週末、欧米でタイトルマッチがあったが、もっとも注目されていたのが事故から復帰戦となるIBF・WBC世界ウェルター級タイトルマッチ、エロール・スペンスJr.(米)対ダニー・ガルシア(米)だ。週末結果を振り返ってみたい。
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スペンスは元通りだったのか
試合レビュー:【結果速報】エロール・スペンスJr.対ダニー・ガルシア試合結果から背景
後半、休んだラウンドはあったが、それ以外はスペンスが試合を支配。懸念されていたスピード、反射神経のサビつきは確認できなかった。スピードがあるパワー・ジャブでガルシアを制圧。接近戦でボディを突き刺し、回転の速いパンチをまとめガルシアを何度もロープを背負わせた。
両者ビッグ・ショットが火を吹くことはなかったが、タフ・ガイ同士なだけにノックアウトすることは難しい戦いだった。プロ27戦のスペンスはダウン経験はなくポーター戦で顎の強度を証明。サーマン、ポーターと対峙したダニー・ガルシア(米)もこれまでダウン経験はなくタフ・ガイだ。
スペンス、クロフォードは実現するのか。
スペンスの次戦。クロフォードはトップランクとの契約で間に合わない。新型コロナで経済的な打撃も大きいフィリピン。パッキャオの復帰がいつかは不透明。こうなってくると誰になるのか。 pic.twitter.com/hxgpLIpvsl
— in44y.com (@in44y1) December 6, 2020
スペンス対クロフォードは次戦でマッチメークしてもらいたいが、どうやら次に起こることはなさそうだ。スペンスのライバル、WBO王者テレンス・クロフォード(米)がリング・サイドに来ていたが、試合後にリングにあがるかと思えば何もなかったことが全てを証明している。
スペンス対クロフォードのマッチメークにはTV局の大きな障害がある。スペンスはクロフォードをプロモーションする米トップランク社と相反するPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)と契約。TV局の違いが合意に向けてのネックとなっている。
もちろん、2020年2月22日米ラスベガスで合意したWBC世界ヘビー級タイトルマッチ、デオンテイ・ワイルダー(米)対タイソン・フューリー(英)のようにFOXとトップランク社と提携するESPN(米スポーツ専門チャンネル)が合同PPV(ペイ・パー・ビュー)で合意する可能性はあるが望みは薄い。
合同PPVに向けて懸念されるのがクロフォードの知名度不足だ。プロモーションはトップランク社の仕事だと放り投げるが、今の時代セルフ・プロモーションは当たり前。フロイド・メイウェザーJr.(米)を見ればわかる。
直近、ケル・ブルック戦はESPNで200万世帯に視聴されたが、アミア・カーン(英)とのPPV戦は15万件と不発。地元オマハでは求心力はあるが、世界的な知名度でいえばオマハといえば投資家のウォーレン・バフェット氏だ。
そして、PBCが積極的にならないのは、クロフォードは2021年10月トップランク社との契約期限が満了になることも理由の1つだ。メガ・ファイトが成立しないクロフォードは苛立ちを隠せない。トップランク社に弁護士を通じて抗議する文章を提出。トップランク社との間で確執が深まっている。
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