ヘルウィン・アンカハスが井岡一翔との統一戦に前向き実現するのか

 IBF世界スーパーフライ級王者ヘルウィン・アンカハス(フィリピン)はWBO王者井岡一翔との統一戦実現に前向きだが雲行きはあやしい。井岡はドーピング疑惑が浮上。ビッグ・トラブルを抱える井岡の先行きは不透明だ。今回は、アンカハス対ロドリゲスの振り返りと井岡との統一戦実現を占ってみたい。

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アンカハスはトップクラスであることを証明

 マウリシオ・ララ(メキシコ)がジョシュ・ワーリントン(英)を大番狂わせで破ったことでロドリゲスの番狂わせの期待があがったもの、全階級で最多の防衛回数を誇るアンカハスが下馬評では圧倒的に有利。ロドリゲス勝利の予想は殆どなかった。しかし、試合は拮抗しアンカハスは勝ったが、ロドリゲスが想定以上の力を見せつけ評価を上げた。

 1回、アンカハスの左ストレートがコネクト。ロドリゲスの足場が一瞬ゆるみ早期ノック・アウトも見えたが中盤以降、ロドリゲスがアンカハスの距離をつぶしタフネスを武器に追い上げた。

 アンカハスの主砲である左ストレートはある程度距離が無いと機能し難い。ロドリゲスは中盤にはいり距離を潰しにかかり接近戦に持ち込んだ。8回、アンカハスがコーナーにロドリゲスを追い詰めワンツーのダブルでダウンを奪うも、立ち上がったロドリゲスが驚異的なリカバリーを見せつけサバイブ。

 9回、アンカハスの強烈なボディが決まりロドロゲスは苦悶の表情を見せるがアッパー、左フックで反撃。11回、消耗戦となりアンカハスは鋭いジャブ、パワーショットが減りスローダウン。ロドリゲスは11、12回に王者を追い込んだが判定負けに終わった。


 「アンカハスは9度目の防衛戦で本物の王者であることを改めて証明した」
 アンカハスをプロモートするショーン・ギボンズ氏の言葉通り、期待値どおりの試合ではなかったがタフネスを証明。素晴らしい戦いを披露したことは間違いない。中継したShowtime重鎮のスティーブン・エスピノーザ氏も称賛する声を残している。

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アンカハス陣営は井岡と統一戦に意欲

「アンカハスはエストラーダ、ロマゴン、井岡と戦う資格があることを証明した。だが、知っての通りエストラーダやロマゴンは緑のベルト(WBC)傘下のトーナメントにある、井岡と統一戦ができる探ってみよう。彼はロマゴンやエストラーダ戦を臨んでいた」。

 アンカハス、井岡のターゲットはスーパーフライ級で高い評価を得ているWBA・WBC世界スーパーフライ級統一王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)やローマン・ゴンサレス(メキシコ)だが、ギボンズ氏が語るとおりWBCがトーナメントを命じたことで、アンカハスが統一戦を呼びかけても直ぐ実現は難しい。

井岡はドーピング違反の疑惑が浮上

 アンカハス陣営は、井岡戦に臨むかまえだが統一戦実現は暗雲が立ち込めている。

 2020年末、4階級制覇を狙う田中恒成にストップをかけた井岡はビッグ・トラブルを抱えている。田中戦前のドーピング検査で井岡の検体から大麻の陽性反応を示したという。

 この話は、複数のメディアが報じどこまでが真実なのか現時点で明らかになっていない。ソースが不明確でプロ・ボクシングを統括するJBC(日本ボクシング・コミッション)から経緯の説明があるまでは何とも言えない状況だ。

 報道によれば、警察沙汰になったが井岡の疑いは晴れているという。井岡の検体から違法薬物が検出されたためJBCが警察へ届けでた。通常であればA、Bの2つの検体のサンプルがあり、陽性反応がでた際にBサンプルの解析を行使する権利があるが、警察へBサンプルを提出したことで、井岡陣営が潔白を証明することが事実上できなくなった。

 別のメディアでは、覚醒剤が検出されたというはなしもあるが真相は不明。WADA(世界ドーピング防止機構)によって禁止薬物とされる3つの成分が検出されたが規定値以下だったという話もある。

 井岡陣営は、使用したCBDオイルから大麻成分が検出された可能性があると説明。潔白を主張している。だが、CBDオイルに微量のTHCが混入する製品もあり、もし井岡陣営が使ったのであれ失敗だったかもしれない。

 ドーピングの基準を決めるWADA(世界アンチ・ドーピング機構)ではCBD(カンナビジオール)は禁止薬物として指定されていないが、THC(テトラヒドロカンナビノール)に関しては禁止薬物として指定され使用は禁止されている。

 JBCは5月下旬に結論を出すと声明を発表したが、6月で試合から半年が経過。リークから発覚したとはいえJBCからいまだ何の説明もないのは疑問でしかない。

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井岡は日本離脱を示唆

 井岡は再渡米を示唆しているが簡単な話なのだろうか。米国、マカオから日本を主戦場にした井岡陣営はTBSとの契約も考えられ再渡米の足かせになる可能性がある。

 2018年渡米した井岡は、日本でライセンスを再取得。アストン・パリクテ(フィリピン)とのWBOスーパーフライ級タイトル挑戦から、ジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)、最新の田中恒成との防衛戦を含め全て日本で試合を行っている。

 とりわけ懸念されるのが渡米して、北米を軸にするアンカハスと統一戦交渉がまとまるかだ。

アンカハスはPBCと関係性が強い

 トップランク社と契約満了したアンカハスは、Showtime(米ケーブルTV局)が中継するアル・ヘイモンが手掛けるPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)のリングに登場。PBCと単戦契約なのか契約条件は分かってないが今後はPBCを主戦場とする可能性が高い。

 アンカハスをプロモートするのはマニー・パッキャオ(フィリピン)が設立したMPプロモーションズ。事実上切り盛りするのがショーン・ギボンズ氏でキー・マンの1人だ。これまで、ギボンズ氏はトップランク社にアンカハスを預けていたものトップランク社との共同戦線を解除に動いている。

 ギボンズ氏はもともとトップランク社で働いていたが訳があり退社。その後は、トップランク社と親交のあるメキシコ最大手、WBA・WBC世界スーパーフライ級統一王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)など有力選手を傘下に収めるフェルナンド・ベルトラン氏のもとで働きその後、MPプロモーションズの代理人に就任している。

 これまで、MPプロモーションズはトップランクと関係を深めてきたが、最近は敵対するPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)を仕切るアル・ヘイモン・グループと協調する動きをみせている。

 ご存知のとおりMPプロモーションズ傘下のWBO世界バンタム級王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン)は、トップランク社と契約するIBF・WBA世界バンタム級統一王者井上尚弥と統一戦が合意していたがコロナ禍で再交渉となり資金面で折り合いがつかず消滅した。

 その後、カシメロはPBCのリングへ登場。次戦は8月、WBA王者ギレルモ・リゴンドー(キューバ)と対戦することが決まり、井上と統一戦が期待されるがトップランク社と再交渉に応じるか不透明感が漂う。アンカハスも同様、階級アップのオプションも視野にいれPBCのリングに再び登場する公算が高い。

井岡対アンカハスのハードル

 井岡が渡米し交渉するにあたりネックになる材料はいくつかある。まずは、条件面だ。日本に大きなマーケットをもつ井岡だが米国では1戦のみで殆ど知られていない。渡米した初戦の報酬は僅か2万5000ドル(約280万円)。北米を軸にしたアンカハス戦合意のキーは条件面だ。

 当時、軽量級の祭典「Superfly」を中継したHBO(米プレミアム・ケーブルTV局)が資金難であったにせよ、PBCと契約するShowtime、米地上波FOXがどこまで資金を用意するだろうか。ましてや、北米でニーズが少ない軽量級。マニアには好カードだが話題となるかは別だ。

 北米で軽量級やアジア圏のボクサーが評価されていることは間違いないが、井岡陣営が出向く形になれば北米ではアンカハスがAサイド(主役)。条件で大幅に譲歩する必要がでてくるかもしれない。そして、アジア人対決という点もハードルが高い理由の1つだ。

 北米を主戦場にしたアンカハスだが、メインにセットされたイベントの殆どはフィリピン人と伝統的な戦いを繰り広げるメキシカンが相手。船井とも戦っているがWBC・IBF世界ライトヘビー級統一王者アルツール・ベテルビエフ(ロシア)のダブル・メインの位置付け。アンカハス単独では求心力が乏しくメキシカン頼みということも鮮明だ。

 理想なのはアンカハスを日本へ招致するかたちだが、アンカハスの最新のファイトマネーは17万5000ドル(約1930万円)と高額。適正な報酬を用意しなければ、いくら軽量級の聖地は日本だからといってアンカハスを呼び出すことは難しいだろう。このカードを実現するのは北米ではなく日本であることに議論の余地はないが、ワクチン接種が進まない日本で挙行できるかも不安材料の1つだ。

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アンカハスはバンタム級も視野に入る

 交渉が難しくなればアンカハスは井岡以外にもオプションがある。

 協調関係にあるPBCであれば、1階級上げれば井上と統一戦交渉が破断となったWBO王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン)、ギレルモ・リゴンドー(キューバ)。そして、PBCと関係が深いリチャード・シェイファー氏が抱えるWBO王者ウバーリ(フランス)、ノニト・ドネア(フィリピン)戦も視界に入る。

 現状、アンカハスはスーパーフライ級で統一戦を呼びかけるが、WBCのベルトはエストラーダ、ロマゴン、シーサケット、クアドラスでトーナメントが行われ入り込む余地はない。「井岡戦は現実的だとおもう」ギボンズ氏はマッチメークに前向き。井岡戦がスピード締結すれば面白いが、井岡のドーピング疑惑がどう解決するのか注目したい。

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