PFP傑作ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)をプロモートする米トップランク社ボブ・アラム氏は、ロマチェンコの再起戦の相手として中谷正義をあげ、ロマチェンコ陣営と初夏実現の方向で協議していることを明かした。中谷対ロマチェンコの実現性を探ってみたい。
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中谷は日本史上最大のビッグネーム獲得に
全盛期に近いロマチェンコとノン・タイトルとはいえ中谷が戦うことの意味は大きい。ロマチェンコは32歳と全盛期だ。まだ明白な衰えはみせていない。ロペス戦は290万世帯と高い視聴件数をマーク。報酬は無観客にも関わらず300万ドル以上が保証され商品価値は高い。
これまでにも日本人ボクサーが海外のビッグネームと対戦が実現してきたが、正式アナウンスとなれば中谷は歴代でも最大級のビッグネームを獲得することになる。しかも相手はまだ衰えてない。日本人が直面したビッグネームをみてみよう。
最近では、2017年8月亀海喜寛対ミゲール・コット(プエルトリコ)が実現。すでにコットは全盛期を過ぎていたが、知名度、スキル・セットは高く依然として中量級ビッグネームだったことは間違いない。ファイトマネーはコットが75万ドル(約8500万円)、亀海が19万2000ドル(約2100万円)だった。
2013年3月、石田順裕対ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)が実現。ゴロフキンは全盛期、HBO(米プレミアム・ケーブルTV局)がサポート。当時ゴロフキンの北米における知名度は今ひとつだったが、ピークのゴロフキン戦に名乗りをあげれたのは、米国でジェームス・カークランド(米)戦で大番狂わせ、ポール・ウィリアムス(米)ら著名人との経験があったから他ならない。
中谷対ロマチェンコは実現する可能性は高い
ロマチェンコは、中谷を当て込まれることは不本意かもしれないがロペス戦のパフォーマンスは十分ではなく他団体タイトル挑戦の見通しがたたない以上は選択の余地はない。ボブ・アラム氏はライト級適正を見極める思惑もあるかもしれない。
ロマチェンコはロペス戦まえスーパーフェザー級に落とすことを示唆していたが、ライト級に留まることを表明。いまだロペス戦の敗北を受け入れできないプライドの高いロマチェンコはまんまとスーパーフェザー級へ下げるわけにはいかないのだろう。
現状、ロペスがWBA・WBO・IBF3団体の王座を握っている。ロマチェンコはダイレクトの再戦を求めているがロペスが応じる気配はない。WBCのベルトはデヴィン・ヘイニー(米)が保持し4月ハビエル・フォルトゥナ(ドミニカ共和国)戦の対戦交渉が具体化。ヘイニーはトップランクと相反するマッチルーム・ボクシングと契約。ハードルがあり交渉は一筋縄ではないかない。
ロマチェンコと中谷ほどベストなマッチメークはない。中谷は2020年12月キャリア再建途中のフェリックス・ベルデホ(プエルトリコ)戦の大逆転KO劇でライト級で存在感を示した。好戦的スタイルで評価をあげた中谷を相手にロペスに負けたロマチェンコが再起戦を行えば話題性は十分ある。
もちろん、プロモーターが反応をみるため牽制した可能性も否めないが、ライト級の現状を考えるとこれ以上ない好カードだ。中谷は、トップランクと協調関係にある帝拳プロモーションズと契約していることも契約成立の好材料。両陣営が臨めば合意は難しくない。
中谷の次戦については、「中谷正義リング誌10位2021年ロペス再戦かライト級最新動向」、こちらの記事を読んでほしい。
中谷はベルデホ戦で評価をあげた
中谷はロマチェンコと戦う権利を十分満たしている。テオフィモ・ロペス(米)を痛めつけ判定負けに終わったが善戦したことで米国での評価をあげた。ロペスは減量苦であることが伝えられていたが中谷の強さを認めている。
米国で存在感を強めた中谷は、トップランク社が売り出すキャリア再建途中のフェリックス・ベルデホ(プエルトリコ)を破りライト級実力者であることを証明しトップ戦線に躍り出た。米リング誌は、ベルデホ戦の中谷のパフォーマンスを評価しリング誌が独自に格付けするライト級10位と評価。2021年2月度ではランクを1つあげ9位となっている。
中谷対ベルデホの試合結果は、「【結果速報】中谷正義対フェリックス・ベルデホ背景から結果まで」こちらの記事を読んで欲しい。
中谷対ベルデホ戦の評価は、「中谷正義対ベルデホ米リング誌他海外の反応評価を紹介」こちらの記事を読んで欲しい。
決戦地はベガスかニューヨークの可能性
「ロマチェンコ陣営と協議し再起戦を初夏に照準をあわせている。彼はバブルの戦いに疲れている。大きなファンベースを持っているし米国で中谷とビッグ・ファイトができると思う」。
アラムは米国開催を示唆。ワクチンが普及し順調に新規感染者数が減少していけば、ロマチェンコの拠点とする米ニューヨーク開催も見えてくる。
変異種の脅威はあり予断は許さない状況だが、米国では規制緩和の動きが広がっている。ニューヨーク州はレストランやスポーツ・イベントなど段階的に緩和する。緩和に動いたのは1日の新規感染者数が減少したことが理由だ。
ニューヨーク州は1月中旬をピークにして1日の感染者数は減少傾向にある。変異種の懸念は残るもの感染拡大が鈍化していることを示している。
ニューヨーク州は23日からスポーツ、音楽イベントなどを大型スタジアムで観客動員を認める。定員の10%とし観客には新型コロナウイルスの事前検査を義務付けることで緩和に動く。
ニューヨークの他、トップランク社がコロナ禍で拠点としている米ネバダ州でも段階的に規制を緩和する見通し。トップランク社がビッグ・イベントを手掛ける米東海岸ニューヨークの殿堂MSG(マディソンスクウェア・ガーデン)も候補になるだろう。
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