カシメロ対リゴンドー統一戦暗雲昨今の統一戦事情とは

 カシメロ対リゴンドー。どちらかがタイトル返上を余儀なくされるかもしれない。カシメロが持つWBO(世界ボクシング機構)は「井上尚弥をWBA王者として認める」。と声明を発表。リゴンドーは、スーパー王者井上尚弥の次点となるWBA王者でこの戦いは統一戦として認められない。

 WBA、WBCは他団体王者との統一戦に関しルールを定めてないが、WBOやIBF(国際ボクシング連盟)に限ってはレギュレーションを定め守らなければ王座剥奪は免れない。

 レギュレーションが決められているのはWBAの王座乱立にほかならない。過去の統一戦の事例など簡単に統一戦の現状をみてみよう。

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混乱のもとは王座乱立するWBA

 WBAは、スーパー王者、正規王者(レギュラー王者)、暫定王座と3王者体制。加え、階級によっては休養王座を設置することもある。

 基本的に、WBO、IBFはWBA王者と統一戦を行う場合、WBAにスーパー王者が君臨している場合はスーパー王者を王者として認めて、正規王者(レギューラー王者)は王者として認めていない。米メジャー誌でもこの流れは同じで、スーパー王者が君臨する場合は、正規王者は2番手王者という位置づけだ。

 WBAは、スーパー王者は長期防衛や他団体のベルトをもつ王者と定めているがその限りではない。ビッグ・マネーが生み出されるイベントであれば認めることが殆どWBAの裁量によって決定されると言っても過言ではない。

 WBAは、2015年8月、米ロサンゼルスで挙行されたレオ・サンタ・クルス(メキシコ)対アブネル・マレス(メキシコ)戦を空位だったWBAフェザー級スーパー王座決定戦として認定。そして、WBCもWBAに乗るかたちでダイヤモンド王座として認定したのである。

 サンタ・クルスやマレスが階級屈指のボクサーであれば納得できるが話題先行型のイベントだった。サンタ・クルスはフェザー級デビュー戦。マレスは、ジョナサン・オケンド(メキシコ)に勝ったのみでフェザー級で強豪と呼べるかは疑問しかない。

 興行主催者としてタイトルマッチとして行うことで箔がつくメリットはあるが、カジュアル・ファン層からすれば、クリアーではない複雑なシステムはデメリットのほうが多い。

 誰が本当に強いのか分からない。4団体に王者が君臨さらにスーパー王者やら正規王者。非常に分かり難いシステムで、WBCにはフランチャイズ王者もいる。

 もちろん、タイトル挑戦する機会が増えるメリットもあるが、本当に世界タイトルマッチの基準を満たすタイトルマッチが何試合あるのかも疑問。乱立する世界タイトルに価値があるのかどうか。

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亀田和毅WBO王座返上

 過去にWBOが統一戦として認めなかったのが2015年5月9日米テキサスで挙行された亀田和毅対ジェイミー・マクドネル(英)の1戦だ。当時、亀田和毅はWBOバンタム級タイトルを保持していた。

 マクドネルより上位王者が君臨していたことが理由。WBOは、WBAスーパー王者ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)を王者として認め、レギュラー王者マクドネルを王者として認めなかった。WBOは強行した場合王座を剥奪すると警告。結局、亀田がWBOタイトルを返上しWBAタイトルマッチとなった。

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井上対ロドリゲス統一戦とはならず

 規定に厳格なIBFの例をみてみよう。

 記憶に新しいのが2019年5月に行われた井上尚弥対エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)の1戦だ。この試合は井上がもつWBAは懸けられずIBFタイトルマッチとして挙行されている。このケースは例外だ。

 原則、IBFもWBOと足並みを揃えている。WBAとの統一戦に関してはスーパー王者が君臨する場合は、スーパー王者以外は統一戦を認めていない。場合によっては、井上の王座返上の可能性もあった。

 当時、井上陣営は、IBFに統一戦として認めるよう要請したが叶わなかった。井上のWBA王座はそのままでIBFタイトルマッチとして挙行されることになった。

 無事、タイトルマッチとして認められたのはIBFが承認したことが背景にある。事前承認なしではロドリゲスのタイトル剥奪の可能性もあった。規定で統一戦はもとよりタイトルマッチを行う場合はIBFの承認が必要だからだ。

 井上とロドリゲスは、WBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)準決勝で、後にWBAスーパー王者をもつノニト・ドネア(フィリピン)と対戦することが確約されていたことも承認された背景にあるだろう。

 もう一例みてみよう。

 2016年2月マンチェスターで行われたIBF世界Sバンタム級王者カール・フランプトン(英)対WBA王者スコット・クイッグ(英)戦は統一戦として挙行されたが当初、IBFは統一戦として認めない方針を固めていた。

 これは、前述しているとおりWBA王座をもつスコット・クイッグの上位にスーパー王者ギレルモ・リゴンドー(キューバ)が君臨していたのが理由だ。無事、統一戦の運びとなったのはWBAが、試合枯れで停滞するリゴンドーを休養王者とし、スーパー王者がいなくなったことで晴れてクイッグが正規王者になりIBFが統一戦として承認したことが背景がある。

 次にIBFタイトルを剥奪された例をみてみよう。

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ゴロフキンIBFタイトル剥奪

 元統一ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)はIBFから王座を剥奪されている。

 IBFはもっとも厳格であることで知られている。一方、統一戦の交渉で指名戦が障害になりフレキシブルに対応すべきという意見もある。

 2018年5月、本来であればゴロフキンは因縁の相手サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)と対戦するはずだったが、カネロのドーピング違反が発覚し延期。カネロ戦が事実上延期となったゴロフキンは、IBF指名挑戦権をもつセルゲイ・デレイビャンチェンコ(ウクライナ)戦が義務付けられたのである。

 IBFは特例で、ゴロフキンに対し選択防衛戦を認める方針だったがゴロフキン陣営はサインせず剥奪となった。

 ゴロフキン陣営がサインしなかったのは、9月ドーピング違反の出場停止から開放されるカネロとの再戦を目論んでいたからだろう

 最後までゴロフキン陣営の参謀トム・ローフラー氏がIBFへ掛け合ったが認められなかった。IBFの条件は、選択防衛戦を認めるかわり、8月3日までにデレイビャンチェンコとの指名戦に応じることだった。

 ゴロフキン陣営は、IBFの契約条件に同意せず5月マーティロスヤン戦を強行。当然、IBFは未承認。後に、IBFはゴロフキンからタイトルを剥奪することを決めた。

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フルトン対フィゲロア

 9月にWBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(米)とWBC・WBA世界スーパーバンタム級王者ブランドン・フィゲロア(米)戦が控えるが、フィゲロアがもつWBAはレギュラー王者で3団体統一戦とはならない可能性が極めて高い。

 WBA王座には上位にWBAスーパー王座とIBFタイトルを保持するムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が君臨する。WBO・WBCの統一戦となりWBAは返上される公算が高い。

 2021年にはいり業界にとっていい方向に進み、スーパーライト級、スーパーウェルター級で4団体統一戦が実現。今年後半にはスーパーミドル級4団体統一のビッグ・ファイト締結に期待が高まっている。

 5月 スーパーライト級4団体統一戦
  IBF・WBA統一王者ジョシュ・テイラー(スコットランド)
  対
  WBC・WBO統一王者ホセ・ラミレス(米)

 7月 スーパーウェルター級4団体統一戦
  WBC・WBA・IBF統一王者ジャーメル・チャーロ(米)
  対
  WBO王者ブライアン・カスターニョ(アルゼンチン)
 

 9月にカネロ対プラントの交渉が具体化。4団体統一の交渉の行方に注目が集まっている。腐敗した承認団体はさておき、こうした統一戦こそ本来のあるべき姿だ。

 カネロ対プラントについては、「カネロ対プラント交渉難航から一転合意寸前」こちらの記事を読んで欲しい。

 4団体統一王者が誕生してもWBAは王座の量産体制は崩さないだろうが、統一王者が誕生すればWBA正規王者の存在感は圧倒的に薄れる。プロモーターやTV局は単なる話題だけのマッチメークではなくファンにとって最高のマッチメークを提供することを願うばかりだ。

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