「ファンが望む試合をしたい」29日東京、有明コロシアムで井上尚弥は、ワルリト・パレナス(フィリピン)との試合後のインタビューでそう語った。井上尚弥は、1年ぶりのリングでブランクの影響も心配されたが、そんな心配は不要だった。黒のガウンを身にまといリングインした井上尚弥の表情は自信に満ちあふれていた。もはや、日本のリングでは小さすぎる。世界へ飛躍するスターとなることは確実だろう。

 「ガードの上からでも効かせた」井上尚弥は、2014年12月、名王者・オマール・ナルバエス(アルゼンチン)との試合を再現したようなKO劇だった。1ラウンドから、パレナスをスピードで圧倒。2ラウンド、ガードの上から叩きこんだ。パレナスは、パワフルな井上の回転力の高いコンビネーションに為す術が無く沈んだ。パレナスは、試合後「自分がどう対応していいかわからなかった」とコメントしている。

米国デビューへの期待感が高まる

 パレナス戦をクリアした井上尚弥。ファンが望むのは米国でのデビュー、その後、最強王者・WBC世界フライ級王者・ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との頂上決戦だ。井上尚弥をプロモートする大橋ジム 大橋会長は、2016年に井上尚弥の全米デビューを明言。大橋会長は、米・大手ボクシング・プロモーター トップランクから、米国での試合のオファーの要請があったことを明かしている。今や、米国のプロモーターだけでなく、米・最大手ケーブルTV局のHBOも井上尚弥のマッチメイクに興味を示し、井上尚弥の米国デビューの機運が高まっている。
 
 米国からのオファーは、2014年12月に行われた名王者・オマール・ナルバエス(アルゼンチン)戦。序盤から名王者を圧倒し、センセーショナルなKO劇に全世界が衝撃を受けた影響が強い。米・ボクシングメディア boxingsceneは、井上尚弥を2014年間最優秀選手として選出。米で最も権威あるリングマガジンも、井上尚弥を年間最優秀選手としてノミネート。今や、井上尚弥は、日本だけでなく、SNSソーシャル・メディア、海外のボクシング・メディアを通じて、世界中のボクシング・ファンから注目を浴びている。

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ロマゴンとの試合の行方

 2015年、WBC世界フライ級王者・ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)の活躍もあり、HBO(米・大手ボクシング中継局)ピーター・ネルソン氏は、ゴンサレスを絶賛。北米で、軽視されてきた軽量級選手の評価が見直されスポット・ライトが当てられ、北米で活躍する舞台が整っている。ネルソン氏は、高水準の対戦相手が求められるゴンサレスの対戦候補者として、具体的に井上尚弥の名前を上げスーパーマッチのマッチメイクに意欲的だ。

 ゴンサレスは井上より1階級下のフライ級だが、2016年、4階級目となるスーパーフライ級への参戦を表明。ゴンサレスは、米で最も権威あるリングマガジンのパウンド・フォー・パウンド(PFP)”全階級をとおして最強のボクサーランキング”1位に君臨。ゴンサレスは、HBOと契約をしエドガル・ソーサ、ブライアン・ビロリアの強豪を粉砕。米・東海岸、西海岸で高い知名度があり「商品価値」は高い。井上尚弥とのスーパーマッチが実現するならば、井上尚弥が数戦米国でキャリアを積んだあとになるだろう。

米国デビュー戦は、ナルバエスとの再戦か?!

 HBOは、井上尚弥とローマン・ゴンサレスのスーパーマッチを実現すべく、2016年井上尚弥の米国デビューのアシストをするという。真相は定かではないが、井上尚弥の米国デビュー戦の対戦候補の1人として、前WBO王者・オマール・ナルバエス(アルゼンチン)との再戦が計画されているという噂もある。

 井上尚弥、オマール・ナルバエスは初戦の契約条件に再戦条項(オプション)が有り、ナルバエスも井上との再戦を望んでおりナルバエスとの再戦は濃厚。世界のボクシング界が激震したナルバエスとの再戦が米国で実現すれば話題性も有り、米国デビュー戦、井上のキャリアを考えればオマール・ナルバエスは対戦相手として合理的だ。

 もはや、スーパーフライ級のトップコンテンダーで井上尚弥と同水準の対戦相手は、元IBF世界スーパーフライ級王者・ゾラニ・テテ(南アフリカ)くらいしか筆者は思いつかない。井上の無限のポテンシャルを引き出せる相手として、やはり、あの男(ロマゴン)とのスーパーマッチ実現しかない。

 2016年は、北米でのビッグイベントは、4月9日、マニー・パッキャオ(フィリピン)がラスベガスでラストマッチを行う。5月7日には、WBC世界ミドル級王者・サウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)が、ラスベガスで初防衛戦を行うことが内定。井上はダメージは無く、この当たりの興行のアンダーカードで決まれば最高の米デビュー戦の舞台となる。米国ボクシング・ファンの前に激震が走る瞬間、世界に「INOUE」の名を刻みこむ日もそう遠くない未来にやってくるだろう。

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