今後は、フロイド・メイウェザーJr.(米)とのリマッチに向け動き出すのだろうか。40歳を迎えたパッキャオ、長年サポートを受けていたトップランク社(米有力プロモーター)を離脱。アル・ヘイモン氏と契約しPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)移籍後、初戦のPPV(ペイ・パー・ビュー)が40万件に到達することが分かった。


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photo by:boxingscene

 フィリピンの英雄マニー・パッキャオが米本土での知名度を改めて証明。当初、米メディアは32万5000件から35万件の範囲内になると予想していたが、予想を大きく上回る結果となった。

 パッキャオ対ブローナーのPPV購買件数は、2018年12月米ロサンゼルスで行われたヘビー級米英対決として注目されたワイルダー対フューリー戦の32万5000件を超え、パッキャオが依然として米本土で高い求心力があることを示した。

 米ESPN(スポーツ専門チャンネル)シニア・ライターのダン・レーフィル氏によると、関係者らの話から米プレミアム・ケーブルTV局Showtimeが中継した1月19日米ネバダ州ラスベガスMGMグランドガーデン・アリーナで行われた元4階級制覇王者エイドリアン・ブローナー(米)のPPVは40万世帯に購入されたと報じている。

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パッキャオ、ブローナー戦の収益は約39億円

 パッキャオ対ブローナー戦を管轄したネバダ州アスレチック・コミッション(NSAC)によれば、有料チケットは11,410枚、グッズ等の物販を合わせたゲート収益は600万ドルに到達する見込みだという。PPVとあわせ最終的な収益は3600万ドル(約39億4100万円)に到達、イベントは十分成功したといっていいだろう。

 当日、約1万7000人を収容できるMGMグランドガーデンの上階の一部は、パーティションで仕切られ小さめにセットアップ。主催者から観客は13025人と発表されていた。

 この数値は、ティモシー・ブラッドリー(米)第3戦で記録したゲート収益640万ドル、有料チケット13046枚に匹敵する。もちろん、パッキャオが40歳をむかえ全盛期をとうに過ぎていることを考えれば、ジェフ・ホーン(豪)戦で商品価値が暴落したが、ルーカス・マティセ(アルゼンチン)戦を経てパッキャオに対する期待値が再び高まっていることは間違いない。

 パッキャオのPPVイベントは現役引退を撤回し、2016年11月米ラスベガスでジェシー・バルガス(米)戦に臨んだ以来、実に2年ぶり。バルガス戦は米トップランク社が独自のPPVで中継。バルガスの知名度もありPPVは30万件と振るわなかった。

 ルーカス・マティセ戦の印象的なパフォーマンスが功を奏し、良くも悪くもブローナーの知名度がユーザーの購買意欲を高めたことは間違いない。今戦パッキャオは1000万ドル(約10億9400万円)が報酬として確約。この金額にPPV歩合が加算される。

 世界中のボクシング・ファンが注目するのはフィリピン英雄パッキャオが次に誰と戦うかだ。一時は、商品価値が暴落したが再び持ち直し再評価されたパッキャオ。PPVファイトとなれば大金を生み出すフロイド・メイウェザー(米)とのリマッチ、或いはWBA世界ウェルター級スーパー王者キース・サーマン(米)戦に進むのだろうか。

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商品価値が暴落したパッキャオ対ホーン戦

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  パッキャオは、2017年7月世界的に無名のジェフ・ホーン(豪)と戦い0−3の判定負け。米国を中心に判定結果が物議を醸しパッキャオ勝ちの論調。しかし、パッキャオはウェルター級トップとは到底言い難いパフォーマンスだった。

 ホーンは世界的にみてもほぼ無名、陣営が軽視した可能性はある。往年の動きはないにせよ、フィリピンの上院議員として国政を担うパッキャオ、とりわけ政治活動がトレーニングに及ぼす影響は当初から懸念されていた。

  パッキャオの衰えもあったが、トレーニング、調整不足は明白。9回、ホーンをグラつかせチャンスを掴んだがフィニッシュすることは出来なかった。パンチも大振り、キャリアを振り返ってもワーストの出来。111-117の採点は兎も角としても判定結果がどうであれ商品価値低下は免れない内容だった。

 ホーン戦の契約には再戦条項があったもの、フィリピンの上院議員として政治活動するパッキャオは多忙を極めスケジュールの影響もあり再戦は叶わず、ホーンへはトップランク傘下のエースが当てがられた。パッキャオと同傘下のSライト級で4団体統一王者、リネラル王者で2階級を制覇したトップランク傘下のエース、テレンス・クロフォード(米)がホーンに挑戦することが決定したのである。

 実際、クロフォード対ホーンを締結させることは容易だった。ホーンをプロモートするデュコイベンツ社とトップランクは友好関係を築いていたからである。

 当初、パッキャオの復帰戦はクロフォード対ホーンのアンダーカードで、マイク・アルバラード戦の交渉が進んでいたもの、進捗は思わしくなかった。パッキャオは、クロフォードのアンダーカードで戦うことに不満を示し、アミア・カーンと中東ドバイで試合を行うと公言。パッキャオはトップランク傘下で育ったがキャリア終盤に入り、当然アラム氏の言いなりではなく自らの意思で決定したい思いはあっただろう。

 ボブ・アラム氏が、クロフォード対ホーン戦のアンダーカードにパッキャオを起用をほのめかしたのは、勝者とパッキャオを将来的に戦わさせることをシナリオとして、描いていたことは言及するまでもない。

 ホーンはパッキャオに何とか勝ちはしたもの、パッキャオより若くコンプリート型のクロフォードに勝つことは難しいという見方がほとんどだった。順当に両者が勝てば(パッキャオ対クロフォード )新旧対決の構図は避けられなかったはずである。

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パッキャオ、アミア・カーン戦は幻に

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 パッキャオ対カーン、かつて2人はフレディ・ローチ傘下でスパーリングも経験がある。実現すれば、スリリングな試合が期待できた。しかし、中東ドバイ興行は以前にもあげられたが不発に終わっており実現に向け不透明感が強かった。

 交渉が報じられ、中東の投資家から資金援助がありパッキャオ、カーン双方が同意したというニュース飛び込んできたが、どうにも信じ難かった。結局、投資家が資金をかき集めることができず今回も中東マネーは幻におわった。

 中東でのアミール・カーン戦が消え、ジェフ・ホーンとの再戦を次世代のスター候補テレンス・クロフォードに横取りされたパッキャオは、ソーシャルメディアを通じて、ゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)傘下のWBA世界ウェルター級王者ルーカス・マティセ(アルゼンチン)と戦たいと公言した。

 「問題ない。実現させよう。パッキャオのプロモーターのトップランク社ボブ・アラムに私かオスカーに連絡してもらえれば取引を成立させることができる。」

 当時、GBPは提携関係にあるHBOにカードを提供していたことから、放映権を巡り合意に向け懸念材料は少なくなかったものGBPエリック・ゴメス氏は、トップランクと提携するESPN(米スポーツ専門チャンネル)で中継することを前提に交渉を進めた。しかし、両陣営が試合を臨み同意しても解決すべき問題はまだ残っていた。

「マレーシアが決戦地だ。議員活動に支障のない5月でなければ6月の第3週にできると思う。」

 実は、パッキャオはIRS(米国税庁)から税金滞納で追われている関係で、舞台を米国以外に移す必要があった。決戦地は東南アジア、マレーシアにあるクアラルンプールでGBPとパッキャオのMPプロモーションズで交渉が進めれ、パッキャオは資金提供者がいることを明かしていた。一方、ボブ・アラム氏は、マレーシア開催について疑念を抱いてた。実際、マレーシア開催にあたり資金を確保できるか懸念する声少なくなかったっが、現地時間7月2日資金提供者から資金を受け取り、無事開催する運びとなった。

 ホーン戦はパッキャオ時代の終焉さえ感じたが、マティセ戦の圧倒的なパフォーマンスは、ファン関係者にアピールする十分な内容だったことは間違いない。パッキャオは、マティセから計3度のダウンを奪い再起に成功。王座に返り咲きに成功した。7回までの採点は59ー53でパッキャオが有利だった。

 もちろん、マティセは半引退状態でウェルター級の実績はないに等しいという意見もある。ただ、それでもマティセを圧倒したインパクトは十分だった。マティセは、2015年10月ビクトル・ポストル(ウクライナ)にKO負けした以降、22ヶ月ぶりのリングで無名のティーラチャイに勝ちWBAセカンドタイトルを獲得している。

「マティセはパワーがあるので、手数をだしてベストを尽くしました。マティセは厳しい相手だった。彼を倒すことができておどろいているよ。この試合にむけて我々は、厳しいトレーニングをしてきました」

 マティセ戦では、フレディ・ローチ氏がコーナーに居なかった。パッキャオのコーナーには、アシスタント・トレーナーで友人でもあるブボイ・フェルナンデスがついていた。パッキャオと長い間、コンビを組んできたがローチがいなくなったことで、ホーン戦後に解雇された噂が一斉に広まった。

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パッキャオはヘイモンと契約

 「次の試合の交渉はMPプロモーションズが窓口になる。誰も私をプロモートする権利はない。」

 パッキャオはツイッターを通じてFA(フリー・エージェント)を宣言。実際、いつパッキャオとトップランクの契約が切れたかは定かではないが、2018年7月マレーシアで行われたルーカス・マティセ(アルゼンチン)戦を最後に契約が切れた可能性は高い。

 実際、マティセ戦で興行を取り仕切ったのは、パッキャオが主宰するMPプロモーションズと、マティセを抱えるGBP(ゴールデンボーイ・プロモーションズ)でトップランクは、米国向けに提携関係にあるESPN(米スポーツ専門チャンネル)で中継しただけでイベントには殆ど関与してなかった。

 パッキャオがWBAタイトル・ホルダーとなりボブ・アラム氏は、パッキャオと会談するためフィリピンへ飛んだ。この時の会談内容は明らかになってないが、大方、アラム氏はパッキャオとトップランクの看板候補をぶつける気だったに違いない。

 歴史的にみても、全盛期を過ぎたスターにスター候補をぶつけるのはプロモーターの常套手段である。看板選手のWBO世界ウェルター級王者テレンス・クロフォード(米)や、WBA世界ライト級王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)とのオプションを掲示し、パッキャオにサインさせるつもりだったのだろう。

 パッキャオが、アル・ヘイモンと契約する噂は以前からあり、米メディアは合意が近く秒読み段階だと報じていた。しかし、合意に向け大きな課題があった。すでにエイドリアン・ブローナーが対戦候補にあがり交渉は具体化していた。

 日程は2019年1月19日、会場はパッキャオのホーム米ネバダ州ラスベガスにあるMGMグランドガーデン・アリーナだ。ヘイモンが主宰するPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)は、試合を管轄するNSAC(ネバダ州アスレチック・コミッション)に同会場で試合を行う承認を要請していた。

 パッキャオがヘイモンと契約したことで、ブローナー戦を合意することは容易だった。しかし、パッキャオはIRS(国税庁)の問題を早急に解決する必要があった。米メディアによると、パッキャオは、およそ3000万ドル(約34億円)の税金が未払いだったという。この問題を解消したのは、ヘイモンだったようだ。

 2足のわらじを履き、ホームである米国から敵地オーストラリアに出向き臨んだジェフ・ホーン(豪)戦、2018年7月東南アジア、マレーシアで行われたルーカス・マティセ(アルゼンチン)戦が米国外となったのは、税金を滞納し試合ができなかったらという理由が背景にあった。

 パッキャオのIRS問題が解決せず米国内で試合が行えなければ、死活問題になりかねない。40歳を迎えピークは過ぎているが、米本土でセンセーショナルを起こしファンを魅了したフィリピンの英雄は未だ強い求心力を持っている。

 フィリピンの国政を担うパッキャオは、以前にも税金滞納問題が報じられていた。ばら撒き政策に加え、取り巻きも多く資金難の噂は現役時代から絶えない。フィリピンの上院議員となり一旦は現役を退いたもの、復帰は時間の問題だった。

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パッキャオ対ブローナー

「マニー・パッキャオの旅はまだまだ続く」

 大方の予想通り、パッキャオが3−0(117-111, 116-112 2者)の判定でブローナーに勝利。マティセで再起したパッキャオは、今戦で再びウェルター級トップ戦線に絡む力があることを証明した。

 「40歳になっても戦略やトレーニングは同じだけど、回復や準備の調整が必要になってくる。ハードなトレーニングする場合、1日で回復することはできないから休ませる時間が必要なんだ」

 プロキャリア通算70戦、40歳を迎えた将来殿堂入りが確実視されているパッキャオは、キャリア終盤。ホーン戦で引退も囁かれたが、29歳のブローナーを相手に40歳とは思えない驚異的なパフォーマンスを見せた。

 「私はまだ現役だよ。彼がリングに復帰を臨み私に挑戦したいなら再戦しよう。ただ、今後のプランはアル・ヘイモン、PBCと協議するよ」

 ブローナー戦後、リング上でフロイド・メイウェザーとのリマッチを歓迎。メイウェザーとの再戦は高そうだ。パッキャオが古巣トップランク離脱を決めヘイモンと契約した真の目的は、メイウェザーの再戦だ。すでに、2人は40歳を超え第一戦のような莫大な収益は築けないが、PPVは少なく見積もっても200万件は見込める。

 ヘイモン傘下のトップ、WBA世界ウェルター級スーパー王者キース・サーマン(米)、3月に米テキサスで行われるIBF世界ウェルター級王者エロール・スペンスJr.(米)対マイキー・ガルシア(米)戦の勝者も候補に上がるだろうが、50万件に到達すればいいほう。何れにせよ、収益面ではメイウェザーとの再戦には遠く及ばない。

 しかし、再戦実現に向け2015年9月アンドレ・ベルト(米)戦以降、トップ戦線から外れリスク・ヘッジに余念がないメイウェザーが、パッキャオとの再戦に踏み切れるかが懸念される。

(Via:Yahoo! Sports)

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