マイキー・ガルシア対ホルヘ・リナレス交渉決裂の理由


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 やはりというべきか。WBC世界ライト級王者マイキー・ガルシア(米)とWBA世界ライト級王者及びWBC世界ライト級ダイヤモンド王者ホルヘ・リナレス(ベネズエラ)の交渉が決裂したことが明らかとなった。マイキーのマネージメントを務めるアル・ヘイモン氏がマイキーに巨額の報酬を掲示。決まればライト級屈指のリナレス戦が阻止された形となった。

 「マイキーはリナレスが欲しいと話していたのにこの結果に驚いているよ。我々は彼に最善のオファーをしたつもりだ。契約は1試合限りオプションは何もない。彼は記録を残したいと言いオプションは望んでないと話していた。なぜ、サインしなかったんだ? 彼はリナレスと戦うことを望んでいなかったんだよ」。

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 GBPエリック・ゴメス氏は憤りを隠せない様子。GBPはマイキーに50−50のファイトマネーの分配を掲示し、中継はGBPと長らくタッグを組んできたHBO(米・最大手ケーブルTV局)とライバル局でヘイモン氏と協調関係にあるShowtime(米・ケーブルTV局)の間で入札を行う方針だったことを明らかにしている。

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ヘイモンがマイキーに300万ドルの巨額のオファー!

 TV局の問題が解決すれば合意は難しくなかったはずである。しかし、マイキーはアル・ヘイモン傘下でエース級の待遇で次期スーパースター候補である。ヘイモンの思惑は依然として不透明だが、PBC、Showtimeの看板選手だけに失いたくなかったのだろう。

 「僕には多くのオプションがあった。リナレス戦もオプションの1つです。リナレス戦を実現したかったけど1月27日のオファーは相当な金額だった。ビジネス面を考慮しなければいけない。GBPがリナレスの最良のオプションを探しているように僕も最良のオプションを探している」。

 豊富な資金をもつアル・ヘイモン氏、はじめからマイキーを差し出すつもりはなく高額なオファーを掲示しマイキーを引き止めるつもりだったにちがいない。

 アル・ヘイモン氏は、有力選手に大枚をはたくことは有名。バックには有力なファンドがつき潤沢な資金があると言われている。2015年、GBPから契約選手を引き連れ事実上の陣頭指揮をとる形となるPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)を開幕。米地上波NBCと24試合の放送枠を2000万ドルで契約。100億ドルの資金調達が可能だと言われている。
 
 ESPNによると、ヘイモンがマイキーに掲示した金額は300万ドル(約3億4000万円)だったという。もし、この金額が本当であればHBOのオファー金額は到底敵わないだろう。

 今後、両陣営が交渉に前向きな姿勢を示せばマイキーと同じアル・ヘイモン氏が傘下に収めるIBF世界ライト級王者ロバート・イースターJr.(米)戦が規定路線である。他にオマール・フィゲロアJr.(米)が候補に浮上しているが、フィゲロアはトップクラス・ファイターとは言い難い。フィゲロア戦で300万ドルの報酬であれば破格の待遇と言える。

GBPはエロール・スペンスJr.にオファーをしたがヘイモンに阻止!

 GBPは、ヘイモン傘下の代表選手であるマイキーの他、IBF世界ウェルター級王者エロール・スペンスJr.(米)に対しミゲール・コット(プエルトリコ)戦をオファー。しかし、スペンスJr.はオファーを辞退している。

「GBPからオファーを貰ったよ。彼らは僕がプロに転向した際もオファーを受けたよ。でも、オファーは断ったんだ。今はプロモーターは必要だと思ってないし2018年までに自分のプロモーションを立ち上げる予定だしね。それに、イベントでメーンを務めることもできるし、プロモーターが僕に何を与えてくれるのか全く見えないんだ」。

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 それまで順当にプロのキャリアを積んできたスペンスは今ではPBCのメーン・キャスト、メーンを務めるまで成長を果たし関係者からの期待値も高い。ヘイモンと契約を結んでいる選手は、その殆どがプロモーターとの契約を結んでいない。興行はヘイモンと協調関係にあるニューヨークであれば、ディ・ベラ・エンターテイメントを主宰するルー・ディベラ氏や、TGBプロモーションズなどが主催することが殆ど、例外を除き契約している選手は基本的に自前のイベント以外に放出することはない。

 ヘイモンはGBPがオファーしたエロール・スペンスJr.(米)に対し、2018年1月に予定されている元WBA世界ウェルター級王者ラモント・ピーターソン(米)戦で、350万ドル(約3億9200万円)の巨額の報酬を約束しているという。

 ピーターソンの人気知名度、評価を考えるとかなり高額である。2017年3月に米ニューヨークで行われたWBA・WBC世界ウェルター級王座統一戦として大きな話題をよんだキース・サーマン(米)対ダニー・ガルシア(米)の両者の報酬でさえ200万ドル(約2億2800万円)。スペンスは期待値が高いとはいえ異例の待遇であることは間違いない。

 ヘイモンの狙いは分かってないが、少なくても自身が陣頭指揮とるPBC或いはShowtimeでのイベントに囲い込みたいのだろう。ただ、スペンスはまだしもマイキーにとって、GBPのオファーはキャリアを考えると決して悪くなかったはずである。見方によってはスターになる好機を報酬と控えに失ったとも言える。

マイキーはコット戦もオファーを受けるが拒否

 「コット戦が実現すれば、154パウンドに階級をあげるよ」。

Via:Los Angeles Times
 マイキーは、L.Aタイムスのインタビューで意気揚々と答えていた。ソーシャル・メディアのツイッターを介しミゲール・コット戦が急遽浮上。コットは2階級上のスーパーウェルター級だがマイキーはコット戦について前向きな姿勢を示していた。

しかし、マイキーはGBPが複数戦契約を条件に出したことを理由にオファーを辞退。スターの座を狙うマイキーであればコット戦を断る理由はなくリスク回避の行動とも見てとれる。

 「GBPのオファーは悪くないけど今は自分1人でうまくやっている。彼らでは僕のキャリアを保証することは難しい。コット、リナレスしかない。彼らはどれくらいの報酬が約束できる? ビッグネームは? 良いオファーだけどそれはエキサイティングするほどではなかったよ」。

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 GBPのマイキーへのオファーは、コット、リナレス戦の確約が欲しかったにちがいない。米東海岸がゆかりの地であるコットとマイキーがニューヨークの殿堂マディソンスクェア・ガーデンで戦うことになれば大きな話題を呼び興行的にも成功が約束されるだろう。

 コットにしてもマイキー戦はメリットが大きい。RNS(ロックネイション・スポーツ)を離れGBPと契約した理由は大金を稼げるビッグマッチを実現したいのが理由ではないだろう。デビッド・レミュー(カナダ)戦が大きく報じられていたが音沙汰なし。引退試合にアリを選択したのも、若手にチャンスを与えるのではなくリスク回避の一環の可能性が高い。

 コットはキャリアを通じて十分な報酬を稼いでいる。2015年11月のカネロ戦では約15億円の報酬を稼いでいる。メイウェザーほどの消費家でなければ、2017年12月の試合がラストファイトになることはほぼ間違いない。コットは何もリスキーなレミュー戦を選択する必要はなかった。

Via:goldenboypromotion

 コットは今後、母国プエルトリコのボクシング繁栄に務める大きな役割がある。GBPと契約を結んだのは大金を稼ぐためのビッグマッチ実現が理由ではない。

 コットはGBPと複数戦契約を結んだ際に、GBPと自身のコット・プロモーションズのパートーナー契約を締結。母国プエルトリコで行うボクシング・イベントをGBP ESPN(米・スポーツ専門チャンネル)上で中継することを契約している。

 一方で、マイキーは体格差があり実質2階級以上下のクラス、高度のディフェンス能力をもつコットであれば、無残に負ける可能性は少ない。キャリア最後を有終の美で飾ることができ報酬も確保できメリットは大きかったはずである。

マイキー、コット戦はリスク回避か?!

 一方のマイキー、2年半に及ぶトップランクとの訴訟問題を解決しようやくリングへ復帰。最近では自身の商品価値を誇示する発言が目立つ。

 しかし、復帰2戦目でライト級屈指の強豪ツラティカニンに勝ったとはいえ、まだ実績に伴った商品価値の高い競合相手にインパクトのある勝ち方をしているわけではない。Aサイドのエイドリアン・ブローナー(米)に勝利したが、慎重さが目立ち印象的なシーンは多くなかった。

 そういった意味でも国際的な評価を得るためGBPが提案したコット、リナレス戦のオファーはマイキーの商品価値を大きく向上させるキャリア最大の好機だったはずである。

 スターになるには実力、人気だけでなく絶対的なインパクトが必要。パッキャオがライト級へ上げディアスに勝利し、無謀と言われたビッデラ・ホーヤ戦に臨み大方の予想覆し世界のボクシング界に大きな衝撃を与えたようなインパクトがなければ、飛び抜けたスターになるのは難しい。

  コット戦が実現すればキャリアでもっともビッグネーム。実質2階級上のクラスでリスク伴うが、スーパーライト、ウェルター級でビッグマッチの実現が難しい中これ以上ない機会。さらにマイキーの求める要件にも合致する。近年のボクシングを見ていれば、たとえ、コットに負けたとしても判定まで持ち込めば、大きく商品価値を落とすこともない。

 仮に将来殿堂入り確実視されているレジェンド・コットに勝てば大金星。一気に名声を手に入れられるチャンスだったのである。マイキーがGBPのオファーを辞退したことはリスク回避と捉えられても不思議ではない。

 これで、既定路線のIBF世界ライト級王者ロバート・イースターJr.(米)戦でなく、オマール・フィゲロアJr.(米)との試合が決まった場合、高額報酬を得られるとはいえ、長期的に見ればマイキーの経歴でマイナスになることは否定できない。

 ヘイモン陣営はここにきてGBPのオファーを阻止。有力選手に大枚をはたくが、一方で試合枯れが目立ち試合が決まらない選手も多い。ジェイコブスがヘイモンを離脱したように今後、マッチメークに不満を示し離脱する選手が出てきても不思議ではない。

 ツイッターを介し不満を募らせていたWBCスーパーウェルター級2位のバネス・マーティロスヤン(アルメニア)はヘイモンから離脱している。

 有力選手を多く抱えるヘイモン陣営だが、他プロモーターに歩み寄らなければファンが望む斬新なマッチメークの実現は難しい一面もある。ヘイモン氏の思惑は依然として不明だが、紛れもなくボクシング界の最重要人物の1人、今後の動向に注目したい。

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