再戦合意が近いとみられていたワイルダー対フューリーの交渉が暗礁に乗り上げた。WBC(世界ボクシング評議会)がダイレクト・リマッチを指令した再戦は、フューリーがトップランク社と契約したこで延期となる可能性が出てきた。

 タイソン・フューリー(英)/28戦27勝(18KO)1分は米トップランク社(有力ボクシング・プロモーター)と共同プロモートする契約を締結。フューリーをプロモートするクィーンズ・ベリー・プロモーションズとトップランクは米国で複数戦する契約で合意した。フューリーは米国のマットにトップランクとパートナー関係にあるESPN(米スポーツ専門チャンネル)が中継する舞台に登場する。


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フューリーの契約金は

photo by:boxingscene


 米トップランク社、ESPNという大きな後ろ盾を手にしたフューリーは「フランクとクィーンズベリー・プロモーションズが、米国でイベントを開催するにあたりトップランク社と契約できたことを嬉しく思っている」と述べた。

 クィーンズベリー・プロモーションズは、以前にトップランク社と英国で開催するイベントを米国向けにESPN+で中継する契約もしている。今後、フューリーの試合は米国向けにはESPN、英国向けにはBT Sport社が中継することになる。

 フューリーとトップランク社との契約の詳細は公になってないが、タイトルマッチを含む複数戦契約。契約金は、8000万ドル(約88億5445万円)という噂も飛び交っているがオフィシャル発表はない。

フューリーがトップランク社と契約

 第1戦のおわりは再戦に続く形で幕を閉じた。それだけに、再戦交渉の行方に注目が集まっていた。米メディアより合意が近いと報じられ、交渉はスムーズに進んでいるかに見えたが、急遽フューリーがトップランク社と契約したことを発表するという急展開を見せた。

 オフィシャル発表前にリーく情報は、全くなかった。まさか、交渉が続いてる中こうした展開になるとは思わなかった。この発表には、ワイルダーの共同マネージャーを務め交渉に従事していたシェリー・フィンケル氏と再戦を命じ交渉に介入したWBCマウリシオ・スライマン会長も驚きだったことは間違いない。

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ワイルダー対フューリー再戦交渉

 「タフなネゴシエーションを強いられているけど入札の必要はないと思う」交渉に従事していたシェリー・フィンケル氏はこう述べていた。交渉の進捗を把握していたWBCスライマン会長は、合意が近いことを示唆。必要があれば入札を含め後押しする姿勢を示していた。

  交渉は最終段階だと思われていた。しかし、交渉は思いのほか進んでいなかった。フューリーをプロモートするフランク・ウォーレン氏によれば、ワイルダー陣営と7日間連絡を取っていなかったという。

 交渉関係者にれば、ペイ・パー・ビュー(PPV)の報酬分配、ジャッジの選定、開催地、そのほか秘密契約など課題は山積み。早期に合意することは難しかったという。再戦の交渉は5月18日米ニューヨークか、ラスベガスで進められていた。

ワイルダー対フューリー再戦は延期か?!

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「ワイルダーと戦いたいけど、今はオプションがある」

 再戦は規定路線だったが、このままだと延期となる公算が高い。再戦交渉は、フューリーがESPNと手を結んだことは合意に向け大きな弊害になる。ワイルダーはESPNの対抗勢力のShowtimeと契約するアル・ヘイモン氏が事実上マネージャーを務めているからだ。

 特に今回の再戦は第一戦よりスケールが大きくなることが予想され、前述したようにPPVの報酬分配など合意に向けいくつも課題がある。フューリーがESPNと契約したことは交渉のハードルをさらに上げることになった。

Showtimeと密接な関係にあるワイルダー

 ワイルダーがフリー・エージェントを明言。はたして、本当にそうだろうか。ワイルダーはアル・ヘイモン氏と共に共同でフィンケル氏がマネージャーを務めているが、PBCを指揮するアル・ヘイモン氏の影響力は大きい。

 基本的にワイルダーと同じヘイモンと契約する選手は、TV局と契約を交わしてない。直接契約を交わさない理由は、ヘイモンが契約するShowtime、FOXにフレキシブルに選手をアサインするためだろう。
 
 ただ、ヘイモンと契約する選手はヘイモンへの忠誠心は高く、よほどのことがない限りワイルダーもヘイモンから去るとは考え難い。

 これまでにも、米ボクシング界に本格参戦したエディ・ハーン氏がエイドリアン・ブローナー(米)やチャーロ兄弟獲得に向け、巨額のオファーを掲示したもの結局ヘイモンから引き離すことはできなかった。

 ヘイモンから去ったトップ選手は唯一、当時WBA世界ミドル級王者だったダニエル・ジェイコブス(米)のみである。

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フューリーがトップランクと契約した意味

 フューリーとトップランクが手を結んだことは予想外の動きだった。タフな交渉をしていると伝えられていたが合意が近いとみられていた。ところが、フューリーがトップランクと契約することを発表。また、アラムの横やりかと思うファンも多いだろう。

 フューリーがトップランクと契約した背景はなんだったのだろうか。

 フューリー陣営からすれば、ESPNとの契約はワイルダー陣営と交渉する上で優位に立つ唯一の手段だった。もし、交渉がこじれ入札になれば豊富な資金があるワイルダーのプロモーターに影響力があるアル・ヘイモン陣営が相当な資金を投入してくる。

 入札になればフューリー陣営が勝てる見込み薄い。トップランクと組めば、ESPNという強力な後ろ盾ができ、興行権入札になったとしも対等に戦えることができる。

 何より、フューリーにとってESPNと契約することの意味は大きかったはずだ。クリチコを下したもの薬物問題が勃発、責任を取る形で現役引退を発表。2018年再起戦を経てワイルダーとの米英対決でふたたびヘビー級で強い存在感を世界に示した。

 ESPNとの契約は、今回ワイルダーとの再戦で対等に交渉に臨むためのカードだったことは間違いない。フューリーにとっても米国で本格的参戦する上で契約者数が減ったとはいえ、7000万世帯以上をもつESPNのプラットフォームは大きい。契約は合理的だったと言える。

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ワイルダー対フューリー再戦、今後はどうなるのか

 今回、フューリーがトップランクと契約したことについて2階級を制覇したアンドレ・ウォード(米)は次のように述べている。

 「フューリーがトップランクと契約したことはボクシング界にとって悪いことではない。ファイターは将来のために決断する必要がある。それをみれることは素晴らしい」

 確かに今回のフューリーとトップランク契約は、少なくても選手からすれば悪いニュースではない。しかし、現ヘビー級トップ3がそれぞれ別のパートナー局と契約したことは、今後のマッチメークに及ぼす影響は大きい。

 クリチコ政権でヘビー級が一時停滞していたが、米英をはじめ近年にないほどヘビー級はふたたび世界的にも注目を浴びている。ヘビー級トップ3で米リング誌1位にランクするWBA、WBO、IBFの王座をまとめる英国ボクシング界の象徴アンソニー・ジョシュア(英)は9万人の観客を収容できるマンチェスター・スタジアムを埋め尽くす。

 そして、そのジョシュアが遂に6月1日米ニューヨークの殿堂MSGアリーナに登場。地元ブルックリン出身のジャレル・ミラー(米)と対決することが決定している。クルーザー級4団体を統一したウクライナン、オレクサンデル・ウシクがヘビー級参戦を表明。すでに、アレクサンデル・ポベトキン(ロシア)戦が具体化、5月18日シカゴ開催に向け交渉が進められ、ヘビー級は近年にないほど動きが活発になっている。

 利害関係が複雑だとはいえ、今後ヘビー級トップ3、ジョシュア、ワイルダー、フューリーがぶつかることがなく終われば関係者の責任は大きい。もし、本当にそうなればファンの失望感、業界全体へのダメージは避けられない。
 
 フューリーが言う通り、ワイルダーとのダイレクト・リマッチは一先ず延期と考えたほうがいいだろう。今後は、楽観的なトップランク社ボブ・アラム氏が、どういったシナリオを考えるか興味深い。

 アラム氏は、ワイルダー対フューリー再戦まえに臨時の試合を挟み実現したい方針を示している。米ボクシング界は4局体制(ESPN、DAZN、Showtime/FOX)以前より、ファンが臨むカードの実現が難くなり落胆するファンの声も少なくない。

 今後、ボクシングが本当に活気を戻すには、GBP(ゴールデンボーイ・プロモーションズ)オスカー・デラ・ホーヤ氏が公言するようにベスト対ベストのカードが必要。トップランクと敵対勢力であるヘイモンが共同歩調の道を模索し垣根を取り払うことができるだろうか。

(Via:boxingscene)

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