IBF王者ジョシュアがクリチコに勝利、ヘビー級新時代が幕を開けた!


photo by:boxingscene

ヘビー級史に残る重要な一戦は、歴史に残る名勝負に

 現地時間2017年4月29日、世界ヘビー級新時代が幕を開けた。この結果により、クリチコが長期政権を築き停滞気味だったヘビー級のトップ戦線が活発化。米英対決、ボクシングの枠を超えたスーパーマッチの期待が高まったことは間違いないだろう。

 WBA・IBF・IBO世界ヘビー級王座統一戦が、英国ロンドンにあるウェンブリー・スタジアムで行われ、IBF王者アンソニー・ジョシュア(英)/18戦全勝全KOが、元3団体統一王者ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)に11回TKO勝ちを収め、IBFの3度目の王座防衛に成功。WBAスーパー王座に加え、IBO王座を獲得した。
 
 2017年、興行規模で言えば最大級。世界的にも注目を浴びる一戦は記録だけでなく、後世に語り継がれヘビー級の歴史に残る名勝負。ヘビー級新時代のオープニング・バウトとして相応しい試合だった。勝ったジョシュアはプロ戦績は19戦全勝全KOとパーフェクトレコードを1つ伸ばした。負けたクリチコは69戦64勝(KO53)5敗とした。

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 「彼はまだ実力者と拳を交えた経験がなく未知数の部分が多い。この戦いは50−50だ。彼にも僕にも勝つチャンスがある」。試合前、元3団体統一ヘビー級王者クリチコはこう語っていた。この試合はこの言葉につきる。

 前評判は若き英国のスター、スピード、パワーで上回るアンソニー・ジョシュアが有利との見方が少なくなかった。しかし、ジョシュアは8ラウンド以上の経験はない。クリチコと同体格、フィジカルを持つ対戦相手とのキャリアは無く、今までの相手はフィジカルを駆使して倒してきた感は否めない。

 スタミナ、メンタル、窮地に陥った際どうなるか。不透明な部分が多くクリチコとの一戦はまさにジョシュアの真価が問われる戦いだった。空前のスケールで行われ9万人の観客がウェブブリー・スタジアムに集結。これ以上ない最高の舞台で、元ヘビー級3団体王者ウラディミール・クリチコと戦うことは、興行的にみても実に理に適っていた。

 ラウンドが長引けば、11年に渡り長期政権を築いたクリチコのキャリアが有利に働く見方もあり、クリチコ勝利を予想するファン、関係者も多かった。しかし、試合は、予想を遥かに上回る大激戦。5回、6回、11回はボクシングに必要なエンターテイメント要素が全て揃っていた。スリリングでエキサイティングな内容、終盤のエンディングは多くのファン、関係者を魅了したことは言うまでもない。

5、6、11回は伝説のラウンドに

 5回、このラウンドでジョシュアが勝利すると感じたファンがも多いだろう。筆者もその1人だ。ジョシュアが左フックから、右とラッシュを浴びせるとクリチコがダウン。ジョシュアがフィニッシュすると思いきや、急激にスローダウンし後退。打ち疲れでスタミナ切れ。クリチコは中盤以降回復し、逆にジョシュアを追い詰めジョシュアがピンチとなった。

 6回、ジョシュアはキャリア初の正念場を迎える。5回ダウンを喫したクリチコは回復しジョシュアにワンツーがクリーン・ヒット。このワンツーは試合の中でベスト・ショットだ。ジョシュアはプロキャリア初のダウンを喫しダメージは深刻。スタミナ不足も明らかだった。序盤ペースを握られるが再びクリチコがペースを掌握。5回ピンチを迎えたクリチコだが、状況は一転した。
 
 窮地に立たされないと真の実力が見えないと言うがその通りだろう。5回終盤、6回、ジョシュアはTKO負けさえ感じさせたが、キャリア初のピンチをなんとか凌いだ。スタミナ不足を露呈したもの、この回を凌いだことはメンタル、タフネスの強さを証明したといえるだろう。

 その後、ジョシュアは回復につとめた。クリチコはペースを掴むもジョシュアのパンチに対する警戒感から決定打を当てることが出来なかった。ラウンドを重ねるごとにジョシュアが回復していくことは明白。6回以降、慎重すぎる試合運びをしてしまったクリチコは悔やまれることになる。

 11回、ジョシュアが開始早々右ストレート、右アッパーを決めクリチコをぐらつかせた。その後、このアッパーが決めてとなり、ジョシュアの追撃で2度目のダウン。

 クリチコはなんとか立ち上がるもジョシュアの左フックで通算3度目のダウン。クリチコは元3団体統一王者の意地、プライドを見せ再度立ち上がった。このダウンから立ち上がったのは驚異的としか言いようがない。しかし、ジョシュアの再度の追撃によりレフェリーストップとなった。

敗れたクリチコは評価を上げた

 
 「僕の夜にすることができかったことは、本当に悲しいよ。戦略を立てたけどそれがうまく機能しなかった。ジョシュアをリスペクトしなければいけないね。本当におめでとう。駆けつけてくれた9万人のファンに愛とリスペクトを。君たちは最高だよ」。試合後、クリチコはリングでそう語っていた。

 クリチコはジョシュアに敗戦したが、決して商品価値を落とした試合ではない。最高のコンディションに仕上げ、ヘビー級史に残る重要な一戦を最高の舞台で、若き英国のスターと戦い名勝負を繰り広げた。まだ、クリチコがヘビー級トップクラスの実力者であることを証明。クリチコが再評価された試合だと言える。

 逆転劇で負けてしまったが、決してクリチコに老いを感じさせる試合ではなかった。5回、6回、若き王者を追い込みキャリアの差を明白に見せた。一時「退屈」と言われていたファイターとは到底思えなかった。

 報酬は1200万ユーロ、多額の報酬を受け取るとは言え、若きジョシュアとの対戦はリスキー。フューリーに負けたとは言え、クリチコはヘビ一級の一時代を築いてきたファイター。負ければ踏み台になることは間違いない。

 そういった、全てのリスクを受け入れ挑戦した戦い。11回、2度のダウンから立ち上がった元統一王者には、維持、プライド、だけでなくそう言った全てのリスクを背負った覚悟が感じられた試合。多くのファンからリスペクトを得たことは間違いない。

英国界のスターは世界のアイコン的な存在へ

 アンソニー・ジョシュア、若き英国界のスター誕生と言っていいだろう。スタミナ、タフネス、キャリア不足が指摘されたが、5回、6回のキャリア初のピンチを凌ぎ、迎えた11回に大逆転勝利。何も異論はない。今後、ヘビー級界のアイコン的な存在となるだろう。

 スタミナなど課題面が露呈したとは言え、自身とほぼ同格であるクリチコと11ラウンド戦い抜き、タフネスを証明。クリチコとの11ラウンドはジョシュアのキャリアにおいて最も濃厚で大きな価値を見出したことは間違いないだろう。

 アンソニー・ジョシュアは、米・英だけでなく世界をまたにかけるボクシングの枠を超えたヘビー級界のスーパースターになるスター性だけでなく、カリスマ性も備えている。パフォーマンスは試合だけでなく、試合後のスピーチも上手い。自ら観客を引きつけファンの心に刺さるスピーチは、多くのファンの心を動かし掴むだろう。

 ジョシュア、クリチコは契約に再戦条項があることから、クリチコの決断次第では再戦が濃厚である。しかし、4団体の中でも指名戦に最も厳格なIBF(国際ボクシング連盟)は、同級2位クブラト・プレーフ(ブルガリア)/26戦25勝(13KO)1敗(1KO)との対戦を義務付けており、先行きの予測は難しい。

 WBA(世界ボクシング協会)は、同級1位ルイス・オルティス(キューバ)との対戦を義務付けていたが、選択防衛戦を容認する姿勢を示している。今後は、ジョシュア陣営次第となるがビッグネームとの試合を優先。IBF王座を明け渡すか、或いはIBFの指名戦の一時回避の承認を得ることも考えられる。

 各団体の指名戦はさておき、ヘビー級には2人の無敗の王者、WBC世界ヘビー級王者デオンテイ・ワイルダー(米)/38戦全勝37KO、WBO世界ヘビー級王者ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)/22戦全勝18KO、が君臨。近い将来、ジョシュアが渡米する可能性も十分考えられる。アメリカで印象的なパフォーマンスを示すことができれば英国界だけでなく、国際的なスターへと変貌を遂げるだろう。

 ジョシュアをプロモートするエディ・ハーン氏は、WBC世界ヘビー級王者デオンテイ・ワイルダー(米)との王座統一戦を見据え、ジョシュアが米国へ上陸することを示唆。WBA同級1位ルイス・オルティスは、エディ・ハーン氏と良好なビジネス関係にあるアル・ヘイモン氏と契約。ジョシュアが米国初上陸の相手としてスキル面で評価が高いオルティスとのマッチメークは興味深いものになるだろう。

 エディ・ハーン氏率いるマッチルーム・プロモーションズは、米英だけでなく新たな市場開拓として中国、ドバイなどもあげている。先行きは不透明だが、ジョシュアが順当にアメリカの舞台で成功した場合、先駆者として大きなマーケットがある中国、ドバイなどで興行することも十分考えられる。何れにせよ今後のヘビー級戦線から目を離すことはできなそうだ。

(Via:Yahoo Sports!

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