ジョンリール・カシメロの今後の対戦相手を占う2020年度版

 WBO世界バンタム級タイトルマッチが米コネチカット州アンキャッスルで行われ王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)がデューク・マイカー(ガーナ)と対戦し3回TKOで勝ちで初防衛に成功した。次戦はIBF・WBA世界バンタム級統一王者井上尚弥との3団体王座統一戦が期待される。今回はマイカー戦のレビューと共にカシメロの対戦相手を占ってみたい。

 カシメロは34戦30勝21KO4敗1KO、デューク・マイカーは25戦24勝19KO1敗(1KO)とプロ初黒星を喫した。


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 ShowtimePPVデビューとなったカシメロ。バンタム級で存在感を示したことは間違いない。挑戦者のデューク・マイカー(ガーナ)は24戦全勝。無敗レコードを誇るがアムナット、エドワーズ、スルタン、ゾラニ・テテとトップクラスと対峙したカシメロとは対照的で殆どが無名。経験値、パワーで勝るカシメロが有利だった。試合予想、プレビュー記事はこちら

 カシメロは序盤から自慢のパンチを強振。マイカーはカシメロの強打を警戒しガードを固めジャブを軸に攻め1ラウンド後半に浅いながらワンツーをクリーン・ヒットさせたが、2ラウンド、徐々にテンポ・アップする変則的なカシメロの打ち合いに応じ、中盤左フックでダウンを奪われると主導権はカシメロへ。

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 痛恨のダウンを奪われたマイカーは、立ち上がったが足元がおぼつかずダメージは深刻だった。3ラウンド、開始ゴングからカシメロは強打を連打。強打を受けフラフラになりながらも打ち返し応戦したが、カシメロの左アッパーが決めてとなり大きく後退、追い打ちの右アッパーが炸裂するとレフェリーが試合をストップ。試合後、片手腕立て伏せをする余裕ぷりをアピールした。

カシメロが出場したPBC

 長らく世界中にボクシングを届けていたHBO(米プレミアム・ケーブルTV局)がボクシング中継から撤退し米本土のボクシング界の勢力図は大きく変わった。現在では、トップランク(米有力プロモーター)と契約するESPN(米スポーツ専門チャンネル)、DAZNと提携するGBP(ゴールデンボーイ・プロモーションズ)、マッチルーム・ボクシングとアル・ヘイモン氏が立ち上げたPBCと連携するFOXとShowtimeだ。

 米国で最も影響力のあるアル・ヘイモン氏は、契約する著名タレントを率いて米国の主要ネットワーク、ABC、FOX、NBC、CBSと契約を結び、2015年3月、ボクシング・シリーズ、PBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)を立ち上げた。

 2018年、PBCと契約していたホスト局との期限は切れてしまったが、米FOXと放映権料を支払う長期契約を成立。これまで、放送局の中継枠を買う形だったが放映権料を支払う契約を結ぶことに成功した。

 PBCは、軽量級から中量級、ヘビー級まで多くのタレントを揃えている。ウェルター級ではWBA世界ウェルター級スーパー王者マニー・パッキャオ(フィリピン)、WBC・IBF世界ウェルター級統一王者エロール・スペンスJr.(米)、キース・サーマン(米)、ショーン・ポーター(米)、ヘビー級にはデオンテイ・ワイルダー(米)らが契約している。

カシメロがPBCで戦う意味

 世界各国を渡り歩いているカシメロは31歳、年齢からすればいまがピーク。全世界のボクサーがコロナ禍の影響で長期停滞を強いられるなか、このタイミングでPBC、Showtimeのリングにあがれた意味は大きい。今後の動向次第では米国が主戦場になる可能性もある。

 今回のShowtimeへの方針転換は正解だったはずだ。交渉が進まない井上との統一戦に固執すればキャリアにブランクを作ることなる。カシメロがフィリピンへの帰国も模索するなか、最適なオプションがあれば前に進むことのほうが重要だったはずだ。

 井上との交渉が手詰まりになりそこで動いたのは、交渉に従事したMPプロモーションズ代表ショーン・ギボンズ氏だった。ギボンズ氏は、井上戦の交渉が停滞したことで、協調関係にあるPBCへの出場機会を探っていたという。

 もともと、PBCとMPプロモーションズはビジネス・パートナーである。MPプロモーションズはマニー・パッキャオがフィリピンのジェネラル・サントスに設立したプロモーション会社。パッキャオは米本土で本格的に活動を開始して以降、トップランクと強い信頼関係を築いてきたが、2017年に契約期間が終了。その後、契約を延長せずPBCと契約を結んでいる。

 結果的にパッキャオがトップランクを離脱したことは正解だった。パッキャオがトップランクを離脱しPBCと契約を結んだのはライバル不足はもちろん、ビッグ・ファイト実現が難しかったという見方が根強い。実際、当時トップランク傘下には、WBO王者テレンス・クロフォード(米)が君臨したもの、ローカル色が強くパッキャオの選択肢は限定的だ。

 一方、契約したPBCは強豪を多く抱えていた。当時IBFウェルター級王者だったエロール・スペンスJr.(米)、WBA王者にはキース・サーマン(米)、トップコンテンダーにはパッキャオが初戦で戦うことになるエイドリアン・ブローナー(米)、マイキー・ガルシア(米)、ショーン・ポーター(米)らが契約している。

カシメロの対戦相手は


 カシメロは、パッキャオと状況は異なるが、井上と比較するとフレキシブルに動ける環境で、実は井上よりオプションは多い。デューク・マイカー(ガーナ)戦はインパクト十分。PBCとの契約も視野に入ってくるだろう。

 次戦以降の候補は、井上尚弥(大橋)との統一戦、PBC傘下のルイス・ネリー(メキシコ)、ギレルモ・リゴンドー(キューバ)、12月PBCで予定されているWBC世界バンタム級王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)対ノニト・ドネア(フィリピン)戦の勝者がオプションになってくる。

カシメロ対ネリ

 ルイス・ネリーもカシメロの有力候補になる。カシメロが4階級制覇を見据えれば、PBCと契約するWBC世界スーパーバンタム級王者ルイス・ネリーは有力候補だ。日本では悪童のレッテルを貼られ嫌いなボクシング・ファンも多いだろう。所属するサンフィール・プロモーションズを通じて、PBCと複数戦契約を締結した。

 日本を追われることになったが、PBCと契約したことで主戦場を米国に移している。バンタム級と軽量級だがネリへの期待値は高かったのだろう。PBCと契約したネリはビッグ・ファイトのアンダーカードに次々と出場することになるが、体重超過のトラブルも目立っている。

 元オリンピアンのマックジョー・アローヨから4度のダウンを奪い勝利。その後、WBSSで井上尚弥に負けたファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)戦が決まった。前日計量で0.5ポンドの体重超過だったがコミッションから1時間の猶予を与えられてなんとか118ポンドを作り計量をパス。悪びれた様子がないネリーの態度に批判は集中した。

 この試合はパッキャオ対サーマンのアンダーカードにセットされたが、メインよりもネリ対パヤノ戦の結果が気になっていたファンは多いだろう。井上尚弥戦以外にストップ負けのないパヤノを9回、強打のパンチのコンビネーションから最後はボディを突き刺し勝利。この試合で15万ドル(約1620万円)を手にしている。

 アローヨ、パヤノを粉砕したネリは、WBSS準々決勝で井上尚弥に負けたエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と対戦が決まったが、前日計量で1ポンド超えの体重超過。ネリは再計量には応じずロドリゲス陣営に違約金を払い強行する気だったが、ロドリゲス陣営は拒否。試合は中止となっている。

 減量苦のネリはスーパーバンタム級転向を表明。アーロン・アラメダ(メキシコ)と空位のWBC世界スーパーバンタム級王座決定戦が決定した。チャーロ兄弟のPPVアンダーカードで行われWBC世界スーパーバンタム級王座を獲得したが、ソリッドな回転の速いネリの強打を見ることなく試合は凡戦。オッズは大きくネリに傾いてたものポイント合戦で期待外れの試合だった。

カシメロ対リゴンドー

プロモーター PBC

 PFP傑作にもランクしたリゴンドーもカシメロのターゲットになるだろう。PFPにランクされていたリゴンドーも39歳と高齢。IBF・WBAタイトルを統一する井上尚弥との王座統一戦を希望するがトップランク、PBCとTV局の壁が立ちはだかる。

 リゴンドーは一時、プロモーターから敬遠された時期があったもの、PBCと契約を締結。井上が統一王者となり空位となった正規王座決定戦をリボリオ・ソリス(ベネズエラ)と争い2−1の判定勝ちで王座を獲得。50万ドルのファイトマネーを受け取っている。

 PBCは2020年下期のスケジュールを発表したが、コロナ禍の影響もありリゴンドーの試合はまだ組まれてない。

カシメロ対ウーバーリーorドネア

 12月12日、米国で行われるWBC世界バンタム級王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)対ノニト・ドネア(フィリピン)戦の勝者もカシメロのターゲットになる。

 リチャード・シェイファー氏と契約するノニト・ドネア(フィリピン)は井上とWBSS(ワールド・ボクシング・スパーシリーズ)バンタム級優勝決定戦に敗れたが、WBC(世界ボクシング評議会)の図らいもありWBC指名挑戦権を獲得し、再起戦がWBC王者ノルディ・ウーバーリへの世界再挑戦が決まっている。

カシメロ対井上尚弥

プロモーター トップランク社

 交渉決裂になったが依然として有力なのが井上尚弥との統一戦だ。コロナ禍で延期となった交渉が再びはじまったの合意にはいたらなかった。トップランク社は、ゲート収入(チケット、販促品販売)が絶たれたことで7桁の収入が消えたことを決裂理由に上げている。

 一方、交渉が手詰まりとなり待たされた感のあるカシメロ陣営は、デューク・マイカー戦後に井上との統一戦に関心を示しているもの「交渉テーブルにあるが待つつもりはない」と交渉に嫌気がさしたのかトーン・ダウン。2021年にも実現の期待は高まるもの不透明感が強い。

 今後は、流動的になるものカシメロが多方面からオファーを受ける可能性はありそうだ。Showtimeデビュー戦で派手なパフォーマンスでストップ勝ち。カシメロが存在感を示したことは間違いない。長期契約かは別にしても、リゴンドー、ドネアやウーバーリ、ルイス・ネリー、いくつかのシナリオが考えられるPBCは有力だと考えられる。

 カシメロのパフォーマンスであれば今戦のようにPPVやビッグ・ファイトのアンダーカードでも十分起用されるだろう。そして、10万ドル(約1055万円)以上の報酬を稼げるカシメロにとってもメリットは大きいはずだ。

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