【結果】ルイス・ネリー対ブランドン・フィゲロア

 WBA世界スーパーバンタム級王者ブランドン・フィゲロア(米)がWBC王者ルイス・ネリー(メキシコ)と対戦し7回KO勝ち。WBAの防衛に成功しWBC王座を獲得した。前半はネリーのスピードと回転に苦労したがいつものように執拗に追いかけ最後はボディのカウンターで仕留めた。

 勝ったブランドン・フィゲロア(米)はプロ通算23戦22勝17KO1分、負けたネリーは32戦31勝24KO1敗(1KO)、プロ初黒星となった。

ネリー対フィゲロアはWBA・WBC統一王者

 今戦はWBA・WBC統一スーパーバンタム級タイトルマッチとして挙行される。しかし、本来であれば懸けられるタイトルはWBC(世界ボクシング評議会)タイトルだけのはずだ。フィゲロアはWBAレギュラー王者(正規王者)。スーパー王者はIBFとWBAタイトルをもつムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が君臨しているからだ。

 WBAはスーパー王者認定に関し統一王者や功績が認められた王者としている。ドローにならない限り勝者はWBA・WBC統一王者が誕生。いまさら言及するまでもないがWBAの仕組みは崩壊している。

 もちろん、WBCだから承認されたという背景もあるだろう。WBO(世界ボクシング機構)やIBF(国際ボクシング連盟)に至っては規定で統一戦を行う場合、WBAにスーパー王者が君臨する場合はスーパー王者以外は統一戦として認めていない。

 最近ではいえば、WBAレギュラー王者(正規王者)井上尚弥とIBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦はIBF世界バンタム級タイトルマッチとして挙行され、WBAタイトルは懸けられていない。IBFが例外的に認めたのには後にWBAスーパー王者との統一戦が確約されていた背景もある。

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ネリー対フィゲロア ファイトマネー

ネリー 25万ドル(約2733万円)
フィゲロア 65万ドル(約7107万円)

米カリフォルニアは、メキシコ系アメリカ人が多く居住するが今回はネリーがBサイド。オッズはネリーに傾いているが、プロモーターらのフィゲロアの評価や期待値の高さが伺える。

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ネリー対フィゲロアはどんな戦いなのか

 北米で軽量級が話題になることは多くないが、新星フィゲロアがメキシカンのネリーと戦うだけあり注目を集めている。アクション満載のフィゲロアとネリー、噛み合わないはずがない。勝者はこの階級の実力者らに名乗りをあげることができる。

 2人は本当に実力者なのか疑問視する声も多い。24歳、期待の新星フィゲロアは22戦21勝15KO1分だが、まだ強豪と拳をあわせた経験はない。

 オスカル・エスカンドン、フリオ・セハは中堅クラスで旬は過ぎている。もちろん、セハに限っては2キロ以上の体重超過の失態を犯しフェアでない状況下で戦うことを強いられたことも事実であるが、何れもトップクラスではない。

 一方のスーパーバンタム級にあげたネリーも同様。WBC(世界ボクシング評議会)に与えられた、アーロン・アラメダに勝利したものパワー不足が露呈。疑問符がついた試合でタイトルを獲得したもの米リング誌格付けランキングでネリーはWBC王者でありながら圏外という評価だった。

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カネロ・チームを離脱したネリーのスタイルはどうなのか

 スーパーバンタム級にあげたネリーは課題が山積みだ。バンタム級時代パヤノをノックアウト、アローヨを棄権に追い込み存在感をしめしたが、スーパーバンタム級にあげ空位の王座を争ったアーロン・アラメダ(メキシコ)戦のネリーは予想より静か。低調な結果に終わった。

 米Athletic社の記事によると「エディ・レイノソとの関係は何も問題なかった。彼は世界トップ・レベルのトレーナー、コーチでもあり素晴らしい人だよ。今でも彼との関係は続いている」。

 カネロを教えるレイノソ氏と組んだことでネリーどんな進化を遂げるか期待されたが、期待値を下回るパフォーマンスだった。階級アップの影響かバンタム級時代のパワーは影を潜め印象的なシーンも殆どなくパワー、フジカル不足が浮き彫りとなった。

 「連続KOはストップしたけど、これはスタイル・チェンジの影響が大きかった。ティファナで元トレーナーのイスマエル・ラミレス氏とのトレーニングが自分のスタイルに合っていると感じレイノソ氏から離れることを決めた」。

 ドミニカンのファン・カルロス・パヤノ、マックジョー・アローヨ(プエルトリコ)を棄権に追い込み連続ノック・アウトを築いていたが連続KOはストップ。

 「準備不足だった。コロナで日常生活が変わってしまった。ジムも違うしスパーリング環境もこれまでと違う。スパーリングは週2、3回で準備不足だった。コンディションは60%くらいだった」。
 ネリーはアラメダ戦をこう振り返っている。その殆どが言い訳だが。

 米Athletic社の記事によると「フィゲロアに負けるつもりはない。フィゲロア戦に向け過去最高のトレーニングができた。これまでの試合を振り返り最も効果が発揮できたトレーニング方法に立ち返った」。
 
 過去最高のコンディションをつくったネリーの出来は。スーパーバンタム級にアジャストしパワーを強化したとしフィゲロアとどう戦う気なのか。タフなフィゲロアと真っ向勝負するのは得策とは言えない。

 フィゲロアは、スーパーバンタム級で身長175cm、リーチ183cmと規格外のフレームを持つ。体格差があるだけに当日、フィゲロアは体重をかなり戻してくるだろう。正面突破をはかれば消耗戦。フィゲロアはリーチを活かすのか。ネリーは勝利へ向けどんな戦略をとるのか。興味深いマッチ・アップだ。

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ネリー対フィゲロア結果

 フィゲロア勝利の声が多いがオッズはネリーが1.4倍、フィゲロアが2倍と若干ネリーに傾いている。ただ、直近の試合はどちらも期待値どおりのパフォーマンスを示したわけではなく、これまでのキャリアが判断材料となりネリーの潜在能力が買われているのだろう。

 大方の予想どおりだった。フィゲロアがいつも通り前進しコツコツとアタック。ネリーの体力を削り最後はカウンターで仕留めた。一方、オッズで有利だったネリーはゴング開始からスピードを活かし、フィゲロアの攻撃を分断。インサイドで回転力を活かしたスタイルで対抗したが最後は捕まった。


 的中率はネリーが上回った。トータル608発中、209発(34%)、フィゲロアは648発中、177発(27%)だった。6回までの採点はドロー、フィゲロア58−56、ネリー59−55。59−55までの開きはなかったが、4回以降からはフィゲロアが追い上げた。

 序盤、相手に効かせるパンチはなかったがスピードを活かしたネリーが接近戦で上手く立ち回った。1回、終盤に綺麗にフィゲロアにパンチをコネクト。接近戦でも打ち合いに臨んだ。2回も展開は同じでフィゲロアが追いかける構図。下から突き上げるネリーのパンチの見栄えは良かった。

 展開が変わったのは序盤が過ぎ5回にはいったとき。ネリーはこれまで接近戦にも応じていたがアウト・ボックスに切り替え。フィゲロアのプレスに耐えきれなくなったのかは不明だが後退モード。こうなってくると、フィゲロアのスタイルがいきてくる。


 攻撃型スタイルのネリーはそこまで引き出しは多くない。フィゲロアを空転させられるほどのアビリティもなく6回を過ぎると徐々にフィゲロア得意の打ち合いの土俵に巻き込まれていった。7回、フィゲロアが攻勢を強めるとネリーはかわしきれず被弾も増えるなか、ボディの打ち合いでフィゲロアのカウンターが刺さりダウン。10カウントとなった。

 ネリーの敗因は紛れもなくフィゲロアに真っ向勝負を挑んだことだろう。前半は上手く回転力とスピードで対抗していたが、プレスに耐えきれなくなったのか。エディ・レイノソ氏とトレーナーを組んでいたらどういった戦略をとるのか。少なくても勝機の薄い正面突破は避けるだろう。

 何れにしてもはっきりしたのがネリーはスーパーバンタム級が適正階級ではないということだ。パワー不足も鮮明。それを補うだけのディフェンス能力や高い戦略や技術力は備わってなかった。

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ネリー対フィゲロア ハイライト動画

フィゲロアはWBO王者フルトンと統一戦

 キャリア大一番で勝ったフィゲロアはこれで既定路線のWBO王者スティーブン・フルトン(米)との統一戦が9月に実現する。今回、フィゲロアはネリーに勝ったがこのスタイルがいつまで通用するか懸念材料は多い。絶え間ないアクションはファンを魅了するがディフェンスに欠陥があり被弾も多く後にダメージとして影響が出てくる可能性がある。

 パワーやフィジカルが対等な相手を迎えたとき真価が問われる。フルトンはロング、インサイドも得意でアウト・ボックスもできる。黒人特有のバネ、高い身体能力も備えている。フィゲロアは驚異的なタフネスが武器だが、スタイル的に攻略されやすくフルトン戦はオッズは不利になるだろう。

 フルトンは表向き4団体制覇をかかげるがフェザー級進出も匂わせている。スーパーバンタム級はタレントが多く好試合が期待されるが、軽量級の関心が薄い北米で高額なファイト・マネーが支払われるマッチメークはこの階級では実現しないだろう。

 フェザー級にあげればレオ・サンタ・クルス(メキシコ)やゲーリー・ラッセル・ジュニア(米)が名を連ねる。ここまで上がってくればファイトマネーは一気に上昇する。何れにしてもネリーを葬ったフィゲロアの評価が見直されることは間違いない。

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