WBA世界ライトヘビー級王者ドミトリー・ビボル(ロシア)が元世界王者ジャン・パスカル(カナダ)/40戦33勝(20KO)5敗(2KO)戦が合意した。ウォード対コバレフの再戦でウォードが再戦を制し戦国時代に突入するもビッグファイトの期待感が高まるどころか、話題を集めるのはカナダにホームを置くWBC王者スティーブンソンだけだった。

 ライトヘビー級は、コバレフ、IBF王者アルツール・ベテルビエフ、WBA王者ドミトリー・ビボルの旧ソ連勢、中南米コロンビア出身のWBO王者エレイデル・アルバレスと、ハイチ出身のWBC王者スティーブンソンと国際色豊かなタレントが揃う。このクラスは2013年以降、HBOがリードしてきたがHBOは年内でボクシング中継から撤退。今後ライトヘビー級で行われる結果次第でDAZNがいい形で引き継ぐかもしれない。

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ビボル対パスカル戦が合意

 ビボルは、11月24日米ニュージャージー州アトランティックシティーに新設されたハードロック・ホテル&カジノで、元WBC世界ライトヘビー級王者ジャン・パスカル(カナダ)/40戦33勝(20KO)5敗(2KO)と4度目の防衛戦を行うことが決まった。

 ビボルは当初、メインイベンツ社傘下のジョー・スミスJr.(米)戦が具体化し交渉が進んでいたが、ジョー・スミスJr.がIBF世界ライトヘビー級王者アルツール・ベテルビエフ(ロシア)へ挑戦することが急遽決定した。どうやら、有力コンテンツであれば資金投入することを惜しまない米ボクシング界へ新規参入を果たしメキシカンのカネロと大型契約し勢力を拡大するDAZNのオファーが好条件だったようだ。

 イベントを主宰するメイン・イベンツ社のキャシー・デュバ氏は、前回同様多くのファンを集めることができると期待を寄せている。前回ビボル対チレンバ戦もここアトランティックシティーにあるハードロック・ホテル&カジノで行われた。かつて、アトランティック・シティは米東海岸の拠点の1つだったが、カジノが閉鎖になった影響もあり、最近ではアトランティック・シティのイベントがめっきり減っていた。

 ハードロック・ホテル&カジノは、2018年6月にオープンしたばかりで、地元の人達はアトランティック・シティにまた活気が戻ると大きな期待を寄せている。オープン時はセレモニーも開催され、著名なセレブやミュージシャンが集まり大きな話題を呼んだ。チケット・セールスは好調でソールド・アウト、復活の兆しが見えたイベントでもあった。

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パスカルはジョー・スミスJr.より適任

 ビボルのキャリアを上げるためにも、ジョー・スミスよりハイチ出身のカナダ人ジャン・パスカルのほうが適任かもしれない。パスカルはアマチュア通算121戦のキャリアをもち、一回戦で敗退してるが2004年アテネ五輪カナダ代表でオリンピックの出場経験があり、プロ転向したライトヘビー級で強豪らとの対戦経験も豊富だ。

 プロでは、ターバーを下したチャド・ドーソン(米)からWBC王座を奪い、バーナード・ホプキンス(米)と戦い1戦目はドロー、2戦目は判定負け、ルシアン・ビュテ(ルーマニア)/37戦32勝25KO5敗(2KO)に勝利を収めている。負けはしたがセルゲイ・コバレフ(ロシア)/36戦32勝(28KO)3敗(2KO)と2戦、WBC世界ライトベビー級王者エレイデル・アルバレス(コロンビア)/24戦全勝12KOと戦っている。

 ビボルは27歳、先を急ぐ気持ちもわからなくないが、希望する統一戦前にステップアップする機会をつくることも重要だろう。パスカルは35歳でピークを過ぎているが、強豪らとのキャリアも豊富でネームバリューもある。かつてビボルとスパーリングした経験もあり、ビボルが対戦を望む対抗王者アルバレスに負けているが判定まで持ち込んでいる。アルバレス戦の指標にもなりキャリアを積む相手として悪い相手ではない。

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コバレフ対ビボル戦が消滅

 プロモーターの思惑どおりコバレフ対ビボルが年内に実現しビボルが勝っていればライトヘビー級でニュースターが誕生していたはずである。HBOは2013年にコバレフと契約を締結。2015年以降、予算削減の大きな問題を抱えていたが、投資する選手を限定するなどしコバレフ対ウォード戦を実現させた。ライトヘビー級は積極的に投資してきたクラスでもある。

 前回、コバレフは8月4日ビボルとダブルメーンのイベントで登場。当初、トップコンテンダーのマーカス・ブラウン(米)戦が合意していたが、急遽マーカス・ブラウンがドメスティック・バイオレンス問題で逮捕され、タイトル挑戦を待ちわびている無冠の帝王エレイデル・アルバレスを傘下に収めるイボン・ミシェル氏と交渉が進みコバレフ対アルバレス戦が急遽決定した。

 このイベントでコバレフがアルバレスに勝利していれば、2018年後半にもコバレフ対ビボルの王座統一戦が実現する見通しだった。中継した米プレミアム・ケーブルTV局HBOは、早期にコバレフ対ビボル戦を計画。コバレフがウォードとの因縁の再戦に破れたあと、HBOはコバレフの復帰戦に北米で知名度不足の若き王者ビボルをダブルメーンとし売り出したが、コバレフがアルバレスに痛恨のKO負けしたことで幻のカードとなってしまった。

 ロシア国籍ながら中央アジア、キルギスタンで生まれアジアにルーツをもつビボルにとってコバレフとの統一戦は王座を統一することよりも大きな意味を持っていた。コバレフは、2013年HBOと契約し長い間ライトヘビー級戦線をリードしてきた一時代を築いた王者で北米で一定の知名度があるからである。

 いまは、米国人であってもパッキャオ(フィリピン)や、メイウェザーのようなスーパースターになることは難しく、ましてや米国にバックグラウンドが無いボクサーが頂点に立つことは容易なことではない。ビボルはHBOにフィーチャーされ、スリバン・バレラ(キューバ)を下し、この階級のゲートキーパー的存在のアイザック・チレンバ(マラウイ)に苦戦しながらも勝ったが、北米での知名度不足は大きな課題だった。

 ビボルがWBA暫定王者だった際、WBA(世界ボクシング協会)が正規王者ネイサン・クレバリー(英)、バドゥ・ジャック(ニュージーランド)戦を命じたがいずれも交渉は決裂している。ビボルは知名度が低く、それでいて危険な相手でクレバリー、ジャックであっても報酬面で同意できなければ、交渉決裂は必至だった。クレバリーは、ライトヘビー級に進出するバドゥ・ジャック戦にカジを切り、クレバリーに勝ちWBA王者になったジャックは、WBC王者スティーブンソン戦方針を決めビボル戦を辞退しWBA王座を返上した。

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ライトヘビー級は統一戦は行われるのだろうか

 アルバレスに通算3度のダウンを奪われ衝撃のノック・アウト負けをしたコバレフは、ダメージもあり年齢から引退も危惧されたが、アルバレス戦の再戦条項を行使することを決定した。再戦はHBOが中継する権利があったが、予算が限られているHBOは再戦の中継から手を引き、中継には米トップランク社(ボクシング・プロモーター)と提携したESPN(米スポーツ専門チャンネル)が中継することが決まった。

 アルバレス対コバレフ再戦のESPNとの詳しい契約内容はわかってないが、アルバレスに痛烈なノックアウト負けで完敗したコバレフは長きに渡りライトヘビー級をけん引してきたが、35歳を迎えピークを過ぎていることからワン・ショット契約の可能性も十分考えられる。文字通り、コバレフは負けられない一戦となる。アルバレスがコバレフを返り討ちにすれば、WBA王者ビボルや、IBF王者ベテルビエフとの統一戦が現実味を帯びてくる。

 実際、WBO王者アルバレス、IBF王者ベテルビエフを傘下に収めるのはイボン・ミシェル氏で、両陣営が交渉に前向きであれば何の障害もなく交渉はスムーズに進むだろう。WBC王者スティーブンソンへのタイトル挑戦で長期間待たされたアルバレスも34歳、条件面さえ合えば早期に纏まる可能性は高い。

 ミシェル氏は最近、DAZNと提携したマッチルーム・ボクシングとベテルビエフを共同プロモートする契約を結んでいる。マッチルーム・ボクシングを率いるエディ・ハーン氏は、DAZNと大型契約したが、タレント不足の大きな課題を抱えている。これは、長期的に見れば深刻な問題となる。

 エディ・ハーン氏は、米国でのホスト局となるパートナーをようやく見つけたが、コンテンツを充実させ魅力的なマッチアップを実現するには優秀な人材が欠かせない。フリー・エージェントとなるドミトリー・ビボル、アルバレス対コバレフ再戦の勝者獲得に向け急接近するだろう。もちろん、まだ先行きは不透明だが、ビボルがDAZNに移籍しベテルビエフが勝ち上がれば、2019年第一四半期に統一戦実現の可能性は十分ある。

(Via:The Ring

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