バランチェクがWBSS離脱を表明。選手への報酬未払い問題が発覚し揺れるWBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)、シリーズ存続が危惧されたもの準決勝の日程がようやく決まった。

 WBSSシーズン2(バンタム級、Sライト級)準決勝の日程が正式に決定。WBSSは公式サイトを通じて、現地時間4月27日米ルイジアナ州ラファイエットにあるケイジャンドームで、バンタム級、Sライト級準決勝が行うことを発表した。


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プログレイス対キリル・レリ


 Sライト級はWBA・WBCの王座統一戦、WBC世界Sライト級ダイアモンド王者レジス・プログレイス(米)/23戦全勝19KO対WBA世界Sライト級キリル・レリ(ベラルーシ)/25戦23勝(19KO)2敗で行われる。

 プログレイスは、WBC正規王者ホセ・ラミレス(米)への挑戦権をもっていたが、ラミレス陣営トップランクの意向もあり即時挑戦が出来ずにいた。

 これに対しWBCはいつもの対応。まず、WBCは暫定王座を設置。WBSS出場を決めたプログレイスに対し、空位のダイアモンド王座決定戦を充てがうことで対処した。

 バンタム級準決勝は、WBAスーパー・WBO王座統一戦。WBO世界バンタム級王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)/31戦28勝(21KO)3敗(1KO)が、トーナメント初戦でWBA世界バンタム級スーパー王者ライアン・バーネット(英)に勝ったノニト・ドネア(フィリピン)/44戦39戦(25KO)5敗(1KO)と争う。

 盛り上がる決勝のかたちは、井上対ドネアだ。すでに全盛期をすぎたドネアがテテに勝利することが条件だが、準決勝もう1つのグループ、井上尚弥(大橋)がロドリゲス(プエルトリコ)を突破すれば理想的だ。

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WBSSのずさんな運営体制

 WBSSは、メジャー4団体に王者が君臨する時代に階級の真の王者を決めるトーナメントだ。今回、日本のエース、WBA世界バンタム級王者井上尚弥(大橋)のエントリーが決まり日本でも大きな話題となったが、準決勝目前でWBSSのずさんな運営体制が露呈した。

 WBSSシーズン1決勝は米国での中継は叶わなかったが結果的には、Sミドル級決勝は中東ジッダ、クルーザー級はロシアから巨額のオファーを得て結果的に大成功を収た。

 しかし、シーズン2準決勝でWBSSのずさんな管理体制が顕となり、イバン・バランチェクは準決勝に進まず辞退が濃厚。Sライト級にエントリーしているレジス・プログレイス(米)陣営も、WBSS陣営に不信感を顕にしている。場合によっては辞退する可能性もでてきている。

 悪い噂が漂うWBSS、資金調達が上手くいってないことは間違いない。ファンからシーズン2準決勝開催にあたり不安視する声もすくなくない。当初、2月か3月に開催が予定されていたが、大幅にずれみトーナメントの組み合わせは決まっていたもの、資金調達が遅れ正式発表までかなりの時間を要した。

 バンタム級準決勝、ドネア対テテは正式発表されチケット販売が開始。ファンから待望される井上尚弥対ロドリゲスは主催者から正式発表されたが、まだチケット販売のアナウンスはない。

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WBSSファイトマネー支払いの遅延

 まず、最初に問題が発覚したのは参加している選手への報酬未払い問題だ。米リング誌によれば、トーナメントに出場して初戦を勝ち抜いた何人かの選手への数十万ドルのボーナスが未払いだという。

 米メディアで大きくとりあげられたあと、WBSS主宰者のカレ・ザワーランド氏は「すべての選手への支払いが完了した」と慌てて声明を発表。WBSSのずさんな管理体制が露呈した。

 通常であれば報酬は試合当日に支払われるが、WBSSは契約が異なっていた。米リング誌によれば、トーナメントを勝ち抜けば試合毎にボーナスが支払われる契約で、選手が支払い請求書を提出して5日営業以内に支払われる契約だったという。

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バランチェクがWBSS辞退を表明

photo by:boxingscene

 報酬問題は解決したと思われていたが、問題はまだ続き事態は悪化していた。報酬未払い問題で具体的な選手の名前があがってなかったが、Sライト級にエントリーしていたイバン・バランチェクが突如WBSS離脱を表明したのである。

 バランチェクが離脱したことで、日に日にファンのあいだでWBSSに対する不信感が強まる中、WBSSがこの問題にどう対処するか注目が集まっていた。そして、WBSSは急遽5月18日、スコットランドにあるグラスゴーで、Sライト級準決勝ジョシュ・テーラー対イバン・バランチェク戦を発表した。

 バランチェク陣営は報酬の支払いが2ヶ月間遅延していたと主張。準決勝に進むプロセスで、報酬、ボーナスを金融機関へ預託することを要請したが、WBSS陣営はそれを拒否した。WBSSに強い不信感もったバランチェク陣営は離脱する方針を固めた。

 テーラー対バランチェクは、5月18日グラスゴーで開催することがWBSS主催者側から正式発表されたが、WBSS側とバランチェク側のあいだに生じた亀裂は深く、バランチェクは辞退して代替選手となる可能性が高まっている。

WBSSバンタム級賞金4億円は本当なのか

 実際、日本ではWBSSバンタム級の優勝賞金が400万ドル(約4億円3800円)になると報じられているが、主催者側から正式にアナウンスがあったわけではない。そもそも、そこまでの資金をかき集めることができるだろうか。

 欧米で需要がない軽量級バンタム級開催、中量級にあたるSライト級ジョシュ・テーラーは別にしても、欧米に大きなファン・ベースがある選手はエントリーしてない。つまり、集客など興行観点では苦戦を強いられる可能性は極めて高い。それに、主催者側がどうやって選手のボーナスや、報酬を工面するのか懸念されることは多い。

 米本土、フェザー級でもっとも稼ぐメキシカン、レオ・サンタ・クルスの報酬が100万ドル(約1億1000万円)だ。北米のマーケットはヒスパニックに支えられているだけあり、サンタ・クルスの興行となれば、多くの観客が駆けつけ視聴率も期待できる。つまり、ホスト局もスポンサーを集めやすく、それ相応の報酬を選手に支払うことができる。

 しかし、今回のように欧米に大きなファン・ベースがない選手に対し、そこまでの報酬の支払いが本当に可能なのだろうか。詳しい契約条項などは分からないが、WBSSは米国のDAZN(ダ・ゾーン)が独占中継する結んだが、放映権料、イベント収益だけでは到底その金額はカバーしきれない。

 米プレミアム・ケーブルTV局HBOが軽量級Superflyシリーズを開幕して軽量級への注目度が高まったとはいえ、欧米では軽量級の需要は低い。仮に賞金額が1億円だとしてもかなりの破格だろう。井上の米国デビュー戦の報酬が1700万ドル、この金額に日本での放映権料などが加算され最終的に4000万円と言われている。

WBSSは多くの信頼を失った

 4団体王者がいる中で階級最強を決めるトーナメント開催に動いたWBSSの方向性に共感したファンが多いはずだ。近年では、プロモーターがホスト局と契約を結んでいることで統一戦の実現がより困難になっている。
 
 WBSSはそういった問題を全て解決してくれる。エントリーさえ決まれば、よくメディアで「対戦相手が逃げた」と言われるような、難航する統一戦の交渉からも開放され、マッチメークに悩まされる心配もない。それでいて階級の序列が明確になる。

 それに、このトーナメントは普段スポットライトが当たらない選手の救済的な役割ももっている。報酬や知名度アップと多くのメリットをもたらす。

 しかし、今回の件でWBSSは多くの信用を失ったことは間違いない。今後、失った信用を取り戻しブランドの価値を維持し続けることができるだろうか。

(Via:boxingscene

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