス、ペドラサ、クローラ、キャンベルに勝ったロマチェンコは、兼ねてから対戦話が浮上していたIBFタイトルを獲得したテオフィモ・ロペス(米)と対戦が決定。報酬を巡り契約成立が危惧されていたが、ロマチェンコが報酬減額に応じロペス陣営が報酬に同意。10月17日、無観客試合で合意に至った。

 米メディアの9割はロマチェンコ判定勝ちの見方だったが、大方の予想に反してロペスが3−0の判定勝ち。ロマチェンコは王座から陥落した。ロマチェンコがエンジンを入れたのが8ラウンド。これは大きなミスだった。終盤は12ラウンドを残しポイント・アウトしたもの中盤7ラウンドまでは的中率で上回るも手数で勝るロペスがポイントアウトした。

 これまで、2位のポジションをキープしていたが、ロペスに負けたことでロマチェンコのランクダウンを免れないものだった。負けてしまったが、ライト級で世界的に評価が高いテオフィモ・ロペスと王座統一戦を実現。WBCはフランチャイズ王座で正確にはWBA・WBO・IBFとメジャー3団体とリング誌の王座だったが、ロペスとの対戦を受け入れた意味は大きい。試合記事レビューはこちら

8位 ファン・フランシスコ・エストラーダ

Embed from Getty Images
 基本に忠実、攻撃、ディフェンスに抜けがないのがエストラーダだ。2020年1月30日米マイアミでWBA世界スーパーフライ級王者カリ・ヤファイ(英)と2団体王座統一戦が合意していたが、エストラーダの負傷によりキャンセルとなった。軽量級では盤石なスタイルを持つが怪我による離脱が多く、強豪とのマッチメークで不安が残る。

 米プレミアムケーブルTV局HBOが開催した「Superfly」でシーサケットに敗れたが、再戦でシーサケットへのリベンジは成功したが第3戦目も有力なオプションとなるだろう。再戦は、前半シーサケットの攻撃を上手く空転させたが、後半シーサケットがサウスポーに戻し盛り返されている。

 スーパーフライ級はローマン・ゴンサレス(ニカラグア)がヤファイに勝ち王座に返り咲いたことでライバルらとの再戦、リーグ戦の関心が高まっている。カム・バックしたロマゴン、米西海岸のエリアで注目を集めるイベントはエストラーダとの再戦だろう。

 シーサケットへの第3戦目、エストラーダとの第2戦目も有力になる。エストラーダはシーサケットとの3戦目、カルロス・クアドラスとの2戦目と総当たりにしても面白い。ここにWBO王者井岡一翔、スーパーフライ級に参戦を表明した田中恒成も交わりたい。田中対シーサケットなんて実現すれば互いに一歩も引かない、アクション満載の好ファイトが予想できる。

 エストラーダは現在は回復したが新型コロナウイルスに感染したことを明かしている。次戦は10月、対戦相手は未定だが、シーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)、WBA王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)、カルロス・クアドラス(メキシコ)との再戦が有力視されている。

9位 ジョシュ・テイラー

Embed from Getty Images

 WBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)で優勝し一躍注目を浴びているのがIBF・WBA世界スーパーライト級統一王者ジョシュ・テイラー(英)だ。

 テコンドーのジュニア・チャンピオンだったテイラーは15歳のときにボクシングに転向。2010年インドで開催されたコモンウェル・ゲームスにライト級で出し銀メダルを獲得。2014年グラスゴーで開催されたコメンウェルス・ケームスにスーパーライト級え出場し優勝した。

 2019年、WBSSに出場。準々決勝でライアン・マーティンに勝ち準決勝でイバン・バランチェクと対戦することが決まっていたが、報酬の支払いが遅延したことに不安を募らせていたバランチェク陣営が突如、トーナメント辞退を表明。どうなるかと思ったが、主催者側と話がつき解決。

 バランチェクに3−0の判定勝ちしたテイラーはレジス・プログレイス(米)と優勝決定戦を争うが、またも報酬未払い問題が勃発。今度は、プログレイスが報酬未払いでWBSSを主催するコモサを相手どり提訴した。なんとか、WBSSの放映権をもつDAZNとマッチルーム・ボクシングで開催することが決まった。無敗同士の優勝決定戦はどちらも一歩も譲らない展開。サイズで上回るテイラーがフィジカル、パワーでプログレイスを追い詰め2−0の判定勝ちIBF王座防衛に成功。WBA王座を獲得した。

 IBFの指名戦をクリアしたテイラーは次戦、WBC・WBO世界スーパーライト級統一王者ホセ・ラミレス(米)との4団体王座統一戦の交渉が進んでいる。

10位 ゲンナディ・ゴロフキン

Embed from Getty Images
 38歳となりキャリア終盤となったゴロフキン。ミッションは1つビッグ・ファイトを実現することだ。カネロとの第3戦目が合意したニュースが米メディアから伝えられたが高齢となったゴロフキンがカネロ戦に駒を進めることができるか懸念されることは多い。

 ゴロフキンは、カネロとの第2戦後、米プレミアムケーブルTV局HBOがボクシング中継から撤退したことでフリー。商品価値を引き上げたゴロフキンはピークを過ぎていたが、各局からオファーを受けた。最終的にはネットストリーム配信大手DAZN(ダ・ゾーン)と独占契約を結ぶことに成功。契約は、株式ストック・オプションを含め、1億ドル(約107億円)、自身が設立したGGGプロモーションズの興行権を取り付け、キャリア終盤の地盤を固めた。
 
 DAZNと契約しキャリア第二章がはじまったゴロフキンはチーム体制を刷新した。米西海岸に渡り米国で拠点を変えて以降、タッグを組み大きく貢献したアベル・サンチェス氏を解任した。理由は明かされてないがカネロとの再戦で明白に勝てなかったことだろう。これまで二人三脚で歩んできたボクサーが、敗戦を機にトレーナーと離別することは珍しくない。

 カネロとの最終決着の期待があがるなかDAZN1戦目は無目のスティーブ・ロールス(米)戦が決まった。ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)のトレーナーを努めたジョナサン・バンクス氏をヘッド・トレーナーとして迎え仕上がりに注目が集まったが、最後はいつも通りサウスポー・スタイルから左を顎に当てこみフィニッシュした。豪快に勝ったことでインパクトはあったが、被弾は目立ち反射神経、スピード、下半身が流れ、衰えの足音がはっきりと聞こえた試合だった。

 カネロがIBF王座を剥奪されたことで、ゴロフキンはセルゲイ・デレイビャンチェンコ(ウクライナ)戦に臨んだ。スティーブ・ロールス戦は勝ったとはいえ内容は良くなかった。この戦いはゴロフキンがミドル級トップレベルの実力を維持しているかどうか問われる重要な一戦だった。

 ダウン寸前の大苦戦の末勝ったが株を上げたのはデレイビャンチェンコだったことは言及するまでもない。「トレーニング・キャンプでもっと仕上げるべきだった。セルゲイは戦略どおり戦えたかもしれないね」と試合後のインタビューでは弱気だった。米メディアによると体調不良だったことが伝えられているが、どの程度だったかは不明。次戦は、IBFの指名戦カミル・シェルメタ(ポーランド)戦が決まっている。この戦いで苦戦するようであればもうミドル級トップレベルとは言えない。

 1年後に実現したとしてゴロフキンは39歳、カネロに勝てる見込みはあるのだろうか。IBF(国際ボクシング連盟)ミドル級王座決定戦でデレイビャンチェンコに勝ちはしたもの、ダウン寸前の大苦戦。衰えは確実、カネロとの再戦は厳しい結果になることが目に見えてる。それでも、ビッグ・ビジネスを求めるゴロフキンはカネロとの再戦に臨むことは間違いない。

 12月18日、IBF指名挑戦者シェルメタ戦がフロリダかテキサスで決まる見通し。

2020年10月ランキング

1 サウル・カネロ・アルバレス
2 井上尚弥
3 テレンス・クロフォード
4 オレクサンデル・ウシク
5 エロール・スペンスJr.
6 テオフィモ・ロペス
7 ワシル・ロマチェンコ
8 ゲンナディ・ゴロフキン
9 ファン・フランシスコ・エストラーダ
10 アルツール・ベテルビエフ

2020年4月ランキング

1 サウル・カネロ・アルバレス
2 ワシル・ロマチェンコ
3 井上尚弥
4 テレンス・クロフォード
5 オレクサンデル・ウシク
6 エロール・スペンスJr.
7 ゲンナディ・ゴロフキン
8 ファン・フランシスコ・エストラーダ
9 アルツール・ベテルビエフ
10 マニー・パッキャオ

Sponsor Link

コロナウイルス関連の記事はこちら

井上対カシメロ戦は新型コロナウイルスの影響で延期が決定!

カネロがゴロフキンとの再戦に合意コロナウイルスが拡大する中開催できるのか

DAZN新型コロナウイルスにより放映権料は支払わない意向



  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください