IBF世界ミドル級王者ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)がDAZNから報酬減額を求められていることが分かった。交渉が停滞しているIBF指名挑戦者カミル・シェルメタ(ポーランド)戦は2020年12月18日開催の予定。ゴロフキンがDAZNが掲示する新たな契約条件に同意すれば決まる見通し。ゴロフキンはミドル級最大のライバル、カネロを捕まえることができるだろうか。
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ゴロフキン、シェルメタ戦は報酬減額か
米Athletic社によれば、DAZNは、ゴロフキンの報酬1500万ドル(DAZNストック・オプション含む)から減額を求めているという。ゴロフキンはDAZNとの新たな契約にサインすれば、12月18日フロリダでIBF1位指名挑戦者カミル・シェルメタ(ポーランド)戦が決まる見通し。
HBO(米プレミアム・ケーブルTV局)がボクシング中継から撤退。キャリア後期に入ったゴロフキンは、ESPN(米スポーツ専門チャンネル)、PBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)のオファーを検討したが、最終的にDAZNと6戦約1億ドル(約103億円)という巨額の契約を締結させた。
報酬減額は無理もない。DAZNは設立以来、最大の試練を迎えている。2020年3月、新型コロナウイルス(COVID-19)がパンデミック(世界的流行)となり世界中のスポーツ需要が蒸発しDAZNの経営環境に深刻な影響を及ぼしている。
全世界に800万人のユーザを持つDAZNは、2020年5月2日、ボクシング・コンテンツを主にし新たに200カ国にローンチし成長を加速する狙いだったが、新型コロナウイルスの影響で世界中のプロ・スポーツが中止。ビッグ・ファイトの計画もすべて白紙となった。
ポートフォリオがスポーツ一点のDAZNは大きな影響を受けたことは間違い。スポーツの需要がなくなったことでユーザーの解約や一時的な離脱は避けられず減収は免れないはずだ。
DAZNはJリーグと契約更新したが、他のスポーツ・リーグの中断した試合について放映権料を支払わない意向を示している。まだ、黒字化できてないが欧州でサービスを拡大したことで、契約者数は伸び800万人まで増加していた。
ゴロフキン対カネロ3は実現するのか
レガシーを追い求めるカネロがゴロフキンとの再戦を必要とするかが焦点だ。現実的にみれば五分五分という感じだろう。2020年3月米メディアのレポートでは、カネロがゴロフキンとの再戦に同意したニュースがあったが不透明感は漂う。そして、とりわけ懸念されるのがゴロフキンがシェルメタに勝てるかどうかだ。
以前よりもカネロとの再戦は実現しやすくなっている。カネロは契約問題をめぐり契約するGBP、DAZN(ダ・ゾーン)と法廷闘争中だったが和解が成立。カネロは、DAZN、GBPと契約解除しFA(フリー・エージェント)となったことでGBPとの仲介がなくなりカネロは動きやすい環境になっている。
実際、DAZNはカネロと10戦3億6500万ドル(約410億円)という巨額な契約を結んだが、思うように購読者が伸びず1戦約37億円の資金が重にとなっていたことは間違いない。
月額課金されるサブスクリプション・モデルは企業にとって安定的な収益を生み出すが、カネロに投資した資金を回収するには、5年間で毎月60万人の新規契約者数が必要になる。
カネロやマニー・パッキャオ(フィリピン)のような1試合、数十億円稼ぎだすスーパースターの報酬は米国のTV局でも全て賄えない。PPV(ペイ・パー・ビュー)で資金調達するのが一般的だ。
DAZNは、大きな看板を失ったことに違いはないが、1戦約37億円という報酬が適正だったかどうか。カネロ対カラム・スミス(英)戦の契約を成功させたように、今後は適正な報酬でカネロ戦まとめる機会は増えることは間違いない。
スミス戦をクリアーすれば、IBF世界スーパーミドル級王者カレブ・プラント(米)、WBC世界ミドル級王者ジャーモール・チャーロ(米)とのPPV(ペイ・パービュー)戦も選択肢の1つとなるが、カネロ獲得に向け争奪戦となるだろう。
カネロ戦獲得に向けShowtime(米ケーブルTV局)や、北米で有力アドバイザーのアル・ヘイモン氏が舵取りするPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)も動くだろう。カジュアル層に認知され北米でメジャー・ファイトになるゲンナディ・ゴロフキンとの再戦はDAZNの報酬アップも期待できることから有力候補となりそうだ。
カネロ対ゴロフキン3は必要なのか
米メディアではドローの採点。米国のファンのあいだでは完全決着を求める声は多い。米メジャー誌の記者やTV局の関係者らはゴロフキン勝ち指示が40人、ドローが17人、カネロ勝ち指示したのは僅か2人だった。
DAZNが躍起になりマッチメークに乗り出すのは理解できる。新規ユーザーを獲得できるチャンスになりビッグ・イベントとなるからだ。一方で、38歳とピークを過ぎ衰えたゴロフキンとのマッチメークに否定的な意見もあるだろう。ミドル級をリードしてきたゴロフキンはもはや、ミドル級トップラクラスではない。今がピークのカネロが勝って証明するものがあるかは疑問だ。
ゴロフキンは、パワーは健在だとしてもスピード、反射神経、下半身の衰えは顕著に現れている。直近のセルゲイ・デレイビャンチェンコ(ウクライナ)戦では、機動力あふれるデレイビャンチェンコに大苦戦。あわやダウン寸前の場面もあった。そして、ゴロフキンは2021年4月で39歳を迎える。デレイビャンチェンコ戦のレビューは->こちら。
決まればゴロフキンは不利フラグがたつことは免れない。だが、そうだとしてもゴロフキンはカネロとの再戦を臨むにちがいない。ゴロフキンはDAZNと6戦契約し1億ドルとDAZNのストック・オプション、そして契約条件にカネロとの再戦が盛り込まれサイン。カネロとの再戦は報酬アップの条件付きだ。もちろん、報酬だけでなくリベンジしたい気持ちもあることは間違いない。
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