少なからずこういった可能性はあったもの、残念な結果となってしまった。カネロの対戦相手にWBO世界ライトヘビー級王者セルゲイ・コバレフ(ロシア)戦の交渉の行方に注目が集まっていたが、ゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)は、WBA・WBC・IBF世界統一ミドル級王者サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)は9月14日試合を行わないことを発表した。カネロ中心で回るミドル級、今後どうなるのか。

 「メキシコ代表として、5月、9月に戦うことは名誉であり大きな責任を伴います。ミドル〜スーパーミドル級王者として可能な限りエキサイティングな戦いをファンに提供する義務があります。GBPとチームで話し合った結果、延期することにしました」
 カネロは、GBPを通じて声明を発表した。


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カネロ、ゴロフキン3部作目の交渉は破断

 カネロは、元統一ミドル級王者ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)との3部作目が有力視されていたが破断となった。カジュアル・ファン層を獲得できるこのカードは、カネロと契約したDAZN(ダ・ゾーン)にとって新規ユーザ獲得を期待できるカードだったが、交渉が進むと両陣営は開催地をめぐり交渉は難航した。

 ラスベガス開催で意向を示すGBPと、カネロとラスベガスで2戦して何れも納得のいかない判定結果だったゴロフキン陣営はベガス以外、ニューヨーク、テキサスでの開催を臨み、意見は真っ向から対立し交渉の進展はなかった。

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カネロ、コバレフ戦が浮上

 ゴロフキンとの再戦は、開催地の問題もあったが、DAZNが強烈なプッシュをしたがカネロ本人が「ゴロフキンとの決着は既に付いている」と再戦に関心を示さなかった。DAZN陣営と話し合いのもと、DAZNがゲンナディ・ゴロフキンの他承認したのがセルゲイ・コバレフだったのである。

 交渉が具体化した当初、カネロはスーパーミドル級で戦うことも可能だったが、2階級上のライトヘビー級まで視野を広げ、しかも36歳となりキャリア後期に入ったとはいえライトヘビー級屈指のパンチャーであるコバレフ戦が具体化するとは思わなかった。

 しかし、コバレフ戦を合意するには解決すべき問題は多く時間がなく、合意に向け懸念されることは多かった。コバレフはWBO(世界ボクシング機構)からアンソニー・ヤード(英)との指名戦を命じられ既に基本合意。つまり、コバレフがカネロ戦に切り替える場合、コバレフ陣営がヤード陣営に待機料を支払う必要があった。

 実際、GBPがコバレフ陣営にオファーした金額は不明だが、600万ドルより低かったと言われている。一旦、交渉は決裂したかと思われたが試合を締結させたいGBPとコバレフ陣営の間で水面下で交渉は続けられていた。

 しかし、コバレフを擁するメインイベンツ社のキャシー・デュバ氏は「問題が多すぎて時間が足りなかった」と断念。結局はまとまることなくコバレフはヤード戦が正式発表となった。

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カネロの対戦相手の候補は

 カネロの次戦は誰になるのだろうか。カネロは、保持するIBF(国際ボクシング連盟)から同級1位セルゲイ・デレイビャンチェンコ(ウクライナ)との指名戦を命じられている。最新の動向をみてみよう。

ゲンナディ・ゴロフキン

 DAZNと複数戦9桁(数千万ドル)の契約を締結。スティーブ・ロールス戦後、カネロとの再戦を強く臨んでいたのには理由があった。ゴロフキンは当初カネロとの再戦がトップ・プライオリティじゃないと話していたが、方針転換したのはDAZNと契約した際にカネロとの再戦が含まれていたことが理由だ。

 米メディアによれば、ゴロフキンは、カネロとの再戦が頓挫したことでブラントとの再戦に勝ったWBA世界ミドル級王者村田諒太(帝拳)、DAZN傘下のWBO世界スーパーウェルター級王者ハイメ・ムンギア (メキシコ)、セルゲイ・デレイビャンチェンコ(ウクライナ)が候補に挙がっている。

 なかでも確度がたかそうなのが、セルゲイ・デレイビャンチェンコ戦だが先行きは不透明だ。IBFはカネロに対しデレイビャンチェンコとの指名戦を命じカネロは指名戦に応じない姿勢を示していたが、一転し秋にデレイビャンチェンコ戦の検討段階に入っている。

もともと、カネロはIBF(国際ボクシング連盟)からデレイビャンチェンコとの指名戦を義務付けられていたが、カネロ陣営はベルトを手放す方針で、IBFがデレイビャンチェンコとゴロフキンに対して空位の王座決定戦をするよう命じていた。7月23日が交渉期限だったが、米メディアによるとIBFの入札は延期、カネロ陣営とデレイビャンチェンコ陣営の間で合意に向け交渉がスタートした。

もし、カネロがデレイビャンチェンコとの指名戦がまとまればゴロフキンの候補はムンギアと村田諒太の2人。9月のメキシコの独立記念日の週末にムンギア戦が決まれば注目を集めるファイトになる。ただ、ムンギア陣営の準備ができているか合意に向け懸念されることは多く、こうなってくると村田諒太も十分、候補になりえる可能性が出てくる。

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WBA王者村田諒太

 ロブ・ブラントとの再戦に勝ち村田諒太が世界のラインに戻ってきた。初戦の内容が完敗だっただけ再戦は村田不利の声も少なくなかったが、オッズは思っていたよりも開いていなかった。開いてなかったのは村田が本来の力を出せば勝てるという見方もあったからだろう。

 リベンジに成功した村田は、ゴロフキンやメキシカン・アイドルのカネロとのミドル級ビッグ・ファイト実現が臨むも、カネロ、ゴロフキンは人気者で対戦を臨むファイターは多く、中継局の障害など超えなければならないハードルは多く簡単には決まりそうもない。

 カネロ戦はともかくとして、ゴロフキン戦は、ジャパン・マネーを積めば実現する可能性はあるが、村田は米国ではESPNと提携するトップランクがプロモート、ゴロフキンはDAZNと独占契約を結んでいる関係で、おそらく合意するには村田がDAZNのリングに上がることが条件となる。

 そして、ブラントの再戦に勝った村田は、契約に再戦条項がありブラント陣営が再戦条項を行使する見通し。ゴロフキン戦が実現する可能性は少なからずあるとはいえ、ミドル級中心の舞台はDAZN、トップランクの舞台で実現は難しい。

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WBO世界Lヘビー級王者セルゲイ・コバレフ


 9月のメキシコの独立記念日の週末は延期。カネロの次戦は11月か12月に予定されているという。

 今回、カネロが延期した理由の1つとして、膝の状態が良くないという噂が出回っているが「サウルは完璧な状態だ」カネロのトレーナーを務めるエディ・レイノソ氏は噂を否定。「サウルは12月にリングに戻ってくるだろう」と述べている。

 カネロ対コバレフは消滅したが、コバレフ陣営はコバレフが8月24日ロシアで行われるアンソニー・ヤード戦をクリアすれば、再びカネロ陣営と交渉する構えを見せている。

 28歳にしてメキシコのアイコンとなったカネロ。ヒスパニックのコミュニティに支えられる北米市場では商品価値は傑出した存在だが、カネロと同じ位の人気、実力を兼ね備えたボクサーは不在、ライバル不足に陥っていることは間違いない。

 次戦は11月か12月、米ラスベガスかニューヨークが有力。現時点でDAZNがカネロの相手として承認しているのは、ゲンナディ・ゴロフキンとセルゲイ・コバレフの2人。デレイビャンチェンコ戦はDAZNが首をたてにふるかどうか。ただ、デレイビャンチェンコは米リング誌ミドル級トップ10に入る実力者、ダニエル・ジェイコブスと争ったIBF世界ミドル級王座決定戦は負けたが内容的には接戦だった。

ひとまず、カネロとデレイビャンチェンコの指名戦がまとまるかどうかで今後が大きく変わってくる。カネロが指名戦に応じて合意すれば、
ゴロフキンの候補からデレイビャンチェンコが外れ、ムンギアか村田諒太が候補に挙がってくる。村田諒太はブラントとの再戦条項があるが、ゴロフキンがオプションに入れば検討しない理由はないだろう。カネロの9月の試合が中止、DAZN、GBPを含め2020年5月ビッグ・ファイトに向けどんなシナリオを描くのか興味深い。

(Via:boxingscene

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