【結果】ミゲル・ベルチェルト対オスカル・バルデス

 WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチが2月21日米ネバダ州ラスベガスで行われ、オスカル・バルデス(メキシコ)が王者ミゲル・ベルチェルト(メキシコ)から計3度のダウンを奪いKO勝ち2階級制覇を達成した。ベルチェルト有利の声が多かったが予想を大きく覆すかたちとなった。スピード、クイックネスで上回るバルデスはパワージャブと左フックを軸にベルチェルトに深刻なダメージを与えた。

 約4年間、長期政権を築いていたベルチェルトは王座から陥落。40戦37戦33勝2敗2KO。バルデスは連勝レコードを伸ばし29戦全勝23KOとした。試合背景、試合を簡易レビューしたい。

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バルデス対ベルチェルト試合背景

 ようやくリスケされ実現。今戦はもともと、2020年12月12日にセットされたが、ベルチェルトが新型コロナウイルス(COVID-19)で陽性反応を示し延期となっていた。

 オッズの開きはそこまでないが、専門家らの意見をみるとわずかにベルチェルトに傾いている。筆者も予想はベルチェルトの判定勝ち予想だ。

「メキシカン対決は多くの素晴らしい戦いがあった。なかでもバレラ対モラレスは一番思い入れの深い戦いだ」。

 好戦的同士、メキシカン同士の対決は凡戦に終わるケースは稀。歴史的にみても名勝負は多い。記憶に新しいメキシカン同士の決戦は2000年2月19日、マルコ・アントニオ・バレラ(メキシコ)対エリック・モラレス(メキシコ)。イスラエル・バスケス対ラファエル・マルケス、フランシスコ・バルガス対オルランド・サリド。

 今戦は、互いがどういった戦略をとるのか興味深い。トップアマ出身のバルデスは2009年世界選手権で銅メダルを獲得。2012年にプロへ転向し2016年WBO世界フェザー級王座を獲得した。

 フェザー級を主戦場としていたがビッグ・ファイトを模索しSフェザー級へ転向を表明。バルデスは、WBO(世界ボクシング機構)からシャクール・スティーブンソン(米)戦を指令されたが、バルデスは指名戦に関心を示すことなく王座を返上した。

 バルデスにとってキャリア最大の試練になるだろう。王者ベルチェルトは身長170cm、リーチ182cmで体格でバルデスより上回る。バルデスは身長166cm、リーチ168cmとSフェザー級では小柄。ナチュラルなベルチェルトはパワー、フジカルも上まわるだろう。

 そして、バルデスには懸念材料が多い。Sフェザー級でアダム・ロペス、ジェイソン・ベレズといった中堅クラス相手に試運転を終えたが、トップクラス相手にパワーが通用するか未知数。直近2試合勝っているがダウンを喫している点もタフネスにも不安は残る。

 「ゲーム・プランはある。感情をコントロールしてスマートになる必要がある」。チーム・カネロの一員となったバルデスの戦略はどうか。スピード、スキルで対抗できるかどうか。当然、ベルチェルトの土俵で戦えば不利になり戦略が問われる。

 「最高の気分だけど不安もある。バルデスは優れたボクサーだし、彼はカネロ、エディ・レイノソ氏と優れたコーナーがついているからね」。
 こう語ったのはベルチェルトだ。7度目の防衛戦を迎えたベルチェルトは王座につき約4年と長期政権を築いている。米リング誌スーパーフェザー級格付けで1位の評価。乱打戦も得意だが、2017年7月、パワー・パンチャーの三浦隆司戦は、アウト・ボックスするなど引き出しは多い。

 KO率は84%。ジェイソン・ソーサ、フランシスコ・バルガス、ミゲル・ローマンにストップ勝ち。”年間最高試合”の声も聞こえるが、足をとめパンチが交錯する打ち合いになるのかどうか。バルデスが距離、スピード、テクニックを駆使すれば違った戦いになるかもしれない。

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ベルチェルト対バルデス 試合結果レビュー

 大方の予想を覆す結果となった。年間最高試合とまではいかなかったが、バルデスはキャリア最大のパフォーマンスを示した。クイックネス、スピードに優れるバルデスの強振がベルチェルトを捉え致命的なダメージを与えた。なかでも優れてたのがパワージャブとフットワークだ。パワージャブでベルチェルトの追撃を阻止。軌道をかえた得意の左フックでバルデスのガードを揺らし、ベルチェルトを呼び込みアウト・ボックスを披露した。

 エディ・レイノソ氏とトレーニングした成果なのだろう。際立ったのは攻撃面だけではない。後ずさりしながらもベルチェルトを呼び寄せうち終わりに上手くカウンターをセット。コーナーのエスケープもうまく対策は十分だった。

 開始ゴングがなるとベルチェルトのサイズが目立つが、バルデスは小刻みに頭を動かし接近し遠慮なしに強打を放っていた。一方、ベルチェルトの動きはどことなく重かった。慎重な立ち上がりを見せたが、ジャブ、ワンツーも力はなかった。

 試合が動いたのは4ラウンドだった。バルデスの左フックをもらったベルチェルトは一瞬グラついた。この瞬間を見逃すことなくバルデスは、強打のコンビネーションを浴びせ追撃。ベルチェルトはコーナーに下がりふらつくとスタンディング・ダウンを取られ、キャリア最大のピンチを迎えたがゴングに救われた。

 5ラウンド、足元がおぼつかないベルチェルトのダメージは深刻だった。最大の試練を迎えたベルチェルトはサバイブしタフネスを示したもの、その後も主導権を握っていたのはバルデスだった。

参照:Compubox


 中盤、ベルチェルトも反撃に転じるがダメージからかパワー・レス。バルデスの脅威となるようなパワーショットは影を潜めた。ベルチェルトは有効打を与えてなかったわけではないが、目立ったのはバルデスの強振だった。上がCompuBoxのパンチ集計だ。ベルチェルトのパワーパンチは233発中64発(27%)、一方バルデスは328発中103発(31%)が的中だった。

https://twitter.com/in44y1/statuses/1363351049768083456

 9回、右アッパー、左フックの連打でベルチェルトは2度目のダウン。フットワークと軽快なボディ・ワークでベルチェルトのパンチを空転させたバルデスはノックアウトを探していると10回、ベルチェルトの攻撃にあわせ左フックのカウンターが炸裂。ベルチェルトは前のめりにマットに沈みレフェリーが試合を止めた。戦慄的なフィニッシュだった。

 前のめりに倒れ数分起き上がれなかったベルチェルトのダメージが心配されたが、試合後のCTスキャンを受け問題なかったことが分かっている。

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ベルチェルト対バルデス 公式スコア

参照:boxingscene

ベルチェルト対バルデス 動画

バルデスの次戦は

 この先は、トップランク傘下同士のSフェザー級2団体統一戦がシナリオとして用意されているが、次戦は選択防衛戦の可能性が高い。3月中東ドバイで挙行予定のWBO世界Sフェザー級王者ジャメル・ヘリング(米)対カール・フランプトン(英)戦の勝者は、シャクール・スティーブンソン(米)との指名戦が義務付けられている。

 いずれにせよ、センセーショナルな勝ち方をしたバルデスがSフェザー級戦線で大きな存在感をしめしたことは間違いない。米リング誌Sフェザー級ランキングでもトップに食い込んでくるだろう。

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