カネロ、DAZN、GBP裁判の和解が成立真相を探る

 ようやく、決着がつきカネロがFA(フリー・エージェント)になった。カネロは、契約するGBP(ゴールデンボーイ・プロモーションズ)、DAZNを相手取り契約違反を訴え2億8000万ドルの損害賠償を求めていたが、GBP、DAZNの間で協議され和解が成立。DAZNと10戦3億5000万ドルで結んだ契約は無効。晴れてフリー・エージェントとなった。カネロの主張、GBPとの関係、カネロの今後の動向を占いたい。かなり問題は複雑だった1つずつ整理してみたい。

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 米国にローンチしたネットストリーム配信事業DAZN(ダ・ゾーン)と10戦3億6500万ドル(約410億円)というスポーツ史上最高額の契約を締結したが、ロッキー・フィールディング(英)でお披露目。ダニエル・ジェイコブス(米)、セルゲイ・コバレフ(ロシア)僅か2戦で契約が終わった。

カネロはBJサンダース戦が中止

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 カネロは、DAZNと契約しダニエル・ジェイコブス(米)、セルゲイ・コバレフ(ロシア)戦を締結したもの、契約するGBPとの関係は悪化を辿っていた。GBP、DAZNと次戦に向け話し合ったが、報酬や対戦相手の承認を巡り平行線に終わり、カネロ、GBP、DAZNの溝は深まっていった。

 もともと、カネロは2020年5月にWBO世界スーパーミドル級王者ビリー・ジョー・サンダース(英)と対戦することが合意しオフィシャル発表目前だったが、新型コロナウイルス(COVID-19)がパンデミック(世界的流行)となり消滅。カネロは2020年大きな計画があったもの全てが白紙となった。

 DAZNは広告塔のカネロを全面に押し出し2020年5月、200カ国に向けプロ・ボクシングをメインに新たにサービスをローンチするはずだったが、パンデミックとなり蒸発。DAZNは、カネロと同じ時期にゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)とシェルメタのIBF指名戦をセット。9月メキシコの独立記念日にゴロフキンとの3部作目のシナリオを描き、他にもアンソニー・ジョシュア(英)、マイキー・ガルシア(米)を起用したビッグ・イベントを模索していた。

DAZNはプレミアムな対戦相手を求めていた

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 パンデミックとなり世界情勢が大きく変わるとGBP、DAZNの関係はますます悪化していった。カネロとGBPの不仲説は以前にもあったが、1年以上前からカネロとオスカー・デ・ラ・ホーヤ氏の仲は終わっていた。カネロはGBPに対し強い忠誠心を示していたが、デ・ラ・ホーヤ氏と直接会話することなく弁護士を通じての会話だったという。

 世界中の首都がロックダウン(都市封鎖)となりスポーツの需要が蒸発。スポーツ一極集中のDAZNは設立以来の窮地に見舞われた。コロナウイルスの収束の見通しが全くつかないまま、3者間でWBO世界スーパーミドル級王者ビリー・ジョー・サンダースやWBA世界スーパーミドル級王者カラム・スミス(英)が交渉テーブルにあがったが交渉はまとまらなかった。

 DAZNは4000万ドル(内訳は3500万ドルがカネロ、残り500万ドルがGBP)、GBPに支払う予定だったものパンデミックとなり苦境に立たされたDAZNは報酬減額を要求。カネロが報酬減額に応じれば試合が行われる計画だったという。

 カネロはDAZNの報酬減額に応じたが、オファーしたカラム・スミスやBJサンダースは「プレミアム」ではないとDAZNサイドから拒否された。

カネロはGBP、DAZNを提訴

 そして、カネロは報酬を含め提案した対戦相手を承認しないDAZN、GBPオスカー・デ・ラ・ホーヤ氏を契約違反で訴え契約金の残額2億8000万ドルの損害賠償を求めた。

 まず、カネロが主張したのが対戦相手の承認について契約内容だった。カネロは最終的な対戦相手の決定権があると主張。しかし、DAZNはGBPとの契約で最終決定権があると互いの認識は異なっていた。米メディアによれば、GBPとDAZNが交わした契約ではDAZNが承認権をもち「プレミアム」の対戦を求めていたという。

カネロ、DAZNとの契約は単独ではなかった

 報酬以外、カネロ、GBP分断のきっかけになったのがカネロの対戦相手だ。カネロはDAZNと契約しジェイコブス、コバレフ戦を締結したもの、DAZNが実現させたかったのはカジュアル層に認知されているゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)との3部作目。ジェイコブス、コバレフは「プレミアム」な対戦相手ではなかった。

 カネロがDAZNと契約した内容のなかでゲンナディ・ゴロフキン戦は盛り込まれていなかったが、GBPを仕切るオスカーデ・ラ・ホーヤ氏がDAZNと2019年9月にゴロフキン戦を口頭合意したという。当然、何も知らないカネロはDAZNからゴロフキン戦を猛烈プッシュを受けたがゴロフキン戦に同意することはなかった。

 カネロがデレイビャンチェンコ、コバレフ戦の交渉が具体化したとき、GBPがDAZNとの間でコバレフ戦を承認するにあたり交渉カードとしてゴロフキン戦を提案したのだろう。しかし、デレイビャンチェンコとの交渉で足元を見られたGBPは交渉に失敗。IBF王座を失ったカネロはGBPに対し不信感を顕にし対立が鮮明になった。

 ここで明るみになったのがカネロとDAZNの契約だ。当時、カネロがDAZNと単独契約したと報じられていたが、実際にはカネロはGBPとDAZNが交わした契約の一部だった。

 DAZNは和解に向けカネロ陣営に1試合2000万ドル、新規購読者数に歩合の報酬、ストック・オプションを提案したが、カネロ陣営は提案を拒否。法廷闘争は長期戦になる恐れがでていた。

カネロはフリー・エージェントに今後はどうなるのか

 「カネロはプロモーターやネットワークとの契約はなく完全なフリー・エージェントになる」。カネロの弁護士グレゴリー・スミス氏は和解が成立したことを明かした。和解の詳細は秘密保持契約でわかっていないもの、カネロはGBP、DAZNから離脱。DAZNとGBPとの提携関係は今後も維持されるという。

 DAZNはカネロが離れたことで大きな推進力を失ったが、別の見方をすれば思うように北米の購読者増加に繋がらずDAZNの重荷になっていたカネロの報酬3500万ドル(約36億8459万円)から開放され、別の資金として回すことができる。

 カネロを手放したことは打撃は大きいが今後、カネロ戦を締結できる可能性はある。カネロはプロモーターと契約はせずフリー・エージェントの身となり今後は、共同プロモーターとしても動いていく姿勢を示している。

 もちろん、メイウェザーがShowtime(米ケーブルTV局)と電撃契約したように同じ道を辿る可能性もあるにせよ、単戦で契約していく方向もありカネロの対戦候補となるゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)、WBO世界スーパーミドル級王者BJサンダース、WBA世界スーパーミドル級王者カラム・スミス(英)を傘下に抱えるDAZNと提携関係にあるマッチルーム・ボクシングと協業する可能性はあるだろう。

 今後は、流動的になるにせよこれまでカネロの仲介役だったGBPを離脱したことで以前よりフレキシブルに動きやすくなった。そして、30歳となった全盛期のカネロのキャリアが、法廷闘争で停滞せずにすんだことが幸い。今後は、グローバルに活躍することが期待されるキャリア・プランにも注目したい。

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