井上の標的カシメロの防衛戦が決定2021年上半期バンタム級まとめ

 IBF・WBA世界バンタム級統一王者井上尚弥の対抗王者らの防衛戦が決まった。WBC世界バンタム級王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)は5月29日、ノニト・ドネア(フィリピン)相手に防衛戦。WBO世界バンタム級王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン)は8月14日、WBA世界バンタム級王者ギレルモ・リゴンドー(キューバ)と防衛戦を行うことが正式に決まった。

 バンタム級トップ戦線がどうなるのか。ウバーリ対ドネア、カシメロ対リゴンドーの簡易プレビューと井上の統一戦を占ってみたい。

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WBC王者ウバーリ対ドネア 5月29日

 コロナ禍で一時は休養王者となったウバーリだが半年遅れの2021年5月29日にノニト・ドネア(フィリピン)との指名戦が実現することが決まった。もともと、2020年12月米コネチカット州で決まっていたが、ウバーリが新型コロナウイルスに感染し出場辞退。WBCは正規王座決定戦を指令するも二転三転した。

 WBC(世界ボクシング評議会)はウバーリに勝者との統一戦を確約することで休養王者へスライドする合意を取り付け、ドネアの相手にエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)が空位の王座を懸けることが決まったが、今度はドネアが新型コロナウイルスに感染し辞退。出場予定だったロドリゲスはレイマート・ガバリョ(フィリピン)とWBC暫定王座を争うことになった。

 ウバーリはアマ・エリート。五輪2大会出場、世界選手権3大会連続出場。ロンドン五輪ではベスト8、2007年世界選手権で銅メダルを獲得している。

 プロ戦績は17戦全勝12KO。母国フランスでキャリアを積みマーク・ヘラルドを下し頭角を現し五輪で因縁のあるラウシー・ウォーレン(米)に勝ちWBCバンタム級王座を獲得。ビラヌエバを全く寄せ付けず6回棄権に追い込み初防衛に成功した。

 ドネア戦は興味深い戦いになるだろう。ウバーリは攻防の安定感がありインテリジェンスに長けている。井上拓真戦で後半グラつかせられ耐久面で未知数なところはあるが、ディフェンシブなウォーレンに勝利。ファイター・タイプにも強く高い戦術を持つ。

 一方、ドネアは低迷していたがWBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)で井上尚弥と戦い評価を取り戻している。井上をグラつかせる印象的なシーンを作った。しかし、38歳、18ヶ月のブランクが戦いの影響を及ぼす可能性は否定できない。

 井上戦は近年のドネアの戦いのなかで高パフォーマンスだったが、全盛期のキレやスピード。反射神経は下落傾向にある。もちろん、井上を苦しめたドネアのパワフルな右、左フックでダメージを与えれば勝機はあるが、高い戦術をもつウバーリがドネアの土俵で戦うことはなく、研究熱心なウバーリが勝つボクシングに徹すれば不利な展開も十分予想できる。

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WBC暫定ガバリョ対ロドリゲス 未定

 第1戦の採点結果が物議を醸しWBC(世界ボクシング評議会)がダイレクト・リマッチを命じたWBC暫定王者レイマート・ガバリョ(フィリピン)対エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦は対戦合意。5月、エリクソン・ルビン(米)対ジェイソン・ロサリオ(ドミニカ共和国)の前座にセットされる見通し。

 第1戦は的確にパンチを当てたロドリゲスが勝ったと思ったが、判定で右手をあげたのはガバリョだった。この結果には中継したShowtimeの解説陣営も驚きを隠せない様子だった。判定を不服としたロドリゲス陣営がWBCに抗議し即時再戦を求めていた。

 第1戦のレビューと詳しい記事は、「WBCロドリゲス対ガバリョ即時再戦を指令バンタム級最新情報」、こちらの記事を読んで欲しい。

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WBO王者カシメロ対リゴンドー 8月14日

 Showtime(米ケーブルTV局)は8月14日、WBO世界バンタム級王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン)とWBA王者ギレルモ・リゴンドー(キューバ)戦を発表した。今戦の注目はなんと言ってもリゴンドーがトップクラスの余力を残しているかどうかだ。重要な一戦になる。

 PBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)と親交を深めるカシメロ陣営はShowtimeからオファーを受け次戦はふたたび北米のリングが濃厚だった。

 五輪2大会連覇を達成しスーパーバンタム級で台頭したギレルモ・リゴンドーも40歳。ピークはとうに過ぎている。カシメロ戦は有利な声もあるが不安材料は多い。

 2017年12月、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)に惨敗を喫して以降、強豪クラスとの対戦はない。直近から約19ヶ月ブランクがありサビつきも懸念される。もちろん、フットワークが健在であればカシメロを塩漬けにすることもできるだろう。


 だが、変則型のカシメロを老いたリゴンドーが12ラウンド丁寧にポイント・メイクし、アウト・ボックスできる余裕があるだろうか。直近のリボリオ・ソリス(ベネズエラ)戦では完勝したもの1ラウンド、前進を止めることができずソリスの強打をもらい何度もふらつき接近戦での弱さが再び浮き彫りとなっている。

 その後、タッチ・ボクシングに切り替え7回、10回に印象的なシーンを作ったが、リスクヘッジに熱心なリゴンドーのタフネス、メンタルは疑問符。パワー・ショットやカウンターは依然として健在だが、恐れを知らないカシメロの前進を止められるかどうか。パワー・ショットを警戒すればいつものタッチ・ボクシングで僅差判定勝ちもなきにしもあらずだが・・・。

 カシメロが不用意に入ってきたところ、リゴンドーが得意の左アッパーやストレートがとんで来ればあっさりノック・アウト負けなんてこともありそうだが、はっきりいって始まってみないとどんな戦いになるのか予想が難しい。カギを握るのはリゴンドーがいかにペース・メイクするか。カシメロの乱打戦に巻き込まれれペースが崩れれば早期決着もあるだろう。

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井上はリゴンドー、カシメロと統一戦ができるのか

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 井上の2021年、3団体統一戦実現は期待薄となった。米Showtimeがウバーリ対ドネア、カシメロ対リゴンドーをヘッドラインにした興行を発表。統一路線がトレンドなだけに年内に勝者同士をぶつけるシナリオは濃厚とみて間違いない。

 4人とも、PBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)と近いポジションにいる。リゴンドーはPBCと契約。ドネア、ウバーリはPBCと近いリチャード・シェイファーがプロモート。カシメロはフリーの身だが井上との統一戦実現は難しいだろう。

 カシメロはマニー・パッキャオ(フィリピン)が設立したMPプロモーションズ傘下。一度は、井上尚弥を米本土でプロモートする米トップランク社と対戦合意したが、コロナ禍で延期となり中止。交渉が再スタートしたが、条件面で合意できず破断となった。

 井上とカシメロの決裂理由は報酬条件。コロナ禍で有観客開催ができなくなり、チケット収益が消失し資金調達できなくなったことが大きな理由。依然としてカシメロ戦の期待は高まるが、カシメロ陣営がトップランク社とライバルにあたるPBCとの親交を深めているところを見ると、カシメロがPBC陣営と契約する可能性は十分ある。

 仮にカシメロがリゴンドーに勝てば、ウバーリ対ドネア戦の勝者のオプションが見え、交渉難航が予想する井上尚弥戦に向かう理由はない。もちろん、WBC(世界ボクシング評議会)がウバーリ対ドネア戦の勝者に対し、WBC暫定ガバリョ対ロドリゲス戦の勝者との統一戦を義務付ける可能性もあり先行きは流動的になるだろう。

 可能性があるとすれば唯一リゴンドー戦か。40歳のリゴンドーは限りなくキャリア終盤。PBCと契約しているとは言え不人気ボクサーで、条件次第ではトップランクに差し出す可能性もある。だが、PBCは自前の興行で統一戦に拘る傾向があり、おいそれとは渡すとは考えにくく交渉は一筋縄ではいかないだろう。

 井上の次戦は公式発表されてないが、米ネバダ州ラスベガスでIBF指名挑戦者マイケル・ダスマリナス(フィリピン)戦が大筋合意。残すは会場決定のみで、新型コロナウイルスの新規感染者数が減った米ラスベガスが濃厚。ネバダ州が規制緩和に踏み切っていることで有観客になる可能性が高い。

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