ドネア対カシメロが中止になった理由

 ドネア対カシメロ消滅。僅か数日で急転直下決まったが一転中止が決まった。PBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)は8月14日、カシメロ対リゴンドー戦を発表した。両者はドーピング検査をめぐり論争を繰り広げ最悪な結末となった。

 カシメロ陣営はドネア陣営にソーシャル・メディアで良識を超えたコメントをツイート。ただの舌戦で最終的に試合が挙行される見方もあったが、ドネアはドーピング検査、陣営に対する中傷を理由に撤退を発表。とても試合を盛り上げる舌戦やプロモーションには見えなかった。ショーン・ギボンズ氏はMPプロモーションズを束ねるものガバナンスが問われる。

Sponsor Link


Sponsor Link

ドネアがカシメロ戦から撤退を発表

Embed from Getty Images

 もともとの発端はVADAによるドーピング検査の登録だ。ドネア陣営は、カシメロ陣営にVADAのドーピング検査に登録するよう通告したが、カシメロ陣営が登録に難色を示しドネア陣営が撤退を表明。試合は暗礁に乗り上げたというのがおおまかな流れ。

 VADAはプロ・ボクシングや総合格闘技のアンチ・ドーピング機関で北米で挙行される世界タイトルマッチの殆どがVADAのドーピング検査プログラムが導入されている。

 国際的には世界反ドーピング機関のWADA、米国ではUSADA(全米反ドーピング機関)、日本ではJADA(日本アンチドーピング機構)がドーピング検査を実施している。

 ドーピング検査はコミッションの検査より厳格で、基本的に抜き打ち検査。登録すると事前に自分の居場所をVADAに通知する義務がある。

 ホスト局のShowtime(米ケーブルTV局)は「契約にサインがある」とただのトラッシュ・トークという認識で捉えていたが自体は深刻だった。

 6月26日VADAが、両者をドーピング検査に登録したことを発表。カシメロ陣営がVADAに登録されたことが確認できたことで開催に向かうかと思ったが、ドネア陣営はカシメロ戦から撤退する姿勢を変えなかった。

 ドネアはVADAの登録だけでなくカシメロ陣営のアラシじみた言動・行動を問題視していた。

Sponsor Link

カシメロはVADAに登録に難色

 「VADAの書類を提出するのを5日遅らせたことが試合をキャンセルした理由だ。彼らは登録に関し適切な情報を提供しなかった証拠がある。彼をノックアウトしたいのは山々だけど私は王道を進む。彼に報酬の機会を与えるつもりはない」。

 米リング誌から、ドネアが撤退を表明する一方で、カシメロをとりまとめるショーン・ギボンズ氏はドネア陣営と問題解決に向け話し合っていることが伝えられたが、ドネア陣営の参謀で妻のレイチェル氏のツイッターへの嫌がらせはエスカレートした。

 ツイッターへ女性蔑視発言と執拗な嫌がらせを受けたレイチェル氏は、アジアン・ヘイトに相当すると怒りを顕にしとても和解を期待できる状況ではなかった。

Sponsor Link

ドネア、エレディア氏を懸念

 レイチェル氏への嫌がらせに加えドネアがもう1つ懸念していたのはカシメロのドーピング疑惑だろう。カシメロはドーピング検査で黒になったことはないが、陸上競技の選手に薬物を提供されたとされるエレディア氏と組んだことでドーピング疑惑が浮上したのである。

 エレディア氏は円盤投げ選手として活躍し国際大会にも出場した経験をもつ。その後は、科学の学位を取得しドーピング薬物を開発。禁止薬物がドーピング検査で検出する可能性を少なくする方法を研究。著名な陸上競技のコーチに協力した。

 エレディア氏は処分されたことはないが、陸上選手のマリオン・ジョーンズらをコーチしていたトレバー・グラハムに対する訴訟の重要参考人で、1996年から2000年にかけグラハムに薬物を提供したと証言した。

 プロ・ボクシングで有名になったのはマニー・パッキャオ(フィリピン)対ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)の一戦だ。マルケスが6回ノックアウト勝ちしたが試合後にマルケスのドーピング疑惑が浮上した。

 マルケスに疑いの目が向けられたのは、エレディア氏をチームに招いたこと。試合当日、これまで小さかったマルケスの身体が見違えるほどビルドアップされたことが理由。もともと、マルケスはフェザー級あがりで身体は大きくなかった。

 そして、疑惑を深めたのが厳格なドーピング検査が行われていなかったことだ。管轄するコミッションによるドーピング検査のみでより厳格なUSADAやVADA検査のドーピング・プログラムは採用されなかった。

 おそらく、ドネア対カシメロ中止のオフィシャル発表はないだろう。今後、ホスト局のShowtimeがボクシング中継でさらっと紹介するかもしれない。

 今回の件でなにより問題となったのはMPプロモーションズの舵取りするショーン・ギボンズ氏のSNSによるアラシとも言える行為。トラッシュ・トークではなくただの誹謗中傷だ。

 米Athletic社によると今回の騒動で試合を管轄するカリフォルニア州のコミッションからギボンズ氏とカシメロが招集されたという。コミッションはギボンズ氏は、行動規範違反に接触する可能性があると指摘。その後、ギボンズ氏はドネアに謝罪している。

 混沌とするバンタム級4団体統一戦はどうなるのか。ドネア対カシメロ戦締結によりバンタム級にスポット・ライトがあたりつつあった。ドネア対カシメロはフィリピン全土を巻き込むビッグ・ファイトだっただけに残念なニュースとなった。撤退したドネアは井上と3団体統一に向かうのかどうか。今後の動向に注目したい。

Sponsor Link
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください