【結果速報】エロール・スペンスJr.対ダニー・ガルシア試合結果から背景

 IBF・WBC世界ウェルター級統一王者エロール・スペンスJr.(米)が、ダニー・ガルシア(米)と対戦し3−0(116−112 2者 117−111)の判定勝ち。愛車フェラーリで飲酒運転し大事故を起こしたスペンスは、事故の後遺症が懸念されたが、地元米テキサス、アーリントンにあるAT&Tスタジアムで払拭した。

 勝ったスペンスは、27戦全勝21KO、ダニー・ガルシアは39戦36勝21KO3敗とした。

米テキサスがビッグ・ファイトの中心地に

 スペンス対ガルシアは、スペンスの本拠地テキサス・アーリントンにあるAT&Tスタジアムで挙行された。コロナが蔓延するなか10月米テキサスにあるアラモドームでガーボンタ・デービス(米)対レオ・サンタ・クルス(メキシコ)戦が有観客としてはじめて挙行され注目を集めている。

 北米では、新型コロナウイルス感染拡大で有観客できる州は限られている。中心地のラスベガス、カリフォルニア、聖地ニューヨークでは新型コロナウイルスの規制で観客動員は認められていない。テキサス州はスタジアムの50%まで観客動員を許可しているが、会場の運営者は25%を維持して開催される。

 商業面で厳しいプロモーターとしても有観客として開催できることの意味は大きい。トップランクは6月に米ラスベガスで興行再開に踏み切ったが、ゲート収益がないなか新型コロナウイルスの検査費用などで数百万ドルの経費が重くのしかかり興行的に苦戦を強いられている。

 デービス対サンタ・クルス戦は集まった観客は9000人以上、ゲート収益は120万ドル(約1億2498万円)に到達した。

 今戦は、スタジアムの収容率は25%まで引き下げられ15,000人以上の観客がみこまれ、主催者側の発表によると16,101人の観衆を記録している。マイキー・ガルシア(米)戦で記録した500万ドルのゲート収益には届かないもの、スペンスの地元、ヒスパニック層の支持もありデービス対サンタ・クルス戦以上の収益は確実視される。

ダニー・ガルシアは番狂わせを起こせるのか

ダニー・ガルシア
国籍 米国
身長 173cm
リーチ 174cm

ウェルター級
米リング誌 6位
ESPN 6位

プロ戦績 38戦36勝(21KO)2敗
WBA・WBC世界スーパーライト級王座
米リング誌スーパーライト級王座

アマチュア戦績?
 2006年全米選手権優勝

 スーパーライト級でWBA・WBC2団体と米リング誌の王座を巻きリネラル王者とし存在感を高めていたがウェルター級に転じてからは、どちらかといえばBサイドだ。今戦はふたたび輝きを取り戻せるかどうか重要な一戦となる。ウェルター級ではキース・サーマン(米)に判定負け、サーマンが返上したWBC王座をショーン・ポーター(米)と争ったが僅差判定負けに終わっている。

 スーパーライト級ではザブ・ジュダー(米)、アミア・カーン(英)、ルーカス・マティセ(アルゼンチン)らビッグネームに勝利し存在感を示したが、ウェルター級に転向してから強豪相手には一歩及ばずタイトルを獲得できていない。

 人気選手なだけにトップ戦線に生き残っているが、直近のウェルター級中堅のイバン・レドカフに大差判定勝ちしたものガルシアの評価は低調。印象的なシーンをみせることができなかったのが要因だ。

 32歳となり全盛期を過ぎたのか。レドカフ戦は単なるモチベーションなのか。スペンス戦はキャリア最大の戦いで最高のコンディションで臨んくることは間違いない。

スペンスにとってどんな戦いなのか

エロール・スペンスJr.
国籍 米国
身長 177cm
リーチ 183cm

ウェルター級
米リング誌 1位
ESPN 2位

プロ戦績 26戦全勝21KO KO率80%
IBF・WBC世界ウェルター級王座

アマチュア戦績 135勝12敗
2012年ロンドン五輪 ベスト8
2011年世界選手権 3回戦敗退
2009年世界選手権 1回戦敗退

 ”Truth”の異名をもつスペンス。これまでどおりならスペンス有利は揺るがない。しかし、今戦にいたっては”これまでどおりのスペンスなのかどうか”多くの疑問が投げかけられている。ガルシア戦をクリアすれば、カネロやパッキャオとのメガ・ファイト路線がまっている。

 30歳となり全盛期を迎えたスペンス、事故後は地元テキサスの中心地をはなれた場所で牧場を購入。ガールフレンドと3人の子どもたちと馬や牛を育て生活している。

 ショーン・ポーター(米)との激戦を制しWBC王座を奪取して2団体を統一したスペンスは、2019年10月、地元テキサスで愛車フェラーリを飲酒運転し大破させる大事故を起こしている。シートベルトをしていなかったのが幸いしたのか。車から放り投げだされたが、奇跡的に顔に裂傷を負ったのみで済んでいる。

 「この戦いで証明すべきことは今でも変わらないということだ」。とりわけ懸念されるのが、約15ヶ月以上の休養期間と完全回復したのかどうか。スピード、パワー、反射神経、身体能力、タフネスは健在なのかどうか。

 「ジェームズと2月からトレーニングをはじめハードなトレーニングをしてきた。そして、ここ(ダラス)に再び戻ってきた。ミットもスパーリングしてジェームズが全て見てくれた。事故前の元の状態に戻った」。スペンスのトレーナーであるデリック・ジェームズは、スペンスがこれまでどおりエリート・ファイターであることを確信しているという。だが、チームはそう言っても実際はどうなのかは戦いが始まらなければ分からない。

 オッズはスペンスに傾いているが油断はできない。ガルシアの左フックは強烈でタイミングが良い。スペンスが不用意に近づけば、あわやというシーンもあるかもしれない。ダニー・ガルシアのトレーナーで実の父アンヘル・アルシア氏は7ラウンドKO勝ち予想をしている。

 事故後のスペンス、15ヶ月のブランク、反射神経やスピードがこれまで通りに機能するのかどうか。ここまで試合感覚が開くと錆びつき、反射神経を維持できるかは疑問だ。

米記者らの予想

 米リング誌の記者はスペンス5−2。7人の記者のうちスペンス勝ちは予想5人、残り2人がガルシア勝ちを予想している。記事は:スペンス対ガルシア米リング誌記者の予想!

 オッズは、スペンス有利だった。

スペンス対ガルシア結果

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 大きなシーンなく12ラウンド終了のゴングとなったが、打撃戦の迫力は充分だった。スペンスは、ガルシア相手に危ないところなく完封。「何も変わっていないことを証明する」。試合前に語っていたとおり、これまでのスペンスであることを証明した。

 スピード、反射神経の錆付きが懸念されたが、それを殆ど感じさせなかった。気になったのが9回、10回に失速したことだ。だが、これまでのガルシアの打撃により失速したのではなく自らスローダウンを選択。リングを旋回してジャブ。スタミナ回復しているようにも見えた。さすがに15ヶ月以上のブランクはきつかったのだろう。

 12ラウンド通じて試合の主導権を握っていたのはスペンスだった。いつもどおり圧力をかけハードなジャブをガルシアの顔面に叩き込み、接近戦でボディを刺しガルシアの体力を削り、ペースを握らす隙を作らせなかった。10ラウンド、ガルシアの右が入り一瞬バランスを崩したもの、危ない場面はなく打ち終わりはオンガード・ポジション、ブロックも怠らなかった。

 一方、ガルシアはスペンスの圧力を感じながら後ずさりしながら、打ち終わりに右ダブルの強打、オーバーハンドを軸に対抗した。しかし、ラウンド毎にペース・アップするスペンスについていけず、カウンター・ショットも遅れがち。自らペースをつかめないガルシアは戦力で上回るスペンスのハードなジャブとボディに苦しんだ。

 深刻なダメージあたえるクリーン・ヒットはなかったものスペンスは手数、正確性でガルシアを上回った。CompuBoxによるとトータル・パンチ数は、スペンスが707発中187発(26%)、700発中117発(17%)。ジャブはスペンスが419発中84発(20%)、ガルシアは362発中14発(17%)だった。

 1回、ゴングと同時にスペンスが圧力をかけジャブをだし攻勢をかけていった。ガルシアはいつもどおり遅めのスタートながらも2回、右のオーバーハンドのダブルでスペンスを後退させたことで、警戒させたかと思ったが4回、スペンスがペース・アップ。ジャブで下がらせコンビネーションからボディで体力を削った。

 序盤は殆どスペンスがポイント・メイク。ガルシアの左目付近はスペンスのジャブの影響で赤く腫れ上がってきた。5回、スペンスはさらに攻勢を強めたが、ガルシアの同時にうってくる右オーバーハンドのカウンターが怖いが、スペンスはペースを落とさなかった。

 これは、スペンス陣営の戦略の1つだったのだろう。ハイペースで来られるとガルシアもディフェンスで手一杯。ボディ・ワークとブロックを使い分け被弾を回避したが、なかなか応戦できずにいると7回、左目付近が腫れ上がり攻撃が見えにくくなったのか。前半よりもリターンが減った。

 8回、ガルシアが失速気味となりロープを背負う場面が目立ってきた。スペンスのハードなジャブとボディが効いたの影響もあるのだろう。9回にはいるとスペンス自らスローダウン。リングを旋回しジャブを使い休んだ。10回
もスペンスの休憩が続くとガルシアの右で一瞬スペンスがグラつくシーンも。

 11回、回復につとめたスペンスは攻勢に転じたが、ガルシアを明白に落とすことはできなかった。

スペンスはビッグファイトに向け前進

 ウェルター級ライバルWBO世界ウェルター級王者テレンス・クロフォード(米)戦は叶うのか。リングサイドにクロフォードが駆けつけていたことで試合後にリングに上がりパフォーマンスするかと思えば何もなかったところを見ると早期実現の期待は薄い。

 クロフォードはトップランク社との契約は2021年10月で満了。契約満了まえに無理にPBCは、トップランクと共同PPVイベントに動くとは思えない。そして、スペンスはクロフォードに固執する理由がない。

 来年以降は、フリー・エージェントとなったボクシング界の顔サウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)や対抗WBA世界ウェルター級王者マニー・パッキャオ(フィリピン)らとのメガ・ファイトが基本路線だろう。

 一方、ダニー・ガルシアは「今夜は彼のほうが優れたファイターだった。言い訳はしない。彼のジャブは優れていた。これが試合のキーだった」。負けを受けいれたダニー・ガルシアは、ポーター、サーマンと比較しスペンスが最も強いと強調した。

 負けてしまったが、ガルシアはスペンスの強打に耐えぬいた。ウェルター級トップのなかでもタフネスは筋金いり。ふたたびチャンスはやってくるだろう。

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