絶対王者ロマゴンがシーサケットと因縁の再戦でショッキングなKO負け


photo by:boxingscene

 世界のボクシングの”メッカ”米国で真のリスペクトを得た軽量級絶対王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)がリングに沈んだ。タイの英雄シーサケットは、立ち上がりからゴンサレスを全く恐れていなかった。いつの時代も絶対王者が崩れる瞬間ほどショックなことはない。

 軽量級史に残るビッグイベントは、文字通り歴史に残るイベントとなった。絶対王者ゴンサレスが倒された日と記憶され、軽量級史に残るショッキングなエンディングとして記録されるだろう。

 2017年9月9日に、米・カリフォルニア州カーソンにあるスタブハブ・センターで、WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ、王者シーサケット・ソー・ルンビサイ(タイ)と元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)の因縁の再戦が行われ、ゴンサレスが4回キャリア初のKO負けを喫した。シーサケットは2連勝を果たした。

 タイの英雄シーサケット・ソー・ルンビサイは称賛されてしかるべきだろう。ゴンサレスと因縁の再戦を完全決着し証明したものは大きい。ゴンサレスは軽量級史に残る名王者、将来的には殿堂入りも検討されるはずである。シーサケットは、2017年3月に行われた初戦で勝利するが、ゴンサレスがダウンを喫するも「ゴンサレスが勝っていた」という声が多く判定結果は物議を醸していた。

 再戦はシーサケットが4回に計2度のダウンを奪いゴンサレスに完勝。ゴンサレスに勝利したことで、今後はこのアメリカの地で活躍する切符を手に入れたと言って良いだろう。シーサケットは幼少の頃貧困だったという。貧困から抜け出すため一攫千金を求めアメリカン・ドリームを夢見るファイターは多い。シーサケットもその一人だろう。

 「初戦は2ヶ月のトレーニング期間だったんだ。再戦は4ヶ月間みっちりトレーニング・キャンプを行ったよ。もちろん彼をノックアウトできることは分かっていた」。試合後にタイの英雄シーサケットはこう語っている。初戦が物議を醸す判定結果だっただけに、本人もノックアウト決着をのぞんでいたことは間違いない。

シーサケットがよりハングリーだった

 勝敗はファイターの持っている武器、能力、メンタル、タフネスそれに伴った戦略で決まる。ゴンサレスは攻撃能力は勿論、ブロッキング、ウィービング、ディフェンス・ワークが特に優れている。さらに殆どのディフェンスから攻撃に繋げることができ、相手との距離を潰す能力も高い。しかし、パワーで勝り初戦の課題を改善し、よりハングリーに見えたのはシーサケットの方だった。

 シーサケットは、初戦でゴンサレスのパワーを見きったのだろう。ゴンサレスのパンチは脅威ではなく多少の被弾は覚悟の上、ゴンサレスのパンチに臆することなくパワーパンチを浴びせ続けた。一方、ゴンサレスは時よりコンビネーションを放つも力が感じられず、4回全てのラウンドを通して劣勢に見えた。

 ゴンサレスは何時もなら相手との距離を匠に潰し、ポジションを変え多彩なアングルからパンチの連打を繰り出すが、シーサケットのパワーショットがそれをシャットアウト。ゴンサレスの得意とする近接戦でもシーサケットは上回り、常に優位なポジションを確保していた。

 ゴンサレスはシーサケットのパワーショットをブロックするが、直後にパンチを打てる体制は作れていない。つまり、ゴンサレスが武器とするディフェンスから攻撃へスムースに繋げることが出来なくゴンサレスの武器は機能していなかった。ゴンサレスは多少被弾しても、それを帳消しにするパンチを叩きこむが、パワー、フィジカルで勝る相手にそれはあまりにもリスキーだった。

 もちろん、ゴンサレスのパンチもシーサケットにコネクトするが、シーサケットは多少の被弾は想定内。得意の打ち合いに持って行きゴンサレスの防壁を崩すのが狙いと見てとれる。4回、打ち合いに来たゴンサレスに対し右のカウンターを当て込みダウンを奪った。ニカラグアの英雄は立ち上がるが、シーサケットの再度の追撃で大の字となった。

ゴンサレスは全盛期を過ぎた感は否めない

 かつてPFP王者と言われ名勝負を繰り広げたゴンサレスも年齢は30歳。全盛期を過ぎた感は否めない。ミニマム、ライトフライ級時代は無類の強さを誇示しKOの山を築いたが、直近3試合は全て苦戦を強いられている。

 フライ級ではマックウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)に思わぬ苦戦。もちろん、アローヨが実力者であるがこの頃からパフォーマンスが低下したように思う。卓越したディフェンスは健在だがパワーが上手く伝わっていないように見えた。

 階級を上げカルロス・クアドラス(メキシコ)、シーサケット・ソー・ルンビサイ(タイ)戦は更に苦戦。階級の壁、年齢からの衰えにしろ、名勝負を繰り広げた王者もキャリア48戦、打たれ難いが打たれないわけではない。歴戦のダメージも否定できない。

 試合前、ゴンサレス有利だったが、前述した通りゴンサレスがシーサケットの因縁の再戦に勝つにあたり不安要素が多かったのは事実である。ただ、あの衝撃的なエンディングを迎えると予想していたファンは少ないのではないだろうか。

ゴンサレスの貢献を忘れてはならない

 軽量級史上最大のイベント「Superfly」は、ショッキングなエンディングで幕を閉じたとは言え、HBOトリプル・ヘッダーで行われた3試合はどれも好試合だった。

 クアドラス対エストラーダはハイスキルを披露。井上尚弥は米初戦にして相手を戦意喪失に追い込み勝利。ゴンサレスはショッキングなKO負けを喫した。ボクシングのエンターテイメントに必要な魅力が全て揃ったイベントであったことは間違いない。

 内容、興行的にも成功を収めたと言っていいだろう。当日は7418人の観客を動員。直前の情報では60ドルのチケット以外は全てソールドアウトしたという。ここまで軽量級ビッグイベントが成功を収めたのはゴンサレスの貢献があったからである。

 ゴンサレスは2015年プレミア・ケーブル局HBOと契約を果たし、北米の舞台で軽量級で数多くの話題を作り多大な功績を作っている。HBOが軽量級のファイターと契約することは異例。それまで米では軽量級が軽視されてきたが、ゴンサレスの活躍により軽量級が再評価され、脚光を浴びる結果となったと言っても過言ではない。

 米HBOデビュー戦で、WBA・WBC・IBF世界ミドル級統一王者ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)と米西海岸ロサンゼルスで競演。その後、米東海岸ニューヨークでゴロフキンと再度競演し、東海岸でも本場アメリカのファンの間で”チョコラティート”の愛称で愛された。

 ブライアン・ビロリア(米)、マックウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)ら名のある強豪達と名勝負を繰り広げ、北米で4戦目を迎えたカルロス・クアドラス(メキシコ)戦では単独でメーンを務めるまで成長。4階級制覇という勲章だけでなく自らのパフォーマンスでファン、関係者を魅了。米で軽量級の第一人者として軽量級のボクシング界をけん引してきた。

 「Superfly」ではWBO世界スーパーフライ級チャンピオン井上尚弥(大橋)が参戦。HBO、北米で有力プロモーターであるK2プロモーションズから招聘があったにしろ、ゴンサレスが米で軽量級に大きなインパクトを与えたことは無視できない。

 実力者であってもライバルなくしてスターになることは難しい。ゴンサレスの活躍、貢献なくして「Superfly」軽量級史上最大のビッグイベントの開催はなかったはずである。

 ゴンサレスは、1日経ち「引退する準備は出来ている」。と引退を示唆。ショッキングな負け方から軽量級史上最大のメガファイト、井上尚弥とのドリームファイトは消滅。これが最後となるか分からないが、限りなくキャリアが終盤に向かっていることは事実。1つの時代が終わろうとしている。

(Via:boxingscene

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