井上尚弥2022年4月カシメロ、ドネア統一戦は実現できるのか

 井上尚弥。うまくことが運べば2022年第1四半期にも実現しそうだ。バンタム級トップの井上、次戦は凱旋防衛。ライバルWBC王者ドネア、WBO王者カシメロは次戦、指名戦の交渉が進み中東ドバイで12月予定。この3人の統一戦を占ううえでのキーマンがプロベラム社を設立した元GBP重鎮のリチャード・シェイファー氏だ。

 今回はバンタム級トップ戦線の最新情報と2021年井上の統一戦が実現するかみてみたい。

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最新のバンタム級戦線

 バンタム級でもっとも評価が高いのがIBF・WBA世界バンタム級統一王者井上尚弥。そして、対抗WBOのベルトを持つジョンリル・カシメロ(フィリピン)、WBCのベルトを持つのがカシメロとの交渉が失敗に終わったノニト・ドネアだ。まずは、最新情報をみてみたい。

 まだオフィシャル発表はないが3人の次戦は以下のマッチメークになる見通し。2021年、統一戦交渉が具体化したもの実現せずバンタム級トップ争いは停滞感が漂っている。

 12月11日 ドバイ
  ・WBC世界バンタム級王座統一戦
   ノニト・ドネア対レイマート・ガバリョ

  ・WBO世界バンタム級タイトルマッチ
   ジョンリル・カシメロ対ポール・バトラー

 12月14日 日本
  ・IBF・WBA世界バンタム級タイトルマッチ
   井上尚弥対ダニエル・ディパエン

カシメロは米プロベラム社に移籍か

 カシメロは指名戦をクリアすれば、ドネアとの統一戦や井上との統一戦が視界に入る。フィリピンABS-CBNによると、カシメロは確執が生じたMPプロモーションズを離れライバルWBC王者ドネアが契約するプロベラム社へ移籍したことが分かっている。

 カシメロのヘッド・トレーナーを務める実の弟ジェイソン・カシメロによるとMPプロモーションズとの契約を解除しプロベラムへ移籍。契約に関しては、プロベラムを指揮するリチャード・シェイファー氏と契約するノニト・ドネア(フィリピン)がシェイファーにカシメロとの契約を進めたという。

 本当にドネアがシェイファー氏へカシメロを推薦したかどうかは定かではないにしろ、グローバルに新規マーケットを開拓するプロベラム社にとってカシメロと契約することは悪くないオプションだ。消滅したドネア対カシメロの統一戦や、IBF・WBAのベルトをまとめる井上尚弥との統一戦交渉も難しくなくなる。

 カシメロ陣営は一度消滅したドネア戦の交渉が再スタートしたが合意できずWBO(世界ボクシング機構)から上位ランカーのポール・バトラー(英)と指名戦を命じられた。

 興味深かったのがカシメロが契約するMPプロモーションズ、そしてMPプロモーションズと強調関係にあるアル・ヘイモン氏と提携するプロモーターが入札に参加せず、入札した唯一のプロモーターがシェイファー氏が率いるプロベラム社だったことだ。

 落札価格は10万5000ドル(約1170万円)とWBOが設置している最低入札額を僅かに上回る金額。カシメロの報酬はこの金額から分配され約800万円。世界タイトルマッチとしては格安だがボクサー人気とマーケット需要が無ければ安く買い叩れるのが現状だ。
 
 何より、ショックだったのはカシメロだろう。日本のメディアでは、報酬が格安でカシメロがショックを受けたと伝えているが、本当の問題はカシメロ陣営や関係を深めるPBC勢が入札しなかったことだろう。

 カシメロがMPプロモーションズからプロベラム社へ移籍したことはオフィシャルではなく、不透明な部分があるが、カシメロは入札の件で契約するMPプロモーションズに不信感を募らせMPプロモーションズの舵取りをするショーン・ギボンズ氏とのあいだに確執が生じたことは間違いない。

プロベラム社とは

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 プロベラム社は世界のボクシング界の重要人物の1人リチャード・シェイファー氏が立ち上げたプロモーションズ会社である。

 これまで、シェイファー氏はアル・ヘイモン氏が率いるPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)と関わってきたが「我々は自分達でイベントを主催しホスト局と契約を結ぶつもりだが、共同プロモートすることも可能だ」。とコメント。

 欧州、東ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカなど潜在的な市場がある地域と連携。プロ・ボクシング興行の活性化。地域のプロモーターと協力し年間100以上のイベントをプロモートする方針を示している。

 どんなボクサーが契約しているのか。

 プロベラムと契約しているボクサーは大型ボクサーは少ないが、WBSSスーパーライト級決勝に進出したレジス・プログレイス(米)、ノニト・ドネア(フィリピン)、元ライトヘビー級王者バドゥ・ジャック(ニュージーランド)、ウェルター級でベルト獲得の期待がかかるリオ五輪組のエイマンダス・スタニオニス(リトアニア)が契約を結んでいる。

 ドイツ、スペイン、ニュージーランド、ドミニカ共和国、ニカラグア、オーストラリア、ガーナのプロモーターらと共同プロモーション契約を結んでいる。

 もともと、スイスの銀行マンでやり手だったシェイファー氏は、オスカー・デ・ラ・ホーヤ氏とゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)立ち上げに参画。GBPを北米で有力プロモーターに育てあげた実績をもつ。

 GBPで実質カジとりを任されたシェーファー氏は、北米で影響力をもつアル・ヘイモン氏と協力。フロイド・メイウェザー・ジュニア(米)をはじめ、いまやドル箱スターのサウル・”カネロ”・アルバレス(カネロ)らをプロモートしスターに育て上げた実績をもつ敏腕プロモーターの1人だ。

 その後、シェイファー氏は所属選手の契約問題をめぐりデラ・ホーヤ氏と対立しGBPを離脱。リングスター・プロモーションズを設立した。

 マッチメークのし掛け人で影響力をもつが、賞金獲得トーナメント、WBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)で北米のホスト局探しを任されたが失敗。WBSSで重役から降ろされたと報じられている。

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ドネアとカシメロ次戦は同じ舞台か

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 ドネアは次戦、WBC暫定タイトルをもつレイマート・ガバリョ(フィリピン)との統一戦が12月11日ドバイでまとまる見通し。その興行で、カシメロ対バトラーのWBO指名戦もセットされる可能性が高い。

 カシメロとの統一戦交渉が失敗したドネアは、WBC(世界ボクシング評議会)から暫定王座をもつレイマート・ガバリョとの統一戦が命じられた。

ドネア、カシメロが井上と戦う理由

 統一戦のカギを握るのがシェイファー氏だ。シナリオ通り事が運べば4月に統一戦が実現する可能性は極めて高い。来日経験もあり、日本の交渉窓口となる帝拳プロモーションズ本田会長とも関係は良好。ドネア、カシメロにしろ日本開催を拒む理由はない。

 まず、交渉の障害となる中継局のハードルがない。

 プロベラム社は前述したとおり、ドネア、カシメロを傘下におさめ北米以外を軸に成長余地がある地域で、現地プロモーターと共同でイベントを挙行する方針。中継局と契約している場合、放映権争いなので交渉がまとまらないリスクがあるが、その心配もないだろう。

 北米最大の勢力をもつPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)やトップランクにしろ、地上波FOXやShowtime、米スポーツ・チャンネルとして指示を受けるウォルト・ディズニー傘下のESPNと提携しているが、いまのところプロベラム社はホスト局との契約はなく井上との統一戦の障害はない。

 2つ目が、ドネア、カシメロにしろ北米でビッグ・ファイトは期待できないからだ。PBC傘下のラウシー・ウォーレン(米)やトップホープのゲーリー・アントニオ・ラッセル(米)戦が合意したところで、高額報酬を見込めるとは到底思えない。

 ドネアは、北米のマーケットで軽量級シーンを築いたが全盛期より求心力は低下している。ウバーリ戦は見事だったが軽量級の需要が限られている北米で大幅に報酬アップできるかは疑問だ。

 直近ウバーリ戦のファイト・マネーは14万4369ドル(約1590万円)と全盛期と比較しても報酬は激減。対抗に有力なメキシカンがいれば別だが、20万ドルー25万ドル前後が相場だろう。

 カシメロはリゴンドー戦が17万5000ドル(約1920万円)だったがバトラー戦は10万5000ドルから分配、受け取る報酬は激減する。

 ドネアやカシメロがリスキーであっても敵地に向かうのは高額報酬が期待できる他ならない。ドネアは38歳とキャリア終盤、カシメロも32歳といまがピーク。日本で絶対的な知名度を誇る井上が試合をすれば会場は満員。チケット、スポンサー収益、興行的にみても日本ほど合理的な決戦地はない。

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井上、ドネア、カシメロ統一戦は4月か

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 井上は年内12月に選択防衛戦をはさみ2022年4月にも統一路線に方針を固めている。

 プロモーター間に障害はないにしろ来年はじめに統一戦の交渉をまとめないと指名戦の横槍がはいり、待たされるリスクがある。

 IBF(国際ボクシング連盟)は、井上の挑戦者決定戦として、ジェイソン・モロニー(豪)とリー・マクレガー(英)戦を命じ来年以降、井上はIBFから勝者と指名戦を命じられる公算が高い。

  12月11日 ドバイ
  ・WBC世界バンタム級タイトルマッチ
   ノニト・ドネア対レイマート・ガバリョ

  ・WBO世界バンタム級タイトルマッチ
   ジョンリル・カシメロ対ポール・バトラー

  12月14日 日本
  ・IBF・WBA世界バンタム級タイトルマッチ
   井上尚弥対アラン・ディパエン

  日程未定 ドバイ
  ・IBFバンタム級挑戦者決定戦
  ジェイソン・マロニー対リー・マクレガー

 
 だが、指名戦に限っては統一戦交渉がまとまれば後回しにできる。12月、選択防衛戦のあと2022年4月がタイミングとしては最適。ドネア、カシメロが指名戦に負けることが無ければ統一戦は難しくないだろう。

 その頃には、2021年新型コロナウイルスが拡大し日本開催の障害となっていた入国後の隔離措置も緩和も進んでいる頃だろう。

 もちろん、井上の統一戦交渉が頓挫する可能性もある。そうなれば、再びドネア対カシメロの交渉が浮上するだろう。

 何れにせよ、トップランク社と契約した井上は大きくキャリア成長が期待されたが減速感は否めない。唯一の救いはジェイソン・モロニー戦。IBF指名戦は仕方ないにしても対戦相手の水準を考えるとミス・マッチだ。

 2020年
  ジェイソン・マロニー

 2021年
  マイケル・ダスマリナス(フィリピン)

  アラン・ディパエン(タイ)

 もちろん、統一路線に方針を固め試合をこなすことは重要だが、そうであれば少なくて3試合は欲しいところ。2022年、井上が希望する統一戦はファンや関係者も期待している。統一戦を合意できるかプロモーターの手腕が問われることは間違いない。

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