ボクシング・WBOインターコンチネンタルライト級決定戦が行われ中谷正義が9回、フェリックス・ベルデホ(プエルトリコ)に大逆転TKO勝ちを収め番狂わせを起こした。序盤はベルデホのカウンターが上手く機能し1回、4回に中谷はダウンを奪われ劣勢に立たされたが後半、反撃に転じ流れを作ると9ラウンド、ジャブのカウンターでダウンを奪い返し最後は右フックで仕留めた。
中谷は20戦19勝13KO1敗、負けたベルデホは29戦27勝17KO2敗2KOとした。大きなインパクトを残した中谷は、タフネスはもちろん、挽回力の高さを証明。フィニッシュも鮮やかで存在感のあるパフォーマンスを示したことで、世界タイトル挑戦の機会が与えられそうだ。
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ベルデホにとってどんな戦いだったのか
フェリックス・ベルデホ
国籍 プエルトリコ
身長 175cm
リーチ 182cm
プロ戦績:28戦27勝17KO1敗(1KO)
アマチュア戦績:106勝17敗
ロンドン五輪ライト級 ベスト8敗退
ベルデホのキャリアは順風満帆だったが、ロサダに負けたことで評価は急落。ベルデホはふたたび輝きを取り戻せるだろうか。中谷戦は契約するトップランク社の最終試験だった。
ベルデホはプエルトリカン期待のスター候補生だった。ロンドン五輪ライト級に出場しプロに転向したベルデホは米トップランク社(有力プロモーター)と60万ドルのボーナスを含む契約を締結。プロに転じ勝ち星を積み順調なキャリアを歩んでいたが2016年8月、バイク運転中に転倒した事故から歯車が狂い出す。
頭部と顔、左腕に裂傷を負ったベルデホは、事故から回復しオリバー・フロレース(ニカラグア)に判定勝ちしたがその後、12ヶ月間のブランクを作った。迎えた2018年3月にアントニオ・ロサダ(メキシコ)戦で、ロサダのペースに飲まれ痛烈なノック・アウト負けを喫したベルデホはトップ戦線から脱落した。
「ミランダが戦いのモチベーションなんだ。ファミリーやプエルトリカンのファンが応援してくれる。プエルトリコの人々に幸せを届けたい」。
娘のミランダ、家族がモチベーションだという。
ロサダ戦後は4戦全勝。トップクラスと向き合ってなく試合内容にムラがあり、本当に復調といえるかはまだわからない。2019年4月、ブライアン・バスケス(コスタリカ)戦では厳しい戦いを強いられている。「ロペスと戦うことは絶好の機会だね。説得力のある結果が出す必要がある」。はやくもロペス戦に関心を示している。
トップクラスと対峙したことがないベルデホ。テオフィモ・ロペス(米)と善戦した中谷戦は、トップ戦線を目指すベルデホにとってリトマス紙となる。勝つことはもちろん、問われるのは内容だった。
Sponsor Link中谷は勝てば再びチャンス
圧倒的不利予想を覆しふたたび米国のリングにたつチャンスを掴んだのが中谷だ。IBF世界ライト級王者リチャード・コミー(ガーナ)への挑戦権をかけたテオフィモ・ロペス(米)戦はオッズは圧倒的にスター候補ロペスに傾いてた。
試合は、中谷が長い距離と左リード、右ストレートでロペスの前進を止め、ロペスのパワーショットを上手くシャットアウト。ロペスが3−0(118−110 2者, 119−109)と判定勝ちしたが、スコアほどの開きはなく中谷は評価を上げた一方で、タイトルマッチ前哨戦で大苦戦したロペスは疑問符がついた戦いだった。
中谷対ベルデホのオッズ
オッズはベルデホに傾いてたが、ライト級では中谷が格上。ベルデホは4戦全勝とはいえ、タフネス、メンタルと不安材料が多く、番狂わせが起こる可能性は充分あった。
中谷対ベルデホ結果
シーソーゲームの展開、最後はドラマチックだった。序盤、ペースを握ったのはベルデホだ。イスマエル・サラス、トレーナーと念入りに戦略を練ったのだろう。中谷を前にださせ的確なカウンターが機能し試合をリードした。一方、中谷はベルデホのカウンターを受け序盤は手数が減り、2度のダウンを奪われ窮地に立たされるも辛抱強く待ちチャンスを逃さず最後は逆襲。TKOで仕留めた
1ラウンド、立ち上がりはベルデホのスピード、パワーが光った。ロング・レンジからのワンツーが中谷の顎にヒットすると中谷がダウン。ダメージがあるように見え心配だったが、ベルデホの猛攻を回避し応戦しピンチを凌いだ。
2ラウンド以降、中谷のダメージが心配だったが見る限りそこまで深刻そうではなかったが、警戒からか手数が減った。3ラウンド、主導権を握るベルデホはリングを旋回。頭、ポジションを変更して中谷の長いリードの照準を合わさせなかった。
上下にパンチを散らし中谷をゆらしボディから顔面。強打の右ストレートをコネクト。4ラウンドにはいると、クロス・レンジでストレートのカウンターをあわせると中谷が2度目のダウン。
スコアはベルデホが有利だった
中盤に入り。ベルデホはどうフィニッシュに持ち込むのか。中谷はこの時点で2度のダウンを奪われポイントでも不利。ノック・アウトしかチャンスはなかった。公式スコア8ラウンドまでは(78−72 2者、77-74)でベルデホが有利だった。
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ベルデホは、中谷の手数が減ると自ら攻撃を仕掛けるシーンが減ったかと思うと7ラウンド、中谷のワンツーがベルデホを捉えるとロープまで後退。中谷のアタックを受けたが何とかサバイブ。流れがベルデホから中谷に移ると9ラウンド、ダメージからかベルデホが失速。中谷の左ジャブのカウンターが刺さるとベルデホがロープまで一気に後退しダウン。ベルデホは薄笑いを浮かべ立ち上がったものダメージは深刻。ワンツーでベルデホを沈めた。敗れたベルデホは再起ロード途中で夢を打ち砕かれた。
Sponsor Link中谷の今後はどうなるのか
WBOの地域タイトルを獲得したことで世界タイトル挑戦が視野に入る。WBA・WBO・IBF3団体を統一するロペスとの再戦プランは興行、タイミング的に難しいかもしれないが、減量苦のロペスがライト級に留まるのはあと数戦。2021年スーパーライト級に階級をあげれば3団体(WBA・WBO・IBF)が空位となり、チャンスはある。
いずれにせよ、テオフィモ・ロペスを苦戦させた中谷はライト級実力者であることを再認識させた戦いだった。帝拳プロモーションズに移籍したことでバックにトップランク社がついてることで北米でのマッチメークは有利に動くことは間違いない。今後に期待したい。
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