11月7日、フジテレビが中継したWBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)バンタム級決勝、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(大橋)対WBA世界バンタム級スーパー王者ノニト・ドネア(フィリピン)戦の平均視聴率が15.2%を記録したことが分かった。

 判定で井上がWBSS優勝を飾った瞬間、午後10時17分、20分に20.5%を最高視聴率をマークした。試合は井上が3−0(114−113,117−109,116−111)の判定でドネアを下しWBSSバンタム級優勝、IBF王座防衛に成功しWBA王座を統一した。

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 試合後、米TopRank社(有力プロモーター)トッド・デュボエフ社長が会見して、井上尚弥と複数戦契約したことを発表した。「米国、グローバルに活躍をサポートしていくと」コメント。井上は2020年米国で2試合を予定、年末には日本で試合をする計画であることを明かした。

 流血、ハイレベルな打撃戦、ダウン・シーン、エキサイティング、ボクシングの醍醐味が凝縮された2019年間最高試合にノミネートが確実視される井上対ドネアは、軽量級史に残る名勝負となった。

 試合前、ドネアは初回でKOされる見方が多かったが、ドネアは井上に大きく立ちはだかり12回判定まで試合はもつれこんだ。ドネアが試合前のインタビューでいっていたとり、今戦で井上は多くを試されベールに包まれていた部分が明らになった。

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井上のベールがはがされた

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 井上はこれまで、スピード、パワーで圧倒的に試合を支配してきたが、まともにパンチを貰ったことがなく耐久面は未知数だった。今戦で、井上のメンタル、タフネス、挽回力が証明されたことは間違いない。

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 井上は、キャリア最大のピンチに見舞われ劣勢になったが、スピード、パワーは最終ラウンドまで落ちることはなく最後はドネアを追い詰めた。ドネアは2回に接近戦の打ち合いで左フックで井上をグラつかせ、9回に右ストレートで井上のあごを捉え、井上は堪らずクリンチ、なんとか凌ぎサバイブした。そして、11回に立て直しレジェンドにボディ・ブローを刺しダウンを奪った。

 タフネス、メンタルを証明したが、良いところだけが明るみになったわけではない。2回、ドネアの左フックを貰ったのは大きな油断があったことは間違いない。井上が得意でない接近戦に持ち込んだのはドネアの戦略の一部で、井上は打ち合いを強いられた。

 1回、井上はドネアを早い段階で仕留められると思いレッスンつもりだったか分からないが、井上は圧倒的にスピードで勝るがドネアの長いリーチに苦労してジャブで顎を跳ね上げられ、井上が完全にコントロールしていたとは見えなかった。

 井上は、スウェー、ブロッキング、パーリーと優れたディフェンス力を持つが、ディフェンスは鉄壁とは言えず改善の余地はある。ドネア戦ではスウェーから、右ストレートのカウンターと、攻撃力だけでなく高度な迎撃力を備えるが、パンチを被弾する場面も少なくない。

 近い将来階級をあげると見られる井上、陣営は今戦を経て階級アップは慎重になるだろう。ドネアの戦略が上手く機能した側面もあるが、サイズ面で井上は苦労していた。ドネアのプレス、ジャブ、チェック・フックで鋭いステップインからのワンツーは封じられた。ドネアが井上のパンチを全く恐れてはいなかったのは、スーパーバンタム級でギレルモ・リゴンドー(キューバ)、フェザー級でニコラス・ウォータース(ジャマイカ)との経験があったからだろう。

 フェザー級まで問題ないとまで言われていたが、本当にそうだろうか。WBO世界フェザー級タイトルを獲得したオリンピアンのシャクール・スティーブンソン(米)は長いリーチを持ち破壊力はないが攻防ともにバランスが取れた選手だ。WBC王者ゲイリー・ラッセルJr.は階級屈指のスピードを持ち井上の天敵になるだろう。スーパーバンタム級にあげたとして、自分よりフィジカルが強い相手、同等以上のパワーがある相手と戦った時にどうなるのか。今後もテストされることになる。

 そして、バンタム級史に残る戦いは、井上のベールがはがされた戦いでもあった。ドネアは最高のパフォーマンスを示しパワーは健在だったがスピード、反射神経は確実に落ちていた。ドネアが全盛期だった場合どうなっていたか。米国行きの切符を受け取ったがまだスタート地点だ。これからTopRank社ボブ・アラム氏が送り込む刺客を倒しテストをクリアしなければならない。今後は、ドネア戦で経験したように多くの試練が待ち受けている。そこから、まだ全盛期を迎えていない井上がどう成長するのか楽しみだ。

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