ビッグマッチを求め続けてきたアミール・カーン(英)。3年の月日を得てようやく実現する。WBC世界ミドル級タイトルマッチ、王者・サウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)、対、挑戦者・アミール・カーン(英)の一戦が、米国現地時間2016年5月7日ネバタ州ラスベガスに新設されたT–Mobileアリーナで、ボクシング・イベントのこけら落としとして行われる。

 現地時間2016年5月5日、「競技人生を賭ける準備はできている。」試合前、ラスベガスでの記者会見でアミール・カーンはそう語った。フロイド・メイウェザーJr.、マニー・パッキャオとのビッグマッチを追いかけたが、両雄は現役引退を表明。誰もがアミール・カーンは、より多くの報酬を見込めビッグマッチとなるIBF世界ウェルター級王者・ケル・ブルック(英)戦へ方針を切り替えると見ていただろう。
 
 2016年2月2日、ゴールデン・ボーイ・プロモーションズ(GBP)は、WBC世界ミドル級王者・サウル・”カネロ”・アルバレス(メキシコ)、アミール・カーン(英)の電撃カードを発表した。「ラスベガスでビッグファイトをするのが夢だったんだ」と語るカーン。サプライズといって言いこの対戦カードを予想していた人は少ないだろう。

 ミドル級キャッチウェイト(155パウンド)で行なわれるこの試合は実質、スーパーウェルター級(154パウンド)+1パウンドで行われる。アミール・カーンの主戦場はウェルター級であることを考えれば、1階級+1パウンド階級を上げての挑戦。近年は、2階級上げての試合も珍しくなく、”キャッチウェイトでのタイトルマッチ”を除けば、そこまで異例という印象は無い。アミール・カーンからすれば、1階級上げることでビッグマッチが実現するのであれば、カネロと対戦しない理由は無いだろう。

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メイウェザー戦は叶わなかった

 アミール・カーンは、マリナッジ、ジュダー、マイダナに勝ち順当なキャリアを積み次期スター候補とも呼ばれるが、キャリア中盤、ダニー・ガルシアとの統一戦で敗退。ビッグマッチから遠のいている。しかし、米国でのキャリアも有り一定以上の人気・知名度も米国で有ることから、キース・サーマン(米)、ショーン・ポーター(米)と比較しても、興行的な面でもメイウェザーJr.、マニー・パッキャオのオプションとして最も相応しかったのは事実だろう。

 2014年、フロイド・メイウェザーJr.の次戦の候補としてアミール・カーンが浮上した。メイウェザーJr.はインターネットを通じて次戦の対戦候補をオンライン投票を実施。アミール・カーンが、オンライン投票で57%獲得し、フロイド・メイウェザーJr.との対戦の可能性が高まるも、フロイド・メイウェザーJr.は、マルコス・マイダナ(アルゼンチン)との試合を選択。その後、9月の試合でカーンも再び対戦候補に浮上するが、マイダナとの再戦が決まり実現しなかった。

 アミール・カーンは、2015年5月29日米・ニューヨーク、ブルックリンにあるバークレイズ・センターでクリス・アルジェリと対戦し12回判定勝利。スタイルを変化させたアルジェリに思わぬ苦戦をしたが、勝利後のインタビューでフロイド・メイウェザーJr.へ対戦を呼びかけるも、フロイド・メイウェザーJr.はアンドレ・ベルトとの対戦を決め、3度目の願いも叶わずに終わった。

 その後、2016年、マニー・パッキャオ(フィリピン)のラスト・ファイトの対戦候補としてアミール・カーンが浮上。英国メディアが対戦が合意したと誤報がでるなどしたが、パッキャオはティモシー・ブラッドリーとのラバー・マッチが決まり、またもビッグマッチが消滅した。

ようやく実現したビッグマッチだが

 WBA・WBC暫定・IBF世界ミドル級統一王者・ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)は、カネロ、カーンのマッチメークは”これはビジネスだ”という。ゴロフキンが言うように、カネロ、カーンのマッチメークは、人気・話題先行型のマッチメーク感は歪めない。必ずしも実力者が優遇されるわけではなく、大金が動くボクシング界は、プロモーター、TV局の思惑がマッチメークを左右する。その象徴とも言える試合だ。

 カーンからすれば現時点で、メイウェザー、パッキャオに継ぐ最も興行価値の高いカネロとの試合は願ってもないチャンスだ。ウェルター級で最も強いと言われているIBF世界ウェルター級王者・ケル・ブルック(英)にしても、米国での知名度はイマイチ。キース・サーマン、ショーン・ポーターもまだ、全米で絶大な人気を得るファイターとしては育っていないのが現状だ。

 ミドル級でのキャッチ・ウェイト、人気・話題先行型。ビッグ・イベントだけに試合後の反響も多きそうだ。例え、カネロが劇的な勝利をしても何ら不思議ではなく、試合後”キャッチウェイト”、ゴロフキンを回避したと多くの批判を浴びることは間違い。「ドル箱のスター候補」であることを楽しんでいると語ったカーン。メイウェザー、パッキャオとの交渉が失敗に終わり、気の毒に思うところもあったが、ようやく掴んだビッグマッチ、試合当日どんなパフォーマンスを魅せてくれるのだろうか。

(Via: AFP通信