マイキー・ガルシア対ホルヘ・リナレスは実現するのだろうか


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 WBC世界ライト級王者マイキー・ガルシア(米)と、WBA世界ライト級及びWBC世界ライト級ダイヤモンド王者ホルヘ・リナレス(ベネズエラ)との王座統一戦は実現するのだろうか。まだ、何も具体的な話がなく実現は不透明である。

 「マイキーもその戦い望んでいるし、ホルヘもその戦いを望んでいる。おそらく日程は変更になるでしょう。ガルシアとの戦いが最も関心を寄せる一戦です」。
 こう語るのはゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)エリック・ゴメス氏である。

 以前から交渉の噂が浮上しているが一向に決まる気配はない。商品価値が高くなればビッグマッチに障害が生まれるのは常でボクシング界で決して珍しいことではない。

 ただ、テリー・フラナガン(英)がWBO世界ライト級王座を返上しスーパーライト級へ転向した今、英国からのオファーを受けていたリナレスもオプションは限られてくる。マイキー戦はキャリア最大の好機であることは間違いないだろう。

 「GBPと2018年1月合意に向けリナレス戦について会談している。僕にとってリナレス戦は最も関心が高い戦いなんだ。僕もチャンピオンだし彼もチャンピオン、これは価値がある戦いだしファンが求めている」。
 
 リングから長期離れることを強いられたマイキーはこう語っている。マイキーはライト級〜スーパーライト級のクラスで最大の興行価値を誇り、米リング誌のPFPにランクに名を連ねる次期スーパースター候補である。

 マイキーは北米で影響力のあるアル・ヘイモン氏がマネージメントを務めオプションは多い。ウェルター級でのビッグマッチも可能だが現実的なのはライト級でのビックマッチだろう。

マイキーのウェルター級参入は難しい

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 アル・ヘイモン氏はマイキーが選択肢にいれるウェルター級の強豪WBA・WBC世界ウェルター級統一王者キース・サーマン(米)や、IBF世界ウェルター級王者エロール・スペンスJr.(米)を傘下に収めビッグネームとの対戦も事実上可能である。

 しかし、ウェルター級は激戦区でありいくらマイキーの興行価値が高いとはいえ割り込みは容易ではない。サーマンは3月か4月に復帰戦を行い夏頃にショーン・ポーター(米)との再戦が濃厚。IBF王者スペンスは1月にレイモント・ピーターソンと試合を行うことがほぼ内定。その後は指名戦となる公算が高い。

 今まで意図がわからないマッチメークを続けたヘイモン、Showtime陣営も2017年は好カードを提供。2018年にはウェルター級のスターを決めるべくウェルター級3団体(WBA・WBC・IBF)王座統一戦を画策するだろう。こういった状況もあり、マイキーのウェルター級参戦は簡単には決まらないだろう。

 ビッグマッチを急ぎ世界的な評価を得たい気持ちは十分理解できる。しかし、ウェルター級でのキャリアはなく試運転なくしてあまりにリスキー。マイキーはまだ29歳、ライト級〜スーパーライト級で最適なオプションを探し、後にウェルター級へ転向しても遅くはない。2017年7月にエイドリアン・ブローナー(米)と140パウンド(スーパーライト級)で戦い圧倒したとはいえ階級の壁を感じる試合でもあった。

TV局の違い

 契約合意に向け最大の難関はTV局の問題である。リナレスをプロモートするGBPはHBOにカードを提供。一方で、マイキーはTV局、プロモーターとの契約はないが、マイキーと契約を結ぶヘイモン氏はHBOと相反するライバル局のShowtimeと関係が深く交渉を成立するうえで最大の難関はここである。

 おそらく、GBPはマイキー戦を合意する上で興行面で譲歩しなければならないだろう。GBPは、マイキー対コット戦で複数戦契約を掲示。トップランクと契約問題でもめた過去があるマイキーはこの条件は到底受け入れないだろう。

 今やエース格に成長したマイキーをヘイモン氏が、やすやすとライバル局であるHBOに簡単に貸し出すとは考えにくい。ダイヤモンド王者がリナレスとはいえ興行のAサイドはマイキーなのは間違いない。ヘイモン氏は過去に、HBOに傘下選手であるフェリックス・ディアス(ドミニカ共和国)、ジョン・モリナJr.(米)、チャベスJr.(メキシコ)を提供してきたが、マイキーとは興行価値そのものが異なる。

 一方で、GBPもShowtimeにおいそれとリナレスを差し出さないだろう。GBPは2015年にアル・ヘイモン傘下の選手を大量にリリースした以降は、HBOと手を組み好カードを提供してきている。それだけに、今回の交渉でHBOと良好な関係を築いてきたGBPが、HBOとどういった決断を下すかにも要注目である。

WBCの思惑

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 WBCが王座統一戦を指令し、構図的には2016年にWBA(世界ボクシング協会)がゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)に正規王者ダニエル・ジェイコブス(米)との指名戦を義務付けた状況と似ているが異なる。WBCの王座統一戦の指令に期限はない。つまり、現段階でこの王座統一戦に拘束力はないといっていいだろう。これはWBCにとっても都合が良い。

 もちろん、WBCは実現を後押ししたいのは山々だろう。マイキーのルーツはメキシコにある。GBPの思惑どおりヒスパニックが多く居住する南カリフォルニアの地で行えば興行的に成功は約束されるだろう。しかし、期限を設けないのはWBC、ヘイモンの関係性もある。WBCは無理に拘束する必要がない理由がある。

 米トップランク社との法廷闘争で2年半を無駄にしたマイキーは、商品価値の高い選手を傘下に収めるアル・ヘイモン氏と契約。約2年半ぶりのリングでエリオ・ロハス(ドミニカ共和国)と対戦し勝利。ビッグネームが復帰したことを受け、WBCが動きそうそうに世界タイトルマッチのチャンスを得ることになる。

 約2年半ぶりに復帰したマイキーに早くも世界戦のチャンスとなればかなりの優遇だ。しかし、これはビジネス側面が大きいボクシング界において珍しいことではない。世界ランキングは実力だけでなく、選手の商品価値によりランキングは大きく左右される。プロモーターの政治力も反映されることは否定できない。

 ビッグマッチになれば承認料もあがるWBCが熱心に動くのも理解できる。当時、WBC王者はリナレスで、ツラティカニンとの指名戦が義務付けていたがリナレスが負傷。WBCは防衛戦ができないことを受けリナレスを休養王者と認定した。

 ツラティカニンはフランクリン・ママニとの王座決定戦を制しWBC世界ライト級王座を獲得した。本来であれば、王座決定戦ではなく暫定王座決定戦となるのが慣例、後のマイキーのタイトル挑戦を見据え正規王座決定戦としたのだろう。WBCは、復帰戦に勝利したマイキーをWBC同級2位にランクしツラティカニン戦が承認している。

 マイキー、リナレスの交渉が決裂したとしても、マイキーはIBF世界ライト級王者ロバート・イースターJr.(米)との王座統一戦が規定路線。ライト級で規格外のフレームをもつイースターJrもヘイモン氏がマネージメントを努め実現に何ら障害もなく利害も一致している。

 イースターJr.は、ライト級屈指のリチャード・コミー(ガーナ)、デニス・シャフィコフ(ロシア)錚々たるメンツを倒してきているが、対戦相手の知名度が低いがゆえにまだ米国で絶対的な認知度は得られてない。今やShowtimeの顔とも言える次期スター候補マイキーとの対戦はリスクを伴うが断る理由も見当たらない。

 メキシカンびいきなWBC、おそらくリナレスとの王座統一戦が実現しなくてもマイキーの持つ王座を剥奪せずIBFとの王座統一戦を承認する方針だろう。ダイヤモンド王者の指名戦はWBCの裁量によって決まる。つまり、それは全てはスライマン会長次第。そのための期限なしの指令。透明性にかけるダイヤモンド王者の規定はいくらでも言い換えが可能だ。

 何れにしても実現するとなればShowtime(米・大手ケーブル)でのイベント開催が濃厚。リナレスのビッグマッチを目論むGBP、HBOはどういった決断を下すのか。2018年のビッグマッチを占う意味でも勢力争いが続く世界のボクシング界の要、GBP、アル・ヘイモン氏、Showtime、HBOの交渉の行方から目が離せない。

(Via:boxingscene)

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