地味な感は否めないがLヘビー級屈指の好カードが実現する。米・ボクシングシーンによると、WBO世界Lヘビー級王者セルゲイ・コバレフ(ロシア)が2018年8月4日米ニュージャージー州アトランティック・シティにあるハードロック・ホテルカジノで、WBO同級6位エレイデル・アルバレス(コロンビア)と2度目の防衛戦を行うことが分かった。

 コバレフをプロモートするメイン・イベンツ社が主宰し、HBO(米最大手ケーブルTV局)が中継する。当初、双方は別の対戦相手と交渉が進められていが、大きな問題を抱えていた。強豪との対戦を辞さないコバレフ陣営、世界タイトル挑戦を叶えたいアルバレス陣営の利害は一致する。

 かつて、コバレフ対スティーブンソン戦を合意し直前で破断したコバレフのプロモーター、メインイベンツ社とアルバレスをプロモートするイボン・ミシェル氏が再び手を組む。パンチャー同士の戦いはスリリングな展開予想され、決して打たれ強くないコバレフにとって既定路線であるWBA世界ライトヘビー級王者ドミトリー・ビボル(ロシア)との統一戦前に立ちはだかる壁は大きい。

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不遇の挑戦者アルバレスがようやく世界挑戦へ

 アルバレス陣営は、WBC世界Lヘビー級王者アドニス・スティーブンソン(カナダ)への指名挑戦権をもちWBCは指名戦を義務付けていたが、交渉は合意に至ることはなかった。陣営によるとスティーブンソンとの交渉は2度に渡り待機料を支払うことで同意。対戦が回避されたという。

 今回、スティーブンソンとの交渉が進められていたが、スティーブンソン陣営はアルバレスとの指名戦の問題を抱えるが元WBC世界Sミドル級王者バドゥ・ジャック(ニュージーランド)とのビッグマッチに方針を決定。興行価値に乏しいアルバレスはまたも回避されることを余儀なくされた。

 アルバレスは、2015年11月アイザック・チレンバに勝利した以降は事実上の指名挑戦者だった。しかし、陣営によるとスティーブンソン陣営は、アルバレス陣営に待機料を支払い、2016年7月にトーマス・ウィリアムスJr.、2017年6月アンドレイ・フォンファラ(ポーランド)との選択防衛戦の承諾を得てアルバレス戦を回避したという。

 スティーブンソンは2013年11月トニー・べリュー戦あと実に4年半以上指名戦を行っていない。Showtime(米大手ケーブルTV局)が、そうそうにスティーブンソン対ジャック戦を発表したが、公式発表が遅れていたのはスティーブンソンがアルバレスの指名戦問題を抱えていた為である。もっとも、Showtimeはスティーブンソン対アルバレス戦の関心が低くかったことも事実である。

 いくらビジネスが先行するボクシング界で興行優先とはいえ、毎回、王者側を優遇し特例を容認していては公平ではない。統括団体のランキングは、プロモーターの思惑も反映されていることは承知の上だが、ランキング1位に位置づける「指名挑戦者」のポジションは疑問符である。

 王座統一戦、ビッグマッチは別としても、今回のようなケースを容認し続ければ、興行価値の乏しい選手や有力プロモーターの繋がりのない選手の世界挑戦はもはや不可能。統括団体は責任をもって対処して欲しい。

 最近では、プロモーターばりに表舞台へでて発言が目立つ話題の統括団体のWBC(世界ボクシング評議会)は再度、待機料を支払うことで承認するつもりだったにちがいない。

 カナダで行われるスティーブンソン対ジャック戦はLヘビー級注目の一戦である。システム上、興行規模が大きくなれば、それに比例しWBCが受け取る承認料も膨れ上がる。王座剥奪する意向は示していなかった。

 WBCは、はっきりいって甘い。興行価値の高い選手や自国メキシコ選手を優遇していることは言うまでもない。メキシカンは勿論、メキシコにルーツをもつ選手、人気選手はこぞって優遇することは周知の事実である。

 暫定王座或いは名誉王座、ダイアモンド王座設置を発動、正規王者をダイアモンド王座、名誉王者へ移行し王座を用意。プロモーターとの関係は深く、人気選手のタイトルチャンスが到来すれば、タイトルマッチへ持ち込む手法はWBCの常套手段である。

 アルバレス陣営は、スティーブンソン陣営に対しスティーブンソン対ジャック戦のアンダーカードに出場し、勝者と対戦する確約と100万ドル(約1億900万円)の保証金を契約に要求。しかし、アンダーカードに出場するアルバレスに掲示された報酬は低額。しびれをきらしたアルバレス陣営は、スティーブンソン戦を断念したのである。

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コバレフはマーカス・ブラウン戦が消滅

 一方、アンドレ・ウォード(米)との因縁の再戦に敗れメンタル、モチベーションが不安視されるコバレフは、同胞であるビャチェスラフ・シャブランスキーを沈めWBO王座を獲得し再起に成功。トップ戦線に返り咲いている。
 
 ライトヘビー級トップコンテンダーの1人、タイトル挑戦を目論むマーカス・ブラウン(米)/21戦全勝16KOは、コバレフ戦の交渉が具体化しHBO(米・最大手ケーブルTV局)が中継することで大筋合意。ところが、ブラウンが交際している女性へのドメスティック・バイオレンス問題で逮捕起訴。正式発表を目前として破断となった。

 ブラウンは4ヶ月のあいだに交際している女性へ暴行したとし2度逮捕されている。2017年12月口論となり交際している女性に暴行、2018年3月30日、女性が住むマンションのドアを突き破ろうとし逮捕。4月19日ニューヨークにあるスタテンアイランドにある裁判所へ出頭する予定となっていた。
 
 ニューヨークを拠点にするマーカス・ブラウンは、2012年ロンドン五輪代表オリンピアン、主要4団体のトップランキングにランクイン。現ライトヘビー級はヨーロッパ勢が勢力を強める中、アンドレ・ウォード(米)以降アフリカ系アメリカ人として期待されている大型ホープだった。

 2017年2月トーマス・ウィリアムズJr.(米)戦で圧倒的な力量差を見せテストマッチをクリア。翌年2018年1月フランシー・テトゥ(カナダ)を1回で仕留め、IBF世界ライトヘビー級王者アルツール・ベテルビエフ(ロシア)、WBO世界ライトヘビー級王者セルゲイ・コバレフ(ロシア)への挑戦を望んでいた。

 一方、アンドレ・ウォード(米)との因縁の再戦に敗れたコバレフ(ロシア)、主要4団体(WBA、WBC、WBO・IBF)の評価は依然として高くトップランキングに君臨。ウォードがベルトを手放し空位の王座決定戦を制しWBO王座獲得に成功。メンタル、モチベーションが不安視されたが、それを全く感じさせない圧倒的な勝利を飾っている。

 かつて、コバレフ対スティーブンソン戦で交渉した経緯があるメインイベンツ代表を務めるキャシー・デュバ氏は、イボン・ミシェル氏へコバレフ戦を提案。合意はそれほど難しくなかったようだ。問題を抱える双方は、電話会談を実施し、アルバレスと、アルバレスのマネージャー、トレーナーを含め話し合いが行われコバレフ戦に同意。翌日にはデュバ氏に契約書が届いたという。

 マーカス・ブラウン戦が消滅してしまったが、アイザック・チレンバ、ルシアン・ビュテ、ジャン・パスカルに勝利したアルバレスはブラウンに匹敵する好敵手であることは間違いない。コバレフは、WBA世界ライトヘビー級ドミトリー・ビボル(ロシア)との王座統一戦前にハードな防衛戦を迎えることになる。

(Via:boxingscene)

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