ゴロフキン対カネロ、歴史的にも重要な一戦は判定結果で物議を醸すことに


photo by:boxingscene

 間違いなく2017年間最高試合にノミネートされる素晴らしい戦いだった。それだけに実に後味の悪い残念な結果となった。歴史的にも重要な一戦は、ソーシャルメディアを通じ疑惑の判定と言われ世界的に大きな波紋を呼んでいる。

 拮抗した試合だが、大方がゴロフキンを支持していたことは事実だろう。現状の採点基準やジャッジの人数の見直し、一般層にも分かりやすく判定結果に理解を得られるよう改善されることが求められることは間違いない。ビッグマッチになればその反響は大きく、競技自体の正当性も疑われ、結果ボクシング人気低迷に繋がることも否定できない。

 WBA・WBC・IBF世界ミドル級王座統一戦が2017年9月16日に、米・ネバダ州ラスベガスにあるT-Mobileアリーナで行われ統一王者ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)が、サウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)と対戦し、三者三様のドロー判定で王座防衛に成功した。ゴロフキンは連勝記録がストップ、プロ戦績は38戦37勝(33KO)1分、サウル・”カネロ”・アルバレスは52戦49勝(34KO)1敗2分としている。

ジャッジ1人は118−110でカネロを支持

 判定の内訳は、アドレイド・バード氏が「118−110」でカネロを支持、デーブ・モレッティ氏が「115−113」でゴロフキンを支持、ドン・トレーラ氏が「114−114」でドロー判定を付けた。大方はWBA・WBC・IBF世界ミドル級統一王者ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)の勝利を確信していただろう。

 しかし、判定結果は「ドロー」。さらにジャッジ1人は「118−110」でカネロを支持したことが大きな論争となっている。米・メディアをはじめ、日本のボクシング・ファンの間でもゴロフキン勝利の論調が多く、ジャッジの下した判定結果と大きなギャップがあることも問題視されている。

 ロサンゼルス・タイムズによると、NSAC(ネバダ州アスレチック・コミッション)ボブ・ベネット氏は、「118−110」でカネロを支持したアドレイド・バード氏を「彼女を直ぐに職務に戻すつもりはない。オフィスには居るけど休息が必要だ」。と処分に関して明言を避けている。

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 筆者の自己採点では「115−113」でカネロ。ただ、どちらかに振り分けることが難しいラウンドが有り現行の採点基準ではどちらが勝利しても不思議ではなかった。ゴロフキンは手数と攻勢、カネロはリング主導権、攻撃を無効化するディフェンスが上手く機能していた。

 ジャッジの見る角度、印象によっても変わってくるため判定となれば攻勢の姿勢を示していたゴロフキンが勝っても不思議ではない。さらにラスベガスはカネロのホーム。ニューヨークであれば違った結果となっていたかもしれない。

 ポイントは前半カネロ、中盤ゴロフキン、終盤カネロという印象だった。カネロは中盤にペースを落とすが後半勝負へ向けてのスタミナ調整だったのかもしれない。

 ゴロフキンのこの一戦にかける思いは相当なものだったにちがいない。”衰え”が指摘されるゴロフキンは驚異的なタフネスを披露。改めてゴロフキンの強さはプレッシャー、パワーだけでなく、無尽蔵のスタミナ、メンタル、強靭なタフネスが土台にあると再認識した戦いだった。

 カネロのカウンターが幾度も捉え、終盤に一瞬グラついた場面もあったが、全く怯まなかった。さらに、12ラウンド通して絶え間なくかけるプレッシャー、手数、スタミナは35歳という年齢を全く感じさせなかった。

試合レビュー

 序盤は、スピードで上回るカネロが主導権を握っていた印象が強い。1回は様子見、2回〜3回からリング中央でゴロフキンと対峙し、ジャブでは互角かそれ以上、高速コンビネーション、接近戦のショートアッパーがゴロフキンを捉えている。

 ここまで、カネロのオフェンスが機能するのは、ゴロフキンの攻撃をしっかりしたディフェンスで防いだからだろう。パワージャブをパーリン、ヘッドスリップで無効化するカネロのムーブ、ディフェンス・ワークは間違いなく本物だろう。
 
 4回はゴロフキンが、プレッシャーを強めた。お互いに、有効打はないがゴロフキンの手数が上回った印象が強い。カネロはゴロフキンのプレスに負けロープに下がることを強いられているように見えるが、呼び込み迎撃を狙っているようにも見えた。しかし、ここで焦らず丁寧に詰めたゴロフキンは流石である。
 
 5回、終盤ロープ際でのお互いの攻防、ゴロフキン、カネロの右クロス、全ラウンド通してもっとも印象的なラウンドだった。パワーショットでは、ゴロフキンの印象が強い。カネロはカウンターで迎撃するが、ゴロフキンはタフで一発では倒れない。パーリン、ダッグなど複合的な高度なディフェンスワークも目立つが、それよりもゴロフキンが最小限のリスクで、カネロを攻撃する丁寧さが目立った。

 6回ー7回、それまでカネロも攻勢にでていたが、ややペースダウン。ゴロフキンのプレッシャーが強まり、自ら下がると言うよりロープ際まで下がることを強いられる印象が強かった。ロープ際で打ち合う手数でゴロフキンの印象が強い。

 8回、ゴロフキンの手数は相変わらずだが、プレスを掛ける際にカネロのパンチを貰う傾向が強い。ゴロフキンのポジションを変え放った左アッパーも印象的だったが、その後のカネロの右アッパーで相殺。ただ、ゴロフキンが支配しているようにも見えた。このラウンドは割れるかもしれない。

 9回、ゴロフキンのプレッシャーは相変わらず強烈だが、カネロに出鼻を叩かれる場面も多い。中盤、アルバレスの右のパワー・ショット、左フックのカウンターがゴロフキンを捉えるが、タフなゴロフキンは動じず有効打にとられず、ゴロフキンの手数で相殺される可能性もあり、このラウンドは割れるかもしれない。

 10回、手数、的中率で明白にカネロのラウンドだった。カネロは、リング中央で上手くパンチを纏め、ゴロフキンの攻撃は殆どは空をきるかブロックに阻まれることが多かった。

 11回、カネロはサークリング、クリーンヒットはないもの得意のカウンターがゴロフキンを捉え主導権を握っていた。ゴロフキンを相手にあそこまでアウトボックスできる選手は現ミドル級には存在しないだろう。

 12回、カネロはリング中央でゴロフキンと対峙。見栄えではカネロ、細かいパンチを上手くゴロフキンにコネクトしていた。ゴロフキンはプレッシャーは強いが、このラウンドは被弾が特に目立った。

ゴロフキン対カネロ再戦は必至

 ゴロフキン対カネロは再戦条項が有り、2018年5月のメキシコの祝日にあたるシンコ・デ・マヨに行われる公算が高いという。再戦が決まれば、興行収益、経済効果を考えれば米ラスベガスが濃厚。カネロは米・東海岸に進出が期待されるが、ゴロフキンのホームである米・東海岸に乗り込むとは考え難い。

 米メディアによると、ゴロフキンは12月にも次戦を計画しているという。しかし、ホームであるニューヨークの会場は他のイベントで既に抑えられている。

 2日はコットの試合、9日はMSGシアターでロマチェンコ対リゴンドー戦が予定。16日は既にMSGアリーナ、バークレイズ・センターは別のイベントで会場が抑えられている。

 ゴロフキンはWBC、IBFの指名戦が控えており、カネロと再戦を目指すのであれば、何れかの王座返上の可能性もありそうだ。

 IBF(国際ボクシング連盟)は、ゴロフキンの指名挑戦者として同級1位のセルゲイ・デレイビャンチェンコ(ウクライナ)を認定。現段階では、指名戦を命じてないが順当にいけば、ゴロフキンはデレイビャンチェンコとの指名戦を義務付けられる公算が高い。

 WBCは、同級1位のジャーモール・チャーロ(米)をゴロフキンの指名挑戦者と認定。現段階では、まだ指名戦を命じてない。IBFは4団体の中で最も厳格、IBF、指名挑戦者との交渉次第で指名戦を一旦回避し、選択試合も可能だが次戦以降に対戦することが義務付けられ、指名戦に応じなければ剥奪されることが慣例である。

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