2020年米リング誌PFPランキング・トップ選手の動向

 2020年米リング誌パウンド・フォー・パウンド(PFP)最新の上位ボクサーの近況を整理してみたい。2020年新型コロナウイルス(COVID-19)がパンデミック(世界的な流行)となり、北米のプロ・ボクシングは3月から停止を余儀なくされたもの6月、米ラスベガスでTopRank社が再スタート。9月、10月に観客を動員してのイベントを計画しているが、7月から米国の1部の州で新規感染者が急増し第2波が本格化。予断を許さない状況が続いている。


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1位 カネロ

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 北米で最大の商品価値を誇るのがメキシカン・スーパースターのカネロだ。2019年メキシコの独立記念日の試合が流れ、一時はどうなることかと思ったがセルゲイ・コバレフ(ロシア)戦が決まった。この試合でコバレフを破り米リング誌はPFP首位に選出した。筆者もカネロがPFP首位で異論はない。

 29歳にして今がピークか。プロ戦績は56戦、所属するGBP(ゴールデンボーイ・プロモーションズ)に大事に育てられすぎた感はあったが、今ではホセ・ミゲール・コット戦のような危ないシーンを見ることがなくなった。全階級を見渡しても成長著しいボクサーの1人だ。

 卓越したディフェンス能力、カウンターにはさらに磨きがかかり盤石なスタイルを持つ。そして、毎試合成長を見せてくれるのも楽しみの1つだ。本来であれば2020年5月にWBO(世界ボクシング機構)スーパーミドル級王座を持つビリー・ジョー・サンダース(英)と戦う予定だったが、公式アナウンス直前で米国でコロナウイルスの感染が拡大した影響で見送りとなった。

 米メディアの最新の予想では、サンダース戦はこのまま見送りになり基本合意が伝えられているゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)との再戦に動く見方があるが、2020年内にできるか先行きは不透明だ。今では米国がコロナウイルスの中心地。大型イベントの開催はもちろん外出禁止令が出され、経済活動が停滞。先行きの予測は専門家であっても難しい。

 米トランプ大統領はイースターに経済活動再開を見越していたが、感染者の増加ペースは鈍化せず延期となった。感染ペースに歯止めがかかれば夏には状況が落ち着く予想がある。新型コロナウイルスが熱に弱いという情報があるが、たとえウイルスの活動が弱くなったとしても元通りの生活をし人の接触が増えれば感染する恐れはでてくる。人、モノの制限が緩和されるまではかなりの時間がかかり、我々の知っている元の生活スタイルに戻れるかどうか。生活スタイルはしばらくのあいだは戻らない可能性も高い。

 カネロ陣営は、2020年大きな1年になることを計画していたがリスケジュール変更を余儀なくされる。陣営は9月にリング登場を計画するが新型コロナウイルスの感染者が減少してもしばらくの間は大規模イベントは規制される可能性は高い。カネロは5月にサンダース、9月にゴロフキンとの第3戦、年末に日本でWBA世界ミドル級王者村田諒太(帝拳)戦を描いてたが全て白紙となった。

 次戦が全く決まらないなか事態は急展開を迎えている。カリフォルニア連邦裁判所へ契約するDAZN(ダ・ゾーン)、ゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)に対して契約違反があったとし米ロサンゼルスの連邦裁判所に提訴。2億8000万ドル(約296億8560万円)の損害賠償を求めている。

 以前から、GBPとの不仲説はあったが訴訟を起こしたことで対立が鮮明となった。カネロは、GBPと強い信頼関係を気づいていたものGBPがDAZNとゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)との第3戦目を口頭合意させたことや、GBPが満足のいく対戦相手との交渉を成立できなかったことに対し不満を募らせていた。

 GBPの舵取りをするオスカー・デラ・ホーヤ氏とは弁護士を通じての会話となっており、カネロとGBPとの関係は数年前に終わりを迎えていた。裁判が長引けばリングから長期の離脱を強いられることになる。GBPとの関係を修復は不可能、落とし所はどこになるのだろうか。

2位 ロマチェンコ

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 現代ボクシングの最高傑作、五輪2大会連続金メダルを獲得しプロで世界最短の3階級制覇を達成したのがロマチェンコだ。プロ入りし、TopRank社(米有力プロモーター)と契約したのは最短で世界タイトルマッチを提供できるのが理由だったというエピソードがある。

 ゲーリー・ラッセルJr.(米)、ローマン・マルチネス(プエルトリコ)、ニコラス・ウォータース(ジャマイカ)、ギレルモ・リゴンドー(キューバ)と錚々たるメンツを破ったロマチェンコも32歳と今がピーク。今では後ろから追われる立場となっている。

 次戦は、TopRankの若き新鋭、IBF世界ライト級王者となった22歳のテオフィモ・ロペス(米)だ。周囲からロマチェンコ戦ははやいと指摘されても聞く耳は持たない。ロマチェンコ戦を早期に臨むのには理由がある。22歳の成長期のロペスはライト級は数戦が限界。ロペスにとってロマチェンコ戦はリスキーだが、まだピークのロマチェンコに印象的な勝ち方ができれば株は急上昇するからだ。

 5月にロペス戦が米ニューヨークMSGでセットされていたが新型コロナウイルスの感染拡大により延期。新たなスケジュールは10月となっているが、ロマチェンコは条件に同意したものロペスが報酬アップを要求し難航している。

 報酬を巡り契約成立が危惧されていたが、ロマチェンコが報酬減額に応じロペス陣営が報酬に同意。10月17日、無観客試合で合意に至った。

 

3位 井上尚弥

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 井上の評価が世界的に上がったのは賞金獲得トーナメントWBSS(ワールド・ボクシングスーパー・シリーズ)に優勝したからだ。あのまま日本で試合をしたとしても強豪とのマッチメークは難航を極め、消化試合に終わっていたに違いない。WBSSに出場したことは正解だった。

 まず、WBSS開幕戦となった横浜アリーナで行われたトップアマ出身のファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)との一戦は、パヤノのスタイルは難しく早期決着は難しい見方が殆どだったが、ゴング開始70秒でプロでダウンしたことがないパヤノは井上のパワフルな右に吹き飛ばされリングに叩きつけられた。「彼はグレートだ。倒せる人間はいない」と負けたパヤノは完敗を認めた。

 パヤノはアマで400戦以上、全盛期ではないものアンセルモ・モレノ、米国五輪を連続で務めたラウシー・ウォーレンらと接戦を繰り広げている。現バンタム級では若い世代が中心で世界的な強豪と呼べる選手は少ないが、パヤノは実績ある元王者だったことは間違いない。

 そして準決勝で、井上の好敵手となると言われていたボクシング大国プエルトリコの新鋭、IBF王座をもつエマヌエル・ロドリゲスと対戦し2回に計3度のダウンを奪い圧勝。この試合後に米記者達は井上を高く評価している。軽量級が軽視される米国で、米ESPNの記者を務めるベテラン記者のスティーブ・キム氏は、ESPNの投票で井上を1位にランクしている。「もちろん、ロマチェンコ、クロフォード、カネロ、ウシクは優れたボクサーに異論はない。だが、世界基準の相手を井上のように圧勝できるボクサーがいるのか。PFPランキングでは勝ち方が重要なんだ」と井上を首位にした理由を挙げている。

 次戦はWBO世界バンタム級王座をもつジョンリール・カシメロ(フィリピン)と3団体王座統一戦が内定しているが新型コロナウイルスの影響で試合が組めない状況となっている。米メディアによると井上は数日中にビザを取得すると報じられ正式アナウンスが期待されるが雲行きは怪しい。ここにきて、興行を主催するトップランク社ボブ・アラム氏がカシメロ陣営が報酬ダウンに応じなければ合意が難しいと明かしたからだ。

 カシメロ戦の交渉がふたたびはじまったもの契約が成立する気配なかった。そんななか、カシメロは9月、Showtime(米ケーブルTV局)でデューク・マイカー(ガーナ)戦が決まり井上との交渉が決裂したことが分かった。カシメロ戦がなくなった井上は、同じトップランク傘下のジェイソン・モロニー(米)と10月31日試合をすることが決まった。

4位 テレンス・クロフォード

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 井上に抜かされたクロフォード。ライト、スーパーライト級と2階級を制覇しスーパーライト級は4団体制覇を成し遂げたが評価を押し下げた理由はなんだろうか。ライトからスーパーライト級での実績は見事なものウェルター級でいまだ強豪と拳をあわせてないことが評価が停滞している理由だろう。

 スーパーライト級ではビクトル・ポストル(ウクライナ)、トップアマのフェリックス・ディアス(ドミニカ共和国)、ジュリアス・インドンゴ(ナミビア)、ジョン・モリナJr(米)に勝っている。ウェルター級ではジェフ・ホーン(豪)、ホセ・ベナビデス(米)、アミア・カーン(英)に勝っている。ホーン、べナビデス戦の勝ちはインパクトも十分だが、ウェルター級で実績がある強豪とは言えない。

 PFPランクをあげるにはクロフォードをプロモートするTopRank社ボブ・アラム氏は重い腰を上げウェルター級強豪を集めるPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)と交渉するしかない。

 アラム氏は、ウェルター級強豪の一角WBC・IBF世界ウェルター級王者エロール・スペンスJr.(米)に負けたショーン・ポーター(米)戦はマッチメークに値しないと苦言を呈していたが、未だ地元オマハにしかファン・ベースがないクロフォードが米ニューヨークや西海岸で知名度があるポーター戦はウェルター級での実績を作る意味でも大きい。

5位 オレクサンデル・ウシク

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 WBSS初代クルーザー級で優勝したのがウシクだ。強豪がひしめくこの階級で4団体王座統一を果たしたウシクは、ヘビー級の2階級制覇を掲げ始動した。WBSSで、マルコ・フック、マリオ・ブリディエスを破り、ムラト・ガシエフ(ロシア)との優勝決定戦を制して、ビッグマッチを求め渡英しトニー・ベリュー(英)を破った。

 クルーザー級からヘビー級は過去にイベンダー・ホリフィールドが達成したが、ただの階級アップではなく大きなリスクが伴う。モンスター達が集うヘビー級は、フィジカル、パワーは桁が違う化け物の巣くつだ。ウシクは高度なスキルを持ち定評があるがそれだけで通用するか未知数な面は大きい。

 チャズ・ウィザースプーン(米)との試運転を終え、デレック・チゾラ(英)とのチューン・アップ戦が英国ロンドンで合意していたが、英国で新型コロナウイルスの感染が拡大し外出禁止令がだされイベントは中止になっている。

6位 エロール・スペンスJr.

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 五輪に出場したスペンスは米国期待のウェルター級トップの新鋭だった。順調にプロでキャリアを積み大きな期待がかかっていたが、ウェルター級実力者と対峙してないことから経験不足、過大評価という指摘もあったが、ケル・ブルック(英)との王座統一戦に勝利したことで実力を証明した。

 本来であれば、ブルックを倒し勢いに乗るところだがその年は1試合のみとキャリアは停滞。そして、1年後、PBCはウェルター級強豪のキース・サーマン(米)、ショーン・ポーター(米)、ダニー・ガルシア(米)らとの交渉に乗り出すかと思えば、ウェルター級では第2グループのラモント・ピーターソン(米)、カルロス・オカンポとの指名試合という期待はずれのマッチメークで終わった。

 2019年3月、兼ねてからウェルター級参入を公言していたマイキー・ガルシア(米)が周囲の制止を押し切りスペンス戦に臨むことが決まり、スペンス、マイキー共に自身が初となるペイ・パー・ビュー(PPV)が米テキサス州アリーントンにある8万人以上を収容できるAT&Tスタジアムで決行することが決まった。

 これまでのスペンスはパワーで押し切る面があったが、マイキー戦では力強いジャブとフットワークでマイキーの侵入をシャット・アウトし完勝。今戦でスマートな戦術を見せたスペンスは「多くのアナリストは僕がマイキーと同じようなボクシングがてきないと指摘していたけど、この戦いを通じてそれが間違いだったことを証明した」。と述べていた。

 マイキーを倒したスペンスは、ダニー・ガルシア(米)を破りWBC王者となったショーン・ポーター(米)との王座統一戦が決まった。スペンス圧勝の声も少なくなかったが、今戦はブルック戦以来初となる強豪との対決でスペンスの真価が問われる戦いだった。

 ポーターのラフ・ファイトに巻き込まれ打ち込まれる危ないシーンもあったが、終盤11回にショート・フックでポーターの顎を撃ち抜いたのは流石だった12回判定勝ちしWBC・IBF統一王者となったスペンスは次戦、ダニー・ガルシア(米)戦が2020年1月に基本合意していたが、事故を起こし延期。新型コロナウイルスの影響でさらにキャリアは停滞する。

 地元テキサス、ダラスで愛車フェラーリを高速で運転し車が3度空中で回転する大事故を起こしたが奇跡的にかすり傷ですんだが、飲酒運転であることが発覚。深夜だったことで幸い被害者はいなかったが他の車を巻き込んでいたら大惨事となっていた可能性もある。

 次戦はダニー・ガルシア(米)戦が合意。まだ、公式アナウンス前だがスペンス、ガルシアが先立ちツイッターで合意したことを発表した。試合は11月21日、米地上波FOXでPPV(ペイ・パー・ビュー)配信される。

7位 ゲンナディ・ゴロフキン

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 38歳となりキャリア終盤となったゴロフキン。ミッションは1つビッグ・ファイトを実現することだ。カネロとの第3戦目が合意したニュースが米メディアから伝えられたが高齢となったゴロフキンがカネロ戦に駒を進めることができるか懸念されることは多い。

 ゴロフキンは、カネロとの第2戦後、米プレミアムケーブルTV局HBOがボクシング中継から撤退したことでフリー。商品価値を引き上げたゴロフキンはピークを過ぎていたが、各局からオファーを受けた。最終的にはネットストリーム配信大手DAZN(ダ・ゾーン)と独占契約を結ぶことに成功。契約は、株式ストック・オプションを含め、1億ドル(約107億円)、自身が設立したGGGプロモーションズの興行権を取り付け、キャリア終盤の地盤を固めた。
 
 DAZNと契約しキャリア第二章がはじまったゴロフキンはチーム体制を刷新した。米西海岸に渡り米国で拠点を変えて以降、タッグを組み大きく貢献したアベル・サンチェス氏を解任した。理由は明かされてないがカネロとの再戦で明白に勝てなかったことだろう。これまで二人三脚で歩んできたボクサーが、敗戦を機にトレーナーと離別することは珍しくない。

 カネロとの最終決着の期待があがるなかDAZN1戦目は無目のスティーブ・ロールス(米)戦が決まった。ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)のトレーナーを努めたジョナサン・バンクス氏をヘッド・トレーナーとして迎え仕上がりに注目が集まったが、最後はいつも通りサウスポー・スタイルから左を顎に当てこみフィニッシュした。豪快に勝ったことでインパクトはあったが、被弾は目立ち反射神経、スピード、下半身が流れ、衰えの足音がはっきりと聞こえた試合だった。

 カネロがIBF王座を剥奪されたことで、ゴロフキンはセルゲイ・デレイビャンチェンコ(ウクライナ)戦に臨んだ。スティーブ・ロールス戦は勝ったとはいえ内容は良くなかった。この戦いはゴロフキンがミドル級トップレベルの実力を維持しているかどうか問われる重要な一戦だった。

 ダウン寸前の大苦戦の末勝ったが株を上げたのはデレイビャンチェンコだったことは言及するまでもない。「トレーニング・キャンプでもっと仕上げるべきだった。セルゲイは戦略どおり戦えたかもしれないね」と試合後のインタビューでは弱気だった。米メディアによると体調不良だったことが伝えられているが、どの程度だったかは不明。次戦は、IBFの指名戦カミル・シェルメタ(ポーランド)戦が決まっている。この戦いで苦戦するようであればもうミドル級トップレベルとは言えない。

 1年後に実現したとしてゴロフキンは39歳、カネロに勝てる見込みはあるのだろうか。IBF(国際ボクシング連盟)ミドル級王座決定戦でデレイビャンチェンコに勝ちはしたもの、ダウン寸前の大苦戦。衰えは確実、カネロとの再戦は厳しい結果になることが目に見えてる。それでも、ビッグ・ビジネスを求めるゴロフキンはカネロとの再戦に臨むことは間違いない。

8位 ファン・フランシスコ・エストラーダ

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 基本に忠実、攻撃、ディフェンスに抜けがないのがエストラーダだ。2020年1月30日米マイアミでWBA世界スーパーフライ級王者カリ・ヤファイ(英)と2団体王座統一戦が合意していたが、エストラーダの負傷によりキャンセルとなった。軽量級では盤石なスタイルを持つが怪我による離脱が多く、強豪とのマッチメークで不安が残る。

 米プレミアムケーブルTV局HBOが開催した「Superfly」でシーサケットに敗れたが、再戦でシーサケットへのリベンジは成功したが第3戦目も有力なオプションとなるだろう。再戦は、前半シーサケットの攻撃を上手く空転させたが、後半シーサケットがサウスポーに戻し盛り返されている。

 スーパーフライ級はローマン・ゴンサレス(ニカラグア)がヤファイに勝ち王座に返り咲いたことでライバルらとの再戦、リーグ戦の関心が高まっている。カム・バックしたロマゴン、米西海岸のエリアで注目を集めるイベントはエストラーダとの再戦だろう。

 シーサケットへの第3戦目、エストラーダとの第2戦目も有力になる。エストラーダはシーサケットとの3戦目、カルロス・クアドラスとの2戦目と総当たりにしても面白い。ここにWBO王者井岡一翔、スーパーフライ級に参戦を表明した田中恒成も交わりたい。田中対シーサケットなんて実現すれば互いに一歩も引かない、アクション満載の好ファイトが予想できる。

 エストラーダは現在は回復したが新型コロナウイルスに感染したことを明かしている。次戦は10月、対戦相手は未定だが、シーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)、WBA王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)、カルロス・クアドラス(メキシコ)との再戦が有力視されている。

9位 アルツール・ベテルビエフ

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 マニアの間では評価が高かったが、なかなかスポットライトが当たらなかったのがトップアマ出身のベテルビエフだ。ヨーロッパ選手権で金メダル、2007年シカゴで行われた世界選手権で銀メダル、2009年ミラノで開催された世界選手権で金メダルを獲得している。
 
 プロ15戦全勝全KOとパフェークト・レコードをもつ。所属するイボン・ミシェル氏と契約を巡り法廷闘争となっていたが和解。TopRank社と契約したことで安定したプラットフォームを手に入れ試合枯れも解消した。

 アンドレ・ウォード(米)が引退したことにより空位となったIBF王座をエンリコ・コーリングと争い12回KO勝ちでIBF王座を獲得したベテルビエフは、TopRank社へ移籍を表明。しかし、契約するイボン・ミシェル氏は契約は有効だと主張。法廷闘争にもつれこみ契約は有効だとベテルビエフは敗訴が決まった。
 
 その後、ベテルビエフはマッチルーム・ボクシングと3戦契約を締結。2018年10月、カラム・ジョンソンと対戦し4回TKO勝ちを収めた。イボン・ミシェル氏と事実上マネージメント権限をもつPBCの舵取りをするアル・ヘイモン氏が、法廷闘争を避けベテルビエフの契約を解除したことで、ベテルビエフはTopRank社と契約を結ぶことに成功した。

 米有力プロモーターTopRank社という安定したプラットフォームをもつベテルビエフは、2019年10月米フィラデルフィアのリアコウラス・センターでWBC王者オレクサンドル・グウォジク(ウクライナ)とIBF・WBC2団体王座統一戦が決まった。アグレッシブなスタイルだが、技工派のグウォジクと十分渡り合える高等スキルを見せつけ10回TKOで勝ち。

 WBC王座を獲得し2団体を統一したベテルビエフは中国でファンロン・メン(中国)と指名戦を行うことが決まっていたが直前になり興行権の権利を保持していた中国のロングジョ・スポーツが保証金を払うことが出来ず、権利が次点の落札者であるTopRank社に移りカナダで行うことが決まっていたが新型コロナウイルスの影響で試合の延期が決まった。

10位 マニー・パッキャオ

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 ジェフ・ホーン(豪)で商品価値が暴落したパッキャオだが見事なV字回復を果たしている。ルーカス・マティセ(アルゼンチン)を下しWBA王座を獲得したパッキャオは、古巣TopRank社と別れを告げ、ウェルター級強豪を集めるPBC(プレミア・ボクシング・チャンピンオン)を指揮するアル・ヘイモン氏と複数戦契約を締結した。

 PBC、初戦の相手エイドリアン・ブローナー(米)を12回完勝に追い込んだフィリピンの英雄はWBAスーパー王者キース・サーマン(米)との統一戦に臨んだ。サーマンはコンディショニングが心配されたがきっちり仕上げてきたが、古傷は癒えてなくピークは過ぎたかもしれない。

 この戦いはキャリアがものを言った。キース・サーマンもショーン・ポーター、ダニー・ガルシアとウェルター級エリートと拳を交えてきたが、パッキャオは各階級で壮絶な修羅場をくぐり抜けている。序盤にサーマンからダウンを奪い12回判定勝ち。もちろん、全盛期ほどの攻撃力はないが運動量を減らしブラッシュ・アップしたスタイルは流石というべきだろう。

 次戦はエロール・スペンスJr.(米)も有力オプションだが、スペンス戦はリスクが大きい。DAZNと提携するマッチルーム・ボクシングUSAエディ・ハーン氏は、石油脱局を目指す中東サウジアラビアで、マイキー・ガルシア(米)戦を示唆するコメントをしているが、パッキャオとPBCの詳しい契約内容が不明な面も多く流動的になる可能性も高いが、ビッグマネーを探していることは間違いない。

北米のボクシング再開はいつ

 北米のボクシングイベント再会は数ヶ月は難しいが、安全を担保することができれば今後、無観客試合として再開できる可能性は高まっている。米国の一部州では再開する動きが見られるが、経済活動を再会することによって新型コロナウイルスがふたたび拡散するリスクは高まる。

 米トランプ大統領が経済再活動を段階的に進める指針を発表したことで、テキサス州、フロリダ州は一部の店舗の営業を再会する方針を示している。フロリダではビーチを解放。大勢の人がビーチに駆けつけた。

 新型コロナウイルス感染拡大の中心地の米ニューヨークでは、一時期は感染者の増加がとまらず減少しなかったが、感染者数は4月21日現在で6日連続で減少傾向にあり、クオモ知事は下降局面にあると示唆している。米トランプ大統領は、他の地域でも5月前にも外出規制を緩めることができると述べているが、専門家は警鐘を鳴らしている。

 大勢が集まる大規模イベントはプロ・ボクシングも数ヶ月は困難な状況が続くが、今後、他の州で感染者の増加ペースが鈍化すれば、無観客試合として再開できるのぞみがでてくる。ただ、選手はもちろん、クルーを含めスタッフ全員の新型コロナウイルスの検査は必須要件となる。ワクチン、抗体を持つ人が増えない限り大規模イベントは年内は難しい公算が大きい。

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