トップランク6月井上、ロマチェンコ、中谷の興行は成功

 2021年6月、トップランク社の興行を振り返ってみたい。ワクチン接種が進む米国でコロナの新規感染者数が減少に転じことでバブル方式のイベントは解除。米ネバダ州の規制緩和に伴い待ちに待った有観客のイベントが再開した。

 シャクール・スティーブンソンの試合は今ひとつだったが、井上対ダスマリナス、中谷対ロマチェンコは期待通りの好試合だった。簡単にイベントを振り返り今後を占ってみたい。

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どんなイベントだったのか

 ついにトップランク社は”The bubble”を脱出。米ラスベガスにあるヴァージン・ホテルを新たに拠点としコロナ禍で無観客イベントを再開して以来約1年を経てようやく有観客として再開。3週連続でイベントが行われた。

 ワクチン接種が加速する米国は新規感染者数が減りネバダ州では4月時点のワクチン接種率は40%を超え、6月に入場規制を完全撤廃。経済フル再稼働に動いていた。

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スティーブンソン対ナカティラ

 WBO暫定スーパーフェザー級王座決定戦が設置されスティーブンソンに大きな期待が寄せられたが、期待値を下回る内容だった。

 本来であれば、WBO正規王者はジャメル・ヘリング(米)とスティーブンソンの指名戦が行われるのが筋だったが、ヘリングがコロナに感染したことで試合が延期となった影響でスティーブンソンとの指名戦は先送り。WBOが暫定王座設置に動いた。

 結果は、スティーブンソンが12回3−0のフルマーク勝ちを収めたもの、ディフェンシブなスティーブンソンが終始クルーズ・コントロール。スティーブンソンはナカティラからダウンを奪ったが仕留めにいかずリスクをテイクしないスタイルは退屈だったと言わざるを得ない。

 的中率の高い打撃と高いディフェンス・スキルを持っているが、徹底的にリスク回避するスタイルがどれだけ地元ニュージャージー以外にファン層を作れるのか。ライト級も視界に入るがメジャーになるには課題は多そうだ。

 試合レビューは、「【結果】スティーブンソン対ナカティラ」こちらの記事を読んで欲しい。

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スティーブンソンの次戦

 正規王者ヘリングは、カール・フランプトン(英)戦でスティーブンソン対ナカティラ戦の勝者と統一戦をすることにサイン。米ESPNベテラン記者マイク・コッピンガー氏によれば、ヘリング対スティーブンソンの両陣営が対戦交渉に臨み2021年第四半期合意を目指しているという。

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井上尚弥対ダスマリナス

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 メジャー4団体統一をかかげる井上尚弥。ダスマリナス戦は通過点に過ぎず話題は統一戦の行方だった。

 WBC王者ノニト・ドネア(フィリピン)、ライバルのWBO王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン)がリングサイドに着席。オッズはダスマリナス7倍、引き離したオッズを見て分かる通り今戦は勝ち方が問われる戦い。そういった意味で北米のファンを魅了するのに十分な内容だった。

 1ラウンド、ダスマリナスの戦力を判定した井上は2回からプレスを強め、鋭い踏み込みからワン・ツーからボディを打ちダスマリナスが後退。井上は即座にワンツーで追撃。一度目のダウンを奪った。

 3ラウンド、試合を完全にコントロールした井上はノックアウトが見え始めた。開始ゴングからトップ・ギアにいれワンツーでガードごと揺らすとダスマリナスは防戦一方。ダスマリナスの左の強打を警戒する声があったが、反撃に転じる余裕はなく井上がボディでダウンを追加。

 ダスマリナスは何とか立ち上がったが、井上がロープに追い詰め左アッパーのダブルで3度目のダウンを奪うとレフェリーストップとなった。

 試合レビューは、「https://in44y.com/boxer/inoue-naoya/25730/」こちらの記事を読んで欲しい。

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井上対ダスマリナスの視聴件数は80万件超え

 米スポーツ専門チャンネルESPNが中継した井上対ダスマリナスは80万世帯を超えた。ESPNは、ネットストリーム配信のESPN+のプラットフォームでも配信しており、合わせると100万世帯に届くと試算されている。

 井上はメジャーなのか。

 同日、米テキサスで挙行されたWBC世界ミドル級タイトルマッチ、王者チャーロ対モンティエル戦が約30万世帯。井上対ダスマリナスと比較され報じられているが、チャーロ対モンティエルを中継したのはShowtime(米ケーブルTV局)で加入者数も違えばESPNとはターゲットも異なる。

 米本土でスポーツ専門チャンネルと認知されているのがウォルト・ディズニー傘下のESPNだ。一時、契約者数は1億人に迫る勢いだったが、台頭するネットフリックスやデジタル配信の流れで契約者は大幅に減少。ESPN+の契約者は1200万人とデジタル配信の契約者はコロナの追い風もあり増加に転じている。

 一方、Showtimeは2018年時点の加入者数は2856万世帯。米ESPNとは違いスポーツが専門ではない。プロ・ボクシングや総合格闘技も中継するが、映画やオリジナルのTVドラマシリーズも主力コンテンツの1つだ。

 とはいっても、井上が北米で注目を集めていることは間違いない。視聴件数でいえばESPNが2021年上半期に中継したスーパーライト級4団体統一戦テイラー対ラミレスの次点付近になる。

 100万世帯に届く主力ボクサーは、WBO王者テレンス・クロフォード(米)やワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)だ。

 メジャー路線が開けるのかどうか。軽量級、マーケット需要やライバルなど課題は多い。並大抵のことではないが継続してインパクトを出し続ければメディアに大きく取り上げられる可能性はある。何より、これだけファンを飽きさせないトップ・ボクサーは少ない。今後の活躍に期待したい。

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井上の次戦はどうなるのか

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 井上の次戦はまだ未確定だが11月か12月が有力視される。

 ライバルWBC王者ノニト・ドネア(フィリピン)がWBO王者ジョンリル・カシメロ(フィリピン)戦から撤退したことで、カシメロは8月14日、もとのカードだったギレルモ・リゴンドー(キューバ)と戦う見通し。

 ドネアが撤退したことで井上との再戦の期待が高まるが開催地はどうなるのか。ドネアを呼び込むのであれば日本開催だろう。とりわけ開催に向け懸念されるのが新型コロナウイルスの影響だ。日本ではコロナ新規感染者が増加に転じている。

 ワクチン接種は進んでいるものここにきて供給不足。そして、五輪開催による感染拡大のリスクがあり、交渉締結に向け不安材料が多い。かといって、米国で対立するPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)と合意に持ち込むのは容易ではないだろう。

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中谷対ロマチェンコ

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 オッズは中谷が8倍たったが大きな期待がかかっていた。

 米本土は3戦目にあたる中谷。アンダードッグはこれで3戦連続だが、テオフィモ・ロペス(米)と接戦、トップランク社ホープのフェリックス・ベルデホ(プエルトリコ)にノックアウト勝ち。大方の予想を覆してきた。

 再起の相手は中堅選手がピックアップされることが多い傾向にあるが中谷を選択したのはライト級トップコンテンダーだからにちがいない。ロペスと接戦を演じた中谷に勝てば再戦に繋がるアピールになるからだ。

 中谷に大きな期待がかかっていたが世界最高峰の相手の壁は分厚かった。肩の怪我や階級の懸念もあったが、リングに登場したロマチェンコはベスト・バージョンだった。

 1回こそ様子見ムードだったが2回以降は得意の左ストレートを軸にサイドからの攻撃。フェイントを交えた高度な攻撃で中谷を揺さぶった。

 中盤以降、試合をコントロールしたロマチェンコは9回、左ストレートから容赦ないアタックをかけレフェリー・ストップに追い込んだ。

 中谷はロマチェンコの得意のサイドからのアタックは何度も回避したが、スリップ、フェイント、速いフットワークに翻弄された。ボディ攻撃、クリンチ・ワークは攻撃の分断に有効的だったがロマチェンコのコンディションは近年で最高だった。

 中谷は敗れてしまったがライト級という激戦区で、まだ衰えを見せない世界最高峰の相手をリングに呼びこむことができたのはこれまでの功績にほかならない。中谷は現役続投を宣言。再起戦に期待したい。

 試合レビューは、「【結果】ロマチェンコ対中谷正義、試合背景から結果まで」こちらの記事を読んでほしい。

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