井上尚弥、カシメロ交渉が再開コロナ禍のなか9月開催はできるのか

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期を余儀なくされた井上対カシメロの対戦交渉が再開した。井上が所属する大橋ジム大橋会長は11日、WBO世界バンタム級王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)との3団体王座統一戦の交渉を再開したことを明らかにした。だが、依然として新型コロナウイルス(COVID-19)感染再拡大の恐れは強い。

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 井上とカシメロの3団体王座統一戦は4月25日米ラスベガスでセットされたが、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が全米に拡大した影響で中止に追い込まれた。決戦地となるラスベガスのマンダレイベイ・イベントセンターを運営するMGM社の従業員から感染者が陽性反応を示し、MGMはカジノ含め営業を中止。CDC(米疾病対策センター)が50人を超えるイベントについて自粛を要請したことでTopRank社は計画延期を余儀なくされた。

井上を招致したいTopRank

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 トップランクが井上の招致を急ぐのは無理もない。6月米ラスベガスでイベントを再開したもの視聴件数は低調。コロナ禍で人の移動に制約があり、対戦カードのインパクトが弱いといった課題が浮き彫りとなり、マッチメイクの水準アップが求められている。
  
 9日、WBO世界フェザー級王者シャクール・スティーブンソン(米)をメインとしてたイベントは平均で39万7000件。12日、元WBO世界スーパーバンタム級王者ジェシー・マグダレノ(米)をメインとしたイベントは平均で39万2000件と40万件に届かなかった。

 もちろん、対戦カードの水準が低かったことは仕方がない面もある。米国はコロナ禍のなか、いつ興行が打てるかわからない状態であり、マッチメークするといっても米国に滞在している選手に限られ、難しい状態だったことは間違いない。そんな中、米ラスベガスで再スタートが決まりシャクール・スティーブンソン(米)がメインに抜擢されたのである。

 スーパーフェザー級(130ポンド)試運転とした見方が多いが、タイトルマッチではなく130ポンド契約ウエイトになったのは、選手が満足のいくトレーニング期間を取れなかったのが理由だろう。タイトルマッチとして行うにしてもスパーリング・パートナーの選別や安全な練習環境の確保など準備期間が短かったことが想像できる。

 視聴件数が振るわなかったのは、平日で開始時間がはやいということもあるにせよ、対戦カードが貧弱だったと言わざるを得ない。アメリカで殆どのスポーツが停滞するなか、トップランクとESPNが中継するコロナ禍で仕掛けるイベントは期待値が高かっただけに、対戦カードは今後大きな課題となる。

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井上、カシメロの統一戦が決まれば

 アラム氏の思惑どおり9月ラスベガスで、井上とカシメロ戦がまとまれば視聴件数は期待できる。米国で軽視される軽量級ということもあるが、WBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)で優勝した井上が、WBOのベルトを持つカシメロと3団体の王座を争うカードは高水準、インパクトとしては十分だ。

 カシメロはスーパーフライ級を主戦場にしていたが、バンタム級に転向し強い存在感を示している。米リング誌バンタム級ではWBC王者ノルディ・ウーバーリ(フランス)の次点となる3位にランク。リカルド・エスピノサとWBOバンタム級暫定王座決定戦を争い12回KO勝ちしたカシメロは、2019年11月WBSSを途中離脱した正規王者ゾラニ・テテと王座統一戦に臨み、3回TKO勝ちでWBO王座を統一に成功。統一したカシメロはWBSSで優勝した井上との対戦を臨むコメントを残していた。

 井上はカシメロ戦が延期となりコロナ禍でキャリアで空白の期間を作ってしまったがプラスになった面もある。2019年11月ノニト・ドネア(フィリピン)と争ったWBSS決勝戦は眼窩底骨折しキャリアで最も過酷な戦いだったことを考えれば、良い休養期間となったはずにちがいない。

 そして、交渉がまとまればESPN+ではなく、母体数が大きいESPNで中継される可能性もある。ESPN+は、ESPN(米スポーツ専門チャンネル)が提供するネット・ストリーム配信サービスで、契約者数は760万人。ESPNはケーブルTV離れが進み契約者は年々減少傾向にあるが、2019年時点で8300万人の契約者を持つ。多くの聴衆が見る機会で試合を行う意味は大きい。

 井上、カシメロともに米国に馴染みがない選手同士で視聴件数は期待よりも下回る可能性はある。ただ、井上にとって重要なのはカシメロ戦で本場米国ボクシング・ファンに強い印象を与えることができるかどうかだ。 

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9月は無観客試合かどうか

 気になるのは、開催されるとして無観客なのか観客を動員しての開催になるのかだ。観客を動員しての開催となれば日本のボクシング・ファンも動向が気になるところだ。ただ、米国では第2波の兆候もみられ、アラム氏の描くシナリオに暗雲が立ち込めている。

 トップランク社ボブ・アラム氏は、6月7月は無観客として9月には会場の数%の観客を動員し年末には通常開催する計画案を示している。井上とカシメロの一戦を2000人の観客動員を計画しているという。一部の観客動員はともかく、屋内での通常開催はワクチンが安定供給するまでは州では認められない公算が高い。

 経済再開を急いだ米テキサス、フロリダでは感染が加速。コロナの第2波が現実味を帯びてきている。米疾病対策センター(CDC)は感染者が急増した場合、ふたたび州や市は都市封鎖を余儀なくされると警鐘を鳴らす。今後、感染者が増え続ければアラム氏が描く9月観客を動員してのイベント再開は危うくなるだろう。

日本から応援に行けるのか

 ただ、観客を動員してのイベント開催となっても日本から現地での観戦は難しいかもしれない。2020年6月現在、日本から米国へはレベル3の渡航中止勧告がだされ、入国は出来るが2週間の自粛隔離が義務付けられているからだ。

 世界各国で入国制限緩和の動きが広がり、夏頃にはPCR検査の証明書の掲示などで2週間の自主隔離が免除される可能性があるが、段階的に渡航規制が緩和される。ただ、まずはビジネス渡航が緩和され、観光目的は少し先になる。

 9月開催できるかは依然として不確実性が高い。テキサス、フロリダでは感染者が急増して、感染拡大が深刻化。コロナ第2波の兆候が鮮明になりつつある。もし、感染第2波が襲ってくれば最悪ロックダウンの可能性もある。ウィズコロナ時代、ボクシングはグローバルに人材が散らばり影響は想像以上に大きくワクチンが開発されるまではこうした不安定な状況は続きそうだ。

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