“ALL OR NOTHING”キャッチコピーに相応しい統一戦だった。WBC・WBO世界スーパーライト級王座統一戦が、米テキサス州アーリントンで行われWBC王者ホセ・カルロス・ラミレス(米)が6回、TKOでWBO王者モーリス・フッカー(米)を下しWBC王座防衛に成功しIBF王座獲得に成功した。

 勝ったラミレスは全勝レコードを伸ばし24戦全勝16KO。所属するトップランク(米有力プロモーター)にプロテクトされていると批判されていたが、フッカーに勝ったことでスーパーライト級でエリート・クラスであることを証明した。負けたフッカーは30戦26勝17KO1敗(1KO)3分とした。今後、ラミレスは賞金獲得トーナメントWBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)決勝プログレイス対テーラーの勝者との統一戦を目指す方針を示している。


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 50-50の戦いで好ファイトが期待できる統一戦だった。身長180cm、リーチ203cmと手足の長いフッカーが中間距離で戦えば有利になる。一方、ラミレスはリーチの長いアミール・イマムと戦い王座を奪取している。リーチ差は慣れているとはいえ、フッカーのリーチはイマム以上で記録上では4階級を制覇したレジェンド、トーマス・ハーンズ(米)と同じ、いかに距離を潰し得意の打ち合いに持ち込むかがキー・ポイントになる戦いだった。

 「統一王者になることは特別なことだし、ボクサーにとって最終ゴールなんだ。それは、後世にも語り継がれるファイトになる。これまで、こういったステージに自分が立つことをずっと夢見てきた。こんな機会を与えられ本当に感謝しているよ」

 米カリフォルニアにあるアベナルで生を受けたラミレス。出し惜しみしない攻撃型スタイルは、故郷近くのフレズノでは絶大な支持がある。ロンドン五輪では2回戦敗退に終わったが、プロへ転向して空位のWBC王座決定戦をアミール・イマム(米)と争い12回判定勝ちしWBC王座を獲得した。

 その後、スーパーライト級のホープでGBP(ゴールデンボーイ・プロモーションズ)傘下のアントニオ・オロスコ(メキシコ)/28戦27勝17KO全勝と戦い12回、判定勝ちで初防衛に成功。2019年2月10日、ホセ・ゼペタ(メキシコ)を12回判定勝ちで下し2度目の防衛に成功している。

 「ダラスでこの戦いが実現してくれて本当に嬉しい」
 決戦地の米テキサス州アーリントンは、フッカーの地元。凱旋は約4年ぶり世界王者になってからはじめてだった。ここ、米テキサスはフッカーの地元に違いないが、この地域は多くのヒスパニックが居住しメキシコ系アメリカ人のラミレスにとっても条件の悪い地域ではなかった。


 フッカーは、ロックネイション・スポーツと契約しマッチルーム・ボクシングが共同プロモートしている2018年6月、敵地イギリスに出向きテリー・フラナガン(英)と空位のWBO世界スーパーライト級王座決定戦を争い勝ちWBO王座を獲得。評価を上げたのは初防衛戦だった。相手はトップランクのホープ、全勝レコードを誇るアレックス・サウセド(米)/28戦18KO、2回ダウンを奪われ劣勢になったが、そこから得意の長いリード・ジャブを起点に殺傷能力の高い右ストレートで立て直し7回にダウンを奪い返し連射法を炸裂、サウセドをストップに追い込んだ。

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ラミレス対フッカーの交渉は難しくなかった

 交渉締結は簡単ではなかったもの、両陣営が統一戦を臨んでいたこともあり合意には時間を要さなかった。

 まず、交渉を難しくする理由の1つとして、ラミレス、フッカーの所属するプロモーターの違いがある。近年では、プロモーターとホスト局が契約を交わすのが一般的となり、対戦する者同士が異なるプロモーターに属する場合、興行権を含め交渉を難しくする。

 特に選手が所属するプロモーターの看板だった場合、実現は難しく交渉において譲歩するカードがないと、なかなか進展せず破断となるケースが殆ど。今回、ラミレスをプロモートするトップランク社はESPN(米スポーツ専門チャンネル)、フッカーをプロモートするマッチルーム・ボクシングはネット配信大手DAZN(ダ・ゾーン)と提携関係にあり構造上、合意は難しい見方も少なくなかった。

 ラミレス陣営がESPNからDAZNで戦うことに同意したのは報酬だった。ESPNによると、フッカーのプロモーターであるマッチルーム・ボクシング率いるエディ・ハーン氏と、ラミレスのプロモーターのトップランク社と協議の上、エディー・ハーン陣営がトップランク陣営に400万ドル(約4億3000万円)を支払うことで同意したという。

 もちろん、400万ドル全てが報酬になるわけではないが、ラミレスにとって好条件だったことは間違いない。前回のセペダとの防衛戦が70万ドル(約7700万円)、プロモーターの取り分をみて少なく見積もってもセペダ戦の倍以上は手にしているだろう。

ラミレス対フッカー統一戦の結果は

photo by:boxingscene


 まさに階級チャンピオン同士の素晴らしい戦いだった。一発当たれば、一発返す、どちらも譲らない一進一退の攻防が続いていたが戦いの終わりは突然やってきた。6回、ラミレスの左フックがフッカーの顎を捉えた。これが決定打となりフッカーはロープを背負いラミレスが追撃、レフェーリー・ストップで幕を閉じた。

 180cm、203cmのリーチを誇るフッカー。フッカーの距離であればラミレスは、ソリッドなジャブの餌食になる。ラミレスは身長こそ同じだが、ある程度の被弾は覚悟の上で、距離を潰し手数を出し、プレスをかけロープに押し込む必要があった。もちろん、ラミレスのトレーナーを務めるロバート・ガルシア氏と入念に戦略を練ったに違いない。

 1回、ラミレスは頭の位置を小刻みに変え、長いフッカーのリード・ジャブを掻い潜りコンビネーションを試みるがフッカーの防壁は厚かった。「最初のノック・ダウンは影響はなかった」フッカーは、ラミレスに足を踏まれバランスを崩しキャンバスに倒れた所がダウン扱いとなり、はやくもポイント差が開き不利となった。

 2、3回、やはり、接近戦での乱打戦ではタフで、コンネーションで攻撃力があるラミレスが優勢。アクションはとまることはなかった。2回、クリーン・ヒットこそなかったがラミレスの手数、攻勢が目立った。フッカーは2回後半は守勢に回ったが3回、精度の高いハードなジャブでラミレスの顎を跳ね上げ、長い腕を折りたたんでショートの右、上下のワンツーがヒット、効果的なパンチをラミレスに打ち込み的中率でラミレスを上回った。

 5回、このラウンドも互いのパンチが交錯した。フッカーはハードなジャブ、接近戦で左右のアッパーをまとめ、ラミレスはフッカーをロープに追い込み上下にパワーショットを打ち分けた。たが、フッカーも負けてはいない。ラミレスをリング中央に戻し勇敢に打ち合い、流石のラミレスも後半は疲れが見えた。ここまでは50ー50の戦いと見て良いだろう。

 6回、これまで多くのパンチの交換がされてきたが、さすがに2人も疲れがみえたのか。静かな立ち上がりだったが、ラミレスのワンツーから左の返しがフッカーの顎を捉え、グラつきロープを背負ったところラミレスが猛攻、レフェリー・ストップとなった。

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今後は、4団体統一戦

photo by:boxingscene


 フッカーをくだしWBC、WBOの2団体のタイトル・ホルダーとなったラミレスは次戦は指名戦になる見通し。待望される4団体統一戦は、はやければ、2020年前半にも行われそうだ。

 現状、米リング誌トップはフッカーが敗れ1位はWBA王者レジス・プログレイス(米)、2位IBF王者ジョシュ・テーラー(英)、3位ホセ・ラミレス(米)の順だ。ラミレスは大手トップランクと契約しているが、テーラー、ラミレスはプロモーターとの契約はあるもの縛りはなく、どちらが勝ったとしても実現する可能性は極めて高い。

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