リナレス、ロマチェンコとの再戦を熱望ライト級トップ戦線はどうなるのか

 リナレスの願いは叶うだろうか。ホルヘ・リナレス(ベネズエラ)がWBA・WBO世界ライト級統一王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)との再戦を熱望していることがわかった。「彼とあったのは日本で開催されたWBOの総会だった。彼も私との再戦を望んでいるけど、僕はまず世界ランキングに入る必要がある。次の試合は今年か来年になるかわからないけど準備はできているよ」と述べている。

 「よく覚えているよ。ロマチェンコとの戦いはキャリアで最高のコンディションだった。彼はアマチュア、プロのキャリアの中で最高のボクサーで彼との戦いで素晴らしい経験を積むことが出来たんだ。彼は最高のチャンピオンだし再戦したい。もちろん、再戦となれば優れた戦略を練る必要がある。戦略がボクシングでは重要だからね」と再戦を熱望した。

 実はリナレスとロマチェンコの再戦は即時再戦ではなく、数戦挟んだところで期待されていたが、リナレスが北米での再起に失敗したことで霧散した。今回は、リナレスの今後、現ライト級最強のロマチェンコ、若手有望株の1人ライアン・ガルシア(米)の動向を占ってみたい。

ロマチェンコはPFP1位

photo by:boxingscene


 ロマチェンコは世界最短で3階級制覇を達成。プロ戦績は15戦14勝10KO、唯一の負けは2戦目で臨んだオルランド・サリド(メキシコ)戦での敗北だ。契約を結ぶトップランク社では看板選手。米有力メディアのリング誌ではカネロに抑えられ2位だが、ESPN(米スポーツチャンネル)では首位と高い評価を得ている。ファンの中でもロマチェンコをPFP1位と推す声は依然として多い。


 現ライト級はロマチェンコを頂点とし、米リング誌に上位にランクしている若手有望株が成長し将来は好ファイトが期待されている。2020年4月27日時点での米リング誌のライト級ランキングはロマチェンコが首位、若手のIBF王座を獲得したテオフィモ・ロペス(米)、2位デビン・ヘイニー(米)、3位リチャード・コミー(ガーナ)、4位ルーク・キャンベル(英)、5位GBPの有望株ライアン・ガルシア(米)となっている。

 現代ボクシングの最高傑作と言われるロマチェンコは、フェザー級でオリンピアンのゲーリー・ラッセルJr.(米)に勝ちフェザー級王座を獲得したが対戦相手探しが難航した。

 フェザー級時代はスキルに定評はあったが、PFPレベルまでの評価はなかったがスーパーフェザー級に上げたロマチェンコは目の前に立ちはだかる相手を次々に戦意喪失に追い込み評価をうなぎのぼりにあげた。ローマン・マルチネス(プエルトリコ)を下しスーパーフェザー級の王座を獲得したロマチェンコは、ニコラス・ウォータース(ジャマイカ)の心を折らせ、ジェイソン・ソーサ(米)は陣営が棄権と判断、ミゲール・マリアガ(コロンビア)を破り快進撃を続けた。

 次に名前をあげたのがロマチェンコと同じく五輪2大会連続で金メダルを獲得したギレルモ・リゴンドー(キューバ)だった。ただ、フェザー級時代も交渉されてきたが、条件面で決裂。今戦は、スーパーフェザー級契約だったこともありウェイト面での同意、報酬を巡り交渉難航が予想されたが、リゴンドー陣営が契約にサイン。米ニューヨークの殿堂MSG(マディソンスクウェア・ガーデン)で挙行することが決まった。

 12月、小雪のちらつくニューヨーク。試合前、北米で人気のないリゴンドー戦は収益面で厳しい見方があったが、チケットはソールド・アウト。MSGシアターには5102人の観客を動員した。五輪対決の予想はファンのあいだでも議論されてきたが、ロマチェンコがリゴンドーに何もさせることなく圧勝。6回、リゴンドー陣営が棄権しTKO勝ちしている。

 ライト級にあげたロマチェンコは、ホルヘ・リナレス(ベネズエラ)と対戦し10回KO勝ちし3階級目となるライト級の王座を手に入れたが、楽な戦いではなくPFP上位に君臨するロマチェンコの階級限界説が囁きはじめられた。もちろん、これまでロマチェンコが超人的な勝ち方をしてきただけに、期待値が高かったことは間違いない。

 いつもなら相手を自分のペースに引きずり込むが、得意のサイドへの回り込みは、肘、アームで幾度となくリナレスに阻まれ6回にはプロ初のダウンを喫した。依然として高等スキルを見せつけたがこの一戦で評価を上げたのはリナレスだった。

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リナレスの次戦はガルシアが基本路線


 再戦が行われればリナレスは第1戦より報酬を手にすることが予想されるが、ビッグ・ファイト目前で、パブロ・セサール・カノ(メキシコ)に番狂わせで負けリナレスの価値は大きく下落し世界ランキングは圏外。まずは、基本路線とされるのがゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)に所属する次期スター候補のライアン・ガルシア(米)戦だ。勝たなければロマチェンコとの再戦や王座獲得への道は進めないが、報酬を見込めるリナレスにとってもメリットのある一戦になる。

 ライアン・ガルシアは、プロ戦績20戦全勝17KO。まだ、世界基準を満たす強豪との経験はないが、ライト級での評価は急上昇している。所属するGBPと待遇面で不満を示し一時は離脱も示唆したが、GBPとの契約を延長。契約条件は不明だがGBPは、高い集客能力をもつガルシアに好条件のオファーを掲示したことは間違いない。

 中堅クラスのジェイソン・ベレスに勝ち、強打を誇るフィリピン人、ロメロ・デュノを僅か1分38秒で粉砕。この試合を機にガルシアは、ヘッド・トレーナーにカネロのトレーナーとして知られるエディ・レイノソ氏を迎えている。

 ガルシアがリナレスとの一戦をソーシャル・メディアで呼びかけたことで、2月14日、米カリフォルニア州アナハイムにあるホンダ・センターで、ガルシアとリナレスがそれぞれ別の対戦相手を迎えリングに立つことが決まり、互いに勝てば次戦で激突する期待が膨らんだ。

 ガルシアはリナレスと同じ舞台で期待値以上の結果をだし存在感を示した。ガーボンタ・デービス(米)と戦ったフランシスコ・フォンセカ(ニカラグア)を1回、チェック・フックで失神KOで葬ったのだ。ノンタイトル戦ながら1万人以上の観客を動員したガルシア人気は半端なものではなくライト級若手ではダントツの人気を誇る。

 アンダーカードでリングに登場したリナレスは今戦を落とせばあとはなかった。PFP傑作のロマチェンコと名勝負を繰り広げ北米での評価を上げ、ロマチェンコとの再戦やスーパーライト級にあげるプランもあったが、再起戦でパブロ・セサール・カノ(メキシコ)に番狂わせKO負けし評価は急落。再起に失敗しただけでなく打たれ脆さがふたたび露呈。その後、日本でアル・トヨゴン(フィリピン)と再起に成功したが内容は今ひとつだった。

 モラレスはかつてスパーリング・パートナーでお互い手の内がわかっている。35歳になるリナレスは、パワー、スピードなどの衰えも不安視されたが反射神経の鈍りはみられなかった。1回、試合を優勢に進めたが2回カットしたことで急いだがモラレスの右アッパーをもらい揺らいだが、ディフェンスを固め凌いだ。

 3回、ジャブとコンビネーションで攻勢を強め接近戦で右ショートを打ち込みダウンを奪ったリナレスは主導権を握り4回、モラレスを追い込みボディ・ジャブから上に右ショートを打ち込みダウンを追加。タフなモラレスは再び立ち上がろうととしたがレフェリーが試合をストップした。

 両雄が勝ち上がったことで、対戦機運が高まりGBPは7月米ロサンゼルスにあるステイプルズ・センターが候補にあがり交渉は具体化。ガルシアは依然とし耐久性などは道位数でキャリア最大の相手リナレスはビッグ・テストだったが、新型コロナウイルスの影響で先行きは全く見えなくなった。

ロマチェンコはロペス戦

 実は、リナレスと同じようにロマチェンコも次戦の相手は決まっている。次戦はライト級の新鋭、IBF世界ライト級王者テオフィモ・ロペス(米)とWBA・WBO・IBFライト級3団体王座統一戦が基本合意しているが、世界中を震撼させている新型コロナウイルスの影響で足止めを食らっている。

 22歳のIBF世界ライト級王者テオフィモ・ロペス(米)は、周囲からロマチェンコとの統一戦は時期尚早と指摘されるが、すでにライト級でのウェイトは限界。リスクはあるが、たとえ、負けたとしても年齢的にも再建可能なことで陣営がゴーサインを出した可能性はある。

 中堅クラスの選手をパワーでなぎ倒してきたが、中谷戦で大苦戦、過大評価だと指摘する声も少なくなかった。IBF指名挑戦者決定戦を制しライト級屈指のリチャード・コミーを下し、IBF王座を獲得したことで実力を証明したが、世界基準を満たす相手はキャリアでコミーのみとキャリア不足感は否めない。

 ロマチェンコはライト級で注目を集めていたロペスとの一騎打ちについては「ベルトをとってからだ」強調していたが「ようこそ、4月に会おう」とロペス戦を歓迎している。

 余裕さえ感じるがロマチェンコも32歳。仮にロペス戦が1年後に実現できたとして33歳となる。1年以上のブランク、そして年齢が戦かいに与える影響は無視できない。ロペスとの一戦はリナレス対ガルシア戦と同じく新旧対決の構図。ファン、関係者にとっても楽しみな一戦だ。

今後はどうなるのか。


 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で試合がいつできるのか全く見通しがつかない。段階的に都市封鎖を緩める指針を発表し各州で経済再活動の動きが広がっているが、感染拡大の懸念もある。北米のプロ・ボクシングはいつ再開できるようになるのだろうか。

 フロリダでは一時的にビーチが解放、モンタナ州、オハイオ、ノースタコタ、アイダホの各州は5月1日から段階的に規制を緩め経済活動を再開することを発表しているが、ボクシングなど大勢の観客が集まるイベントの規制は、ワクチンが開発され安定供給できるまでは規制される公算が高い。

 北米のプロモーターらは無観客試合として開催する方針を示しているがハードルは高く、プロモーターや選手、TV局などと協議する必要がでてくる。スタッフ、選手の新型コロナウイルスの検査は必須。無観客となることでゲート収益(チケット売り上げ、販促品)がなくなることで、選手が受け取るファイトマネーが減額されることも懸念される。

 そして、選手の練習環境も整える必要がでてくる。ジムでの感染者もでており、選手の練習環境、そして、スタッフ、クルー達の安全を保証することが求められコストが、収益を押し下げる可能性は高くロマチェンコをプロモートするTopRank社と提携するESPN(米スポーツ専門チャンネル)がどこまで資金を捻出できるかがキーとなるだろう。

 ESPNは主力のスポーツ・イベントが軒並み中止、親会社ウォルト・ディズニーは主力のテーマパーク事業、エンターテイメント事業がコロナウイルスの影響で停止に追い込まれ決算に大きな影響を及ぼす可能性は高い。実際、企業はコロナウイルスの影響で売上が低迷したことで広告費などを削っていることから広告収入は減少する可能性もある。

 もちろん、この環境下でスポーツイベントを実施すれば、大規模なロックダウンを実施し外出規制が敷かれる米ニューヨークやカリフォルニアで視聴件数を稼ぎ、ESPN+などの新規顧客を獲得できるが、安全を確保できなければリスクは高まる。

 もし、関係者や選手からコロナウイルスの感染者を出せば、無観客だとして次のイベントはストップがかかる可能もある。もちろん、親会社のディズニーは政府や州が安全が確保できるガイドラインが策定するまでゴーサインを出すことはないだろう。

 仮に、米国でコロナウイルスが夏までに収束し安全が確保できればその後無観客試合はできるかもしれないが、ロマチェンコ対ロペスなどの大型イベントを無観客試合として挙行することをプロモーターが踏み切るかどうか。TopRank社ボブ・アラム氏はゲート収益(チケット、販促品)なしでは考えられないとコメントしている。

 とはいえ、選手はキャリアの中で戦える期間は限られており、コロナウイルスが長期化した場合キャリアに暗い影を落とす。ピークのロマチェンコ、成長途中のロペスにしても影響は大きく今後、プロモーター、TV局はコロナウイルスとどう向き合っていくのか。今後は無観客試合として再開することが予想されるが、ロマチェンコやカネロなどの大規模イベントの収益をどう確保して開催していくのか。もちろん、選手だけでなくTV局やプロモーターも苦境だ。コロナ禍の出口が見えないこの局面をどう乗り越えるのか英知を結集して探す必要がでている。

(Via: boxingscene

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