井岡一翔、真のリスペクトを得られるだろうか


image source to:The Ring

 WBA世界フライ級チャンピオン井岡一翔、人気、実力を兼ね備えた国内で最も興行価値の高い選手だ。その評価は国内だけでなくアメリカで最も権威あるボクシング・メディア、リング誌でフライ級1位と認定され実力が認められている。

 しかし、唯一無二、真のリスペクトは得られているだろうか。まだ、やり残したタスクがあることはファンの間で共通認識。キャリアにおいて重要なターニングポイントを迎えていることは間違いない。

 フライ級屈指のチャンピオンは実力だけでなく、地元大阪では絶大な人気、支持を集めている。4月23日、地元大阪で行われた防衛戦は関西で瞬間最高視聴率19.2%、平均視聴率は15.6%、関東では瞬間最高18.7%、平均視聴率12.9%を記録。この視聴率は現日本人の世界王者で最も高い視聴率である。

 2017年3月に行われたWBC世界バンタム級チャンピオン山中慎介の防衛戦の視聴率が9.8%。2016年12月に行われたWBO世界スーパーフライ級チャンピオン井上尚弥の防衛戦の視聴率が7.2%となっている。

 関西で行われる世界タイトルマッチではメーンを務め集客力もある。ダブル世界タイトルマッチなどイベント全体に与える影響力は大きく無視できない。人気実力を兼ね備え、興行価値の高いチャンピオンであることは紛れもない事実である。

 しかし、そんな実力あるチャンピオンだが、試合前、試合後の批判の声も少なくない。最近は、大手メディアでも井岡の批判の記事を多く目にするようになった。

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陣営、ホスト局が実現するマッチメークとファンが望むマッチメークのギャップ

 井岡が実力者であることは今更言うまでもない。批判の原因は、井岡自身が望む「唯一無二」を証明できるマッチメークが実現に至っていないことである。井岡自身の望むものと、陣営ホスト局が実現するマッチメークの大きなギャップ。対戦相手の水準、試合内容が伴っていないことが本質的な原因だろう。

 WBA世界フライ級タイトルマッチが、4月23日大阪にあるエディオンアリーナ大阪で行われチャンピオン井岡一翔が、同級ランキング2位のノックノイ・シップラサートと対戦し、12回3-0(2者117-110、116-111)大差の判定で勝利を収め、具志堅のもつ世界戦通算14勝を達成した。

 大差の判定で明白な勝利を収めたが、格下相手の試合内容としてパフォーマンス不足だったことは否めない。全体を通して印象的なシーンがなく、見せ場が欲しかった。多くのファンは井岡の中盤KOを予想していたのではないだろうか。

対戦相手の水準が低い

 プロ戦績だけで対戦相手の水準を判断するのは難しい。しかし、対戦相手のノックノイ・シップラサートは61戦のキャリアはあるが、実力者らとの経験はなく、この戦績で初の世界戦という異例の選手である。

 歴代の軽量級名王者、元WBC世界フライ級王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)、元WBA・WBO世界統一フライ級王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)らが防衛してきた相手と比較すると対戦相手の水準が低いと言わざるを得えない。

 ローマン・ゴンサレスはフライ級時代、八重樫東(大橋)、マックウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)、ブライアン・ビロリア(米)、エドガル・ソーサ(メキシコ)。階級でベストと言われている選手らと拳を合わせ、勝利を掴んでいる。

 ファン・フランシス・エストラーダは、当時29戦無敗のトップコンテンダー、ミラン・メリンド(フィリピン)、ジョバンニ・セグラ(メキシコ)、ブライアン・ビロリア(米)、エルナン・マルケス(メキシコ)ライトフライ級時代にはローマン・ゴンサレス(ニカラグア)と拳をあわせている。

 一方、井岡一翔は、ライトフライ級時代に八重樫東、フライ級時代にファン・カルロス・レベコに勝利。しかし、ゴンサレス、エストラーダの対戦相手と比較すると八重樫東、レベコは実力者にしろ高水準の対戦相手が少ないことは事実だろう。

存在感を高めることができるか

 今回の防衛戦の相手、ノックノイはプロ戦績は上だが、技量、対戦相手のキャリア水準は井岡が上。であれば、井岡に要求されることは勝つことは当然。勝ち方が問われる試合だったことは間違いないだろう。各メディアで批判の声が多く上がっているが、理解できる部分も多い。

 多くの批判は、格下選手相手で見せ場をつくれず、KOできなかったことを挙げ。徹底的にポイントアウトするボクシング・スタイルにも言及している。

 こういった意見は色々な見方がある為、何が正しいかという答えはない。しかし、ボクシングはスポーツでありながらエンターテイメント性が強い。多くの一般視聴者は駆け引き、技術戦だけでなくスリリングでエキサイティングな試合を求めていることも確かだろう。

 もちろん、勝負の世界は結果が重要。勝ちにこだわることは理解できる。しかし、今はメジャー4団体に王者が君臨。世界王者の権威は薄れ世界王者はもはや肩書きにすぎない。こういった中でいかに、強豪と戦い抜き印象的なパフォーマンスを演出し、自分の存在感を示すことできるかが重要。慎重なマッチメーク、試合内容に批判が起こるのも当然の流れと言える。

 一方で、何もリスキーな打ち合いをする必要はなく、勝ち続ければ方向性として間違っていないという意見もあるだろう。確かにそうだ。何もリスクをテイクし、打ち合う必要はない。ダメージもなく現役を終えることができれば選手として何よりだろう。

 しかし、井岡が目指すのは”唯一無二”である。これは、リスクをテイクせずに得ることは難しい。何かを得るということはボクシングに限らず トレード・オフであることが殆どだろう。

 あのフィリピンの英雄マニー・パッキャオでさえ今でこそスーパースターの地位を確立してるが、それはファンを魅了するエキサイティングな試合をし、リスクをテイクし強豪とのマッチメークにも怯まず自身の強さを誇示し、証明してきたからである。

真のリスペクトを得られるかどうか

 井岡は28歳という選手として最もいい時期。プライベートではフィアンセとも順風満帆、キャリアにおいて重要なターニングポイントを迎えていることは間違いない。今だからこそ、井岡陣営、ホスト局は英断すべき時だろう。

 多くの批判は井岡の実力を認めているからこその批判。井岡一翔に対する期待値が高いことの表れでもある。ファンは実力者同士のリアル・ファイトを求めている。

 フライ級には、マックウィリアム・アローヨ、WBO王者ゾウ・シミン、IBF王者ドニー・ニエテス、とタレントも多い。

 誰もが認める実力者、ハイレベルな挑戦者、他団体王者、自分より強い強豪らを迎え挑戦し戦い、真の姿をさらけだしてこそ与えられる感動がある。それを得られてこそ真のリスペクト、いや「唯一無二」と言えるのだろう。

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