【結果】ジャメル・ヘリング対ジョナサン・オケンド

 WBO世界スーパーフェザー級タイトルマッチが米国現地時間9月5日ラスベガスにあるMGMカンファレンス・センターで行われ王者ジャメル・ヘリング(米)が8回終了、ジョナサン・オケンド(プエルトリコ)に反則勝ち2度目の防衛に成功。2020年内にもカール・フランプトン(英)とのビッグ・ファイトが期待されるが右目の上をカットしたことで、年内の実現は難しそうだ。

 勝ったヘリングはプロ戦績を24戦22勝10KO2敗(1KO)、負けたオケンドは38戦31勝19KO7敗2KOとした。

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ヘリング、ビッグ・ファイトに向けての前哨戦

ジャメル・ヘリング
身長 178cm
リーチ 178cm
年齢 34歳
国籍 米国
スタイル サウスポー

プロ戦績: 23戦21勝10KO2敗(1KO) KO率43%

アマチュア戦績:
2012年ロンドン五輪代表(1回戦敗退)
2012年全米選手権優勝
2012年米軍選手権優勝
2011年バクー世界選手権(2回戦敗退)
2009年全米選手権(2回戦敗退)

 はやくも次戦の話題が挙がっているのがヘリングだ。当初、7月に予定されていたがヘリングが新型コロナウイルス(COVID-19)の検査で2度陽性となり延期。ヘリングが検査をパスしたことでようやく再セットされ開催する運びとなった。

 契約するトップランク社ボブ・アラム氏は、傘下に収めるスーパーフェザー級王者らと統一戦を示唆。ヘリングは勝てばベルファストに多くの支持を持つ2階級を制覇したカール・フランプトン(英)戦が基本路線。今戦は言うまでもなくチューン・アップ戦だった。

ヘリング、プロフィール

 ニューヨーク州ロックヴィル・センター出身。学生の頃は、陸上やバスケットボールなどに取り組んだものいい結果を残せなかった。2001年にボクシングをはじめたヘリングは2003年に海兵隊に入隊しアマ・チュア・キャリアをスタート。2002年、米ニューヨークで行われたジュニア五輪ファイナルでダニエル・ジェイコブスと対戦経験を持つ。

 2005年イラクに出征したヘリングは2007年に帰国。2009年、待望の長女アリアナが生まれたが、生後僅か2ヶ月でSIDS(乳児突然死症候群)で亡くしてしまう。愛娘アリアナを失ったヘリングはしばらく喪失感に襲われていたがジムへ復帰。2012年米軍選手権、全米選手権で優勝しロンドン五輪代表に選出、チームの主将をを努めた。ロンドン五輪の開会式の日(2012年7月27日)この日、長女アリアナの3回忌だった。

 2012年、米国で有力アドバザーのアル・ヘイモン氏と契約したがタイトル挑戦までは長い道のりだった。15戦全勝、アマ・エリート出身だけありホープとして注目を集めるが、2016年ライト級で中堅クラスのデニス・シャフィコフ(ロシア)にTKO負けを喫しトップラインから脱落した。

 ライト級で小さいながらモビリティに優れるシャフィコフに完敗。フィジカル、パワー不足が浮き彫りとなった。再起戦を経て、2017年8月ラダリウス・ミラーに判定負けしたヘリングは、2018年アル・ヘイモンから脱退。トップランク社(米有力プロモーター)へ移籍した。

 階級を1階級下のスーパーフェザー級へ転向。チームも刷新した。これまで、エイドリアン・ブローナー(米)、ロバート・イースターJr.(米)のトレーナーとして知られるマイク・スタッフォード氏をトレーナーとしていたが契約を解消。テレンス・クロフォード(米)を教えるブライアン・マッキンタイアをチーフ・トレーナーとして迎え、スーパーライト級で4団体統一戦を控えるクロフォードのスパーリング・パートナーとしてキャンプにも参画した。

ヘリング、伊藤戦は最高の舞台だった

 2018年9月、USBA全米スーパーフェザー級王座を獲得しWBO上位に入りこんだヘリングは世界初挑戦が決まった。2019年5月25日、フリリダ州キシミーでWBO世界スーパーフェザー級王者伊藤雅雪へ挑戦することが決定。この日を選んだボブ・アラム氏の手腕は流石だった。王者は伊藤だったが、この日の主役はヘリングだった。

 ボクサーの戦績を含め話題となるのが、ボクサーの生い立ちバック・グラウンド、ストーリーだ。この日は、2009年に生後2ヶ月でなくなったアリアナの命日。そして、戦没将兵追悼記念日の週というトップランクがヘリングに用意した舞台。ヘリングのもつストーリーに多くの米国人が関心を寄せたことは言及するまでもない。

 ウィリムズ・ヒルのオッズはそこまで大きな開きがないもの伊藤1.5倍、ヘリング2.6倍で伊藤に傾いてたが結果は0−3の判定負け。ヘリングは「この勝利はSIDSで亡くなったアリアナに捧げたい」と試合後にコメント。イラク戦争で壮絶な戦場を経験、愛娘アリアナの死で希望を失ったヘリングにとって、この戦いは大きな勝利だったことは間違いない。

ジョナサン・オケンド

ジョナサン・オケンド
身長:163cm
リーチ:170cm
年齢:37歳
国籍:プエルトリコ

プロ戦績:37戦31勝19KO6敗2KO KO率51%

 オッズはヘリング優勢。37歳となったオケンドはアンダードッグだ。これまで、世界タイトルマッチに挑戦したが何れも敗れている。ビッグ・ファイト目前のヘリングのチューン・アップ戦としては丁度良い世界ランカーという感じだろう。

 これまで、一時は軽量級でスター候補と注目を浴びたファン・マヌエル・ロペス(プエルトリコ)、ウィルフレド・バスケスJr.(プエルトリコ)、アブネル・マレス(メキシコ)に敗戦。2015年9月ジョニー・ゴンサレス(メキシコ)に勝ち12月、WBA世界フェザー級王者ヘスス・クエジャール(アルゼンチン)に挑戦したが判定負けで王座奪取に失敗。

 直近で2019年5月、ヘリングも戦っているラモント・ローチ(米)に判定負け。ポイント・メーカーのヘリングのペースを乱し勝利に繋げることができるか。勝てば番狂わせだった。

ヘリング、反則勝ち

 8回終了ヘリング失格勝ちという結果となった。接近戦になるとクリンチ、両者フラストレーションがたまる噛み合わない戦いだった。試合は3回、ヘリングが左アッパーのカウンターでダウンを奪ったが5回、バッティングで右目をカット。8回終わりドクターチェックが入りヘリングは続行を臨んだものドクター・ストップ。トニー・ウイークス主審と、試合を管轄したNSAC(ネバダ州アスレチックコミッション)が協議し5回のバッティングを含め故意だったと判定。失格負けの裁定を下した。

 序盤、頭から突っ込むオケンドの戦いかたは厄介だった。リーチを生かし長い距離での戦いをしたかったヘリングは、オケンドの頭突きに悩まされていた。チェック・フック、下から突き上げるアッパーは効果的。スキルではヘリングが優れていた。
 


 3回、ヘリングが左アッパーのカウンターが炸裂しダウンを奪った。ヘリングのペースになると思いきやしぶとくオケンドが食らいつき5回、オケンドのバッティングで右目の上をカットした。ヘリングの正確なワンツー、アッパーが捉えたがオケンドに深刻なダメージを与えることが出来なかった。

 試合を中継したESPN(米スポーツ専門チャンネル)のパンチ集計によると、ヘリングは400発中132発(33%)をヒット、ジャブが少なく89発中11発(12%)。一方、オケンドは398発中70発(18%)、ジャブが29発中1発(3%)だった。

 オケンドが頭から突っ込み接近戦になるとヘリングがクリンチしてもみ合いが続き8回、オケンドの頭突きを気にしていたヘリングはローブロー。両者がフラストレーションを抱えるなか8回終了。右目をカットしたヘリングは「目がみえない」と訴え、ドクターチェックが入り続行不可能と判断され試合終了。レフェリー、コミッションが協議しオケンドが故意のバッティングを繰り返したとし失格負けの裁定を下した。

 8回終了までのスコアは(80−70 2者 79−71)でヘリングがリードしていた。

 次戦は2階級を制覇したカール・フランプトン(英)との防衛戦が基本路線となるが、度重なる頭突きを受けたヘリングは試合後に病院へ直行。大事に至らないと良いがフランプトン戦は年内実現は難しい見方が強い。

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