【結果】エマヌエル・ロドリゲス対レイマート・ガバリョ

 ボクシング・WBC暫定バンタム級タイトルマッチが現地時間12月19日米コネチカット州アンキャッスルで行われレイマート・ガバリョ(フィリピン)がエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に2−1(115−113、110−118、116−112)の判定勝ちを収め暫定王座獲得に成功した。

 勝ったガバリョは24戦全勝20KO、負けたロドリゲスは21戦19勝12KO2敗(1KO)と再起に失敗。ロドリゲスがリングを旋回しアウト・ボックスし的確なパンチをガバリョにコネクトしロドリゲスが勝利したかに思えたが採点結果はガバリョだった。試合背景、結果を簡単に振り返ってみたい。

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当初とは全く違うカードへ

 もともと、WBC世界バンタム級タイトルマッチ、王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)とノニト・ドネア(フィリピン)が争う予定だったが、ウバーリ、ドネアが新型コロナウイルス(COVID-19)に感染したため、エマヌエル・ロドリゲス対レイマート・ガバリョという全く違うカードへと置き換わった。

レイマート・ガバリョは本物かどうか

レイマート・ガバリョ
国籍 フィリピン
年齢 24歳

身長 168cm
リーチ 173cm

米リング誌 圏外
ESPN 圏外

プロ戦績 23戦全勝20KO KO率86%

 まだ実力者と対戦がないガバリョにとってロドリゲス戦は大きなテストになる。23戦全勝レコードを誇り右の強打が最大の武器だ。勝てば、バンタム級トップ戦線に躍りでることができる。

 レイマート・ガバリョは、フィリピン出身の24歳。マニー・パッキャオの故郷として知られるジェネラル・サントスから北へ20分いったポロモロックで生まれ育った。父はトラック運転手、母親はパイナップル工場で働いていた。

 ガバリョは、祖父が用意したサンドバッグでボクシングを教えられたという。14歳のとき、地元のサンマンジムへ移籍。サンマン・プロモーションズの社長はガバリョに関心を示したという。「彼は16オンスのグローブで自分より大きな男達をノックアウトした」と同時を振り返っている。

 アマチュア経験は僅か30戦だが、ハイレベルな相手とスパーリングで経験を積んでいる。日本では井上尚弥、山中慎介のスパーリング・パートーナーとして来日。ジムでは同胞のマーロン・タパレス、米フロリダ、マイアミではギレルモ・リゴンドーとしもスパーリングを積んだ。なかでも、ガバリョは井上のスピード、パワーを高く評価している。

 23戦全勝レコードを誇るガバリョは本物なのかどうか。バンタム級のなかでもパンチャーであることは間違いないが、世界基準の相手との経験はなく、スキルは未知数。パンチとしての精度はドネアか。24歳と勢いにのるガバリョの自信を持って放つパワーショットはロドリゲスにとって脅威になるが、ジャブは優れているのか。スキル、タフネス、スタミナなど全てが試される戦いになる。

ロドリゲスは再起戦

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 一方、ロドリゲスはWBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)で井上尚弥に負けて以来の再起戦だ。「彼はノニト・ドネアよりもアグレッシブだけど、ディフェンスは決して良いとはいえない。

 ガバリョはドネアとタイプとしての傾向は似ているから対戦相手が変わったことは影響はないよ。調整する必要はないしゲーム・プランどおりだ。ドネアのほうがタフな戦いになると思っているけど、ガバリョを軽視しているわけではないよ」。とコメントしている。

 ロドリゲスのスタイルは安定感があるが、19ヶ月のブランクがありサビつきが懸念される。当初、2019年11月ルイス・ネリー(メキシコ)戦が合意していたが、ネリーが1ポンドの体重超過の失態。違約金し支払い試合を強行に踏み切ろうとしたが、ロドリゲス陣営が拒否したことで試合は中止となっている。

 もちろん、ネリーがリミットを守らなかったことが悪いが、米FOXがPPV配信するメジャー舞台。ロドリゲスは1つのチャンスを逃してしまったともとれる。理不尽この故ないプロ・ボクシング界、またとない機会を受け入れる選択肢もあった。

 ネリーはPBC(プレミア・ボクシング・チャンプオンズ)と契約。この試合は米FOXがPPV配信するWBC世界ヘビー級タイトルマッチ王者デオンテイ・ワイルダー(米)とルイス・オルティス(キューバ)戦のPPVアンダーカードだった。

 ネリー戦が中止となったりロドリゲスの次戦は全くの白紙。ウバーリが休養王者へスライドしたことで、ドネアとのチャンスを掴みレイマート・ガバリョとの試合が決まった。

 パンチャーのガバリョをどういなすのか。ガバリョはパンチャーという観点では井上と似ているが、粗々しさ獰猛な面を持ち合わせている。実績レベルではロドリゲスに分がある。パワーショット以外、特質的なものを持ち合わせてないガバリョは、テストマッチとなる。

ロドリゲス対ガバリョ結果

 両者の持っているスキル、経験の差は大きかった。試合がおわったロドリゲスの顔は勝ちを確信していたように見えた。まさか、自分が負けるなんて思ってなかったはずだ。

 ただ、一方で精度の高いパンチをコネクトしいくつかのラウンドでチャンスはあったもの、安全運転に徹したことはマイナスだった。ガバリョは自慢の強打は空をきり、ジャブの精度も悪く攻撃の軸がなく、後半はフラストレーションをためていた。

 参考までに上のCompuBoxの表を見てほしい。パンチの的中率ではロドリゲス、パワーショット、ジャブでも上回っている。

 ロドリゲスのアウトボックスが機能した戦いだった。筆者の採点ではガバリョが明確にとったラウンドは8回だけ。深刻なダメージを与える有効打は少なかったが、ラウンド毎にガバリョの体制を崩す有効なパンチを当てていた。

 開始ゴングから、ガバショは強振してくるが、ロドリゲスが打ち終わりに右ストレート、左ジャブのカウンターで対抗。ジャブのカウンターを合わせガバリョがバランスを崩した。パンチの的確さ相手に与えたダメージでロドリゲス10−9。

 2ラウンド、ロドリゲスはリングを旋回。強打はフットワーク、ブロックで外し、すきをついてジャブをガバリョの顔面にコネクトしリズムを作った。中盤、ロドリゲスはアングルを変えたワンツーが浅くヒット。際立ったのはロドリゲスのディフェンスの良さだ。互いに有効打はないものロドリゲス10−9。

 3ラウンド、ガバリョが攻勢を強めた。このラウンドはロドリゲスの手数も少なくどちらに振れてもおかしくないラウンドだった。ガバリョ10−9。

 4ラウンド、ロドリゲスはアウトボックスを徹底。ジャブからリズムを掴むと接近戦で右のクロスカウンターを炸裂させるとガバリョがグラつきバランスを崩した。終盤、ハードなジャブでガバリョの顔面を跳ね上げた。ロドリゲス10−9。

 5ラウンド、序盤、ロドリゲスのアングルを変えたワンツー、残り一分で右ストレート、終盤にはワンツーででガバリョを揺らした。ガバリョは突破口をつかめずにいた。ロドリゲス10−9。

 6ラウンド、ガバリョはパンチを強振するもあたらずフラストレーションがたまる展開。ロドリゲスは、終始アウトボックス、ジャブ、ワンツーで主導権を握る。ロドリゲス10−9。

 7ラウンド、中盤にはいったがガバリョがロドリゲスをおいかけ、ロドリゲスがカウンターを狙う構図は変わらない。有効打はなくどちらに振れてもおかしくないラウンド。ロドリゲス10−9。

 8ラウンド、ガバリョは手数こそ多いがロドリゲスの身体にあてるまでいかず空を切るシーンがめだつが、中盤、左フックをあてるとロドリゲスが一瞬とまった。ロドリゲスはカウンターを当てたが、単発でインパクトが弱い。ガバリョ10−9。

 9ラウンド、有効打はないが、序盤ロドリゲスが打ち終わりにカウンターをセット。後半、右ストレート、ワンツーを当てたが有効打はなし。見方によっては割れるラウンド。ロドリゲス10−9。

 10ラウンド、ロドリゲスのジャブのカウンターを当てたガバリョはバランスを崩した。しかし、安全運転のロドリゲスは追い打ちをかけなかった。有効打でロドリゲス10−9。

 11ラウンド、有効打はなかったが的中率でロドリゲス10−9。

 12ラウンド、最終ラウンドになったがロドリゲスはアウトボックスを崩さなかった。有効打なしロドリゲス10−9。

ロドリゲス対ガバリョ採点スコア

source by boxingscene

 相手を効かせる明確なクリーンヒットは少なかったが、それでも、ガバリョを揺らしたロドリゲスに振れるラウンドは多くこの採点結果は疑問だ。しかし、ここまで技術の差を見せ付けたロドリゲスはなぜ倒しにいかなかったのかは疑問だ。そこまで、慎重になる相手だっただろうか。

 いくつかのラウンドはチャンスがあった。初の米国のメジャー舞台だったことを考えれば、ロドリゲスは消極的に写った。有観客であればブーイングの嵐だっただろう。そして、勝ち負けよりも次に繋げるインパクトも圧倒的に不足していた。

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