公式アナウンスが遅く心配したがようやく正式発表となった。トップランク社は、WBO世界ウェルター級王者ジェフ・ホーン(豪)が6月9日米ネバダ州ラスベガスにあるMGMグランドガーデン・アリーナで、WBO同級1位テレンス・クロフォード(米)を相手に2度目の防衛戦を行うことを正式に発表した。

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 まさにプロモーターの思惑どおりである。双方のプロモーターは友好なビジネス関係にある。両陣営が試合を望み交渉が具体化すれば、マッチメークの弊害となるTV局やプロモーターの問題もなく交渉締結は容易だったはずである。
 
 クロフォードをプロモートするトップランク ボブ・アラム氏は、ジェフ・ホーンをプロモートするデュコ・イベンツ社と友好なビジネス関係を築いている。老舗プロモーター トップランク社ボブ・アラム氏は、その後のシナリオとして勝者に対し、マニー・パッキャオ(フィリピン)戦を構想に入れていたのは間違いないだろう。

 昨年、オーストラリアで行われたホーン対パッキャオ戦はサンコープ・スタジアムで行われ5万人を動員、米ESPNで中継された視聴件数は440万件に到達。パッキャオ招致による経済効果は1580万ドルに登ると試算されていた。結果的にオーストラリア政府による財政的な援助もあり興行は大成功に終わっている。

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クロフォードの階級アップは最適なタイミング

 ホーンは、パッキャオ戦の判定結果が米国で物議を醸したが判定勝利。初防衛戦でコーコランを下し、2度目の防衛戦の相手としてPFP上位に君臨するクロフォード戦は実にリスキーである。

 しかし、クロフォードは全階級をとおして卓越したスキルを備えるが、ウェルター級でのパフォーマンスは未知数。勿論、クロフォード有利は揺るぎないが、パッキャオ戦のアップセット再現となれば金星を獲得することができ、後のビッグマッチに繋げることができる。

 3階級目となるウェルター級で王座獲得を目指すクロフォードにとってもホーン戦はメリットは大きく、話題性もあるこの時期の階級アップはまさに最適なタイミングだろう。

 ジェフ・ホーンは世界的に無名だったが、前述したとおりパッキャオ戦で米国で一定以上の知名度を獲得に成功。米西海岸で話題を呼ぶビッグマッチとは言い難いが、ウェルター級試運転の相手としてパッキャオを下したジェフ・ホーンは最適な対戦相手である。

 クロフォードは2017年に北京五輪金メダリストのフェリックス・ディアス(ドミニカ共和国)と対戦し圧勝。2017年8月にジュリアス・インドンゴ(ナミビア)と対戦し、格の違いを見せつけ史上3人目となるメジャー4団体の統一王者となっている。

 さらに、同じトップランク傘下であるワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と同じくリング誌のパウンド・フォー・パウンド(PFP)2位に名を連ねている。こういった4団体王座統一や、複数階級制覇という記録だけでなく優れたパフォーマンスがファン、関係者が絶賛していることは事実だろう。ボクシング・ファンの間でも話題性を大きく、米東海岸に続き全国区になるチャンスでもある。

 現ウェルター級のWBO以外の統括団体の王者らは、WBA・WBC王者キース・サーマン(米)、IBF王者エロール・スペンスJr.(米)が君臨。ビッグネームにちがいないが、トップランクと相反するPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)を取り仕切りShowtimeと関係が深いアル・ヘイモン氏傘下の選手である。

 ボブ・アラム氏は、ヘイモン氏傘下のファイターとのマッチメークも可能だと明言。しかし、ヘイモン氏が条件なしに自前の看板選手らをESPNの舞台へあげるとは到底思えない。もちろん、将来的にビッグネームに成長すれば可能性はあるにしろ、交渉は容易ではなく現段階でクロフォードの挑戦は現実的とは言えない。

 こういった事情を踏まえるとクロフォードはジェフ・ホーンへの挑戦が現実路線だったと言えるだろう。もっとも、近年でのトップランクとWBO(世界ボクシング機構)の関係性を見れば、クロフォードの実績が認められたにしろ、ウェルター級に階級を上げたクロフォードを1位にランクし指名挑戦者とした認定したWBOの恩恵もあるだろう。

 唯一、ボブ・アラム氏の想定外だったことが、アンダーカードで計画されていたマニー・パッキャオ(フィリピン)が出場を辞退したことだろう。当初、パッキャオは復帰戦の相手としてマイク・アルバラード(米)が浮上していた。

 クロフォードがスターダムにのし上がるには、ビッグネーム狩りが急務。アラム氏は、近い将来クロフォード対パッキャオ戦を描いていたに違いない。

 そういった意味でもマティセ対パッキャオが正式発表となった今、クロフォードが順当にホーンに勝ち3階級制覇達成後はネームバリュー向上、マッチメークの課題は重くのしかかる。

 トップランクは、ウェルター級でネームバリューがある選手は少ない。もはや、アラム氏が明言するとおりヘイモン氏との協力は必要不可欠。数多くの有力選手を育て上げビッグマッチを実現したアラム氏がクロフォードをどうスターダムにのし上げるか手腕の見せ所になりそうだ。

(Via:Toprank)

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