ノニト・ドネア、バンタム級4団体統一を掲げ井上との統一戦をコール

 WBC世界バンタム級王者ノニト・ドネア(フィリピン)がバンタム級4団体統一を掲げていることが米リング誌の報道で分かった。ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)から2度のダウンを奪い完璧に沈めたドネアは完全復活。バンタム級で強い存在感を示し殿堂入りに向け足場を固めている。

 今回は、ドネアのキャリアを簡単に振り返り、井上との統一戦を占ってみたい。

Sponsor Link


Sponsor Link

ドネア、キャリア停滞

Embed from Getty Images

 2012年、4階級目となるスーパーバンタム級王座を獲得。最も権威あるBWAA(全米ボクシング記者協会)の年間最高優秀選手を受賞しドネアは全盛期を迎えたが、翌2013年4月、対抗WBO王者ギレルモ・リゴンドー(キューバ)に敗戦を喫し王座から陥落。キャリアは停滞する。

 ベチェカを下し5階級目となるWBAフェザー級王座を獲得。翌年、WBAスーパー王者ニコラス・ウォータース(ジャマイカ)とのWBA王座統一戦に臨んだが、3回、6回にダウンを喫しキャリア初のノックアウト負け。スーパーバンタム級で再起を決め2016年11月、ジェシー・マクダレーノ(米)と防衛戦で判定負け王座から陥落した。

 「147ポンドだった。なんでも好きなものを食べていたしね。身体には余分なものがついていた。転機になったのがWBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)でした。開催中は118ポンド(バンタム級)を維持する必要があり、それがライフスタイルになり習慣化されました」。

 米リング誌によれば、ドネアは147ポンド(ウェルター級リミット)あったときもあったという。複数階級制覇はキャリア・プランにあったにちがいないが、階級を上げた理由は体重を作ることが難しかったこともありそうだ。

Sponsor Link

ドネア、完全復活

Embed from Getty Images

 「アルセやリゴンドー戦は高額なオファーだったので承諾したけど、西岡との試合後、全て成し遂げたと思ったので、私には明確な目標がなかった。キャリアが低迷していたのはそのため。井上との試合で再び情熱が戻ってきたんだ」。

 ウバーリを仕留めたドネア株は急伸。WBSSで決勝まで勝ち上がったがエントリーした当時、ドネアの評価は下落傾向。階級の上げ下げ、WBSSで再びバンタム級に戻すことで迷走感が漂っていた。

 準々決勝でライアン・バーネット(英)に勝ったが、バーネットが怪我で途中棄権。準決勝で戦うはずだったWBO王者テテが辞退。代替のステフォン・ヤングに勝ったがワールド・クラスではなく、パワーは健在だったものバンタム級に戻ったドネアの真の実力は決勝で井上尚弥と戦うまで分からなかった。

 オッズは井上に傾きドネアはアンダードッグだったが、予想以上のパフォーマンスを示し井上に試練を与えたのがドネアだった。井上は、ドネアの左フックでグラつき、右ストレートでキャリア初のピンチを経験。ドネアは判定負けしたが評価を上げた。

 そして、迎えたウバーリ戦。オッズはウバーリ有利。ビジャヌエバ、井上拓真に勝ったウバーリは決して弱いボクサーではなくアナリストの間ではウバーリ判定勝ちの声も少なくなかったが、ドネアのパフォーマンスは想定を上回っていた。

 ドネアは、リング中央で構えビジーに動くウバーリの攻撃をよく観察。2回、ウバーリの攻撃にカウンターをあわせ感触を掴んだドネアは3回、プレスとカウンターを軸に攻撃をセット。ロープまで後退させ接近戦で左フックのカウンターを炸裂させウバーリがダウン。追加でダウンを奪い4回、強打のコンビネーションで王者を沈めた。

 ドネア対ウバーリのレビューは、「【結果】ノニト・ドネア対ウバーリ」こちらの記事を読んでほしい。

Sponsor Link

ドネア、井上との再戦を臨む

 「今夜は勝つことはもちろん、これまで以上の強さを世界に示し自分の強さを証明する必要があった」。

 試合後、インタビューでこう述べたドネア。バンタム級でトップクラスであることを証明。井上戦で再評価されたドネアだが、38歳と1年半によるブランクと不安材料は多かった。

 全盛期のスピードはないにしろ階級屈指のパンチ力は健在。圧力でウバーリを下がらせ得意のカウンターでダメージを与え、接近戦で強烈なフックとコンビネーションでウバーリを陥落させた戦略は見事。フレームの大きさ、パワーのアドバンテージからドネアはバンタム級がベストだろう。

 当時、井上との再戦は必要ないとの見方が多かったが、あれだけのパフォーマンスで再起に成功したドネア。中継したShowtime(米ケーブルTV局)から井上尚弥の名前があがり、ドネアが試合後に井上との再戦をコールしたことで、2人の再戦機運が上昇している。

 どのタイミングで井上との再戦が実現するのか。井上を筆頭に、ドネア、カシメロ、リゴンドーと優れたボクサーが集うバンタム級のパズルのピースはどう埋まるのか。WBCホルダーとなったドネアは井上との再戦プランの他、WBO王者カシメロにも目をつけている。

 そのカシメロは8月、ギレルモ・リゴンドー(キューバ)と対戦することが決まっている。ドネアは勝者との統一戦にも前向き。Showtimeが軽量級で一定の資金を注入しているところをみると、まず、ドネアの次戦はカシメロ対リゴンドー戦の勝者との統一戦が有力視される。

 そして、井上は6月19日米ラスベガスのリングへふたたび登場。IBF指名挑戦者1位マイケル・ダスマリナス(フィリピン)と防衛戦を行う。井上が無事指名戦をクリアすれば、タイミングとして2021年後半にドネアとの再戦が実現すればベストだが、プロモーターとの障害もあり簡単にはいかないだろう。

 ドネアをプロモートするのはリングスター・スポーツのリチャード・シェイファー氏だ。Showtimeとも関係が深く、井上を米国でプロモートするトップランク社(米有力プロモーター)とは対立関係にあり、中継局の違い。統一戦に向けハードがある。

 この先は流動的となるが、井上がインパクトある勝ち方をすればドネアとの再戦を後押しする材料にはなる。年内に井上との再戦が合意するかはわからないが、ドネアはWBO王者と統一戦を行う可能性は高い。何れにしてもバンタム級戦線は、統一戦を含め加熱することは間違いない。

Sponsor Link



コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください