2015年5月2日、米・ネタバ州ラスベガスにあるMGMグランド・ガーデン・アリーナで全世界のボクシング・ファンが望んでいた世紀の一戦、フロイド・メイウェザーJr.(米)、マニー・パッキャオ(フィリピン)の試合が遂に実現。2015年ボクシング界に大きな区切りがついた。しかし、「世紀の一戦」が終わった今も尚、メイウェザーJr.、パッキャオこの2人の需要は高く、次期スター候補が不在というのが現状だ。

現ウェルター級は、フロイド・メイウェザーJr.、マニー・パッキャオを筆頭に、IBF世界ウェルター級王者ケル・ブルック、WBA世界ウェルター級レギュラー王者キース・サーマン、ショーン・ポーター、マルコス・マイダナ、ダニー・ガルシアなど次期スター候補がひしめき合い、フロイド・メイウェザーJr.、マニー・パッキャオ後のスターの座をかけて覇権争いが過熱。今回は、asukaさんのブログ記事に便乗、ウェルター級の主力選手の近況を記事にした。プロスペクトは記載しきれていない為、今後アップデート予定。

フロイド・メイウェザーJr.

“ディフェンス・ジーニアス”と言っても過言では無いだろう。L字ガードを基点とし、スウェーバック、ボディワーク、ショルダーロールで構成された鉄壁のディフェンス・ワークはマスター・クラス。ディフェンスの基本であるブロッキング、パーリンも距離、シーンによって使い分ける。

1998年10月3日、ヘナロ・エルナンデスが持つWBC世界スーパーフェザー級王者に挑戦し、8回TKO勝利を収め王座を獲得。その後、ライト級、スーパーライト級、ウェルター級、スーパーウェルター級のベルトを獲得、5階級制覇を達成。

適正階級は恐らく、スーパーライト級。ウェルター級、スーパーウェルター級はフィジカル的には厳しい。しかし、自らTBEと称す男は長年のキャリアを得て吸収したスキルを、自らのスタイルを変え適応する能力を持ち合わせている。

15年以上、今もなお王座に君臨し、米・ボクシングメディアで最も権威のあるThe Ringより、PFP(パウンド・フォー・パウンド)No1.と評価されている。

次戦2015年9月12日がラスト・ファイト

フロイド・メイウェザーJr.は、2013年2月、米・大手ボクシング中継局Showtimeと6試合で200億円の大型契約を交わした。次戦アンドレ・ベルトとの試合はShowtimeとの契約の最後の試合となり、フロイド・メイウェザーJr.はShowtimeとの試合を最後に引退すると公言。

Showtimeとのラスト・ファイトは49戦目。49戦無敗の記録は、ロッキー・マルシアーノと並ぶ記録だ。自他共に認めるPFP(パウンド・フォー・パウンド)No1のフロイド・メイウェザーJr.が49戦目を最後に引退するか否かは不透明感が強く。米・メディアでも2016年に50戦目を行うという見方が強い。

メイウェザーJr.自身が恐らく認識しているとおり、最大の武器、強みは、自身が最大の「商品価値」も持っていることだ。今も尚マーケットの需要は高い。Showtimeとの6試合の契約が終わる2015年9月12日以降はメイウェザーは、フリーの身。50戦目を行うとなれば各方面からオファーが来ることは間違いないだろう。

メイウェザーと同じく話題を呼んでいるのは、プエルトリカン・スター ミゲール・コット、次世代のスター候補サウル・アルバレス、無敗の王者ゲンナディ・ゴロフキンの3人。メイウェザーは、復帰戦でアル・ヘイモン氏をアドバイザーとして迎えるは不明だが、この3人とマニー・パッキャオとの再戦が、興行観点でも濃厚だと考えている。

コット、カネロの勝者とゴロフキンの統一戦が義務付けられているが、コットが統一戦を望むかは不透明感が強く、タイトル剥奪も辞さない構えを見せている。コットのアドバイザーを務めるギャビー・ペニャガリカーノ氏は、メイウェザーとの再戦について魅力的な試合だと再戦の意向があることを示唆している。

2015年5月2日「世紀の一戦」の想像を絶するプレッシャーから開放された、ロイド・メイウェザーJr.。アンドレ・ベルトとの試合は、「50戦目」へ向けた調整試合という見方が強い。ベルト戦後、公言しているとおり「引退」を発表。来年にかけて復帰戦を発表のシナリオか?!何れにしてもベルト戦後も話題が尽きないだろう。

マニー・パッキャオ

photo by:HBO

photo by:HBO

メイウェザーとは対照的な、野性味溢れるエキサイティングなスタイルは、多くのボクシング・ファンを魅了する。オフェンス面での評価が高いが、パッキャオは前後左右とポジショニングを変え、強打の連打を放ってもディフェンスが大きく破綻することは少なく優れた防衛能力も兼ね備えている。現在は、母国フィリピンの国会議員を努めフィリピンの公共事業にも投資し多くの国民の期待を背負っている。2015年5月2日「世紀の一戦」でメイウェザーJr.に敗戦を喫したが、新世代の勢力が強く無い今、パッキャオの「商品価値」の低下はさほど影響はなく、依然としてマーケットの需要は高いと言える。しかし、長い間メイウェザーJr.とボクシング界を牽引したパッキャオも引退が近いのは事実だ。

2016年トップランクとの契約が切れる

2016年にパッキャオをプロモートするトップラックとの契約期限が切れる。パッキャオ自身も引退を示唆していることから、近い将来引退が近いことは事実だろう。

フライ級でプロ・デビュー。スーパーバンタム級でIBF世界スーパーバンタム級王者リーロ・レジャバとの対戦が急遽決定。番狂わせでレジャバを下した。その後、バレラ、モラレス、マルケスを撃破しパッキャオのサクセス・ストーリーが始る。今のパッキャオが有るのは、名トレーナー、フレディ・ローチとのコンビ。バレラ、モラレス、マルケスこの3人が居たからと言っても過言ではない。

パッキャオの最大の武器は、鋭いステップインからの回転力の高いコンビネーション・ブローを打つとこだ。パンチの確度に変化をつけ、ポジションを変え、頭の位置を変え、ダッキング、ウィービング、フェイントを駆使する。攻防一体のバランスの精度は高い。相手は、パッキャオのスピードに翻弄されついていけないことが多い。

2016年は2試合以上を予定

パッキャオは、メイウェザーJr.戦前に肩を負傷。現在、肩の怪我は回復しているが現時点で次戦の対戦相手は不明。パッキャオ自身はメイウェザーJr.とのリマッチを望んでいるが、メイウェザーJr.は2015年9月12日アンドレ・ベルトとの対戦を最後に引退すると公言しており、実現するかは不透明感が強い。

トップランク ボブ・アラム氏は、「パッキャオは、2016年に1試合を消化して、フィリピンの上院選挙に出馬する見通してある」とボブ・アラム氏は語ったが、パッキャオは、ボブ・アラム氏の発言についてレポーターに、「自分の身体は自分が一番よく分かっているよ。アラム氏が言ったことは聞き流して欲しい。過剰に反応しないで欲しい」と述べ、2016年、2試合以上することを示唆している。

ウェルター級で人材に乏しいトップランクの元マッチメイクが行なわれるのであれば、テレンス・クロフォード、ルスラン・プロボトニコフが候補として考えられるが、ビッグマッチとしてインパクトが弱いのは歪めない。

トップランク ボブ・アラム氏は、アミール・カーンを上げているが、ヘイモン傘下のファイターと試合がする可能性はゼロに近い。メイウェザーとの試合でヘイモン氏との交渉が成立したのは、今までにない大きな収益が見込めたからだ。

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ケル・ブルック

現ウェルター級で、メイウェザーJr.、パッキャオを抜きに考えれば他のウェルター級選手より一歩突出してる選手。実力も有り長期政権が確実だろう。エディ・ハーン率いる英国マッチルーム・プロモーションに所属。英国では知名度・人気ともに高く、マッチルーム・プロモーションの看板選手だろう。英国は、近年では米国以上にボクシング人気は高い。ケル・ブルックは、軸ぶれず体幹が強くバランスが良い。パンチはコンパクトで決して大振りはしない。ディフェンスも距離により、ブロッキングだけでなくフットワーク、ボディワークを駆使し使い分ける。パンチは鋭角でパワーがありそうだ。持ち前のスピード、テクニックを駆使。試合運びが上手く主導権を握る力に長け総合力が高く、まさに”The Special One”だ。

ショーン・ポーターと試合を行う前、ケル・ブルックは米国では殆ど無名。無敗の挑戦者として当時IBF世界ウェルター級王者ショーン・ポーターへ挑み、ポーターがワイルドなパンチを振るい入ってくるが、上手くさばき、接近戦はクリンチ・ワークで無効化。距離を取り作戦を変更するポーターだが、ブルックは、左ジャブ、右ストレートでポーターの手鼻を叩き中間距離においてもポーターを圧勝。12回判定で勝利を収めIBF世界ウェルター級王座奪取に成功した。

エディ・ハーン氏は、同じ英国人であるアミール・カーンとのメガ・イベントを英国開催で望んでいるが、2015年内の実現する可能性は低そうだ。メイウェザーとの試合も望まれていたが、米国での知名度は低く実現には至らなかった。ケル・ブルックは次戦、ブランドン・リオスとの対戦交渉が進められていたが、再試合条件で合意できず交渉が決裂。次戦は10月24日、英国・シェフィールドでディエゴ・チャベスと試合を行うことが決まっている。

関連記事:決定!ケル・ブルック次戦ディエゴ・チャベスと2015年10月24日対戦

キース・サーマン

image source to:The Ring

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初回KOが多くKO率は80%、”One Time”の異名を持つワイルドで端正な顔立ちのキース・サーマンは、現WBA世界ウェルター級の王者。ウェルター級の門番的存在のディエゴ・チャベス、ヘスス・ソト・カラスにKO勝利。直近では、ロバート・ゲレロ、ルイス・コラーゾを撃破し、次戦以降はビッグマッチと言われている。

KO率とはうらはらにレオナルド・ブンドゥとの対戦以降は、ソト・カラ、チャベス戦で見せたワイルドな部分だけでなく、クレバーな一面を見せファイト・スタイルに変化が見える。しかし、無駄なフットワークも多くみられ課題は多い。コラーゾ戦では、カウンターのボディ・ブローでダウン寸前。試合には勝ったが、後半はコラーゾのペースで進んでいた。ハードパンチャーと言われてきたが、クレバーな一面の代償は大きく、実力者に勝利しているもののインパクトが弱い。次期スター候補だが本人が言うとおり次戦以降、マイダナあたりとの実力者との対戦は望まれる。

ショーン・ポーター

ポール・マリナッジと対戦破りし、IBF世界ウェルター級王座を獲得。マジック・マンの異名を持ち相手の上手さをかき消すマリナッジとの対戦は、初回からポーターがワイルドなパンチを当て、主導権を握り4回TKO勝利。この頃、ポーターは、フロイド・メイウェザーJr.の次期対戦の有力候補として上がるが、ケル・ブルックとの初防戦に敗れメイウェザーとの対戦のチャンスを失った。

パワフルなパンチャーだが、コンビネーション・ブローは決して丁寧とは言えず。ブルックのようなスピードが有り、フットワークを使える攻防一体型の選手は苦手に見える。ブローナー戦では、フットワークを駆使し中間距離か左リードで入り左ストレートを効果的に当てていた。自慢の接近戦での強打はブローナーのクリンチワークで封じられた。今後は対戦する選手のレベルも上がることから、パワーパンチをどう当てるかが課題となるだろう。

エイドリアン・ブローナー

スーパーフェザー級、ライト級、ウェルター級と3回級を制覇。最近では、リング上、私生活共に”プロブレム”が目立つ、アル・ヘイモンがアドバイザーを務める。L字ガードを基点とするディフェンスの使い手からメイウェザーの後継者と呼ばれた時期もあるが、マルコス・マイダナ、ショーン・ポーターに敗戦し商品価値を落としている。しかし、依然注目度が高い選手である。

スーパーフェザー、ライトで通用した自慢の強打は、ウェルター級の強者達の前では通用しない。しかし、ハンド・スピード、体の反応スピード、生まれ持った身体能力は高く適正階級の見極めをし、ライト級に階級を落とせばブローナーに勝てる選手は居ないだろう。

スタンスは広く、ディフェンスはやや重心を後ろに残したL字ガードを基点とするが、マイダナ戦においてはパンチの軌道が読めずディフェンスを破られた経緯が有り、距離によってはブロッキングも使う。これは、ブローナーのスタイルとも言えるが、パンチは有るが、地に足をつけた状態で放つので、ステップインして踏み込んで打つパンチほどの威力を発揮しない。スーパーライト、ウェルター級に留まり輝きを取り戻すのであれば、トレーナーの変更などが急務だろう。

次戦、米国現地時間2015年10月3日、同級ランキング5位のカビブ・アーラフベルディエフ(ロシア)と空位となっているWBA世界スーパーライト級王座決定戦が行なわれる。

関連記事:WBA王座決定戦、ブローナー、アーラフベルディエフ次戦2015年10月3日

ルスラン・プロボドニコフ

プロボドニコフは、”シベリアン・ロッキー”の異名を持つ、ロシアのウォリアー、バナー・プロモーション傘下の契約選手。勇敢に相手に立ち向かう姿は多くのボクシング・ファンを釘付けにする。近年、ビッグマッチは多いが相手に攻略される面も多く、どちらかと言えばBサイドだ。ファイト・スタイルはわかりやすいブル・ファイター。ディフェンスは疎かになるが相手に強いプレッシャーをかけて前に出て得意のイン・ファイトに持ち込む。前に出る際、多少の被弾は覚悟の上。一発の強打の破壊力は壮絶。そして、12ラウンド戦い抜くタフネスと強靭の精神力の持ち主で決して諦めたりはしない。

突貫ファイターが故に、ヘッド・ムーブがなく、アルゼンチンの強打者ルーカス・マティセ戦では、左ジャブ、アッパーで出鼻をくじかれた。しかし、強打者同士の対決、パワー・パンチはプロボドニコフが上。マティセを一時追い込む場面も見せた。マティセは、この試合はプロボドニコフにアジャスト試合となり試合には勝ったもの得意とするパワー・パンチと引き換えにボックスを選択することを余儀なくされた試合でもあった。

次戦は、母国ロシアで試合が計画されている。HBOとの契約も切れ現在はフリーの身。所属するバナー・プロモーションズは、トップランクともビジネス関係にあるが、クリス・アルジェリをPBCのリングに上げている。陣営の今後の方針次第では、Showtimeとの契約、PBCでの活躍が考えられる。

ティモシー・ブラッドリー

“デザート・ストーム”の愛称で知られるブラッドリーは、トップランク所属の選手。マニー・パッキャオと対戦し、疑惑の判定で勝利を収め注目を集めた。その後、ルスラン・プロボドニコフと対戦し判定勝利を収めるも、自身の長所であるスピード・ボクシングではなく、激闘王プロボドニコフの土俵で打ち合いに応戦。試合は2013″fight of the year”となり素晴らしい試合となったが、ピーターソン戦で魅せたフットワーク、出入りのスピードを生かし回転力のある連打で相手を翻弄したスピード・ボクシング、技巧派な一面は何処へ。最近では、ファイター・スタイルへと変貌を遂げている。

ブラッドリーは次戦、ブランドン・リオスと対戦することが確定。試合は決まったがWBOのタイトルマッチとなるかは不明。WBOは、ティモシー・ブラッドリーに対し次戦ランキング1位のサダム・アリとの義務的防衛戦を指令。WBOは、リオスとの試合を承認する条件として、勝者が次戦にサダム・アリと試合をすることの確約、サダム・アリへの待機料の支払いを上げている。

関連記事:決定!ブラッドリー次戦、ブランドン・リオスと2015年11月7日に対戦

アミール・カーン

マリナッジ、ジュダー、マイダナに勝ち順当なキャリアを積み次期スター候補とも呼ばれるが、キャリア中盤、ダニー・ガルシアとの統一戦で敗退。ビッグマッチから遠のいている。カーンは、アル・ヘイモン氏がアドバイザーを務る。ダニー・ガルシアとの統一戦に勝利し王座を防衛していれば、フロイド・メイウェザーJr.への挑戦権を得ていただろう。

カーンは、ダニー・ガルシアに敗れたあと。トレーナーを務めるフレディ・ローチ氏と決別。新たにバージル・ハンター氏をトレーナーとして招いている。カーンは、ハンドスピードこそ速いが、パンチはウェイトが乗りきれてなくて上体だけで打つことが多い。しかし、スピードがあるシャープなジャブ、回転力のある連打は大きなアドバンテージとなるが、ディフェンスを意識するが故に、パワー・パンチが無いのは痛手。

Showtime Sports(米・大手ボクシング中継局)副社長 スティーブ・エスピノーザ氏は、アミール・カーンの次戦にルスラン・プロボドニコフ(ロシア)の試合を計画していることを明かしている。

エスピノーザ氏によると、ルスラン・プロボドニコフは、アミール・カーンとの対戦に同意。現在、アミール・カーン陣営と試合の詳細について最終調整を実施。試合が合意に至れば、米国現地時間2015年11月7日、ニューヨーク州ブルックリンにあるバークレイズ・センターで開催する予定だと述べている。

関連記事:カーン、プロボドニコフ戦を否定!次戦はパッキャオ戦を希望

カーン、次戦プロボドニコフと2015年11月7日開催に向け交渉が開始