“Still Champion” 何とか王座を奪取・・。想像以上にゴロフキンの衰えは進行していた。もう無双していたあの頃のゴロフキンの姿はなかった。デレイビャンチェンコは実力者ではあったが、ゴロフキンは37歳になり衰えていることは事実だがパワーと経験が勝り、デレイビャンチェンコが捕まるというのが大方の予想だった。オッズは、そこまで開きはなかったものゴロフキンに傾いていた。

 空位のIBF世界ミドル級王座決定戦が10月5日、米ニューヨークの殿堂マディソン・スクエアガーデン(MSG)で行われゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)が2−1の判定でセルゲイ・デレイビャンチェンコ(ウクライナ)を下しIBF王座奪取に成功した。

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ゴロフキンは試合後敗者のようだった

photo by:boxingscene


 「トレーニング・キャンプでもっと仕上げるべきだった。セルゲイは戦略どおり戦えたかもしれないね」
 キャリア最大の苦戦を強いられただけに、試合後のインタビューでは勝者でありながらどこか弱気、判定結果を待つあいだも表情は不安気だったことから本人は、明確にデレイビャンチェンコに勝ったという認識はなかったのだろう。実際、米メディアの中でもデレイビャンチェンコ勝ちの声も少なくない。

 判定負けはしたが、ミドル級屈指の強豪ダニエル・ジェイコブス(米)に続き、ゴロフキン相手にあれだけの姿を披露したデレイビャンチェンコの株は右肩上がりだ。一方、苦しい中なんとか王座を奪取したゴロフキン。体調不良の噂もあるが、もはやミドル級で傑出した存在とはいえない。これまで、殺傷能力の高いパワーショットを武器に圧倒的な強さを誇示してきたが、反射神経、スピード、パワーの大幅な欠落で強みを維持することが難しくなっている。
 
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ゴロフキンの実力の図る重要な一戦だった

 2018年9月カネロとの再戦を終えたゴロフキン、あれから13ヶ月が経過。今戦で戦ったデレイビャンチェンコはミドル級でトップクラスの実力があるかどうか見極めるのに最適な相手だった。ゴロフキンは37歳、無名のロールスを一発で粉砕しインパクトは十分だったが、ロールス戦以前からゴロフキンの「衰え」は指摘されていた。

 こうした中で、同門ダニエル・ジェイコブス(米)と2−1の接戦を演じ判定負けしたが、その後クルカイを下したトップ・コンテンダーの1人デレイビャンチェンコは、ロールスとは違い輝かしいアマチュア戦績を誇りゴロフキンに対抗するための十分な武器を備えていた。

 400戦以上のアマチュア戦績を誇るデレイビャンチェンコは、北京五輪、世界選手権に出場した経験があるトップ・エリート。北京五輪後は、WSB(Word Series of Boxing)で活躍していた。

 その後、2014年プロのオファーを受けニューヨークを拠点にプロモーター活動するディ・ベラ・エンターテイメントを主宰するルー・ディベラ氏と契約を結び、米ブルックリンに居住。PBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)傘下でキャリアを積み重ねた。2018年10月プロ僅か13戦で同門のダニエル・ジェイコブス(米)とのIBF王座決定戦のチャンスを掴んだが判定負け。

 直近のジャック・クルカイ戦でトレーナーを努めたのが、ゲイリー・スタークス氏で、ニューヨークに降り立った頃から信頼を寄せるアンドレ・ロジエール氏との解消も噂されたが、今回はアンドレ・ロジエール氏がチーフ・トレーナーとして戻ってきた。ジェイコブス戦では、アンドレ・ロジエール氏がジェイコブスのコーナーに着き、デレイビャンチェンコは同チームのゲイリー・スタークス氏がトレーナーを努めていた。

デレイビャンチェンコが優れて見えた

 デレイビャンチェンコの戦略は見事だった。機動力を活かした戦法はゴロフキンを痛めつるのに効果的だった。テクニシャン、デレイビャンチェンコは攻撃やスキルだけでなく、ゴロフキン相手にも全く怯まないメンタル、ロープを背負い強打が襲ったが屈しない強いメンタルを証明した。

 デレイビャンチェンコは、リーチで上回る相手に対し持ち前のスピード、回転力を活かし、ミドル・レンジから速いステップ・インで踏み込みダブル、トリプル・ジャブを出し距離を潰し接近戦でボディのコンビネーションを放っていた。

 回転の速さで上回るデレイビャンチェンコの攻撃は、ゴロフキンの手出しを阻むのに効果的だった。一方の、ゴロフキン、いつものスピード、切れはなくもっさりした印象。ただ、デレイビャンチェンコの攻撃に黙っているわけではなく1回、接近戦で右ストレートを見舞いデウンを奪った。

 そうそうに片付けるかと思ったが、デレイビャンチェンコはフラッシュ・ダウンでダメージは浅かった。ゴロフキンは狙いに行ったが、デレイビャンチェンコはゴロフキンの打撃に抵抗を見せ追撃を許さなかった。

 5回、デレイビャンチェンコは2回にゴロフキンの左フックで右目の上を深くカットしたが、攻勢を弱まるばかりか強めていった。相変わらず速いコンビネーションで踏み込み、接近戦に持ち込みボディで体力を削った。ラウンド終盤、腹にボディ・ショットを貰ったゴロフキンは大きく後退、スローダウンした。

 トップ・エリートだけあり、攻防バランスが良い。リスク・ヘッジにも余念がなく、打ち終わりにはステップ・バック、パワー・ショットに対しては、ダック、ウィービングで空転させ、インサイドに入りうち終わった後は、サイドへ周り込みゴロフキンが即座に反撃できないポジションをキープした。

 7回、デレイビャンチェンコはスピードでゴロフキンを翻弄。アングル、ポジションを匠に変えゴロフキンの強打をかわした。ゴロフキンが接近戦で繰り出すアッパーなどは依然として脅威なもの、ボディをもらい減速したゴロフキンは、足がおぼつかない面もあった。それでも有効打は与えたが、決定打を与えるまではいかなかった。

 中盤以降もどちらが優勢と言えない一進一退の攻防が続いた。流石にデレイビャンチェンコも疲れが見え時より攻撃を緩め、フットワークを使い上手く休んでいた。ただ、攻撃の手を緩めればゴロフキンが一気に襲いかかってくる為、一瞬たりとも気が抜けない状態だった。

 戦いは終盤に差し掛かるがどちらも一歩も引かない状況が続いた。疲労困憊の中ゴロフキンが攻め込めば、お返しとばかりにデレイビャンチェンコが打ち返えす状況が続いた。
 

ゴロフキンの今後はどうなるのか

  限りなくキャリア終盤に差し掛かっているゴロフキンはどうなるのか。DAZNとの契約はあと残り4戦残っている。ロブ・ブランとト(米)との再戦で勝った村田諒太(帝拳)らも候補にあがるが最有力候補はカネロで間違いない。DAZNが購読者を獲得できる大型カードだ。

 ゴロフキンもビッグ・ネームに違いないが1人では輝けない。デレイビャンチェンコ戦前にゴロフキンが村田戦に前向きなコメントをしていたが、リップサービスだろう。ゴロフキン対村田が実現すれば日本でビッグ・ファイトが成立する可能性はあるが、DAZNの課題である米国での購読者獲得には繋げられるかは不透明だ。そして、ゴロフキンはDAZNと契約する際にカネロ戦が含まれており、インセンティブが約束されている。
 
 DAZNジョン・スキッパー氏は、2019年9月実現は失敗したがまだ諦めてない。DAZN幹部らが2019年9月メキシコの独立記念日の週にゴロフキンとの再戦実現に向けカネロと交渉を続けたが説得させることができなかった。

 カネロは、ライトヘビー級へあげ11月2日米ラスベガスでWBO世界ライトヘビー級王者セルゲイ・コバレフ(ロシア)との一戦に臨むことが決まっている。カネロは、ゴロフキンとの再戦に消極的だったが、再戦に関心を示し始めている。おそらく、デレイビャンチェンコ戦でゴロフキンが大きく苦戦したことも関係あるだろう。今後は、株を上げたデレイビャンチェンコを含め、最終章に入ったゴロフキンの動向から目がはなせなくなる。

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