今戦は王座返り咲きを狙うリナレスにとって重要な一戦だった。ゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)との契約が切れ、新たなキャリアがスタート。カノ戦をクリアーすればGBPとの延長や、トップランク社(米ボクシング有力プロモーター)との契約が見えていた。


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 今戦をクリアすれば、GBPと契約を延長して、WBO世界Sライト級王者モーリス・フッカー(米)、或いは米トップランク社(有力プロモーター)と契約してWBC世界Sライト級王者ホセ・ラミレス(米)、WBA・WBO世界ライト級スーパー王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)とのリマッチが交渉テーブルにあったはずだ。しかし、それもセサール・カノ(メキシコ)に惨敗したこで、ビッグ・ファイトは全て白紙となった。

リナレスはライト級で再起する方向

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 「5ポンドの違いは大きいね」

 リナレスをマネージメントするホセ・デラ・クルス氏は「ホルヘの家で会話した時、”Sライト級は僕のクラスではないね。159ポンドのファイターとは戦えない。僕は151ポンド、チャンレンジしてみたけど出来なかった。階級を改める”と彼から聞いている。

 彼はビッグファイトを臨んだ。我々は新しいウェイトに挑戦したけど、上手く行かなった。ルーク・キャンベル(英)との再戦や、ロマチェンコ対クローラ戦の交渉が上手く行かなければ、クローラとの第3戦を検討する」と述べている。

カノはリナレスに勝ち金星

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 「多くの記者が、リナレスにとってカノ戦はチューン・アップ戦と位置付けだったことは認識している。カノにはチャンスは与えられなかった。ただ、カノを明確にノックアウトしたのはマルセリーノ・ニコラス・ロペスだけだった」

 リナレスの世界前哨戦の相手としてカノは最適な相手だった。プロ41戦32勝(22KO)7敗(3KO)、シェーン・モズリー(米)、ポール・マリナッジ(米)、エリック・モラレス(メキシコ)ら強豪クラスと対戦した経験をもつ。ただ、思うような結果を残せてない。

 「マルセリーノ・ニコラス・ロペス戦より、ルスラン・マジエフとの試合は印象的なパフォーマンスだった。冗談ではなくカノは大きなパワーをもっている」

 ピークは過ぎているもの強豪クラスとのキャリアは十分。アブネル・コット戦後のSライト級チューン・アップ戦としては十分な相手だった。一方、キャリアを通じてチャンスを掴めなかったカノは失うものなどなく、文字通りアンダードッグとして噛み付くことがミッションだった。

 「対戦相手の映像はみたよ。彼は打ち合いが好きな強敵であることは分かっている。彼は、素晴らしい素質をもっているけど、俺のほうがプロでのキャリアは上だと思う。この違いが勝敗を分けることになる」

 マルセリーノ・ニコラス・ロペスにノックアウト負けしたカノは、カザフスタンの無敗のホープ、ルスラン・マジエフを当て込まれた。技工派マウリシオ・ヘレーラ(米)、アシュリー・テオフェイン(英)に勝ったもの、特質的なキャリアはない。ヘレーラに勝ったあとは2連敗、マジエフ戦を落とせば次はなかった。

 「ラスベガスの週末に、カノと戦い自分自身をテストできることを楽しみにしている。カリフォルニアにあるビッグベアーで9月13日に勝つためにトレーニングしている」

 ルスラン・マジエフ(カザフスタン)は、ゲンナディ・ゴロフキンのトレーナーで知られるアベル・サンチェス氏がコーナーに着いていた。当時12戦無敗を誇るマジエフにとって、カノとの戦いはビッグ・テストだった。結果はバッティングによりカノが出血5回3−0負傷判定でカノが何とかサバイブしリナレス戦にこぎつけた。ビッグ・アップセットを起こしたカノは次にチャンスが与えられるだろう。

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リナレス、サルガド戦の再来だった

 リナレスは当時全勝、フェザー級、Sフェザー級、2階級を制覇。米ネバダ州ラスベガスで米本土デビュー戦で勝ち米国有力プロモーターであるゴールデンボーイ・プロモーションズと契約。文字通り、全てが順調、スター街道を歩んでいたが、メイン・ストリームから外れた。
 
 2007年、これまで日本を主戦場にしていたリナレスは、オスカー・ラリオス(メキシコ)を相手に米ネバダ州ラスベガスにあるマンダレイ・ベイ・リゾートで米プレミアム・ケーブルTV局HBOが中継する舞台に初登場を果たす。

 WBC世界フェザー級暫定王座決定戦でオスカー・ラリオス(メキシコ)を下し暫定王座を獲得。その後、正規王者の池がK-1転向を表明し、WBCは池の王座を剥奪し暫定王者リナレスを正規王者として認定した。

 減量苦だったリナレスはフェザー級を返上。2008年11月、Sフェザー級転向を決め空位のWBA世界Sフェザー級王座決定戦をワイベル・ガルシア(パナマ)と争い8回TKO勝利を飾り2階級制覇を達成。2009年6月ホサファト・ペレス(メキシコ)と対戦し8回TKO勝ちを収め初防衛に成功した。

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GBPと契約し全て順調だった

 2009年、リナレスをプロモートする帝拳プロモーションズと親交が深い北米の有力プロモーターGBPと契約することを発表。勝ち続ければスターになることが約束されていたと言っても過言ではなかった。

 しかし、2009年10月、GBPと契約した重要な初戦を落としてしまう。リナレスは米リング誌Sフェザー級ランク7位、米メディアの評価も高いものだった。相手は無名のファン・カルロス・サルガド(メキシコ)、誰もリナレスがつまずく相手ではないと思っていただろう。

 しかし。サルガド戦でまさかの1回、ストップ負け。開始45秒でダウンを奪われ、メキシカンの追撃を逃れることができず2度のダウン。レフェリーはカウントしたもの、もはやリナレスは試合を続行できる状態ではなかった。これで、ストップ負け、王座から陥落プロ初黒星を喫した。

 これまで、リナレスは鋭いスピードとスキルに定評があったがサルガド戦で打たれ脆さが露呈。将来性があったもの、一気にトップ戦線から脱落。タフネス、メンタル面を不安視する声が多く挙がった。

 階級をライト級にあげ再起戦を経て、2011年アントニオ・デマルコ(メキシコ)と空位のWBC世界ライト級王座決定戦のチャンスを掴むも、11回ストップ負け。その後、WBC世界ライト級挑戦者決定戦をセルヒオ・トンプソン(メキシコ)と争うも2回TKO負け。キャリアは大きく後退する。

 カノ戦を無事クリアーしていれば、今ごろは多くのオプションがあったことは間違いない。10年前のサルガド戦といい、ここぞという重要な一戦を落とすことが多い。直近でロマチェンコに敗戦したがリナレスの評価はアップ。今戦をクリアーしていればラミレス、フッカーとのビッグマッチが規定路線、4階級制覇をかけた戦いキャリアで重要な一戦に進むことが出来たはずである。

 33歳となり円熟期を迎えたリナレス、重要な一戦を落とし再び打たれ脆さ露呈した。スマートなスタイルの反面、打たれ脆さもリナレスの魅力の1つ。一度はメイン・ストリームから外れ、遠回りしたもの英国へ渡り結果をだし、ニューヨークMSGでPFP傑作のロマチェンコとのビッグファイトを掴むことに成功。リナレスの再建プランに注目したい。

(Via:boxingscene)

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