アラム氏、ロマチェンコ、ウォータースの勝者とコラレス、内山の対戦プランを発表

 トップランク(米・大手ボクシングプロモーション) ボブ・アラム氏は2017年はじめにも、今後トップランクの新たな顔となるであろうWBO世界スーパーフェザー級王者・ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と、同級WBA王者との王座統一戦のプランを明かした。

 ボブ・アラム氏は「ロマチェンコ、コラレスの交渉が進められていたとき、ウォータース陣営の同意が得られウォータースとの対戦を決めた。2017年前半にもこの対戦の勝者とコラレスの王座統一戦を考えている」と述べた。

 もともと、王座統一戦を望むワシル・ロマチェンコは次戦、WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・ジェスレル・コラレス(パナマ)との王座統一戦の交渉が進められ合意間近と報道されていた。

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ロマチェンコ、ウォータースが急転直下決定

 しかし、ウォータース陣営がロマチェンコ戦に同意したことから急転直下、ロマチェンコ、ウォータース戦が決定した。これは、12月米・ニューヨークで試合を予定していたサウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)が怪我で出場ができなくなり試合を中継するHBO(米・最大手ボクシング中継局)の予算が確保できたことによる影響が強い。

 ロマチェンコ、ウォータースは以前にも対戦交渉がされてきたが、ウォータース陣営が報酬に不満を示し交渉は失敗に終わっている。ウォータースはロマチェンコ戦で自身のキャリア最大となる55万ドルの報酬が約束。勝利した場合、追加報酬の提案がされたがウォータース陣営はオファーを辞退している。

 一方で、合意間近と報じられていたジェスレル・コラレスとの試合の準備はできていたという。もともと、トップランクはウォータース、コラレスと同時に対戦交渉し、HBOの予算枠次第でどちらかに決定するつもりだったのだろう。

 ジェスレル・コラレス、ニコラス・ウォータースを比較すれば、北米での知名度は圧倒的にウォータースである。コラレスは内山高志に勝利したとは言え米国では無名。HBOが難色を示した可能性は高い。

HBOは、ロマチェンコ、ウォータース戦が欲しいのが本音

 コラレスにとってみればロマチェンコと戦うメリットが大きいが、今後、トップランクの顔となるロマチェンコにとってはメリットは殆どない。

 HBOは、マルチネス戦でセンセーショナルなKO劇を見せたことを考えれば、次戦もインパクトのある対戦候補が欲しいのが本音。HBOが、まだ米国で絶対的な知名度を得ていないロマチェンコの対戦相手としてコラレスを承認するかどうかは微妙なところである。

 HBOのカネロの予算は数億円といわれている。だとすれば、ウォータース陣営の報酬アップの要求にHBOが譲歩した可能性はある。2人はスーパーフェザー級では間違いなくトップ選手であり、興行的に見てもロマチェンコ、コラレスの一戦は成功するだろう。

 ワシル・ロマチェンコは、米国現地時間2016年11月26日ネバタ州ラスベガスにあるコスモポリタンホテル内にある「ザ・チェルシー」でニコラス・ウォータース(ジャマイカ)と初防衛戦を行う。WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者・ジェスレル・コラレス(パナマ)は12月31日、東京・大田区総合体育館で内山高志(ワタナベ)とのダイレクト・リマッチが決定している。

内山が勝ってもロマチェンコ戦は期待できない

 ロマチェンコ、内山が順当に勝利すれば内山がロマチェンコと全米デビューを少なからず期待するファンも多いだろう。しかし、仮に内山が勝ったとして内山陣営がリスキーなロマチェンコとの戦いにゴーサインを出すとは思えない。 

 なぜなら、内山高志は日本で一定以上のファンを持ち集客能力もあり、日本のボクシング人気は低迷しているとは言え低い数値であるが視聴件数もある。日本は、米国、英国に次ぐボクシングのマーケットを持っており興行収益でも期待できる。

内山は米国進出となれば報酬が激減するだろう

 であれば、ジムの看板である内山高志がハイリスク、ハイリターンを求め、米国進出する必要性はあまり感じられない。内山は米国では殆ど無名だ。実力だけでなく人気、選手の興行価値で報酬が大きく変わるのが北米のリング。つまり、内山の報酬は激減されることが予想できる。

 日本での報酬は公開されてなく不透明だが報酬の上限を2000万円と考ても、無名の内山に対しメガ・ケーブルTV局HBOがこれだけの報酬を用意するだろうか。

 ロマチェンコの直近の試合は、85万ドル当時のレートで日本円で約9100万円、対するマルティネスは42万5千ドル(4550万円)、一見用意することも難しくないように見える。

 この試合は、マルチネスの母国プエルトリカンのコミュニティが多くある米・ニューヨークで行われている。マルチネスゆかりの地であるニューヨークでの興行はチケット・セールスも期待できる。

 五輪2大会で金メダルを獲得したロマチェンコにとっても、米・東海岸でデビュー戦で集客力のあるマルチネスと戦い勝利すれば得るものは大きい。つまり、戦う双方にとってメリットがあり、HBOの視聴件数が期待できるから成立したのである。

 こうした事情を考えた時、内山陣営、TV局が直ぐにゴーサインをだすだろうか。報酬は大幅に譲歩しなければ難しい。北米のボクシング界は夢の舞台にちがいないが、選手の評価は実力だけでなく人気によって決まる。

ガラパゴス化している日本のボクシング界

 日本のボクシング界は「ガラパゴス化」していると言われている。これは、日本開催を優先し強豪との対戦を求め、海外進出するケースはすくないからである。しかし、一定のマーケットがあるが故、興行観点から見れば決して間違っていない。しかし、こういった事情がファンの期待を裏切り「ファン離れ」に繋がっていると考えている。

 ワタナベジムは、内山高志の米国デビュー戦を明言。TV局も全面バックアップすると約束した。しかし、米国進出が期待できる状態とは到底言い難くファンの不信感は高まるばかりだ。陣営はパッキャオのアンダーカードのオファーを事実上の辞退を宣言。「パッキャオのアンダーカードでは後援会のチケット入手が困難」だと説明。

 ファンは米国進出を期待していたが叶わなかった。条件に拘りすぎていては決まるものも決まらない。チャンスは自ら掴むもので待つものではない。パッキャオ、ブラッドリーのアンダーカードであれば条件としては決して悪くない。決まればHBOが全米中継、HBOは各国に放映権を販売していることから世界的に知名度を得るチャンスをなくした。
 
 ファンからは「日本のジム制度の限界、内山は帝拳に移籍したほうがいい」そういった声も多く聞こえる。一方で米のプレミア・ケーブルTV局での試合がそう簡単に決まるわけがないという意見もあるだろう。

 近年、北米での日本人選手の活躍をみれば日本人選手の評価は上がり北米参戦のハードルも下がっている。西岡利晃を筆頭に、三浦隆司、亀海喜寛、亀田和毅、荒川仁人、石田順裕、チャーリー太田らの活躍をみればプロモーターが好戦的であり好試合を演じる日本人選手の起用を考えても何ら不思議ではない。

本物同士のマッチメークが見たいそれが本音

 ロマチェンコ、内山は次戦の結果さえでていない状況でリアリティのない話だが、実現は限りなくゼロに近いと思っている。メジャー4団体に4人の王者が君臨する時代、選手によって様々なキャリア・パスがある。今は、昔と違い海外のボクシング情報も多い。

 良い選手が居れば直ぐにYoutubeで試合が観れる時代。それに伴い、ファンが求めるマッチメークも時代によって変わってきている。つまり、日本のプロモーターに求められるもの変化してきているということだ。

 北米の舞台で日本人選手が活躍するのも夢の話ではないが、日本で一定上の集客力がある選手にとってはTV局の意向もありそれが実現の足かせになる可能性もある。だが、トップ選手同士のマッチメークが観たいのは当然だ。
 
 ボクシングの本場アメリカで甘いマッチメークはない。変化の激しい時代にどれだけ対応していくのか、ファンが求めるビッグマッチをどう実現していくのか。2017年日本のボクシング界もターニングポイントを迎えていることは間違いない。

(Via:boxingscene) 

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