「タオル投入の是非」と騒がれているが、そこまで物議を醸す試合ではなかった。しかし、最終的に物議を醸すことになりそうだ。山中慎介(帝拳)の大記録が懸かった試合だけに、各メディアが報じているように大きな波紋となっている。

 WBC(世界ボクシング評議会)が23日、2017年8月15日に京都で行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチで山中慎介(帝拳)をTKOで破り新王者となったルイス・ネリ(メキシコ)が試合前にVADA(ボンラティア・アンチ・ドーピング機構)によって行われた抜き打ちの薬物検査で、陽性反応を示したことを発表した。
 
 米・ボクシングシーンによると、禁止薬物として指定されている「ジルパテロール」の陽性反応を示したという。成分が似ているクレンブテロールと同様、減量効果や筋肉量を増やす効果がある。さらに、家畜の飼料としても使われ過去に、フランシスコ・バルガス(メキシコ)が、VADAによる薬物検査でクレンブテンールが検出され問題となっている。

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 現段階でルイス・ネリが完全にクロと認定されたわけではない。WBCは今後、サンプルBの解析を進め真相を究明すると声明を発表している。もし、サンプルBの結果が陽性であればネリはクロ認定、ただし現段階で山中慎介に王座が戻るかは不透明。全てはWBCの裁量によって決定する。

 ESPNのシニア・ライター、ダン・レイフィール氏は、試合は無効試合、山中に王座が戻ってくると見解を示している。しかし、前述したとおり全てはWBCによって決まるためネリの王座が剥奪され、タイトルが空位となり王座決定戦となる可能性もある。つまり、山中慎介の連続防衛記録は途絶えることになる。

 今回の薬物検査の焦点は、成分が牛の飼料として使われ家庭、一般的なレストランなどでも摂取する可能性もあり、どのくらいの量の成分が検出されたか基準値での判定となりそうだ。

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蔓延するPED問題

 ボクシング界のPED(薬物問題)は今に始まったことではない。しかし、問題を先送りせず統括団体、各コミッションは連携し英知を結集し、今こそ統一ルールを作る時だろう。

 ドーピング問題が後を絶たないのは、コミッションの罰則規定が甘いことも原因の1つだ。米国では州によって規定が異なるが、はっきり言ってコミッションの罰則は甘い。

 2015年5月に行われた粟生対ベルトラン戦でベルトランが試合後にコミッションが行なった薬物検査で禁止薬物として指定されているスタノゾロールが検出。報酬30%の罰金と9ヶ月間の出場停止処分のみ。そのベルトランは1年後に復帰戦を行なっている。

 ドーピングによってボクシング界が負うダメージは計り知れない。日本だけでなくボクシングの本場米国でもボクシング人気は低迷している。こういった薬物問題が増えればファンの不信感は募り結果的にボクシング界の低迷に拍車をかけることになることは否定できない。

 最近では、薬物撲滅の一環としてWBCがクリーン・アップ・プログラムを提言。WBCの行動は評価できる。しかし、トップランカーでまだVADAの薬物検査を受けていない選手がいると言う。

 WBCは世界ランカーに対し、VADA(ボランティア・アンチ・ドーピング機構)による、常時の薬物検査を行うことを義務付け、薬物検査を受けないランカーに対しトップコンテンダーから除外すると明言していた。

 しかし、ランキングは明確な基準があるわけではなく、プロモーターの政治力は無視できない。WBCによる「クリーン・アップ・プログラム」が本当に機能しているかは少し疑問が残る。

 ボクシング業界が負うダメージもあるが、こういった形になれば一番の被害者は負けた選手だ。たとえ、無効試合となってもその記憶が抹消されるわけではない。選手が受けた精神的ダメージは計り知れない。こういったことを起こさないためにも、基準値の明確化、罰則の強化など早急な対応が求められる。

(Via:boxignscene

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